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冒険王

ファイル 206-1.jpg監督 チン・シウトン
出演 ジェット・リー 金城武 チャーリー・ヤン

1996年作品。今までは、いわば中華版インディ・ジョーンズ、考古学者のジェット・リー、助手の金城武のコンビが由緒ある経箱を探すよう命じられ、情報を握る新聞社に侵入し、新聞社オーナー、その娘チャーリー・ヤンの協力の下、ナントカカントカ・・・美女ロザムンド・クワンが着物姿で出てきて日本軍のナンタラカンタラ・・・という北京語バージョンが、ビデオで出回っていた。
が、昨年、広東語の香港バージョンが出ましたのさ。するとなんと、ジェット・リーは作家で、その頭の中のストーリーが中華インディ・ジョーンズで、現実と劇中劇がリンクしてなにがなんだ?みたいになっているではないですか!と、いう、その香港バージョンを、大きなスクリーンで見ました。http://kagocine.net/hongkong_news.html先日の『過ぎゆく時の中で』もそのひとつでしたが、あれは練られた脚本の名画、これは・・・ですが、チン・シウトン監督で、まだまだ若い96年のジェット・リーのアクションのキレ、台湾アイドル時代の金城武やチャーリー・ヤンの可愛いこと、それに香港版にもあるジェット・金城コンビの女装、を、映画館で観られて満足です。暇があるなら、いくつ突っ込みどころがあるか数えにもう一度見に行きたいぐらいです。

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comment(2) 2012.01.06 16:02

過ぎゆく時の中で

ファイル 205-1.jpg監督 ジョニー・トー
出演 周潤發 シルビア・チャン ン・マンタッ

1988年香港映画。主演の二人が原案に参加したという。

監督ジョニー・トーさんだったのか。

かつてバイクレーサーだったアロンは、今はトラック運転手の仕事をしながら息子ボーキーと二人暮らしをしている。貧しくも楽しい生活。
ある日、友人の誘いで息子はCMの子役に応募、採用される。承諾の書類を書くためCMプロデューサー似合いに行くと、それはかつての恋人ボーボーだった。
かつて、バイクレーサーとして派手に暮らしていた頃、アロンは女癖の悪い浮気者だった。妊娠中だったボーボーに現場を目撃され、ボーボーは階段を踏み外し・・・。

子供は死んだと聞かされていたボーボーはアメリカへ。
アロンが育てている息子ボーキーは、その二人の間の子供だった。

今ではシルヴィアと名乗っている彼女とヨリを戻したいアロンだが、シルヴィアには恋人がいる。だがシルヴィアは子供とは別れたくない。アメリカに連れていこうとする。

バイクレーサーとして再起をはかるアロン。それまで、なんだそりゃなモジャ長髪だったアロンが、髪を切っていつもの周潤發らしい姿に戻り、ジャンパーとブーツで立つ後ろ姿のなんと素敵なこと!韓流スターさんの中にも後ろ姿のかっこいい人はたくさんいるが、何かが違う!

台湾のシンガーソングライター羅大佑の曲である“恋歌1990”が流れるが、歌詞が広東語だ。誰が歌っているのだろうと思っていたら、昔の香港スター、ホイ三兄弟のサミュエル・ホイ(許冠傑)だって。

そして、レースに復帰したアロン、事故!
映画館で、アッ、と声をあげてしまった。

子役ウォン・コンユンがとにかく自然でうまい。そしていい俳優二人、ジョニー・トーという暗黒街物の秀作を撮っている監督が、こんな映画も撮っていたのね。そして優れた俳優、女優。
まさに香港映画!

年末、入院中の母の食事介助の合間にマルヤガーデンズシネマ香港映画特集に走りました。いやあ、名作!ベタなストーリーだと思われるでしょうが、スタッフ、キャストが揃うと(そして当時の香港映画の勢いがあると)こうなりますのさ。

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comment(2) 2012.01.02 08:27

新少林寺

ファイル 204-1.jpghttp://shaolin-movie.jp/
監督 ベニー・チャン
出演 アンディ・ラウ ニコラス・ツェー ジャッキー・チェン ファン・ビンビン

1980年代初期にあのジェット・リーを一躍スターにした『少林寺』を、なんとなくイメージしてしまうでしょう、やっぱり。で、すっかり別物でした。

時は1912年、辛亥革命で戦いに荒れる時代。
傲慢な将軍(アンディ・ラウ)が、義兄を裏切って権力を一手に、と企んだとたんに、弟分(ニコラス・ツェー)に裏切られ攻め込まれ、馬車に蹴り飛ばされた幼い娘の命を救おうと少林寺に逃げ込むが、あえなく娘は息を引き取る。ちなみにその娘を演じたのは嶋田瑠那ちゃん、母親が中国人、父親が日本人、金城武と同じような境遇です。日本語はあまりしゃべれないらしい。

アンディもニコも、いやあな役が似合うようになったのねえ…と一種感慨にふけりつつ。少年ニコだったのに(いつの話だか)。

何もかも失ったアンディさんは頭を丸めて少林寺で修行する身となる。寺の料理番ジャッキーと人々に饅頭を配るなどから始める。うーん、どうなんだよ、いくら坊主頭だからって御尋ね者となった身が簡単に外に出ていいのかあ?

で、やっぱりその存在を知られるところとなり。悪いニコ率いる兵隊たちが騎馬で少林寺に乗り込む、少林寺の僧たち戦う戦う。

30年前の『少林寺』にも出ていたというおヒゲの師父ほか本当に武芸の世界から映画界に入った俳優や、それから『1911』にも出てたよね、余少群、『花の生涯 梅蘭芳』やドラマ『蒼穹の昴』ではいかにもなで肩の女形だったけど、ちゃんと少林寺僧に見えるのがさすが。それに、この人見たことあるなあ、と思ったらこの人がクマキンキンこと熊欣欣かあ、という敵方の強ーい坊主…など乱れ飛ぶ。アンディ50歳、いや頑張る。

最後にはうるうるしちゃいました。なぜか今年の震災なども思い出し、全てを失ってもなお生きることなども思ったのであります。
香港映画はこうでなくちゃ、という正統香港映画らしい作りですが、しかし北京語なのね。少林寺だから仕方ないけど。広東語映画が少なくなりました。

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comment(0) 2011.11.30 21:51

1911

ファイル 203-1.jpghttp://1911-movie.jp/
総監督 ジャッキー・チェン
監督 張黎
出演 ジャッキー・チェン ウィンストン・チャオ リー・ビンビン 胡歌 ジェイシー・チャン ジョアン・チェン 寧静 余少群

辛亥革命100周年,成龍映画100本(実はよくわからないらしい)を記念して作られた中国近代歴史大作ですが、中国人には常識でも外国人である私たちにはよくわからない状況が・・・あの女性誰?はじめの方で頭を挙げて死んでいく秋瑾という人は?どこかで名前を見た気もする、女性革命家。
てな状況で、オールスターキャストな中国人のための映画です。日本がより悪者になっていくより少し前の時期の、孫文はじめ、その頃はいろいろな人が日本に留学しているはずだけどそんなことには触れられない、革命はいかに成功したか?そこには黄輿という人がいて、という話。今ひとつその黄輿の活躍ブリがよくわからない。成龍だ、と思ってしまうのであります。
でもまあ、お勉強にはなりました。

実はジャッキーの父親は、孫文が作って蒋介石が継いだ国民党員だった、共産党との戦いに敗れ、香港に逃げてきて“房”という姓を“陳”に変えた、と、言う話があります。陳を北京語読みでチェン、だからジャッキー・チェン。この映画にも出ている息子は房祖名という名前なのになぜかジェイシー・チャンもしくはチェンと英語名を名乗っていますが、本来の苗字を名乗っているのでしょうね。それにしてもイングリッシュネームのしくみってよくわからない。

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comment(0) 2011.11.30 19:31

蜂蜜

ファイル 199-1.jpghttp://www.alcine-terran.com/honey/
監督・脚本 セミフ・カプランオール
出演 ボラ・アルタシュ エルダル・ベシクチオール トゥリン・オゼン

トルコ映画。
開始時間を間違って、今始まったばかり、というところから見ることになった。
男が、大きな木の枝に縄をかけて、ぐいと引っ張り、しっかりしていることを確かめ、上に登っていく。と、枝が裂け・・・(あ、と声を出してしまった)。そこで場面が変わる。

人里離れた、山の中に住む親子。父は養蜂家。高い木の上に蜂箱を仕掛けている。夢の話をしようとする小さな息子。父は、夢を他人に聞かれてはいけない、と言い、二人はヒソヒソと夢の話。
学校で、教科書を読もうとして、急に吃音になってしまう息子。

時系列がわからないまま、そして夢の世界なのか現なのかよくわからないまま、その世界に見入ることになる(のは私だけではないと思うのだが)。

蜂蜜が取れなくなり、父は森の中へ巣箱を仕掛けに行く。息子は声を出せなくなったまま。

夜、水の入ったバケツに、月が映っている。息子がそれを掬おうとする。水が揺れて映像はバラバラ。しばらく後また丸く映る月、そこに顔を突っ込む息子。

静かな、無口な、無表情と言うに近い映画。ちょっとアキ・カウリスマキ作品を思い出した。

帰ってこない父。母を励ましたくて、嫌いな牛乳を飲む息子、それに気づかない母。

どこからどうつながるのかわからないまま見ていても、これがとても優れた作品であることはわかる。え、ここで?という終わり方をする。

ユスフ(息子の名前)三部作というものがあるそうだ。第一部大人のユスフ『卵』第二部青年期のユスフ『ミルク』とあって、これが三作目。第60回ベルリン映画祭金熊賞受賞。

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comment(0) 2011.10.04 13:40

探偵はBarにいる

ファイル 198-1.jpghttp://www.tantei-bar.com/
監督 橋本一
出演 大泉洋 松田龍平 小雪

ススキノの探偵(携帯電話を持たない、行きつけのBarで連絡電話を受ける)俺、俺の相棒で運転手(北大農学部研究室助手でもある)高田、二人が派手に事件に巻き込まれてくれます。

夜な夜な通うBARケラーオオハタに、コンドウキョウこと名乗る女から依頼の電話がかかる。“カトウという弁護士に,去年の2月5日、カトウはどこにいたか?と聞いてくれ”というもの。
そしてその依頼通りにした結果、雪の中に生き埋めにされかかり、必死に這い出して公衆電話から相棒に電話、でも寝てるんだこの相棒、いつでもどこでもよく寝る。

大好きです、こういう映画。香港に持ってったら受けるよなあ、きっと、と言うB級テイスト。ま、日本でもずいぶんヒットしているようですが。高田役の松田龍平が、たーだ無表情にボーッとしているのだけどいざとなったらキレのいいアクション。実は、観る前には主役は大泉かよ、龍平主役の映画観たいぞ、と内心ぶつくさ言ってたんだけどね、ごめん、大泉洋ファンの皆様。

その、一年前の2月5日に行われたあるパーティで、その主役の霧島グループ社長霧島(西田敏行)が、歌手のマキさん、と紹介し、ちょっと年のいった女が歌いだす、時計を止めて・・・誰だ?あー、カルメン・マキ!そしてその曲“時計を止めて”は、もともとジャックスの!
そのシーンでは出だししか出てこない、けれど最後、エンドロールでじっくり聞けます。

小雪サンも、途中悪女の表情を見せますが、なんと高嶋政伸が悪ーい役をやっていて、これがなかなかです。
蛇足、この欄前記の『ワルツ』の、タチの悪いヤクザ利根川役は彼でいいか。林は、凄い美丈夫とは言えないがうまく造ってもらって龍平でもいいかもしれない、と勝手にキャスティングしたのでありました。
続編出来るそうです。うふ。

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comment(4) 2011.09.28 20:29

シャンハイ

ファイル 195-1.jpghttp://shanghai.gaga.ne.jp/
監督 ミハエル・ハフストローム
出演 ジョン・キューザック 渡辺謙 コン・リー チョウ・ユンファ 菊池凛子

亜州影帝チョウ・ユンファと女王コン・リーが並んで英語の台詞喋ってる!というところでまず嬉しくなっちゃいましたんでね。貫禄です、麗しいです、コン・リー女神。

ジョン・キューザックは新聞記者にして諜報員なのだが、どうなの?それでいいの?な・・・。

日米開戦前夜の上海、渡辺謙演じるのは日本軍諜報部タナカ大佐、上海黒社会のボス、チョウ・ユンファ、その妻コン・リーは実は反日レジスタンスのリーダー。物語はアメリカの諜報部員コナーが殺されるところから始まる。その恋人菊池凛子が行方不明になる。
キューザックはそんな中に乗り込んで親友の死の真相を突き止めようとする。
というような話なのだが、私の理解力も枯渇してきたことではあるが、ドイツ人の愛人との絡みもなかなかイージー、恋も・・・諜報員だろー、そんなんでいいのか?な、展開の中、ストーリーがめんどくさい、何がどうつながってるのかわかりにくい。菊池凛子サンは結局なんでそんな目に会わなきゃなんなかったんだっけ?

と、言いながら、まあ悪辣なる日本軍にあって、それなりに人間性を見せる役柄の謙さんも、最後のほうの、そうよ、彼はテレビの上海灘でブレイクしたのよ、こうでなくちゃ、な、周潤發(できましたらもう少し彼に出番を欲しかった)、そして堂々のコン・リー…名優揃いで、みんな魅力的な演技を見せる、だから十分見られる、けれど作品としては、観客設定はどうなってるんだろう?誰をターゲットにしてるんだろう?諜報員と暗黒街と悪辣日本軍をシャッフルして男と女の愛というのか執着と言うべきか、を、混ぜました、という気配で、あります。

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comment(0) 2011.08.31 16:52

海洋天堂

ファイル 191-1.jpghttp://kaiyoutendo.com/
監督・脚本 シュエ・シャオルー(薛暁路)
撮影 クリストファー・ドイル
音楽 久石譲
出演 ジェット・リー(李 連杰) 文章 グイ・ルンメイ(桂綸鎂)

海に浮かぶボートに男二人、二人の足首を縄でつないでる、え、重石付けて、飛び込んだ!・・・えーっ・・・。

帰宅する男二人、親子であるらしい。直角に曲がったりする行動によって、息子はどうやら自閉症であるらしいとわかる。
よかった、そのまま天国へ、というわけでは無かったようだ。

父は肝臓癌で余命宣告されている。息子の母親は、息子がまだ子供のころに海の事故で死んだので、二人で生きてきた。父は水族館務めをしており、その水槽でイルカと泳いだりするのが好きな息子だ(なんで海で死のうとするかなあ、ねえ)。

死にそこなって、父は息子の受け入れ先を探しまわる。その一方で、卵のゆで方、バスの乗り方、服の脱ぎ方、ひとつひとつを息子に教えようとする。
父に好意を抱く隣人女性がいる。水族館にやってきた小さな移動サーカス団でピエロをしている女性と、息子は仲良くなる。

脚本を読んで感動したジェット・リーがノーギャラで出演したという。全くアクション無しの演技は、これが初めてだろう。

陳凱歌の、これも親子の愛情を描いた映画『北京バイオリン』の脚本を書いた女性シュエ・シャオルーは、学生時代に出会った自閉症児施設のボランティア経験をもとに脚本を書き、監督したのだそうだ。

障碍のある子供を持つ人は、どこの国でも同じようなことを思うだろう。でき得れば子より長く生きて面倒を見たい、でも自らが残り少ない命と知った時・・・。私には子は無いが、日々世話をする必要のある認知症と呼ばれる母がいる。なにがしか身にしみる。施設が見つかり、初めてそこで寝るとなったとき、手がつけられなくなる21歳の息子。認知症の大人でも、慣れないところではなかなか眠れないらしく、時にショートステイから不眠で戻ってくる母を思った。

地味だがいい作品だと思う。中華圏では有名なスタッフ、最後に流れる歌がジェイ・チョウ。が、日本では(鹿児島では)観客4~5人でしたよ、ガーデンズシネマ。

MOVIE
comment(2) 2011.08.24 16:06

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