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花の生涯ー梅蘭芳

ファイル 157-1.jpg監督 陳凱歌
出演 黎明 余少群 孫紅雷 チャン・ツィイー 安藤政信

DVD鑑賞。2008年中国映画。
若き日の梅蘭芳役、余少群の美しいこと!今、NHK日中合作ドラマ『蒼穹の昴』で姿を見ることができますが、映画館で見たら如何に、と思わせ。そして、陳凱歌作品であるだけに、あの名作『さらばわが愛 覇王別妃』の張國榮を、否応なしに思い出させるたおやかな女形。もともと伝統劇の役者であったけれど、女形ははじめてだったとのこと。

まあ、それだけでもいいかあ・・・と、思わなくもない。

黎明レオン・ライと言えば、香港俳優の中でも大柄な、肩幅の広い男であり、それが何故、名女形梅蘭芳を?というのは知る人皆が思っていたこと。後年の梅蘭芳はふくよかな人だったらしいが、いやあんな肩幅なはずはない。

後半は、日本が攻め込んでくる戦争の時代、その歴史劇。安藤政信が、日本軍の軍人役で出ているが、本人が話していると思われる中国語が、なかなかうまい。

邱如白役の孫紅雷、師匠の十三燕 役の王学圻、脇にいい(そして私の好きな)役者が。

結果的に地味な作品になっているが、悪くない、のだよ、ただ、黎明ではなかったんじゃないの?といってほかにだれだったら?という適当な役者は心当たりが無いけれど。恋に落ちる男役の女役者(ややこしい)も、ツィイーちゃんじゃあないでしょう。故・アニタ・ムイ姐御のような若い女優はいないよねえ、そりゃあ。ちょっと譲って若きコン・リーのような女優も、そりゃいないし。ま、それにしてもツィイーじゃなかったんじゃない?立ち役に。ねえ。

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comment(0) 2010.10.28 14:45

ベストキッド

ファイル 151-1.jpghttp://www.bestkid.jp/
監督 ハラルド・ズワルト
出演 ジェイデン・スミス ジャッキー・チェン

ウィル・スミスの息子ジェイデンの身体能力の高さ!
言わずと知れたあの『ベスト・キッド』のリメイクですが、どうも変な日本人ミヤギ師匠になじめなかった前作よりも面白いと、私は思うぞ。師匠があのジャッキーだから本物のカンフー・アクションを見せてくれるし。
ジェイデンは3歳のころから空手を学んでいたそうです。何かそれを生かせる企画は無いか?というところから、この映画が生まれたらしい。

そりゃあちょっと無理があると思うぞ、というシーンはたくさんあります。母親の転勤で北京へ、という設定ですが、今の北京では黒人の少年は珍しくない?もう少し珍しがられそうな気がする・・・。まあそれでいじめられたって話かもしれない。ハンさん、子供相手にそんなに本気出したら骨の一つや二つ折れるでしょうよ、子供の体と体をぶつけてるだけったってさあ。カンフーだって流派あるでしょう、そんな理念の違う流派ぶつけた試合ってある?とか。
まあそれはそれ、難しいことは言わずに楽しみましょう。山の上での太極拳系の修行シーン面白いです。その神聖な水に顔突っ込むのはやめてくれよと思うけど。

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comment(0) 2010.09.02 00:09

キャタピラー

ファイル 150-1.jpg監督 若松孝二
出演 寺島しのぶ 大西信満

http://www.wakamatsukoji.org/
キャタピラーってもともと芋虫の意味だったと、知らなかった無知なわたくしでした。

2010年ベルリン国際映画祭で寺島しのぶ最優秀女優賞(銀熊賞)受賞、ということで話題になった。

江戸川乱歩の同名の小説と、『ジョニーは戦場へ行った』を参考に作られたそうだ。戦争で両手両足を失い、顔の半分焼けただれた夫が、勲章とともに帰って来る。その武勇をたたえる新聞記事も飾られる。軍神さまと村人に呼ばれる。
男は、食べて、寝て(交合して)、食べて、寝る。戦争に行く前から、乱暴な男であったことが分かってくる。

竹槍訓練をする婦人たち。

男と女の立場が逆転して、妻が夫を強姦するような状況をきっかけに、男はかつての戦地で村の女を暴力で犯したことを思い出す。何度もフラッシュバック、PTSD。精神を病んでいく。

見るべき映画だと思う。が、途中から私はひどく冷静な観客になった。なぜこの男優に賞がこなかったのだろう?とか(もちろん寺島しのぶサンは熱演だし、とても好きな女優さんだが)、寺島しのぶサンの裸は、無知な農婦のものというよりやはり育ちのいい身体に見える、と思ったり、竹槍訓練の役者さんたちはこれは無駄だと思っている芝居をしていたのだろうか、と思ったり。熱心なようでそうでないように見える訓練。

とても正しい映画、たとえば『キューポラのある街』のような正しさ。

昨日、TVでかつての大映作品『氷点』をやっていた。少ししか見ていないのだが、その若尾文子の表情の恐かったこと。脇に出ていた無表情な森光子もなかなか恐かった。恐さの質を比較したか。

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comment(2) 2010.09.01 10:41

ぐるりのこと

ファイル 128-1.jpg

http://bitters.co.jp/gururi/intro/
監督 橋口亮輔
出演 木村多江 リリー・フランキー

 見初めは、感じワル!であった。靴修理の仕事をしながら話の流れで軽く女を誘う夫も、セックスする日を決めていてなにがなんでもそのとおりにする妻も、感じ悪い。彼らの周りの人間たちも爽やかならざる者どもばかり。

 1993年のカレンダーから始まる。妻は雑誌編集者であり、夫は法廷画家の職を得る。相変わらずへらへらと生きている様子の夫、しっかり者であり優位に立っている妻。妊娠、そして、どのような状況でかは全く描かれていないが、生まれて間もない娘を失っている。
 
 そのことによって次第に精神の均衡を失っていく妻。この辺りから映画の雰囲気が変化していく。

 法廷シーンでは、実際の事件に沿った形でその時代を観客に思い起こさせる。たとえばサリン。法廷の中だからこそ目をそむけたいような姿が様々出てくる。

 いい加減な生き方に見えた夫が、ある意味で大人の芯を持っていて、妻を守り続け、何があっても別れない。これは、再生へ、希望へと向かう映画だった。

 橋口亮輔監督は、『二十歳の微熱』『渚のシンドバッド』『ハッシュ!』と必ず同性愛の作品を撮っていたので、これもどこかにゲイピープルが出てくるかと思ったら、ストレートの人間たちの普通の物語だった。

 リリー・フランキーの自然さには驚く。この映画の木村多江を見ながら、ハッシュ!の片岡礼子と重なっていたのだが、法廷シーンに出てきた。ほかにもハッシュ!の出演者たちやいろいろ脇で出ている。
  
 

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comment(0) 2009.10.24 09:43

カムイ外伝

ファイル 125-1.jpg監督 崔洋一
出演 松山ケンイチ 小雪 伊藤英明 小林薫 イーキン・チェン 大後寿々花

 出だしの抜け忍カムイとそれを追う忍びたちの追いつ追われつの戦いシーンは、スタッフに程小東の名前があっても不思議はないぞ、という感じだった。ひどいシーンの連続なのだがわくわくした。なんだか妙な発声をする役者がいるなあと思っていてふと気付くと香港の鄭伊健(イーキン・チェン)じゃないの、こんなのっけから出てくるなんて、いかにも声優の吹き替え音声で!

 それが、どうも、物語に入るとちょっと冗漫。

 若いころ、周りには当たり前に忍者武芸帳やカムイ伝があったけれど、私は白土三平の熱心な読者ではなかった。原作がどのようにアレンジされているのか知らない。が、他人に対する猜疑心と信頼とのせめぎあいの描かれ方が薄くないかい?
 女優たちがいい。大後寿々花、初めのほうにちょっと出てくる芦名星、怪演土屋アンナ、もちろん小雪さんはアクション頑張ってます。

 伊藤英明は、肝心なところで台詞がうまくない・・・ので今ひとつ迫力に欠ける、と私は思うぞ。(関係ない役者を引っ張り出して恐縮ですが、小栗旬クンはそういう時うまいぜい!)

 最後、ナレーションで説明するってのはどうなんだろう。わざとだか、なかなかチープなマンガチックな特殊効果の波に揺れる小舟。そこ、説明する?

 字幕に“パンタ”と出てびっくり、あ、あの絵師のじいさん!そうだったか。パンダじゃないよ、古の“頭脳警察”のパンタ。知ってる人しか知らないでしょうが、ふ・ざ・けるんじゃないよやられるまえにやるのさ のパンタ。

 松山ケンイチくんのさほど筋肉質でない体のほうが、アクションには向いているだろうと思う。しなやかに動けそう。下手に筋肉隆々ではアクションには邪魔になるだろう。

 なにゆえ崔洋一と宮藤官九郎の共同脚本なんだろう。もっと崔洋一臭くてもよかったんじゃないかなあ。ちょっと不評だから続編は作られないかもしれないけど、私としてはイーキンとパンタも出演の続編を見たい。

追記 もう一人気になったのが、踊る男。もしやNHK教育“あさだからだ”に出てる人?と思ったらやっぱり森山開次だった。

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comment(0) 2009.09.23 22:13

グッド・バッド・ウィアード  (韓国)

ファイル 124-1.jpg監督 キム・ジウン
出演 イ・ビョンホン チョン・ウソン ソン・ガンホ

 映画祭などでは『いい奴悪い奴変な奴』として紹介されていた。なぜ英語タイトルにしたのかな?・・・で、どれが“いい奴”かな?チョン・ウソンだろうとは思うが、そういい奴なわけでもないよな。

 見初めに思い出したのは三池崇史監督の『スキヤキウエスタン・ジャンゴ』です。つまりそうとう変な映画。明らかにマカロニウエスタンの影響を受けたコリアン・ウエスタン映画。それから中国古装映画でよく見る(男装のチャン・ツィイーが飲み屋で悪漢相手にワイヤ-アクションとか)なあ、とかインディ・ジョーンズとか、まあ黒沢映画とか、なんだかいろいろ思い出されます。きっといろいろパロディ場面があるのでしょう。そもそも『族・夕陽のガンマン』の英題はThe Good, The Bad And The Uglyというそうで。
 
 1930年代の満州にはじまる、宝の地図をめぐって、ギャングや賞金稼ぎや泥棒や馬賊や、日本軍まで(日本軍の軍人約の白竜は現実にはコリアンなので観客としてはややこしい)入り乱れた追いかけっこ・・・。
 いやいや、細かいこと追求しちゃいけません、いけませんてば。笑って見られる人にだけお勧めの、妙な映画です。カメラワークとかスタント使ってないとかいう演技の勢いを楽しみましょう。イ・ビョンホンやチョン・ウソンをお目当てのおばさま方、残念でしたね、いや、チョン・ウソンはなかなかカッコイイし、イ・ビョンホンのそこまで作り上げるかという肉体も見られますが、う、は、は、このところ怪優のおもむきのビョンさまです。
 で、その宝物とは?と白竜が尋ねる場面もありますが、最後近くになって、ん?そういうことか?とわかってきますが、やれやれ・・・。どちらかというとソン・ガンホが主役かも。

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comment(0) 2009.09.19 09:35

ハゲタカ

ファイル 120-1.jpghttp://www.hagetaka-movie.jp/index.html
監督 大友啓史
出演 大森南朋 玉山鉄二 栗山千明 高良健吾 松田隆平

 もともと企業買収をテーマにしたNHKドラマ「ハゲタカ」のその後ですが、映画化の経過のなかでもどんどん変わる世界の経済状況に合わせてシナリオが変わったということだった、けれども、現実の世界の動きはもっと先に進んでしまったので、少しばかり時代遅れ感のある仕上がり…なのは仕方ないですね。

 玉山鉄二演じる中国系ファンド“赤いハゲタカ”と、元祖“ハゲタカ”鷲津(大森南朋)が、日本の自動車メーカー買収を巡って攻防を繰り広げ・・・。

 大森南朋は好きな俳優の一人です。何と言っても『ヴァイブレータ』のトラック運転手の彼の魅力的だったことと言ったら!かつては舞踏の大駱駝館の麿赤児の息子らしくアウトサイダーな役柄が多かったのですが、TVのハゲタカの時に、おお、こんなビジネスマン役を、と思ったのでした。時にまあ麿赤児によく似てる!瞬間がありますね。
 玉山鉄二は、この映画でなかなかいいですね。ま、中国残留孤児の発音ではありませんが。
 ですが、私がいやいや今回カッコいい、と思ったのは、松田隆平の表情でしたね。ドラマ見てない人には、何ゆえ旅館の旦那がこんなところに出てくるんだ?でしょうけど。映画の場合、いなくてもいいような役だったような。
 ドラマでは銀行員だった柴田恭兵、全然銀行員には見えなーい!と思ったものですが、ワタクシ昔、ミュージカル劇団東京キッドブラザーズの汗と涙の芝居を見てるんですよねー、あー大駱駝館ジュニアに優作ジュニアに青春の汗と涙のその後・・・(と、ドラマの時点でしみじみ)。
 
 映画「ハゲタカ」はシリーズ化されるんでしょうか?あるいはまたドラマに戻って続編が作られるのでしょうか?

 ああ、中国人役で日本語もペラペラだった人、どこのどなたさんだったんでしょう?吹き替え?気になってます。

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comment(2) 2009.06.28 21:50

I come with the rain

ファイル 119-1.jpg監督 トラン・アン・ユン
出演 ジョシュ・ハートネット 木村拓哉 イ・ビョンホン トラン・ヌー・イェン・ケー ショーン・ユー サム・リー

 あの『青いパパイヤの香り』の監督が、豪華アジア系俳優をそろえて撮る映画とは?・・・これが本当に、お勧めしにくい作品のlなかでも実にお勧めしにくい箏抜群、です。

 まず、ジョシュ・ハートネット演じるクライン、作品のために猟奇殺人を続けるハスフォードの、異様なシーンが続く。
 時系列が重なって描かれるので、何が現在で何が過去か?とりあえずそこは流しながら見ていかなければならない。
 大富豪が行方不明になった息子を探している。クラインは刑事だったが今は探偵である。大富豪は姿を現さない。汚染を恐れている、という。息子はフィリピンにいるらしい。ミンダナオ島→香港と、生死のわからない息子シタオ(木村拓哉)を追っていく。イ・ビョンホンはここでは香港マフィアのス・ドンポとなっている。いやいやこのイ・ビョンホンの衣装がすごい。いったいどこを探すとこんな色のシャツが存在するのだ?トラン・アン・ユン映画のいつものヒロイン、トラン・ヌー・イェン・ケーはこのス・ドンポの愛人リリ。
 
 クラインの刑事時代の仲間役は、元々、呉彦祖(ダニエル・ウー)の予定だったが、撮影前にアメリカで遊んでいて足を怪我したためにショーン・ユーに代わったのだった。この作品の場合、ダニエルにやってほしかった。暴力刑事のにおいが、ショーンからは漂わない(ダニエルの前にトニー・レオンや張震にオファーしたという説も)。ちらちら出てくるサム・リーはいかにも。

 シタオは人の傷を治す力を持っている。SFには時々見かける設定である。その傷を自らの体に移すという設定も、珍しくはない。…その能力ゆえに、ある種、神とされることも、珍しくはないが。
 この映画全体が、キリストを体現しているシタオを中心に、聖書の中の人々に模してえがかれている、ようです。リリは明らかにマグダラのマリア。シタオの父が姿をあらわさことも、ああ、そういうことか、と後でわかる仕組み。私はクリスチャンではないので、いま一つよくわからない。けれど、じゃあクリスチャンのガラ夫人この映画を見てみませんか?とはとても言えない。

 猟奇殺人者=芸術家の、死んだ肉体を使った作品が、かなりアートなのですよ。完成度が高いので、見たくもないのについ見入ってしまう。

 “傷”“痛み”をテーマとして描かれている、そして、「怖い」というセリフが印象に残る映画です、もう一度見たら何かがわかるかも、と思いますが、あまりのグロテスクさに二の足を踏むなあ、という作品。ヒットはしないでしょう、いくら木村クンでイ・ビョンホンでも。

 見ている間、なにかに似ているんだけど、と思っていたのですが、吉田秋生の漫画たち、バナナフィッシュ、夜叉、イヴの眠り、などにあるものと、どこか似ている気がします。

 作品として成功しているか?きちんと昇華されているか?うーん・・・もう一度見てみたいものであります。DVD向きではありません。

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comment(0) 2009.06.18 13:03

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