MOVIE+BOOK              

Log

新宿インシデント

ファイル 117-1.jpghttp://www.s-incident.com/
監督 イー・トンシン(爾冬陞)
出演 ジャッキー・チェン(成龍) 竹中直人 ダニエル・ウー(呉彦祖) シュー・ジンレイ(徐静蕾) 加藤雅也 ファン・ピンピン(范冰冰)

 ウォーロードのジェット・リーに続く、アクションスター成龍のシリアス映画。・・・なので、レイトショーの館内に人影が無いのさ。
 監督が構想10年脚本3年かけた作品だということです。90年代、蛇頭という言葉をよく目にしたころ、密入国する中国人がたくさんいた時代。
 中国の貧しい地区、日本へ行った恋人徐静蕾の消息を追って日本へ集団密航する成龍。
 
 大久保にたどりついて、先に密入国していた呉彦祖と会う。

 90年代に三池崇史監督が撮っていた作品だとか、映画化された“不夜城”だとか、Vシネマなどでおなじみの(一部のひとには)大久保→歌舞伎町・中国マフィア日本やくざ入り混じった抗争に、突き進んでいく物語ですが。

 そこは爾冬陞監督、切なくどうしようもなく状況に絡めとられていく姿が描かれます。成龍の熱演はもちろんですが、あー彦祖!あの美しい男が、同監督の“ワンナイト・イン・モンコック”の血みどろよりも・・・。・・・。気の小さい男が、“香港国際警察”の時のドラ息子サイバーチンピラが“時計じかけのオレンジ”に衝突したような姿に変わっていき・・・うう!
 台湾の高捷、日本の故・峰岸徹、かつて香港映画“ホークB計画”に主演した澤田 謙也が拳也という名前で、そして香港の林雪とか、まあアジアの黒社会映画の面々が顔を出し、北京語・台湾呉・広東語・どこだか分らない中国方言が乱れ。

 徐静蕾は日本人っぽいと前から思っていましたが、着物姿を見せます。かつてチャン・ツィイー、周迅、趙薇と、若手四大若手女優と言われていましたが、徐静蕾の代わりにもう一人のジャッキーの恋人役范冰冰を入れて四大女優といわれることもあるようです。

 血みどろで地味ですがいい作品です。でも人は入らないだろうな。中国大陸では公開もされないんだって。

MOVIE
comment(0) 2009.05.14 12:07

ウォーロード男たちの誓い

ファイル 116-1.jpghttp://www.warlords.jp/
監督 ピーター・チャン(陳可辛)
出演 ジェット・リー(李 連杰) アンディ・ラウ(劉徳華) 金城武 シュー・ジンレイ(徐静蕾)

 よくぞこの映画を日本で上映してくれた、と思う。中華圏の大スター3人の共演であり、中国では大ヒットした映画であっても、カンフーが無く血みどろで救いのない映画に、普通の日本人が飛びつくわけもない。

 清朝末期、キリスト教を信奉する者たちが中心になって太平天国の乱をおこす。清朝側の将軍であるパン(ジェット・リー)が、すべての兵を失いさまよい倒れ、そのときに出会った女と一夜を過ごす。その時の一杯の粥と女によって生きる力を取り戻したのだ。

 街で出会った盗賊ウーヤン(金城武)はパンを気に入り、根城に連れて行く。盗賊のリーダーのアルフ(アンディ・ラウ)の妻(シュー・ジンレイ)が、その女だった・・・。

 アルフとウーヤンも清軍に入ることとなり、3人は兄弟の契りを結ぶ。

 誰かが極悪人であるわけではない。私利私欲のために戦っているわけではない。二人の男に身を許す妻にもそれなりの理由がある(この映画はかつて“刺馬ブラッドブラザーズ”として映画化されている。その中では夫は学のない男で、突然現れた男は美しく知的であるというわかりやすい描き方をされていた。本作品の場合、わかりにくいですね、麗しのアンディというだけでなく仲間を思う好漢だもの)。

 この血なまぐさい映画の救いは、アジアのスターである3人の、輝かしい笑顔です。それぞれのスターさんの表情をアップで見せてくれます。ジェット・リーの演技は決してカンフースターのものではなくすごいです。が、裏切ったら兄弟であっても殺す、という兄弟の誓い(投名状)の文言に忠実に実行するウーヤンの愚直な素直さを、金城武が演じていること(彼のナレーションとともに)が、必要だったと思われます。…もちろん3人が3人適役です、が、武にはピーター・チャンの座付き役者、という気配が、感じられるのです。この監督のファンである私には、ジョン・ウーじゃないな、ピーター・チャンで、ハリウッドデビューを果たしてくれないかな、などと夢想されるのです。

 シュー・ジンレイは(この映画には)要らないという人もいますが、いい女優です。

追記 二度目を見て、最後のアルフィーの歌は誠に邪魔です。そもそも中華版よりも14分短く、必要と思われるシーンが切られたらしいのですが。アンディ・ラウの歌バージョンで何がいけなかったんでしょう。

MOVIE
comment(2) 2009.05.11 19:27

見知らぬ女からの手紙

ファイル 114-1.jpg2004年 中国映画
監督 徐静蕾
出演 徐静蕾 姜文
 
 これはある種、男の夢、かもしれない、あるいは女の夢の極みかもしれない、けれど。

 1948年の北京、ある男のもとに見知らぬ女からの手紙が届く。いまその生を終えようとしている女からの愛の告白の手紙。
 1930年、少女の隣の家に男が引っ越してくる。洗練された姿に恋に落ちる少女。その後少女は田舎に転居するが、のちに北京女子師範に入学する。そして抗日デモに参加する学生たちの中に彼女の姿、それを取材するために現場に居合わせた男、鎮圧の騒ぎの中、彼女を目にとめていた男は彼女かっさらうように一緒に逃げて、家に連れて行き、一夜を共にする。その後しばらくは共に過ごすけれど、遊び人の男にとって彼女は行きずりの女にすぎない。“帰ったら連絡する”と言い残して出かけた男からの連絡は無かった。
 女は妊娠に気づき、彼に告げることなく遠方で一人出産する。
 1945年、女は高級娼婦になっている。男との間にできた息子に、男と同じような生活をさせるために。ある時束の間で会う男と女、男は彼女を覚えていない。彼女は男の誕生日に白い薔薇を送り続けている。

 その後、パーティーで出会う二人。彼女には特定の相手がいるのだが、男の誘いかけを断らない、断れない。彼はデジャビュのようなものを感じたようであっても何一つ彼女を覚えていない。朝、男の家を去る彼女と、男の家に昔からいる執事?雇われている男が、彼女に気づき驚愕の表情を見せる。

 手紙の内容は、女がただその男のために生きたこと、日々その男に似てきていた息子が病で亡くなったこと、この手紙が男のもとに届く時に自分も死んでいることを告げていた。

 私がこの欄でストーリーを紹介したのは、たぶん初めてのはずです。今から見ようとする人にこんなことをしてはいけない、のですが。

 原作はシュテファン・ツヴァイクの短編だそうです。徐静蕾は学生時代からこの作品を映画化したいと言っていたらしい。近く上映のジャッキー・チェン初のリアリズム映画(であるらしい)“新宿インシデント”の中で和服姿を見せるようですが、徐静蕾は日本人っぽい雰囲気だと前から思っています。

 救いは、無いのだけれど、ではそれを不幸と呼ぶか?とにかく、すごいお話でした。

 ところで姜文は他人の監督作品に口を出してほとんと自分の作品のようにしてしまうことでつとに有名です(いや、中国映画で共演した中井貴一と香川照之がそう言っています)。どのくらい口出しされたんでしょうか?徐静蕾はその時どうしたのか?ちょっと気になりました。

 

MOVIE
comment(0) 2009.04.19 19:44

ソルジャーボーイズ

ファイル 113-1.jpg台湾 1994年作品
監督 ジン・アオシュン
出演 林志頴(ジミー・リン) トゥオ・ゾンファ 任賢斉(リッチー・レン) 金城武 

 さて、人に歴史あり、です。1994年、アイドル歌手時代の金城武が出ているので、日本版のDVDでは金城クンが表紙になっていますが、主役は当時少年隊の台湾版である小虎隊の売れっ子アイドルだったジミー・リン、トキオの山口くんの若い頃によく似た顔、今でも童顔のままの人。レーサーでもある。ちなみに当時の金城クンは、小虎隊の三人と合わせて台湾四小天王と呼ばれていました。
 で、そのジミリンくんがしょうもないお坊ちゃん兵隊さんなのです。台湾は韓国と同じく兵役があるのでね。仲間の、女にもてる役でポケベル(!)もってるのが、96年ごろ中華圏で大ヒット曲を出して以来今では大スターさんであるリッチー・レン。ジミリンの持ってるバカでかい携帯電話も時代ですなあ。現代は『報告班長3』、班長に返事をする時、報告班長、何々~と返事するんですね。その班長役トゥオ・ゾンファ、今ではすっかり中年だけど・・・。
 そして、金城武クンが最初に現れるシーンではサングラスしてるんですが、目が隠れていても端正な顔!誰?と思わせて注目させるためのサングラスか?まだ腫れぼったい瞼の時代です。『神様少しだけ』のころは片眼が二重(たまに両方二重)、今ではくっきり二重なので、整形を言い立てる人もいますが、ある時期急に痩せてから(ラヴァーズあたり)そうなってますね。まあどこに整形の必要があるんだかという美しさ。刈り上げ頭。『恋する惑星』と同じ年ですね、94年というと。無口でやる時はやるお買い得な役ですが、声は吹き替え。台湾語と日本語で育った金城クン、このころ歌は北京語でたくさん出しているけれど、セリフとしては下手くそだったんでしょう。

 ストーリーは、兵役生活の中で困ったちゃんだらけの部隊員が成長していくというシンプルなものですが、金城アイドル時代のものでは朱延平監督のおバカコメディに比べてちゃんとしたストーリーになっていますな。お暇があって歴史を覗いてみたい方、ご覧ください。

MOVIE
comment(1) 2009.04.14 00:12

rレッドクリフpartⅡ

ファイル 112-1.jpg監督 呉宇森
出演 梁朝偉(トニー・レオン) 金城武 張豊毅(チャン・フォンイー) 張震(チャン・チェン)
    趙薇(ヴィッキー・チャオ) 胡軍(フー・ジュン) 中村獅童 林志玲(リン・チーリン)

 観客に白髪交じりの男性が目につく。三国志好きのおじさんたちには、そこはそうじゃないだろう!というご意見もあったことだろう。が、何と言ってもこれはジョン・ウーの三国志なんです。
 
 私はやっぱりジョン・ウー作品が好きなんですね、すごいお金もかかった大作であるにもかかわらず何がしかチープな感じであるとか、うっそー!無理だろー!なところとか、そういうことがあるからジョン・ウーなんです。そこが大好きなんです、ごめんね(誰に謝ってる?)。まことに毎度失礼いたしましたが、あっ、とか ははは とか おー とかつい言語を発しながら見てしまった私です。周りの観客さまごめんなさい。

 林志玲は、この映画の中でそんなに美人でしょうか?大柄な割に楚々とした感じではあるけれど周瑜に愛され曹操に欲されるほど?。趙薇は、男勝りの役柄でそのように作っているからだろうが、まるで美人ではないように見える。

 孔明のアイディアで敵方の矢を手に入れるシーン、前後を本物の矢が飛び交う中、平気な顔をしなくてはならない金城武は、怖がる役がうらやましかったそうです。

 中村獅童演じる甘興の体に何本も矢が刺さってそれでも立ち向かうシーン、『男たちの挽歌Ⅱ』の最後のあたりを思い起こさせて笑いましたぜ。

 さっきさるサイトの三国志占いコーナーに立ち寄った所、私は孫権タイプだということになりました。実際張震みたいなルックスしてるんだったらいいんだけどね。

 うきうきと娯楽大作を楽しんだ私みたいな観客だけではないだろうことはよくわかります、女性二人の行動だって・・・でしょう。愛と友情の物語かあ、三国志は、なんてこともあるでしょう。だから、すみませんね、私はもう一度見に行けたらと思っています。

 

MOVIE
comment(3) 2009.04.11 23:31

ワンナイト・イン・モンコック

ファイル 110-1.jpg監督 爾冬陞(イー・トンシン)
出演 呉彦祖(ダニエル・ウー)張栢芝(セシリア・チャン)方中信(アレックス・フォン)

 先日地上波TVで「香港国際警察 新ポリスストーリー」をやっていて、それのお坊ちゃんチンピラ団のリーダー役呉彦祖の最後、余韻を残すシーンを見ていて、なかなか評判良かったこの作品を探そうと思ったのですよ。
 あれ、爾冬陞監督だったか・・・私にはアニタ・ユンの『尽きせぬ想い』とかセシリアの『忘れえぬ想い』とか、涙誘うラブストーリー系の印象。

 大陸の田舎から呼ばれた殺し屋、同じく大陸から出稼ぎにきた娼婦。
 かつて、『ラヴソング』という、大陸から香港に出稼ぎにきた男女が出会う名作があった。それだってやくざも絡んだ、けれど、それとは大違いの、あーーー血だらけの彦祖。たった一晩に起こった出来事。
 端正なアメリカ育ちの彦祖と、母親は英国とのハーフだというセシリアに田舎育ちの汚れ役をさせるか・・・。周りが広東語をしゃべっている中で北京語で会話をしているのだが、私の耳には上手に聞こえるその北京語は、ネイティヴには変な北京語であるらしい。

 方中信演じる屈折した刑事は、レスリー・チャン主演の『ダブルタップ』でレスリーを射殺したという過去を持つ、のだそうだ。ダブルタップを見ていないのが残念・・・。

 すぐれた作品だけど、あーーー血だらけの彦祖。心に余裕があるときにご覧ください。2004年作品。

MOVIE
comment(0) 2009.01.31 09:58

K20 怪人二十面相・伝

ファイル 107-1.jpg

http://www.k-20.jp/
監督 佐藤嗣痲子
出演 金城武 松たか子 中村トオル

 江戸川乱歩の明智小五郎と怪人二十面相の、映画化ではなくて、それを基にした北村想の小説を原案としたもの。

 第二次世界大戦を回避した日本の1940年代後半、貧富の差が激しい格差社会になっている、という設定。

 見始めこそちょっとこれはヒットするかな?どんなもんだあ?と思ったのだけど、その後は楽しくよく笑わせてもらいました。製作スタッフは『三丁目の夕日』の人たち(金城映画だと『リターナー』『SweetRain死神の精度』もそう)で、時代は違うけど東京タワーが出てくる。

 「細めのロープない?」のところとか、ふふ、好きです。金城武と中村トオルって、決してうまい役者じゃないけど、うまくはまった時の光り方がすごい、という括りでは似たタイプだと思う。いま一つ滑舌に問題があるというところもね。そこへ国村隼といういい役者を合わせて、コメディーとしての間がいい感じ。中村トオルの明智が金城の明智を演じるところ(見ればわかるって)ぐふふ。
 金城ファンにとっては、サーカスが『ウインター・ソング』を、白鳩が『レッドクリフ』を思い出させ、偶然?ちと意識したのかな?監督。

 松たか子さんもとてもよくて(もう5歳~10歳ぐらい若い時だともっとよかったんだけどね)、よく笑わせてもらったいかにもお正月映画なエンターテインメントでした。しかし、最初にちょっとしか出てこない要潤(昔金城似と言われた)、偽(?)二十面相の加賀丈史、キャスティングが妙に贅沢で、少年探偵団小林少年の使い方にしろそもそもシリーズ化するつもりで作られた?そこまでヒットするといいけどね。私が見た回の入りはどうもそうはいかなさそうだった。
 江戸川乱歩ファンにとっては、こらあ、と思う造型かもしれない。明智探偵。

 

MOVIE
comment(2) 2008.12.24 21:15

レッドクリフ partⅠ

ファイル 104-1.jpghttp://redcliff.jp/index.html
監督 呉宇森
出演 梁朝偉 金城武 張豊毅 張震 胡軍 中村獅童

 三国志“赤壁の戦い”の企画をジョン・ウー監督は20年温めていたという。この映画、最初のキャスティングでは周潤撥が出るはずだった。曹操役には渡辺謙の名前も挙がっていた。

 とにかくすごいスケールの作品である。
 2時間強が短かった。どーーしてそこで終わる!to be continuedって!
 梁朝偉と金城武を組み合わせるとなにか雰囲気を醸し出す、と思う。そういう、箏の演奏で語り合い、理解しあう関係に描かれているせいか。個人的にこの二人がアジアの俳優では最も好きな俳優であるが、張震、胡軍も大好きな俳優なので、それだけでもまことに幸せ。劉備の子を助ける趙雲役の胡軍、序盤カッコいい。中村獅童はすっかり溶け込んでいる。
 
 さて、時代劇だといつものことであるが、金城武のセリフの中の本人の声を探そうと、耳が苦労するのである。吹き替えだ。一部本人の声を生かして吹き替えてある。台湾訛りに加えていま一つ明確でない滑舌がね、時代劇だと問題になるのね・・・。

 笑えるシーンがあちこちにある。ジョン・ウー監督の作品を見慣れている人にはおなじみ。「ハードボイルド 新・男たちの挽歌」にそういえばチョウ・ユンファが子供を抱えているシーンがあったような。あれって三国志のパクリだったのね。

 ともあれ、肝心の赤壁の戦いはpartⅡ公開の4月まで待たなくてはならない。香港だか大陸だかでの公開はいつかな?そっちのDVD出たら買っちゃうぞ!

MOVIE
comment(0) 2008.11.02 20:51

move