嘆きのピエタ
監督 キム・ギドク
出演 イ・ジョンジン チョ・ミンス
嘆かないピエタってあるか(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%82%BF参照)?なんぞと心でつぶやきつつ、キム・ギドクだから覚悟して見る姿勢である。
のっけから車椅子の男が首を吊るシーン。
主人公ガンドは高利貸の取り立て屋。保険をかけた債務者の手足に大きな障害を負わせ、保険金で10倍の利子で膨らんだ借金を返済させるという手段。
ある日、母と名乗る女が現れる。邪険に振り払っても振り払っても、また現れる。
この女、風吹ジュンそっくりなんだけど。顔だけでなくすごくいい女優だという点でも。
この作品を、今から見る人がいるかもしれない、だからその後のストーリーは書きませんよ。
『魚と寝る女』『悪い男』『春夏秋冬そして春』『うつせみ』とキム・ギドク作品を見ているけれど、映画館で観たのは初めてなのだった。始まって一時間くらいはもう出ていきたい気分になる。ひどい。そこをがまんする。せつない、悲しい、キム・ギドク監督らしい、映画。
パク・チャヌク監督の『イノセント・ガーデン』は、生まれ持った悪の怖さが描かれていた。キム・ギドクは、劣悪な環境に生まれ、劣悪な生を生き抜かなければならなかった人間を描くことが多い。ある出会い、それが自分の中の見たことが無かった自分との出会いを呼び、でもそれが良かったのか?というような。
暴力に耐えられるなら、見てほしい。2012年金獅子賞。