湖畔荘
著者 ケイト・モートン
創元推理文庫
1933年、青春期の少女アリスの視点が主に描かれる場面と、2003年、女性刑事セイディとその周辺が描かれる部分とが行ったり来たりしながら、70年前の乳児が行方不明になった事件を追う。ので、初めはなかなか話が見えない。
間に、セイディが係わった女の子置き去り事件の話が絡んでくる。その件で何かしら失敗をして、今は休暇中と言うセイディ。読み進むと、はい?セイディあなた若い時に?と言う引っ掛かりが…それでなの?と。
アリスの母エリナ、祖母コンスタンスも、初めはある種典型的な、と見えていやいやそうですか、と言う背景が見えてくる。そして、戦争によるPTSDを抱えた男たち。
エピソード、物語の重なり具合がまことにパズル。上巻の後半あたりから面白くなってくるのだが、初めの方で理解が追い付かなかった部分から、なにかと伏線が隠されている。最後に至って、おおお!
ケイト・モートンはオーストラリア生まれだそうだ。先に読んだ『忘れられた花園』と同じく、コーンウォールが主な舞台だから、イギリス生まれと思うではないか。まあ現在はロンドンで生活しているということだが。
いやミスは読みたくない人(私の事だが)にお薦めしたい。
エッセイのような、散文詩のような、私小説のような、物語。これの前に『少年が来る』…