ケイコ 目を澄ませて
監督 三宅唱
出演 岸井ゆきの 三浦誠己 松浦慎一郎 佐藤緋美
生まれつきの聴覚障害であり、現実にプロボクサーとなった女性、小笠原恵子さんの「負けないで」を原案として製作されたという。岸井ゆきのがボクシングジムに現れる最初の場面、着替えるシーンで、その背中が鏡に映ると、お、鍛えられてる。
スパーリングの様子を見ると、この反射神経、身体の記憶力、私にはひとかけらも無いその能力に驚く。岸井ゆきのは撮影の3か月前からボクシングの訓練をしたのだそうだが、3か月でここまで仕上がるのか。手話も学びながら。
セコンドの声も聞こえないというのはボクサーにとってかなりのハンディだ。
私が普段乗っているバス路線の近くに昔から聾学校がある。バスの中で、聾者同志、手話で会話しているところも見かける。コロナ禍となり、運転手もマスク姿、カードに残金が無い、ということを運転手が何度か言うが、伝わらない、という状況を目にした。その時は、もういい、とあきらめた様子の運転手だったが、この人がまたバスに乗るとき、残金が無いことに気づくといいけど、と老婆心だった。
手話のシーンで、字幕がつかない部分が結構ある。手話があって、その後字幕が出るシーンもあり、ああ、なんとなくわかる手話もあるなあ、と思う。
ジムの会長役の三浦友和、ああもう老境の役柄、中年以降のこの人の、ちょっとしたファンであるわたくし。いい役者だね。
聞こえる弟役、この人が佐藤緋美くんですか。チャラと浅野忠信の遺伝子。
じわりと良い作品。ガーデンズシネマでは、4月にも再上映するそうです。
「令和の昭和感」という表現に嵌りました。 なんかそういう感じ、日頃、感じること…