やがて警官は微睡る

著者 日明恩
双葉文庫

『それでも、警官は微笑う』『そして、警官は奔る』に続く警官シリーズ第三弾。待やがて警官は微睡るたせたな、と書店にあって、待ちましたよもう出ないかと思った、と、買ってしまう。渋い警官とチャーミングな新入り警官の話だったことしか記憶にないほどの時間が経ち。
そしてああ面白い!

横浜みなとみらいJR桜木町駅前にオープンしたばかりのホテルが舞台。誰かの近未来マンガにありそうな性格奇形の白人双子少年たちが、にっこり笑って人を殺め、犯罪を楽しむ。
のだけれど、ナチスが戦時中にユダヤ人やポーランド人から略奪した財産や美術品を取り戻し、正当な持ち主に返す、という目的が、バックにいる老人にはあるのだ。

たまたまホテルで見合いをしていて、不調に終わった警視庁刑事の武本が、そこにかかわってくる。
ホテル内部関係者」に犯罪者がいることが、読者には早々と明かされ。

新入りだった潮崎は、今や三十三歳の神奈川県警警視、茶道宗家のお坊ちゃんにしてミステリーマニア、よくしゃべるというキャラクターはそのままだけど。

多国籍犯罪グループによるアメリカンコミック映画化作品にありそうな設定、の中に、若いホテルマンの(短期間での)成長とか、旧態依然とした警察体質とITの発達とか普通の人の普通の話が織り込まれ。

この話で生き残った犯罪者が二人いるのだから、いずれまた続きがあるだろうし、不調に終わったはずのお見合い話にも続きがあるはずで。お見合い、からの、恋愛を早くさせてください、待たせずに。

 

 

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