この国のかたち
著者 司馬遼太郎
文春文庫
まだ第一巻を読んだだけだし、読み進めるつもりだから感想を書くには早い、と思うが、とりあえず。
かつて文藝春秋の巻頭随筆として書かれたもの。
日本は世界の他の国々とくらべて特殊な国であるとはおもわないが、多少、言葉を多くして説明の要る国だとおもっている。
昭和10年から20年にかけての日本の歴史、日露戦争に勝利した後の軍部によって「統帥権」というものに勝手な解釈がなされた結果、その10年が「鬼胎」の時代となったという。
単行本として出版されたのが1992年、今から思えば当時の日中関係など蜜月と言いたいぐらいだ。今や反韓本が書店に並ぶは、馬鹿なデモはあるは。日中・日韓の関係は、観光客はともかく、政府間では歩み寄りようのない様相に見える。
そして、その状況を産んだのが日本の歴史の中のたったのその10年の中にある、ということか。
中国に生まれ、朝鮮半島に厳格に伝わった朱子学が、日本にはあまり影響を与えなかった、そのために隣国の人々との精神のあり方が違う、それが隣の国の人から見て無礼に見えてしまうこともあるか。
我が身の日本歴史についての無知により、なかなか頭に収まらないことは多々あるとはいえ、大変に面白い読み物である。…などと言うもおこがましいことでありますが。
司馬遼太郎没後20年の企画でNHKが特番を組み、この本がまた読まれるきっかけになったものらしい。私の若いころには何かの雑誌を開くとそこに司馬遼太郎の名前を見たりその顔を見たりしていた、切れ切れに文章を目にすることは多かったが、ちゃんと読まずにきたその方はまことにすごいお方でありました。
そう思うのは、長く生きてるからか?なんか、斬新な映像もありつつ、テーマは普遍的な…