野火

野火監督 塚本晋也
出演 塚本晋也 リリー・フランキー 中村達也 森優作

原作大岡昇平、太平洋戦争末期、フィリピンのレイテ島。まさに末期症状を呈している、日本軍兵士たち。

作家大岡昇平自身の経験に基づくと思われる、胸を病んでいる兵士。役に立たないから病院に行けと言われ、芋数個を入院の食料として渡され、行くと、銃弾にやられた血まみれの男たちを優先していて、帰れと言われる。帰ると出て行け、病院に行けと言われ。
が、その粗末な病院の建物も、爆撃にあう。
病んだ男の隊も、襲撃された。

濃い緑の葉や、赤い花の色の中、極度の飢えと疲労にまみれながら歩き続ける兵士たち。

役者の顔がほとんど判別できない。

ガーデンズシネマでは3回目だと思う上映。一回目から、観ようと思うのだが体がなかなか動かない、と、いう状態だった、が、今回エイヤッと。

爆撃される。ある者は即死し、ある者は息が残る。爆撃した側が、次には生きている者をピックアップして病院に運ぶ。

この映画の中では銃撃される、爆撃されることによって突然の死を迎える姿が、主に描かれる。が、こんな環境の中では、凡そ小さな怪我から菌が入る、毒のある何かを口にしてしまう、小さな虫によって命を奪われる、ことが、かなりの数あったことだろう。それらがすべて戦死と呼ばれるのだろう。

かくも極限状態で、それでも生き続ける。猿の肉と呼ぶものを食べる。

かつて市川崑によって映画化されたモノクロ映画を、今年もTVでやっていた。実際に戦争を経験している世代の役者たちの、面構え。TVで見るにはつらい作品で、少し見ただけだったが。

映画館でしか観ないだろう作品を、とにかく観に行って良かったと思う。

 

 

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