私たちは生きているのか?
著者 森博嗣
講談社タイガ
森博嗣Wシリーズ第5作。
ウォーカロン という著者の造語であるヒューマノイドというか、機械のロボットでは無く、人間と区別するのが難しい人工の存在が出てくるシリーズ。
人間に人工細胞を取り込むなどで若く長生きできるようになった時代、その代わりに、ごく一部の天然のままの人間以外は生殖能力をほぼ失っている。
ウォーカロンが大勢集まっている村があるとの情報で、それを確かめ、そしてその国の新しい研究機関を訪ねる、という目的を持って、ハギリ博士、ウグイ、アネバネが、アフリカのどこかであるらしい場所へやってくる。
罠に嵌ってしまうのだが、そもそも行ったものが帰ってこないと言われる(赤い橋か!とかホテルカリフォルニアか!とか思ってしまうのは私がそういう年代だからです)ところに入っていく以上、もう少し用心するだろ、と、ツッコミたい。
バーチャル世界に入りこんでそこから出られなくなる話は、映画でも珍しくないが、その地下世界にあった生活とは。夢と現実、生きていることと生きていないことの違いは?
片言の英語を話す黒人青年が、自分は生きているものではないと言う。食事をするとトイレに行く、人間以外ではありえない男であり。
このシリーズのテーマを、わかりやすく示したようなストーリー。
ではあるが、うむ、怖いね。そっち側に行きかねない。どっち側か?と思う方はちょっと読んでみてください。
ウォーカロンという存在は、森博嗣の『百年シリーズ』に最初に出てくるということだけど、まだ読んでいない。この著者の作品は別のいろいろなシリーズと何かとリンクしているけれど、作品数が多すぎてそうそう手を出せません。読みたいのは山々でも。
「令和の昭和感」という表現に嵌りました。 なんかそういう感じ、日頃、感じること…