戦争は女の顔をしていない

著者 スヴェトラーナ・アレクシェービッチ
岩波現代文庫

2015年度のノーベル文学賞受賞、ベラルーシ出身の作家の第一作。
旧ソ連、第二次世界大戦中、ドイツ軍に攻め込まれた後、女性でも軍の仕事に就くことができた。本来は18歳以上なら。女性だからと言って、衛生指導員と言ったものだけでなく、狙撃兵や高射砲隊長など。

簡単に聞き出せる話では無い。
一人一人のエピソードが重すぎて、読み終えるまでに時間がかかった。

祖国を守るために戦線に出ることを熱望した若い女性たち。殺戮の中へ。女性の生理を持ちながら。

そして、戦争には勝つ。けれども、男達の中で戦争に参加した女たちへの差別。多くは語られていないけれど、性の提供も少なからずあったのだ。軍にいたことが知られると軽蔑の眼が向けられる。
障害者として残りの人生を送る人も。父親がパルチザンで、怪しまれないために小さな少女であった娘を使い、過酷な帰途に病気になり、回復しなかった。

捕虜になるということは、日本でだけが恥とするものかと思っていた。ソ連でも、捕虜になるとスパイの嫌疑をかけられ、死ななかったことを責められる。

今の日本の政治のトップにいる人達、ミゾユウ(未曾有)・デンデン(云々)・ビンセン(便宜)などちょっと本を読んでいる中学生なら読める漢字を読めない政治家さんたちは、まずこんな本を読んだことも無いだろう。みんな、少し本を読もうね、カッコいい戦争なんてこの世に存在しないことをわかるぐらいに。

コメント (2)

atcon2017年6月1日(木曜日) at 7:06 PM

今日は約1年振りに映画館に行きましたよ。急に何でもいいから映画を観たくなって。
上映中の中から「ちょっと今から仕事やめてくる」と「エゴン・シーレ」と「僕とカミンスキーの旅」のどれかにしようと迷いに迷って、ロードムービーってところで「僕とカミンスキーの旅」にしました。ロケーションが良かった。20世紀絵画の数々もノスタルジックな気分にさせてくれる。クスクス笑えて気分がちょっと軽くなる映画でした。
やっぱり劇場で映画を観るっていいですねえ。

あある2017年6月2日(金曜日) at 12:19 AM

「僕とカミンスキーの旅」気になっていますが。6月はガーデンズシネマに観たいものがいろいろ来るし、ビンボ人はつらい。
ロードムービーは映画館で観るべきですよね。
さて、今日も「ブラックリスト」を録画設定しました。

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