ふがいない僕は空を見た

ふがいないぼくは空を見た著者 窪美澄   新潮文庫

再投稿その3です。

帯のキャッチコピー “泣ける!けどR18!!”

タイトルでは僕だけど おれ と言っている斎藤卓巳は高校一年生で、主婦あんずとコスプレしてセックスしている。いじめられっ子だった過去を持つあんずには、昔のドラマの春彦サンみたいな夫がいる。

小さな体の割にはでかく見えるちんこが見えた。お前、厄介なものをくっつけて生まれてきたね。

人の体にやさしく触れるということに生まれつきの才能があるとするなら、斎藤くんはもしかしたら天才なのかもしれないと思いました。

「そんな趣味、おれが望んだわけじゃないのに、勝手にオプションつけるよな神様って」

「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかねー」

など、お、と思う(かどうかは人それぞれですが)フレーズがあり、馬鹿な恋愛をしたことが無い人には泣けないかもしれない。ばかな、というにはハードすぎたり、或いは犯罪であったり。

ぼく と言っているのは認知症のばあちゃんと二人暮らしの良太のほうだな、空を見たのはもしや良太なのか?高校一年生だったらたいがいの子はふがいないもんだろう。

前回この本の感想文を残した時には、確かストーリーをもっと紹介したような気がする。再投稿ともなるともうそれはいいや、と思っちゃいまして。フレーズが気になったら読んでみてね。映画にもなってるよ。

 

 

 

 

銃・病原菌・鉄

銃・病原菌・鉄著者 ジャレド・ダイアモンド  草思社文庫

再投稿その2

あー、数か月かかって読んだのにー、感想文書いたのに―、もう一回なんて書けませーん。

だからこれは、面白いんだよ、ただ私には根性とか記憶力とか基礎知識とか、さまざま不足していたので読み終わるまでに時間がかかりました。アフリカ大陸で人類が発生して、アフリカで文明が発展していないのはなぜ?と思う人は読んでみようよ、ということだけ申し上げますです。

ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの

http://www.herbanddorothy.com/jp/

監督 佐々木芽生

もろもろ都合により八月分の投稿が消えました。

再投稿その1です。

郵便局員の夫と図書館司書の妻、ふたりが地道に好きな現代アートを買い集め、大きくもない部屋からあふれんばかりとなり、すべて、お金に変える事無く美術館に寄付、という御伽噺のような実話。結局全米50州野美術館に50点ずつ!

佐々木監督がNHK勤務時代に、ある展覧会の展示作品が彼らのコレクションの一部だと知り、その収集方法を知って衝撃を受けたことがきっかけで、『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』という前作を作るきっかけとなり、そして本作へ。

壁中が作品で埋まり、ベッドの下にため込んで、ベッドがだんだん高くなる・・・って!中には今となってはすごい高い値段のものもあり、それを一つ二つ売るだけでも生活は潤う、にもかかわらず、できればすべて一か所に、それがだめなら全国各地の美術館に50点ずつ進呈、という生き方。次々に流れてくる作品の中にはクリストや村上隆があり。

先日、霧島アートの森で『高橋コレクションーマインドフルネス』を見た。こちらは、まあその中の一点だけでも大きい!サイズだけのことでも。あ、これ日曜美術館で見たことある、このシリーズ、というものが少なからずあった。で、アパートに入るサイズ、ハーブの給料で買える値段のもの、という制限の中で集めていたハーブ&ドロシーのヴォーゲル夫妻のことを、やはり思い出したのだった。IMG_NEW - コピー

 

 

 

 

 

 

 

 

イノセント・ガーデン

257-1

http://www.foxmovies.jp/innocent-garden/
監督 パク・チャヌク
出演 ミア・ワシコウスカ ニコール・キッドマン マシュー・グード

パク・チャヌク!
怖ーー!

『オールドボーイ』『親切なクムジャさん』など今までも怖くてすごく面白い映画を作ってきた韓国の監督が、ハリウッドで撮った作品、しかも、脚本はドラマ『プリズン・ブレイク』の主演俳優が別名で書いたものだったんだそうだ。

18歳の誕生日、毎年その誕生日に贈られてきていた同じ形の靴、それを探しているインディア。インディアはとても五感の鋭い娘だ。でもその箱には今年は鍵だけ。
その日、出掛けていた父が事故死する。父とは仲が良かった。美しい母とはあまり話をしない。
葬儀の日、長く海外暮らしだったという叔父がやってきて、しばらく滞在するという。

現実に起こっていることなのか、感覚の鋭い少女のイメージの世界なのか?こちらも迷路に迷い込んでしまう。
あまりのことにちょっと笑ってしまう私であった。

美しいエロい怖ーい、どなた様にお薦めできるものか、できないけれど、すごい映画です。
ミア・ワシコウスカってアリスをやった人ね、私は彼女の映画をどれも見ていないけれど、とてもいい女優さんだったのね。いやあ、怖!

丕緒の鳥

256-1

著者 小野不由美
新潮文庫

もう12年も経っていたのか。『十二国記』シリーズはまだ終わっていないはず、いつ次が出るかと、待って干支が廻ったとは。NHKのアニメですら2002年のことだという。

シリーズを読んでいない人には少しわかりにくいところがあるだろう。古代中国をモデルとしたような、ある、時代、空間、天上に老いることのない神仙が住まい、海を隔てて地上に人間が住むけれど、互いに交流することもできる、そんな世界を前提としている。生命は里木に卵果として実る。天意を得て、麒麟が王を選ぶ。例え賢王であれ、長い長い年月のうちには倦む。世は乱れ、妖魔が跋扈する。国が傾くことになる。

短編集『丕緒の鳥ひしょのとり』の、表題作は、慶の国に景王陽子が立つころの話。
新王が登極、その即位の礼で行われる大射というものがある。陶製の鵲を射る儀式。初めはただ鳥の絵を描いた陶板だったものが、時を経て次第の趣向を凝らし、美しく、音を伴い、工夫を重ねられていく。その、陶工というような役職にある者の名が、丕緒である。
数代の王の即位にあたり、それぞれに工夫を重ね、逸話の残る名人である。が、想いを込め、王に届けと作ったものが理解されない、或いは意図を理解されても、王の心が逃げる、ということが続き、熱を失っている。

が、希望を託し、その鳥は放たれ・・・。

美しい。何がどう美しいか、知りたい人は読んでください。この、丕緒が生み出した歴代のカササギを、その飛ぶ様子を、誰か映像にしてくれぬものか。この稀代のアーティストの作品を!ーって、褒めるべきは著者のイマジネーションの豊かさなのだが。

良いファンタジーというものは、いま私たちが生きているこの現実世界と、この話はリンクしている、これは現実の、政治の、話だ、と思わせる。
そんな物語ばかり4編、子どもの頃のように、まずストーリーをひたすら追い、読み終わってもう一度、今度は細部を気にかけながらじっくり読んだ。

私がかつて読んだのは講談社X文庫ホワイトハートというものだった。ジュニア向けシリーズ。それでも、私が読むきっかけは北上次郎の『図南の翼』書評だった。すでに大人に高評価だったのだ。おそらくジュニア向けではもったいない、ということだろう、今は普通の文庫で出ている。X文庫は姪に渡してしまったから、手元に無い。また揃えたい・・・。

ある海辺の詩人―小さなヴェニスで―

umibe

http://www.alcine-terran.com/umibenoshijin/
脚本・監督 アンドレア・セグレ
出演 趙涛 ラデ・シェルベッジア

小さなヴェニスと呼ばれる海辺の町キオッジャの酒場。地元の男たちが酒を飲み、ビリヤード、カード遊びや会話を楽しんでいる。
蛇頭の世話で海外に出たということか?中国人ボスに借金があって、あちこちの仕事に派遣される立場の中国人女性シュン・リーが、そこで働き始める。彼女は屈原の詩が好きだ。
同じようにほかの国からやってきて住みついた老いた男ベーピと、故郷や家族の話をする。流れてきた孤独な者の立場で、心通うものがあるのだ。ベーピは詩人とあだ名される男。
ベーピの家から中国の家族に電話するシュン・リー。借金が無くなれば小さな息子を呼び寄せることになっている。

が、小さな町で、がさつな男たちに噂され。

屈原は、紀元前の中国戦国時代の詩人・政治家で、意見を受け入れられず国の将来に絶望、入水自殺した。人々がの魂を慰めようと、ちまきを川に投げ込むようになったのが、端午の節句の始まりとされている。のだが、川に赤い精霊船のようなものを浮かべて灯りを流す習慣も、あるらしい。知らなかった。

その灯りがキオッジャの水に流れていくシーンが印象的。そして最後のシーンにつながる。

賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督作品で見る趙涛(チャオ・タオ)は、もう少し美人だったような気がする、と思いながら見始めると、酒場に慣れたころには、ああ、この顔、と洗練されていく。
同室の中国人女性が、浜辺で太極拳をするシーンとか、蛇頭(?)ボスとの関係とか、イタリア人監督の異国趣味?と感じられるものもあるけれど。

今年のベストに選ぶかもしれない、とても好きな映画。絵のように美しい、というのではない、ある種の美しい作品。

シティホール

159-1

2009年 韓国ドラマ 全20話
出演 キム・ソナ チャ・スンウォン 

すみません、突然ドラマです。
陶壺展の時に韓国ドラマフリークの友人がDVDを持ってきてくれて、そーんな20話も見る暇は・・・と思った、が、陶壺展終わって、見始めたところ、先へ先へと進みましたよ。
『私の名前はキム・サムスン』のキム・ソナが、お茶くみ下級公務員から、ミス・イワシコンテスト出場、何の因果か市長選出馬、となるお話。その原因を作るエリート天才ハンサム官僚で、田舎の副市長に就任するのがチャ・スンウォン。性格悪い。

達者な女優とカッコいい男が出てくるコメディはなかなかよろしいものです。
が、このドラマ自体も悪くありませんが(コメディだからって、韓国は何故放屁とか下ネタ場面出すかなあ…と思うところも初めのほうにあるけどね)、このドラマの音楽がいいんです。挿入歌のいくつかが耳に残ります。中でも、「不安な愛」という曲、せんがっかみょん、さらんはみょん というフレーズだけ口ずさみながら見ました。以下、日本語訳歌詞(画面に出てくるものをアップしてある某所からいただきました)

「不安な愛」 

こんなに好きでもいいでしょうか
なぜか不安なの
こんな気持ちは初めてだわ
あなたは特別な人なのね

恋は怖くはありません
たとえすぐに別れが訪れるとしても
だけどこの恋がイヤです
欲張りになっちゃうから

川の流れに乗るように
心をゆだねてみましょう
一日が経てば一つずつ
捨てるものができちゃうの

そばにいちゃダメ 想ってもいけない
そして愛しても 絶対にいけないような人
手放したり 去っていったりしても
その時はもっと 愛してしまいそうな人

不安な人
それでもこの恋が 私は好きなの

私1人で愛して 私1人で送り出す
そうなるのは分かってる
こんなに切なくても 私とは釣り合わないわ
なんてひどい人なの

いやあ、きれいな曲ですよ。サントラ欲しいと思って探したけど、売り切れで、ヤフオクで高値が付いている。韓国サイトでダウンロードできるらしいところみつけたけど、わたくしハングルの基本は読めますが、それ以上は・・・。
欲しい・・・。

空中庭園

kuutyuu

監督 豊田利晃
出演 小泉今日子 鈴木杏 板尾創路 大楠道代

 団地に住み、“何事も包み隠さず”というのがモットーである家族。なので、高校生の娘は「私が仕込まれたのはどこ?」という質問をし、つまり生を授かった場所は“野猿”なるラブホテルであったと、親は答えるのである。

 当然のことながら、家族それぞれに言えない秘密を抱え込んでいる。それぞれが“野猿”にかかわっている、あるいはかかわってくる。

 小泉今日子が見せる“完璧な笑顔”と呼ばれる表情がすごい。名優加藤治子さんの、無邪気な毒(すみません、矛盾してます、はい)を含んだ表情を思い出した。
 この妻とその母親との関係が、そもそもの原因で、この絵に描いたような仲の良い誕生日はもちろんのこと娘の初潮、息子の性の目覚めまでが家族でお祝いされる家庭ができているのだ。
 
 母と自分との関係を憎み、それを反面教師にするということ。
 
 別に不思議はないよね、ある娘は愛が少なかったことを、ある娘は過剰だったことを、理解されなかったことを、スポイルされたことを、なぜあなたはそうだったんだ?と心の中で責め、自分はああはならないと思う。

 脇役のキャストが豪華だ。国村隼・瑛太・ 勝地涼・ソニン・永作博美などなど。2005年作品だと瑛太をこんな風に…と思う。大楠道代さんなんてあの美人女優が・・・である。

 どんどん壊れていくかに見える母の精神状態、みんなの関係が、最後に光が射して、再生に向かって、終わる。

 のだと思うのだが、それすらも母の妄想かもしれない・・・ような終わり方でもある。ので、原作はどうなんだよ、と、それから角田光代の原作を読んだ。
 映画ではいまひとつパッとしない息子が、原作ではこれがなかなか良い。賢く、感性のいい男の子さんだ。この子によって救われている。
 原作によれば、映画の最後のシーンはまさしく母の妄想であったのだけれど、原作の終わり方もやはり光に向かっている。ああ安心した、映画もきっ$FILE1_rとそうなんだよ。

 すぐれた日本映画というものはすごい、と、『ぐるりのこと』と同時にDVDを借りて見てつくづく感じましたさ。2005年公開。

私にとっての映画ベスト10

①その人は女教師 1970年(監督)出目昌伸 (出演)三船史郎
②午前中の時間割 1972年(監督)羽仁進 (出演)国木田亜子 シャオ・スーメイ
③赤い鳥逃げた? 1973年(監督)藤田敏八 (出演)原田芳雄 桃井かおり 大門正明
④酔いどれ天使 1948年(監督)黒沢明 (出演)志村喬 三船敏郎
⑤天井桟敷の人々 1945年(監督)マルセル・カルネ (出演)アルレッティ、ジャン=ルイ・バロー
⑥アラビアのロレンス 1962年(監督)デヴィット・リーン (出演)ピーター・オトゥール
⑦追憶 1973年(監督)シドニー・ポラック (出演)バーブラ・ストライサンド ロバート・レッドフォード 
⑧パリ・テキサス 1984年(監督)ヴィム・ベンダース (出演)ナスターシャ・キンスキー
⑨覇王別妃さらば、わが愛1993年 (監督)陳凱歌 (出演)張国栄
⑩天使の涙 1995年 (監督)王家衛 (出演)金城武 黎明

①は、名作でも何でもありませぬ。ただ、この映画でデビューした三船史郎の目に、恋に落ちた、それが私のスクリーン上の初恋だったというだけ。 たった2作の映画に出演した後、俳優を辞めた、三船敏郎ジュニア。そして小泉尭史監督に強く請われて出た『雨上がる』の三作だけしかプロフィールには無いけれど、実は香港映画「ホークB計画」に顔を出しているのを私は知っている。
②いつか再び見る機会があったとしても見るのが怖い、というほど当時あまりにも好きだった作品。
③原田芳雄さんの、黒いサングラスの奥から流れる一筋の涙。この映画で流れる「愛情砂漠」「赤い鳥逃げた?」の二つの主題歌、安田南バージョン、原田芳雄バージョンとありました。
④これの三船敏郎、頬がこけて飢えた目の、その存在。
⑤⑥は、大きなスクリーンで見るべき本当の名作。それと⑨、この3作は皆様にお勧め。
⑦⑧は、その当時の私の事情とリンクして涙、涙の物語でしたさ。
⑩もう、大好き!豚サンにマッサージする武のなんとチャーミングなこと。これだけ、ビデオでしか見ていないのだけれど。
それまでもアジアの映画は結構見ていたけれど、「ブエノスアイレス」「不夜城」と香港系映画上映があった年、山のように香港をはじめとする中華圏・韓国などの映画ビデオを見て、⑩に出会って、言葉を聞き取りたくなり、広東語講座は見当たらなかったので北京語の勉強を始めたのでした。その後ハングルも齧ったけれど(韓流以前です)、只 今ハングル挫折中、去年の10月から広東語学習も始めました。少しでも言葉が聞き取れると嬉しいものですよ。
以上、映画にかかわる自己紹介のようなもの。

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