(内容紹介Amazon.co.jp)
黙々と働く昼も、ひとりで菓子パンをかじる夜も、考えるのは恋のこと。あのときああ言っていたら……今度はこうしよう……延々とシミュレートし続けた果てに、〈私の天使〉は現れるのか? 人気歌人による恋愛エッセイ集が、待望の文庫化。解説は、『臨死!!江古田ちゃん』の漫画家・瀧波ユカリ。
穂村弘さんといえば、『世界音痴』『現実入門~ ほんとにみんなこんなことを?』『本当はちがうんだ日記 』『にょっ記』といった、いかにも大人気ないタイトルからも分かるように、永遠の青二才、いえ、永遠の“まだ中”(まだ中学生)。
妄想の中で妖精だか天使だかを連れて歩き、夕餉にコンビニの菓子パンをかじる、結婚しない、できない男の代表だったはず。
なのに、この『もしもし、運命の人ですか。』というエッセイの中には
「外国にいる間中、妻の背後にぴったり貼りついて隠れている私とはえらい違いだ。」
と、さりげなく妻という一文字が挿入されています。
はあ?妻?妻の背後?ええっ?
思わず本をめくる手が宙に浮いてしまいました。
そういえば以前『にょっ記』を読んだときにも「妻」と会話しているみたいなシーンが出てきて、「印刷ミス?」と疑問に思ったけど、「ああ、妄想の妻ね、きっと」と勝手に解釈してスルーしてしまったんですが・・・。
裏付けをとるしかない、とネットで検索してみると、「WEB本の雑誌」、 「作家の読書道」に本人が肯定している言葉がありました。
まあ、作家が結婚しようがタレントが離婚しようが、私には影響のない話なんですけど。
しかし、もう「運命の人」見つけたのなら、いまさら〈私の天使〉探しも説得力に欠けますね。先の「妻」に関する一文も何だかのろけみたいに聞こえるじゃないですか。いや、きっとそうです。
結婚という生々しい現実を手に入れてしまった穂村弘さん、どうか私生活をあまり晒すことなく、さらなる妄想力を磨いていって欲しいものです。
読んでいる間は楽しくて、ここにも自分と似た人がいるという安心感に包まれるのですが、でも読んだあとにはすっかり忘れてしまうし、内容の違いも思い出せません。
私は古い順に読んでいるので、今のところ2007年まで。どれがお勧めかと聞かれたら、やはり古いのからから読むのがよさそうな気がします。つまり結婚する前の彼から知って欲しい。
『世界音痴』2002年4月
『もうおうちへかえりましょう』2004年5月。
『現実入門 ほんとにみんなこんなことを?』2005年3月
『本当はちがうんだ日記 』2005年3月
『にょっ記』2006年3月
『もしもし、運命の人ですか。』2007年3月
『整形前夜』 2009年4月
『にょにょっ記』 2009年7月
『どうして書くの?―穂村弘対談集』2009年9月
『絶叫委員会』2010年5月
書店で見かけて、読んでみようかなと思った本です。
いつも書店でめくるぐらいで、ちゃんと読んだことが無いのですが。
初心者にお勧めは何?