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「2024猫展 平面と立体」開催のお知らせ

2.17(土)~3.5(火) 11:00~18:00

休館日:2/21(水)・2/28(水)
於:ギャラリー白樺

毎年2月22日「猫の日」を挟んで開催される「猫展」。
皮革染色工芸家の山田利喜子さん画家の通畠朋子さんも出品されます。
今年はどんな猫たちが待っているのか楽しみですね。
「猫展」の案内状をいただくと春の訪れを感じます。

『Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法/イーサン・クロス』

『Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』

著者:イーサン・クロス
発行日:2022年12月
発行:東洋経済新報社


読了にとても時間が掛かりました。4か月くらいか。
決して難しい内容ではなかったのに、なんでこんなにも時間が掛かったのだろう?

まずこの本を読む切っ掛けから書いてみます。
4か月ほど前のある日、私はある疑問を持ちました。
「私はいつもいつも何か考え事をしている。意味のあることだったり無いことだったり、絶え間なく考えたり悩んだりしている。特にこのところ、やけに過去の自分を振り返って、あれは間違った選択だったとか、あのことは無かったことにしたいとか、言うべきじゃなかった、するべきじゃなかった、思い出したくないことを何度も思い出したりして、時々苦しくなる。
いや、これは私だけでなく人類皆そうだと思う。だって「人間は考える葦」なのだから。考えなかったらただの葦なのだから。
でもなぜだろう?なぜこうも苦しいのに考え続けなければならないのだろう?」

とまあ、こんな愚にもつかないことを考えていた時、武田砂鉄さんのラジオ番組「武田砂鉄のプレ金ナイト」に出演された荻上チキさんがアフタートークで、
「反省とか内省とかが人間にとっていかに有害なのかを説明した本がありまして、古代哲学から反省や内省は人間の成長のために必要とされてきたが、反省とか内省はホントにメンタルにとって有害で、、、、」
と話し始め、最近読んだ本の紹介をされていました。それが本書『Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』でした。
この本は私に何かヒントを与えてくれそうだと直感しました。

そんなこんなを友人に話すと、「その本なら持っている。読み終わったから送りますよ」と思わぬ展開になり、「でも、期待通りの本ではないかも。後半はまあ読む価値あると思うけど」と友人は付け加え、後日私は郵送されてきた本を読み始めることになりました。

そういう有難い巡り合わせで読み始めた本書なのに、なかなか読み進める気になれませんでした。
私にとって読み辛い文体と構成だったからか。あるいはAmazonのレビューがすごく高評価なことを考えると、単に私の理解力のせいか。
何だか、本を読んでいるというより、何かの講演とか誰かのお喋りを聴いているような、、、例えば
「人は常に自分に語り掛け頭の中でひとり言を繰り返します。その『頭の中のひとりごと(チャッター)』がネガティブな方に向かわないようにコントロールすることが大事です。そのために私は「チャッターを制御するための26のツール」を提唱します!」
と言った感じで「チャッターを制御するための26のツール」がいかに素晴らしいかをプレゼンするために、いろんな事例をたっぷり持って回った言い方で長々と語っているという感じ(※あくまでも個人の感想です)とでもいうか。私には少々疲れる表現スタイルでした。

とは言え、本書が読む価値のない本だなんて言いたいわけじゃない。
人が常に自分自身に語り掛けたり、過去の出来事や空想事などに心が奪われるのは、脳の基本的な状態で極く自然なことだと、そう認知するだけでも気持ちが楽になります。
そして内省や反省は時に「内なる批判者」となり、メンタルにとって有害なこともあると知っていれば、過去の失敗にとらわれ過ぎず「いま」を生きることができるのでは?
本書を読み終わった今は、4か月前私が過去を振り返り苦しい気持ちになったのも、自分で自分を攻撃し過ぎたのだと客観的に思えるようになりました。

しかし本書の肝である「チャッターを制御するための26のツール」については、それが役に立つかどうかは人に依るとしか言えません。

睡眠研究の動画に納得!夜型人間の悲劇

早起きが苦手です。子どもの頃からずっと。特に高校の期間は辛かった。始業時間前にある朝礼などほとんど間に合わず、朝礼が済むまで身を隠していなければなりませんでした。
「社会人に遅刻は許されない」と言うのが社会通念だから、会社勤めをしていたころは必死でした。大きな音の目覚まし時計を頼りに頑張りました。しかし朝起きだけが原因ではないけれど、会社勤めは向かないと早々に悟り退職しました。
子育ての時期を振り返ると、寝不足の日々。息子が高校を卒業した時は、もう早起きしてお弁当を作らなくてもいいのだ、ということが何よりも何よりも嬉しく、こっそりガッツポーズをしました。お弁当作りは母親の愛情だなんて煽らないで欲しいものです。

歳を取って無職の今、自分の都合で睡眠を取れるようになってみると、20代の学生並みに遅寝遅起きに落ち着いています。夜8時頃から頭がすっきりしてくる。明らかに夜型人間です。
そして一日9時間くらい眠っています。10時間以上眠る日もあります。
これは寝過ぎなのでしょうか?

いえいえ、「それは寝すぎではない。寝足りないから睡眠負債を返しているのだ」と教えてくれたのが下記の動画です。
人は睡眠が充足していれば一日8時間半以上眠ることはないと言います。
昼型の人と夜型の人の違いはどこからくるのか?
年齢による睡眠時間の違いや睡眠不足がもたらす弊害とは?
睡眠から考える理想的な働き方は?
そもそも何故眠くなるのか?
適正な睡眠時間とは?などなど睡眠に関する疑問をいろいろ分かり易く解説してくれています。

【前編】【最先端!快眠の科学】Google賞金4.5億!天才睡眠学者が登場【常識覆す研究】

【後編】【Google賞金4.5億】睡眠革命!「朝型がいい」はウソ!?最新研究【柳沢正史】

昼型か夜型か確認できるMEQテスト

自分が昼型か夜型かを確認できるMEQテストというのが紹介されていたのでやってみました。

「朝型夜型質問紙」→ https://www.sleepmed.jp/q/meq/meq_form.php

下図のような質問事項が19個ほどありました。

テストをしてみても私は間違いなく夜型だと確認できました。判定結果を見ると日本の成人って夜型が意外と少ないと感じます。

動画の最後の方に紹介されていますが、海外や日本でStart School Laterという社会運動が起こっているそうです。学校の始業時間を今より遅らせようという運動です。
私も朝8時半始業って早過ぎだと心底思います。
ましてや九州の高校では始業前に朝補習があったりします。私の高校でもありました。強制ではなかったはずですが、ほとんどの生徒が始業前に補習をしていました。たぶん7時半くらいには登校していたはずです。私は朝補習あとの朝礼に間に合わなかったくらいだから、おそらくあまりしていなかったか、まったくしていなかったか、どちらかです。記憶にありません。
高校で朝補習があるのは当たり前のことだと何ら疑いを持っていなかったのですが、最近それが九州だけの慣習だと知って驚きました。
テレビか何かで取り上げられ周知されたせいか、最近では朝補習の廃止をする高校も増えつつあるようです。

ほぼ強制の「朝課外」、廃止・変更する高校増える 鹿児島県内 「やめても学力に影響なかった」の声も

2023/03/30 08:21 南日本新聞,鹿児島,ニュース

Start School Laterが広まって、学校だけではなく会社も始業時間を遅らせるとか、就業時間を短くするとか、週休3日制にするとか、、、とにかく睡眠不足にならない本当の働き方改革をして欲しい。それでいて、誰もがちゃんと食べていける社会に、、、なんて望むべくもない話なのでしょうか。


10月からインボイス制度開始!おすすめのYouTube動画

2023年10月からインボイス制度が開始

インボイスとは何か?

国税庁のサイトを見ると、インボイスとは「適格請求書」と呼ばれるもので、「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類のことだという。
インボイス制度を日本語にすると「適格請求書等保存方式」と言うらしいです。

ざっくり言うと来月からは、売り手側が消費税課税事業者であれば、取引先(買い手側)に出す請求書に「インボイス発行事業者登録番号」を記載する必要があるとのこと。
買い手側が消費税課税事業者であれば、消費税の仕入税額控除の対象となる請求書には、売り手の「インボイス発行事業者登録番号」の記載が必要であるとのこと。

だいぶ前から、主に個人事業主やフリーランスの方たちが「インボイス制度が始まると大変だ」という不安や嘆きの声を上げていることは聞いていました。「インボイス制度」に反対するオンライン署名も多く集まっているというニュースも見ました。
とはいえ、事業者でも何でもない私には関係のない制度だから、深く考えることもなく過ごしていたのですが、、、、

今年6月頃、私の趣味であるイラスト素材投稿サイトから「インボイス制度開始に伴い登録希望のクリエイター様は登録番号のご準備お願いします」というメールが届きました。
ん?趣味で、子どものお小遣い程度の稼ぎで、それでもインボイスが必要なの?と驚いた私。
本当のところ私は何も分っていなかったのだ、ということを思い知りました。インボイス制度を舐めていました。

課税売上高年間1000万円以下の事業所等は免税事業者なので、そもそも消費税を納める必要はありません。しかしインボイス発行事業者登録番号を取得するには、消費税の課税事業者の登録をしなければならず、即ち、消費税の納税義務が生じることになります。それまで免税だった人を課税事業者へと導く、それがインボイス制度だ!ということですね。

ただし、免税事業所等がインボイス発行事業者の登録をするかどうかは事業者の任意です。登録するもしないも本来は事業者の自由。
私のように事業者と呼べないような営みでもって、消費税の課税事業者になるなんてとんでもない話なので、ここは「登録しない」の一択です。

じゃあ、登録しないとどうなるのか?

その後、イラスト素材投稿サイトから再度メールがありました。
それによると「インボイス登録番号の申請の有無により、報酬ポイントの換金率が異なります。」とのことです。未登録の人は来月から少し換金率が下がり、3年後にさらに下がり、6年後にはほぼ9%程度減額になるようです。
つまり、今まで免税事業者だった人がインボイス登録番号を取得した場合、自分で消費税を納付しなければならなくなり、取得しなくても6年後には消費税分ほど収入が減ってしまうということですね。

インボイスについておすすめの動画

インボイス発行事業者に登録するかしないか迷っている方には下記動画がおすすめです。
登録するしないのメリット、デメリット、インボイス登録をしないと仕事が減る場合もあるなどの問題点が解説されています。

インボイス制度についてもっと詳しく知りたい方には下記動画がおすすめです。1時間38分という長さですが、丁寧に分かり易く解説されています。
インボイスなんて関係ないよ、という人でも買い物のたび、何かのサービスを受けるたび、日常的に消費税を支払っています。
平成元年、最初は3%、すぐに5%にあがって、いつのまにか10%。言われるがままに払い続けている消費税の仕組みも理解できる動画です。

インボイスとは関係ない話しですが、それにしても、いらすとやさんのイラストは凄いとつくづく思います。あらゆる場面に対応するイラストがそろっていて、YouTubeで大活躍ですね。
チラシやいろんな店先、市電の車中にも、街中いたるところに使われていて目にしない日はないです。”いらすとやはもはやインフラ”と言われるのも頷けます。社会生活に無くてはならない無料素材ですね。

『第六ポンプ』パオロ・バチガルピが描く10個のディストピア

第六ポンプ』パオロ・バチガルピ/早川書房

内容:化学物質の摂取過剰のために、出生率の低下と痴呆化が進化したニューヨーク。下水ポンプ施設の職員の視点から、あり得べき近未来社会を鮮やかに描いたローカス賞受賞の表題作、石油資源が枯渇して穀物と筋肉がエネルギー源となっている、『ねじまき少女』と同設定のアメリカを描きだすスタージョン賞受賞作「カロリーマン」ほか、全10篇を収録。数多の賞に輝いた『ねじまき少女』でSF界の寵児となった著者の第一短篇集。
—-「BOOK」データベースより

原書は2008年に書かれているので、今から15年ほど前の作品になります。
現代社会がまだ解決できないままでいる、食糧問題、環境問題、エネルギー問題、遺伝子操作による生命倫理問題ーー。『第六ポンプ』には、こんな現代社会の延長線上にある物語が10編詰まっています。
物語全般に漂うディストピア観がとても独特で、グイっと惹きこまれる短編集です。

生態系を破壊しつくした世界で、砂を食べて栄養を摂取できる体になった人類の物語。
鉱物資源が枯渇し、動力はもっぱらゼンマイになるという世界の物語。
不老不死を実現させ、人口維持のため出産が禁止される世界の物語。
富裕層の快楽のため、楽器に生体改造された少女の物語。
テクノロジーが発達しても技術を継承できる人間がいないため、システムエラーを処理できなくなる社会の物語。などなど、、、
こんな未來は嫌だ!って物語ばかりなのですが、意外と読後感は不快ではなかったです。どの物語にも少しばかりの救いと希望が込められていると感じます。

2023年、日本の夏は災害級の暑さと呼ばれています。既にディストピアな未來の入り口に立っているのは間違いないですね。このまま実効性のある対策を講じることがなければ、どうなっていくのか、、、、。

二週間で読み終えられるか?図書館で借りた2冊の本ー「空白を満たしなさい」「第六ポンプ」

このところ私の読書体験はノンフィクション的なものに偏りがちです。
図書館で借りるのは値段の張るイラスト関連のものばかりで、いわゆる”小説”を読む機会がめっきり少なくなりました。
時には小説、特にミステリやSFなどの虚構の世界にどっぷり浸る、あの刺激的な没入感が欲しい。そう思い立ったら矢も楯もたまらず、一昨日の午後図書館に行きました。

図書館で借りたい本を6冊ほど検索すると、村上春樹の『街とその不確かな壁』は市内全域の図書館で貸し出し中になっていて、さすがですね。みんなの熱が冷める時を待つしかないような状況です。

すぐ借りれる本は4冊ありました。2週間という貸出期間で4冊は読めそうにないので今すぐ読みたい2冊を選びました。
平野啓一郎『空白を満たしなさい』とパオロ・バチガルピ『第六ポンプ』です。

『空白を満たしなさい』平野啓一郎/2012年

『第六ポンプ』パオロ・バチガルピ/2012年

『空白を満たしなさい』は昨年NHKでドラマ化されたそうで、とても面白いという評判を聞き読んでみたいと思っていました。なによりも『空白を満たしなさい』というタイトルに惹きつけられます。
空白とは何か、何で満たすのか。タイトルからしてミステリアスです。
YouTubeのRadioheadのサイトで全ての動画を再生しながら、まずはこの本から読み始めます。

『空白を満たしなさい』を読んで

ミステリと思って読み始めたら、主人公土屋徹生(36歳)は3年前に自殺して生き返った人間であるという。それもどうやら世界各地で死んだ人間が生き返る現象があり、彼らは「復生者」と呼ばれるーーーという設定で始まる物語でした。
SFのように現象に対して科学的裏付けを施す、ということは一切無い。とにかくこの設定を受け入れ、この荒唐無稽な物語がどこに向かいどこへ行きつくのか?を追いかける感じで、500ページ近い分量にも関わらず一気読みしました。
午後3時頃から読み始め夕飯と休憩を挟み、真夜中の3時頃読み終わりました。没入感、頂きました。

とは言うものの、かなり物語が長いという印象もありました。途中2ケ所ほど、ここで終わらないの?と思うポイントもありましたが、まあでもそれは、著者の世の中に対する問題意識や人間に対する思いが溢れ出ているようにも思えました。
その結果、この本で語られるテーマはいくつもあって、読む人によって捉えどころは異なることと思います。

そしていよいよ本当に最後のページになって、最後の一行を読んだ時、その最後の一行の素晴らしさに満足して本を閉じました。

余談ですが、テレビドラマでは主人公土屋徹生を柄本佑が、土屋を苦しめる佐伯という男を阿部サダヲが演じたそうですね。どちらも好きな俳優なのでできることなら観たかったです。
NHKって時々民放では観られないようないいドラマがあるんですよね。テレビを生活から排除すると決めた時、そのことが頭をよぎって、やっぱりテレビ捨てるのよそうかとも思ったものでした。
でももう捨てちゃったけど。

WordPress Popular Postsに黄色の警告文が表示される【解決】

WordPress Popular Postsは、人気記事のランキングを作成してくれるWordPressのプラグインで、多くのサイトで使われています。

先週あたり、突然下記のような英語の!黄色の!警告文が!表示されるようになりました。

ブラウザの拡張機能(TWP – Translate Web Pages)を使って翻訳すると、ウィジェットの仕様をクラシック形式のままで使っているのが原因らしい。

WordPressは2018年のバージョンアップで、編集機能がブロックエディタという形式に変更になりました。当初、すごく戸惑ったことを覚えています。
それまではワードで文章を書くみたいな馴染みある編集画面だったのが、ブロックエディタではエンターキーを押すごとに文章も画像も独立したブロックとなります。文章を頭の中で組み立てて、一気に書き上げるタイプの人には、少々ウザい編集機能だと思います。

私のように考えがまとまらないまま書き始めるタイプには結構便利でした。とりあえず画像や思いついた文章をブロックにして、あとからブロックの順番を変えたり挿入したり削ったりしていく作業は、とりとめもなく散らかった頭の中が少しずつ整理されていくような気がします。

という風にに文章を書く時はブロックエディタを使っているのですが、ウィジェットはブロック形式の使い方がよく分らず、結局従来のクラッシク形式のままにしていました。

しかし、今回WordPress Popular Postsに黄色の警告が出たからには、ウィジェットをブロック形式にしなければならず、ああでもないこうでもないといじり倒して、何とかブロックウィジェットに置き換え警告も消えたので、ここにその過程をメモにしておきます。

1.Classic Widgetsを無効化してブロックウィジェットにする

以前、ウィジェットをブロック形式で使おうとしてうまくいかず、Classic Widgetsというプラグインを入れて、従来のクラッシクウィジェトが利用できるようにしていました。
こういうプラグインがあるってことは、ブロックウィジェット面倒臭い!と思っている人も結構多いっていうことですよね。
って、それはともかく、まずは、プラグインClassic Widgetsを無効化してウィジェットをブロック形式にします。

当ブログではプラグインJS Archive List Widget (年月別アーカイブ)の前にWordPress Popular Postsを表示させたいので、JS Archive List Widget のところにカーソルをもってきて、表示される「縦三点リーダー」をクリック⇒「前に挿入」をクリックします。

2.ブロックを追加する

マークをクリックして、ブロックを追加。「すべて表示」をクリックします。

3.サイドバーからプラグインWordPress Popular Postsのアイコンを探す

「すべて表示」をクリックすると、サイドバーが表示されるので、WordPress Popular Postsのアイコンを探してクリックします。

 WordPress Popular Postsの設定画面が表示されるので、タイトルなどの設定をします。
設定が済んだら右上にある「更新」ボタンをクリックします。

4.従来のウィジェットを削除する

WordPress Popular Postsの従来のクラシックウィジェットの「縦三点リーダー」をクリックして、「従来のウィジェットを削除」をクリック。これで、黄色い警告がでなくなりました。

5.CSSにスタイルを追加する

ウィジェットをブロック形式にすると、WordPress Popular Postsのウィジェットタイトルの見た目が変わってしまいました。当ブログで言えば「よく読まれている記事」というタイトル部分です。

これはiwb.jpさんのブログを参照したところ、以下のような理由とのことです。

WordPress Popular Postsをブロック形式に変更するとh2タグの「widget-title」のCSSクラス名が付かなくなります。

iwb.jp 「WordPress Popular Postsプラグインの黄色の警告の対処法」 を参照いたしました。

そこでブログのテーマのstyle.cssにクラス名popular-posts h2を追記して見た目を整えます。

当ブログでは以下のように追記してフォントやボーダーなどのスタイルを変更しました。

/* 追記例 */
       .popular-posts h2 {
            border-top: 5px solid #000;
            color: #2b2b2b;
            font-size: 14px;  
            font-size: 0.999999rem;
            font-weight: 900;
            margin: 0 0 18px;
            padding-top: 7px;
            text-transform: uppercase;
         }

6.スタイル変更が反映されなかったらブラウザのキャッシュを消去する

スタイルシートを変更してファイルをアップロードしたあと、WEBページに変更が反映されなくて、ひとりでアワアワ慌ててしまいました。何度もファイルを確認したりアップロードし直したり、無駄に時間を費やしてしまいました。
cssや画像などを変更したときWEBページが更新されなかったら、まずはブラウザの履歴のキャッシュを消去してみる。今まで何度もやってきたことなのに、いったい私は経験が身につくということがないのだろうか。
それとも物事を忘れる速度が速くなっただけなのか。
我が身を振り返って.何だかぐったり疲れてしまいました。

今回参考にさせていただいたブログ

WordPress Popular Postsプラグインの黄色の警告の対処法

ありがとうございました。

「Amazon重要なお知らせ:ご注文の詳細とキャンセルについて」という詐欺メールが来ました

最近、ほぼ毎日のようにヤフーメールにAmazonやイオン、地方銀行を装う詐欺メールがやってきます。
内容は「重要:口座利用停止のお知らせ 秋田銀行」「お支払い方法の更新 Amazon」「アカウント使用制限のお知らせ イオン」「プライム会員の満期通知 プライム」などなど。
毎度おなじみの文言でやって来るので面白みもなく、機械的に迷惑メールに移動させているのですが、今日来たのはいつもとちょっと違っていたので、削除する前にメモしておくことにしました。

詐欺メールの内容

ご注文の確認

注文番号:503-0497156-3547802
〇〇〇(メールアドレス) 様

誰かがあなたのAmazonアカウントを使用して別のモバイルデバイスからこの注文を購入しようとしました。Amazonのアカウントセキュリティポリシーに従い、Amazonアカウントを凍結しました。

◆アカウントが盗まれる危険性があります。この注文を一度も購入したことがない場合は、24時間以内に以下のリンクをクリックして、この注文をキャンセルし、Amazonアカウントを復元してください。

この注文をキャンセルする

お届け予定:
日曜日, 06/04
配送オプション:
お急ぎ便
お届け先:
〇〇〇(実名) 様
414-0053
静岡県 伊東市〇〇〇(実住所)
注文合計:
¥37,000
支払い方法
クレジットカード:¥37,000

Amazon.co.jp でのご注文について、くわしくは注文についてのヘルプページをご確認ください。

Dash Button/Dash Replenishmentサービスによるご注文については、Dash Button/サービス対応デバイスでの対象商品の設定時とご注文時の提供条件(たとえば、商品、価格、税金、入手可能性、送料及び売主)が一部変更されている場合があります。上記「注文内容」を十分にご確認ください。ご注文後、一定時間はご注文を変更またはキャンセルすることができます。また、発送後でも商品を返品することができます。詳しくは、Amazon Dash利用規約、注文履歴、Amazon.co.jpの返品ポリシーをご覧ください。

その他ご不明な点がある場合は、ヘルプページをご確認ください。

またのご利用をお待ちしております。
Amazon.co.jp

お届け先とされる住所、氏名が具体的で、ちょっと気になっちゃいますよね。詳細ヘッダーを開いてReturn-Pathを確認すると、静岡銀行らしきアドレス。手が込んでいます。

ネット検索すると、昨年あたりからこの手のメールが出回っているらしい。
詐欺メールに書かれている住所、氏名は全国にまたがり、いろんなバリエーションがあるようです。
住所を地図検索すると建物も実在します。
おそらく、氏名と住所をランダムに組み合わせているのでしょうが、知らないうちに自分の氏名や住所が勝手に詐欺に使われるかもと考えると、気持ち悪いですね。

この先、もっともっと手が込んだ詐欺メールが出てくるかも。
特にAmazon を騙るメールが多いので、Amazonから来たメールは、ちょっとでも変だと思ったら、メッセージセンターで確認するようにしましょう!(アカウントサービス⇒メッセージセンター)

追記:この投稿をアップした直後にまた同様の詐欺メールが来ました。

タイトルが「Amazon.co.jpでのご注文508-8867920-6546310(1点)」となっていて、ますます手が込んでいます。

今度はメール表示画面がAmazonにだいぶ似せて作ってあるし、タイトルもかなり紛らわしいです。
ただしReturn-Pathは< keisuke1@yourfertaliopza.com>となっていて、ここは手を抜いてる感じですね。

お届け先になっている住所を検索したら、今度も実在する一般的な家で表札が出ており名字も一致しました。
どうやら氏名・住所込みで使われているようなので、お届け先にはぼかしを入れました。
氏名と住所はランダムに組み合わせているのだと思っていましたが、そこまで配慮されているわけではないようです。勝手に実名・実住所を詐欺メールに書かれてしまうことも、知らないうちに被害にあっていることだと思えます。

Googleマップを編集しよう

今回詐欺メールに記載された住所を検索して思ったのですが、Googleマップのストリートビューで表札がはっきり見えるはヤバいんじゃないかと思います。
私は以前Googleマップの「不適切なストリートビューを報告」して、家の表札にぼかしをかけてもらいました。
Googleマップのサイドバーには「地図を編集」という項目があり、そこをクリックすると「不適切なストリートビューを報告」できます。





『第32回 2023 宮崎国際現代彫刻・空港展』のお知らせ

2023 6/4(日)- 6/18(日)

会場:宮崎ブーゲンビリア空港 1階 オアシス広場

第32回 宮崎国際現代彫刻・空港展は、コロナ禍に休止を余儀なくされたようですが、昨年から再開。
まだコロナ禍の影響があって、今年も国内作家のみの参加となっているようです。

今年は以下37名の作家が出品されます。
当サイトでご紹介しています通畠 義信さんの過去作品については、『鉄のオブジェ・通畠義信』ページを、是非ご覧いただきたいです。

《宮 崎》大野 匠・奥村 羊一・上口 将生・田中 等・田村 将太・満木 攻 一・山田 忠範
《鹿児島》通畠 義信・八田 隆・宮薗 広幸・ますみつ 三知子・吉永 ゆかり
《長 崎》藤崎 宏治
《福 岡》前原 ヨシノブ
《徳 島》居上 真人
《鳥 取》永江 靖幸
《岡 山》伊丹 修・尾崎 公彦・片岡 幸夫・金盛 秀貞・小林 照尚
《奈 良》井上 龍彦・高垣 リミ
《岐 阜》浅川 洋行
《愛 知》尾崎 慎・真下 賢一
《福 井》坂本 太郎
《埼 玉》田中 毅
《千 葉》遠藤 研二
《東 京》竹花 哲・林 宏・藤田 政利
《群 馬》明田 一久
《福 島》湯川 隆
《新 潟》霜鳥 健二
《北海道》長澤 裕子・渡部 洋平


言葉について書かれた2冊の本を読みました。

『今日拾った言葉たち』武田砂鉄
2022年/発行:暮しの手帖社

『うまれることば、しぬことば』酒井順子/2022年/発行:集英社

ふと耳にした言葉が、何だか気になるなあって思うこと、日常よくありますよね。
それが、「いい言葉だな」「うまい言い方だな」と心にグッとくるいい感じの言葉であれば、すぐに誰かに話したくなります。
「なーんか引っかかる」と、ちょっと不快に感じる言葉や言い回しだと、ただモヤモヤした気分だけが残ったりします。

例えば、以前、若手議員さんが「イクメン男子」アピールするのを聞いて、男子は子育てを手伝うだけで褒められてニュースになるのか、と子育てを終えた私でもイマイチ不快の念を禁じ得ないでいました。
そんな時、ハライチの岩井勇気さんの言葉にグッときました。

「自分の子どもを育ててイクメンて言うな!」

これはバラエティ番組で岩井勇気さんが吐くように言い放った言葉。
いや、ホントその通りです。
イクメンアピールなんかしてないで、ガチで協同で家事育児やって欲しいものです。

とは言え、「イクメン男子」というキャッチーな言葉が生まれたからこそ、男性が家事育児に参加することがトレンドになったのも事実。
新しく生まれた言葉が人の意識や世の中の価値観を変化させ、その意識や価値観がさらに若い世代に受け継がれていけば、そのうち当たり前のこととして定着するかもしれません。その頃には自分のことをわざわざイクメンなどと称する男性もいなくなっているでしょう。

さて、今回読んだ2冊の本はどちらも「言葉」をとても大切にしている人が書いています。

『今日拾った言葉たち』

武田砂鉄さんの『今日拾った言葉たち』は『暮らしの手帖』に2016年春~2022年夏に連載されていたものをまとめ直したものです。著者が本や新聞やテレビ、ラジオ、街中の声を聴き、気になった言葉を拾い上げ、その言葉について自身の考えを書き添えています。

幅広いカテゴリーから言葉を拾っているので、様々な人たちの見解に触れることができます。グッとくる言葉もあれば、著者と同じ気持ちで憤慨する言葉もあります。
拾った言葉たちに添えられた武田砂鉄さんの文章からは、当たり前の暮しを守りたいという生活者としての目線が感じられ、ブレない批判精神が感じられます。そこが好きです。

武田砂鉄さんは毎週金曜日22:00 から 23:30、『武田砂鉄のプレ金ナイト【TBSラジオ】』というラジオ番組をYouTubeでも配信しています。砂鉄さんが今会いたいと思っている人を招くゲストトークがメインです。いろんな分野の方たちが登場し、毎回興味深く楽しめる私のお気に入り番組です。

『うまれることば、しぬことば』

酒井順子さんの『うまれることば、しぬことば』も武田砂鉄さんのラジオ番組で知りました。

酒井順子さんと言えば20年ほど前、『負け犬の遠吠え』という作品が話題になり、大論争を巻き起こし、流行語大賞にも選ばれ一つの「負け犬ブーム」を作ったエッセイスト、という程度に知ってはいましたが、作品を読むのは本書が初めてです。

『うまれることば、しぬことば』には、たぶん誰しも一度は気になったに違いないが深く考えないうちにいつのまにか馴染んでしまって気にならなくなった、そんな言葉が取り上げられているように思います。
私も「ああ!そうだった!これ、気になっていたのだった!」と思い起こされる言葉がいくつもありました。それに、本当は気にすべきだったのに気が付かなかった言葉もあってハッとさせられました。
何故この言葉が気になったのか?それをきっちり言語化して読み解いてくれる本です。

『アシタノカレッジ(※現在は『武田砂鉄のプレ金ナイト【TBSラジオ】』』ゲスト酒井順子さん

ついでと言ってはなんですが、最近武田砂鉄さんのラジオ番組にゲスト出演した水野太貴さんの『ゆる言語ラジオ』を紹介させてください。
言語学オタクと言語学素人のお二人によるゆるいお喋りが楽しい。時にはあいみょんの歌詞を熱く語り合い、時には言語を通して「国民を上手に搾取する方法」まで学べる?エンタメ寄りのチャンネルです。一つの動画が30分から50分ほど。割りと長めなところも聴きごたえがあって気に入ってます。

「2023 猫展 平面と立体」の案内状が届きました

2.11(土)-3.6(月)11:00-18:00

休館日:2/15・3/1(水)

於:ギャラリー白樺

「猫展」の案内状が届きました。
しばらく郵便受けを開けていなかったので、ちょっと発見が遅れてしまいました。
郵便受けにはチラシやフリーペーパーがいっぱい溜まっていて、A4サイズの紙の間に挟まって、あうやく見逃すところでした。

今年も猫の日がやってきますね。
59人のアーティストが創り出す多彩な猫たちが楽しめる展覧会です。

「おいしいごはんが食べられますように/高瀬 隼子」もやもやが残ったので読み返してみました

「おいしいご飯がたべられますように」

著者:高瀬 隼子
発行日:2,022年3月
発行:講談社

第167回芥川龍之介賞受賞

どちらかというと普段、文学ジャンルの本は読まないのですが、おもしろいという評判を聞きアマゾンで試し読みをしました。

「一日一粒で全部の栄養と必要なカロリーが摂取できる錠剤ができるのでもいい。それを飲むだけで健康的に生きられて、食事は嗜好品としてだけ残る。酒や煙草みたいに、食べたい人だけが食べればいいってものになる」
という文章に共感して購入ボタンをクリックしました。

私も子供の頃、ずっと思っていました。ご飯を食べずに生きられたらどんなに楽だろうと。
食事を楽しむことができない子供でした。だから主人公の二谷が、おいしく食べることを世間から押し付けられていると感じる気持ち、私もよく知っている。勝手に同類意識を持って物語を読み進めました。

しかし、なんだろう。この小説。とっても読みやすい文体なのだけど、読むほどにもやもやしてきます。

主要な登場人物は職場の同僚、二谷、芦川さん、押尾さんの男女3人。
二谷と押尾さんの内面や、ふたりが芦川さんのことをどう思っているか、ということは随所に書かれていますが、芦川さんの内面はいっさい書かれていません。
芦川さんは他者の目や口を通して描かれるだけの女性です。それがこの物語にどことなく不穏な居心地の悪さを与えています。

芦川さんは、男性目線と女性目線と仕事と食べることを通して、多様な要素を詰め合わせて作られた女性。芦川さんのことをどう思うかは読む人によってそれぞれですが、彼女の心の内は分からないので、何を考えているのか読者が勝手に推測することになる。そういうところも、もやもやさせられる一因かもしれません。

最初、二谷にも押尾さんにも他の登場人物の誰にもあまり感情移入できず、この職場の空気も嫌だなあと。まあでも現実、職場ってこんなもんだし、何だかイヤな気持ちにさせる物語だなと思いました。
「おいしいごはんが食べられますように」というタイトルだって、食べることが面倒くさいとか思っている二谷にとっては、押しつけがましい呪いの言葉にも聞こえそう。そう思いながら本を閉じました。

だけど、それだけではないような。何か読み落としているような。消化されない感じが残り、後日読み返し、言葉を拾い直したりして考えていくと、登場人物への印象も変わり、そんなイヤな気持ちにさせる物語ではなかったと思えました。
心に刺さる言葉がいくつもあり、さらっと読んで捨ててしまってはもったいない小説だと思いました。

ネタバレになるのであまり具体的なことは書きませんが、
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」と言った押尾さん。私は押尾さんへの印象が一番変わりました。悪い方からいい方へ。
そして「二谷さんと食べるごはんは、おいしい」と言う。このセリフにぐっと来ました。結末を知っているとちょっと悲しく響く言葉ですが、それでも押尾さんには幸せな時間が確かにあったのだと思えて、それはとても良かったなあ、、、と。

人は生きるためには食べなければならない。大方の人は食べるために働かなければならない。
食べる、働く、食べる、働く、、、延々と続くその循環は楽なものじゃないです。
そんな日々の中で、「ごはんが、おいしい」と思えるとしたら、それはきっと幸せなことに違いない。たとえ束の間でも。独りであっても。

まあ、でも、二谷が「芦川さんと食べるごはんは、おいしい」と思う日がいつか来るのかどうか。それは誰にも分からないことだけど。

『いつかたこぶねになる日/小津夜景』たこぶねの母の生き方

「漢詩の手帳 いつかたこぶねになる日」

  • 著者:小津夜景
      (おずやけい)
  • 発行日:2020年11月
  • 発行:素粒社

著者 小津夜景さんは1973年生まれの俳人。フランスに移り住んで20年余りになるそうです。
本書は著者の日々の暮らしや想いを綴る31編からなるエッセイ。それに日本や中国の詩人たちの漢詩と著者自身によるその翻訳を添えたものです。

南フランスの、海が近くにある暮らし。素朴で繊細でそれでいてタフな生き方が感じられる文章と、歴史の中に眠る詩人たちが詠む漢詩とが不思議と調和するエッセイで、美しさを感じる、丁寧に読みたくなる一冊です。

エッセイの1編目が本の表題にもなっている「いつかたこぶねになる日」です。
たこぶねとは何か?私は全く知らなかったので、鳥羽水族館のYouTubeを見てみました。

タコって大概へんてこりんな形をしている生物ですが、タコブネはさらにへんてこりんで可愛い!
Wikipediaによると

タコブネは、主として海洋の表層で生活する。メスは第一腕から分泌する物質で卵を保護するために殻をつくるのに対し、オスは殻をつくらない。生成される殻はオウムガイやアンモナイトに類似したものであるが、外套膜からではなく特殊化した腕から分泌されるものであるため、これらとは相同ではなく構造も異なる。

成長したメスは、7ないし8センチメートル前後になる。オスはその20分の1ほどの大きさにしかならない。

オスは8本の足のほかに交接腕(「ペニス足」)を有し、交接腕には精嚢が格納されている。交尾は、オスの交接腕がメスの体内に挿入されたのち切断されるかたちでおこなわれ、受精はメスの体内でおこなわれる。メスは貝殻の内側に卵を房状に産みつけ、新鮮な海水を送り込むなどしてこれを保護する。

Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%96%E3%83%8D)

たこぶねの生態はかなり独特ですね。メスがオスの20倍の大きさというのも驚きです。人間のサイズに変換して想像すると、結構おぞましい光景です。
それに交尾したあとオスはどうなってしまうの?というところも気になります。そこを詳しく紹介しているダイビングのショップブログを見つけましたので、興味のある方は読んでみてください。

 「交尾後は大事なペニスを切る 誰も知らないタコブネの真実」Trevallies Ocean : https://trevally.jp/2020/01/28/takobune/

タコブネのオスは体長3~4㎜ほどなので、あまり見つけられることがないらしい。そして交尾のあと、おそらくメスに食べられてその一生を終えているらしい。人間目線で見るととても気の毒なオスです。

とは言うものの本書ではメスだけにフォーカスして読んでみます。
著者はアン・モロウ・リンドバーグの『海からの贈物』を引用して次のように紹介しています。

(たこぶねの)貝は実際は、子供のためのゆりかごであって、母のたこぶねはこれを抱えて海の表面に浮び上がり、そこで卵が孵って、子供たちは泳ぎ去り、母のたこぶねは貝を捨てて新しい生活を始める。
(略)
半透明で、ギリシャ柱のように美しい溝が幾筋か付いているこの白い貝は、昔の人たちが乗った船も同様に軽くて、未知の海に向かっていつでも出帆することができる。

「いつかたこぶねになる日」p12

このタコブネの母に、著者はご自身の母親の言葉を重ねています。

「未知の世界に漕ぎ出せば、そりゃあ死ぬかもしれないけれど、でも自由を知ることができるのよ、あなたが死んでもおかあさんはがまんするから、遠慮なく好きなところに行きなさい」と幾度となく言われたと言う。

著者の母親世代は、現代以上に女性が自分の好きな道を選択できない不自由な時代だったのだと思うと、母親の言葉に胸が詰まります。そしてタコブネの子供たちも大海原に放り出されるように泳ぎ出て、それからどんな困難が待ち受けていることか、、、、

エッセイを読みながら、私の目の前には深みのある青色の海が広がっていて、美しい殻を脱ぎ捨て身軽になったタコブネの母が、さらに深い海に潜って孤独で自由な生活を始める、という動画が勝手に出来上がっていて、それは私にはとても美しい映像でした。

でも現実は、どうなのだろう?
タコのメスというのは卵が孵ったら死んでしまうものらしいから、タコブネのメスもオスと同じように、子孫を残したところで役目が終わったとばかりに死んでしまうものかもしれません。
それでもタコブネの母は大海原で、短い余生を自由に暮らしていると想像したい。
タコにとっては人間がつくった「自由」という概念など全くどうだっていい話とは思うけど。
人間は生きている限り「自由」を求め続け、ときには命さえ懸ける生き物なのだから。

エッセイの1編目から面白くて、早く次を読みたいという気持ちになりました。
でも、春からまた外に出て働きだしたため、思うように時間が使えなくなり、読み始めて5か月以上経っているのに、まだ全部は読み終わっていません。

昨日は病院の待合室で21番目のエッセイを読みました。
タイトルは「紙ヒコーキの乗り方」。

紙ヒコーキを作って河川敷に飛ばしに行く友人夫婦の話から始まって、紙ヒコーキ愛好家の存在、発砲スチロール紙ヒコーキの原材料のこと、そして芸術家ハリー・スミスが拾った紙ヒコーキをコレクションするのは何故なのか?という疑問に話は飛び、そこからポール・ゴーギャンの有名な作品《我々はどこから来たのか?我々は何者か?我々はどこへ行くのか?》に思いが及び、最後は良寛の《僕はどこからきたのか》という漢詩に着地する。

紙ヒコーキから展開する話の広さ・深さに惹きこまれました。

      《僕はどこからきたのか》
                       良寛
僕はどこから来て
どこへ去ってゆくのか
ひとり草庵の窓辺にすわって
じっと静かに思いをめぐらしてみる
思いをめぐらすも始まりはわからず
まして終わりはもっとわからない
いまここだってまたそうで
移ろうすべてはからっぽなのだ
からっぽの中につかのま僕はいて
なおかつ存在によいもわるいもない
ちっぽけな自分をからっぽにゆだね
風の吹くままに生きてゆこう

それにしても、紙ヒコーキを飛ばしに河川敷に出かけてゆく夫婦っていいなあ、って心から思いました。
夫が生きていたら早速提案してみたい遊びです。
物を作ることには手を抜かない性分の人だったからきっと紙ヒコーキとは言え真剣に作って遊んでくれたんじゃないか?って思う、、、今となっては勝手に思うしかできないことだけど。

映画「教育と愛国」観てきました。

昨日、映画『教育と愛国』を観てきました。
久しぶりのガーデンズシネマ。雨にもかかわらず、ほぼ満席でした。

映画「教育と愛国」公式WEBサイト
https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/

『教育と愛国』予告編

TBSラジオ『アシタノカレッジ』に、監督である斉加尚代さんが出演され、教育問題を取材し続けてきたこと、この映画を撮るにいたった経緯など話されています。
そのお話を聞いて、私も劇場に行きたくなりました。
子育て終わったから今さら教科書の問題なんて関係ない、とは到底言えない、とても大事な国の在り方の問題です。

26:36 【ゲスト:#斉加尚代】 ←ここをクリックすると斉加尚代さんのインタビューコーナーにジャンプします

政治が教育に介入すると、歴史が改ざん、もしくはなかったことにされる。例えば、第2次世界大戦において日本国にはまったく加害的な事例はなかったことにされる。
「美しい国日本」を標榜する政府としては、国の黒歴史は消してしまいたいのでしょうが、歴史を改ざんしていいはずない。

2006年に第一次安倍政権下で教育基本法が改変され、「愛国心」条項が戦後初めて盛り込まれました。すると、「愛国心」のもと、「教科書にパン屋のイラストはふさわしくないから、和菓子屋に変えろ」ってことになったりする。
「愛国心」の使い方、おかしくないですか?
「新しい教科書を作る会」、教職員への日の丸・君が代斉唱の強要、日本学術会議任命拒否問題、「表現の不自由展」、「日本会議」の問題、様々な問題に「愛国心」が絡みついています。

映画の中には、ギョッとさせられるというか意味不明な発言をするエラい人たちが何人も登場します。
伊藤 隆(いとう・たかし)さんもその一人。
東京大学名誉教授の歴史学者であり、「新しい歴史教科書をつくる会」の元理事。
現在「日本教育再生機構」の顧問。「国家基本問題研究所(理事長:櫻井よしこ)」の理事。育鵬社の歴史教科書編集会議座長を務める方です。

斉加尚代さんから「教育の目的は何ですか?」と聞かれて、
「ちゃんんとした日本人をつくることです」と答える。
「ちゃんとした日本人とはどういうことですか?」という問いかけには、
「左翼ではない、ということかな」と応じる。

インパクトありましたよ。このシーン。
世の中の大半の人は右翼でも左翼でもないと思うんですけどね。
おそらくこの方は、自分と考えの合わない人たちを「左翼」と呼んでいるのかもしれませんね。
この方は「歴史に学ぶ必要はない!」という迷言も残している歴史学者ですので、一般人にはなかなか理解しがたいです。

斉加尚代さんは、2012年、当時の橋下徹市長記者会見において橋下徹市長から罵倒され、その後多くのバッシングを受けることになりました。

以下の事案について橋下市長に取材するための記者会見の場です。

2012年3月2日にあった大阪府立和泉高等学校の卒業式で、中原徹校長が教頭らに指示して、約60人の教職員が国歌斉唱時に起立しているかだけでなく、歌っているかについて口の動きを確認した。中原は、大阪市長の橋下徹の友人で、橋下が大阪府知事だったときに民間人校長として就任していた。同年3月9日、大阪府教育委員会は国歌斉唱時に起立しなかった教員のうち17名に対し懲戒処分(戒告)を行った。5月8日、橋下の記者会見で斉加が「一律に歌わせるのはどうか」と尋ねたところ、橋下は「ふざけた取材すんなよ」「勉強不足」「とんちんかん」と斉加を面罵。30分間にわたる言い合いとなり、注目を浴びた。このやりとりは動画で出回り、非難メールが斉加の勤務先に1千件以上届いた。

ウィキペディア斉加尚代」から引用

下の動画は、タイトルの付け方から見て斉加尚代さんをバッシングした側のチャンネルだと思われますが、橋下元市長の言説を検証できるデータとして貴重ですね。
橋下徹さんという方も、まともに議論はできない人だと思われますが、この動画のコメント欄には彼を絶賛するコメントが溢れています。「愛国心」ってこんなところで使われるんだなあと、、、、

『教育と愛国』
2022/6/18(土)~24(金)※21(火)休館
24㈮は斉加尚代監督オンライントーク付(要予約)
ガーデンズシネマにて

余談ですが、

武田砂鉄さんの『ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜』が連載されているコンテンツ配信サイト『cakes』が、2022年8月31日をもってサービス終了となります。
私は武田砂鉄さんのコラムを毎回楽しみに読んでいます。といっても無料期間中(1週間)に読むだけで課金することはなかった
なので、廃刊になって残念だと言う資格が私にはないかも。

ああ、可処分所得が増えればなあ、あちこち課金したいんだけどなあ、、、と、ただぼやくだけ。



「『ほとんどない』ことにされている側から見た社会の話を。」「さよなら、男社会」 2冊のジェンダー論を読んで

「『ほとんどない』ことにされている側から見た社会の話を。」小川たまか 2018年

「さよなら、男社会」
尹 雄大(ゆん うんで) 2020年

「『ほとんどない』ことにされている側から見た社会の話を。」
出版社からのコメント

性暴力被害、痴漢犯罪、年齢差別、ジェンダー格差、女性蔑視CM、#metoo運動などを取材し、おもにウェブで発信してきたライター・小川たまかはじめての著作。
2016年から2018年に起きた、性犯罪やそれにまつわる世論、性犯罪刑法改正、ジェンダー炎上案件などを取り上げ、発信してきた記録です。

Amazonの商品の説明から

「さよなら、男社会」内容(「BOOK」データベースより)

僕らはいい加減、都合のいい妄想から目を覚まさなければならない。圧倒的な非対称を生きる僕らは、どうしてその事実に気づけないのか。真に女性と、他者とつながるために、乗り越えねばならない「男性性」の正体とは何か。

Amazonの商品の説明から

たまたまジェンダー論を2冊立て続けに読んで、昭和の時代の記憶がバラバラと蘇ってきた。

中学3年の時、理科の先生(男性)が授業中に、一人の男子生徒を竹箒で何度も何度も殴りつけた。かなり強烈な暴力の光景を思い出す。
現在ならSNSで大炎上案件だと思う。しかし当時、先生が処罰されることはなかったし、なぜ先生がその男子生徒を殴ったのか、理由を知らされることもなかった。

先生が暴力を振るっている間、皆暗く押し黙ったままだった。その教室の重苦しい空気を今も覚えている。「先生やめてください」と言えなかった自分の意気地なさも、悔しくて忘れられない。

漫画やテレビで「スポ根もの」が流行っていた時代だった。
「スポ根もの」といえば、「集団」「厳しい訓練」「根性」「耐え抜き」「やればできる」と煽られ、「できないのは努力が足りないからだ」とパワハラコーチにしごかれ、スランプに陥れば殴り合いの「暴力」が始まり、試合に勝てば男同士抱擁して涙を流す。そんなパターンもあった。
これって軍隊みたいじゃない?ってシラケた視聴者もいただろうと思う。今思うと、いったいどんな世代に受けていたのだろう?と不思議でならない。

「スポ根ドラマ」には女子マネージャーが登場し、道具や飲食を用意したり掃除、洗濯をしたり、時には男子生徒の心の傷を癒したり。男子をサポートしケアする役周り。それはそのまま社会の構図を反映したものだった。

男性は働いて家族を養う経済力が求められ、女性は家事・育児・教育・地域参加・親たちの介護等を担うという、性別による偏った役割分業があった時代だった。

稼ぎの少ない男性は「甲斐性なし」と言われ、女性の賃金が低いのは、男性より能力が劣るからだと決めつけられた。
思い出してみると、いろいろ凄い時代だったなあと思う。いや、まだ過去形になっていないことばかりだけど。

差別用語が書き換えられたからって差別の中身が無くなったわけじゃない。むしろ差別が見えにくくなったかもしれないとも思う。

性別、貧富、能力、容貌、人種、職業、年齢、出自、出身、思想、宗教、などなど、、諸々の偏見・差別・ハラスメントは、学校でも家庭でも会社でも政治でも、あらゆる場所に、今も当たり前のように存在している。(まだ可視化されていないものもあると思う)
全ての人を細かくカテゴリ分けしていくと、誰だってどこかで少数派になるはずなのに、社会的な偏見や差別の対象となってしまう少数派がいるのは本当におかしなことだ。
偏見や差別はないものだという建前から、人はそういう対象の少数派がいること自体をないことにしてしまう。

小川たまかさんの「『ほとんどない』ことにされている側から見た社会の話を。」は、このタイトルにとても気持ちを揺さぶられる。”『ほとんどない』ことにされている側”を考えさせる本だ。

尹 雄大(ゆん うんで)さんは、「社会は厳しいのだ 。甘えるな」という物言いが共通言語としてある男社会の中で、子どもの頃から違和感や苛立ちを感じ苦しんできたという。
「さよなら、男社会」では、いったい何故こんな社会があるのか、男性の暴力性はどこから来るのか、などを深く考察している。

「古来稀なる二人展」お邪魔しました。

皮革染色の山田利喜子さんと、藍染布の末吉昌子さんの「二人展」にお邪魔しました。

中学同級生のお二人が、時を経て再会。革と布、扱う素材は異なりますが、「染め」繋がりで二人展をしましょう、ということになったそうです。

山田利喜子さんの作品は、革のバッグ、着物地と皮のパッチワークの巾着、ベレー帽、ランプシェード、レザー タペストリー、そのほか茶筒などの小物と多種多様。

末吉昌子さんは藍染めの大きなタペストリーを中心に、紬や絣のパッチワーク、刺し子のコースター、オブジェなど。

藍色、紺青色、空色、、、見ているだけで心が落ち着く色です。

「古来稀なる二人展」
2022.4.24(日)~5.1.(日)まで 11:00~17:30

於:「ギャラリーときどき」

「人新世の『資本論』/斎藤幸平」80%読んでからの読書感想

人新世の「資本論」(ひとしんせいの しほんろん)

著者:斎藤幸平
発行:集英社新書/2020年
‎ 新書:384ページ

「新書大賞2021」受賞作

日本は経済大国第3位

日本は経済大国と言われています。

2021年の名目GDP(国内総生産)は世界第3位だったらしい。(「【2021年】最新世界GDP(国内総生産)ランキング 2050年の予測も紹介」参照)

世界第3位の経済大国!と言われてもなんか実感が湧かない。

名目GDPを人口で割った一人当たりの名目GDPで見ると、日本は世界第25位。
生産性の低い働き方で、65歳以上の高齢者も動員して、隠居なんかしようと思うな、身体が動く限り働け、年金を当てにするんじゃない、という掛け声の下に総出で働いて、世界第3位の経済大国です。

年金が当てにならなくても、NISA(ニーサ)がある。iDeCo(イデコ)がある。これで老後は安心。とか言っている政府。いったい誰に向けて言っているのでしょう。昨年、最低賃金がやっと時給821円になった鹿児島市民の身にもなって欲しい。

という市民感情を抱えつつ、話題の本『人新世の「資本論」』を購入しました。
本書は、2021年に新書大賞第1位に選ばれた経済書。それが35歳の若き哲学者が書いたということでも話題になりました。新書としては異例の売り上げとなっているそうです。
私も「哲学者が書いた経済書」という組み合わせに惹かれました。

読み始めたのは昨年の秋頃だったか、、、、
前半はグイグイ読んでいたのだけど、後半からちょっと読むスピードが鈍って年を越し、ついに4月。280ページ目から後書きのページにワープして、全体の80%ほど読んだところで勝手ながら読了としました。

『人新世の「資本論」』を読んで

本書前半部分、資本主義と地球環境問題との関連性を事細かく深く掘り下げているところは、共感を持って読み進みました。

「世界の富裕層トップ10%が排出する二酸化炭素は、その「裕福な生活様式」によって全排出量の半分を占めている」こと。
「先進国」と呼ばれる国が、「どこか遠く」の人々や自然環境に負荷を転嫁し、豊かな生活のため経済成長を続けていること。
「どこか遠く」の国では、資源と労働力を収奪され人々が貧困の中にいること。
二酸化炭素排出量は増大し続けているし、気候変動の深刻さも先送りしてはいけない。
知らなければいけない問題がたくさんあります。
でも、レジ袋を削減して温暖化対策をしていると思い込むことで、現実の危機から目を背けている私たちがいる。

「経済成長を支えてきた大量生産・大量消費そのものを根本的に見直さなくてはならない。」と著者はいいます。そのためには、資本主義に代わる新しい社会システムをつくるべきだと。
地球環境問題は、個人で取り組めば何とかなるというレベルのものではなくなっているのです。

本書の後半には、著者が考えるポスト資本主義の世界観が具体的に書かれているのですが、ここは読む人によって意見が分かれるところかもしれません。

著者が提唱する「脱成長コミュニズム」という社会。
電力や水道や教育、医療、インターネット、あらゆる生産手段そのものを「<市民>営化」する。
社長や株主の「私有」でなく「国営企業」でもなく労働者たち自身による「社会的所有」とする。
市場にも、国家にも依存しない形で、お互いに共同管理のネットワークを広げていくプラットフォームを作る。
過剰な生産はしない、脱成長で地球環境を守っていく、というものです。

著者は「脱成長コミュニズム」社会で人は、自分らしく働ける、安定した豊かな生活と人間らしい自由時間を手に入れることができる、持続可能で公正な社会が実現できるーーと言います。
あまりにもユートピアとして語り過ぎではないでしょうか。何だか、ニュータウン入居者募集のパンフレットを見ているようで、逆に懐疑的になってしまいます。ま、私がひねくれ過ぎかもしれないし、どんな新しいシステムもやってみなければ分からないことではありますが、、、

ともあれ、本書は、先送りできない地球と世界の問題を提示していて、このままの社会システムを続けていていいのか?と問いかけてくる一冊であることは間違いないです。

余談ですが、

世界の超富裕層1%、資産の37%独占 コロナで格差拡大(日本経済新聞 参照)を読むと、世界の上位1%の超富裕層の資産は2021年、世界全体の個人資産の37.8%を占めるまでになったらしいです。

世界の1%、、、、ざっと計算して約7,875万人。結構いますね。


「古来稀なる二人展」開催のお知らせ

「古来稀なる二人展」

2022.4.24(日)~5.1.(日) 11:00~17:30

久々に「ギャラリーときどき」で個展開催のお知らせです。
皮革染色工芸の山田利喜子さんと藍染布の末吉昌子さんの二人展。
お二人は中学生の時の同級生だそうです。
展覧会名は「フルキマレナルフタリテン」って読むのでしょうか?いや、素直に「コキマレナルフタリテン」かな?
お邪魔した時に答えを聞いてみたいと思います。

量子コンピュータ、興味ありますか?おすすめの理系YouTube

以前、読んだサイモン・シンの「暗号解読(上・下)」の最終章に、
「量子コンピュータが実用化されれば、今使っている暗号は難なく破られ、新たな量子暗号を開発する必要があるだろう」
と書かれていて、量子コンピュータって何?いや、その前に量子って何?と関心を持ちました。
ブックオフにて学者によって書かれた新書を入手し読んでみましたが、まったく文章が頭に入ってこず、途中で投げ出していつしか7年経ちました。

最近ネットで、量子コンピュータ関連の記事を目にすることが多くなっています。2030年代には実用化されるとか、現在私たちがPCで使っているRSA暗号は使えなくなる、とか。
そうなると、どうなるの?

暗号については提供するサーバー側の問題だから、末端のユーザーである私が心配する必要はないですよね?とは思けど、古い技術から新しい技術に移行する際には、予想してないような混乱が起きるものだし、便乗詐欺も横行するかも。10年なんてもうすぐそこ、って感じがする。
この際「量子コンピュータ」「量子」について学んでみたいと、YouTubeであれこれ視聴して聴き比べてみました。
その結果、まったく理系に疎い私が面白いと思った動画を下記に紹介します。

エンタメとしても楽しめる理系YouTube

20分弱にコンパクトでテンポよくまとめていて、耳に入りやすい動画でした。視聴している側が疑問に感じるところもちゃんと抑えていて、とても丁寧に作られているなあと思います。
まずはざっくり理解してから、分からない部分は別の動画を探してみる、といった感じで理解を深めていきたいものです。
とりあえずは、量子コンピュータを使って便利な社会が作られるまでに、まだまだ数十年はかかりそうな感じですね。

私のように数学も苦手だと、数字とか計算とか、ほんっとに「嫌いだーーー!!」と叫びたくなるRSA暗号の仕組みが紹介されています。
おっしーの最先端テクノロジー and サイエンス」に上がっている動画は、どれも興味深いタイトルばかりで、私が疑問に思っていたことにぴったり刺さるというか、ついつい夢中になって全部見てしまいました。
たいていの動画は10分程度にまとめられています。


こちらも10分~30分程度にまとめられています。物理に特化したコンテンツですが、「難しい理論や方程式が理解できなくても物理は楽しい!」をコンセプトにされていて、数式はあまり出てきません。
物理の話を楽しそうに話すのもとさんのキャラクターのおかげで、聴いているこちらも楽しく聴けます。
物事を知らない人にも分かるように教えることができて、しかも楽しませることができる人って凄いなあって思います。
学校の先生が皆こんな感じだったらなあ、、、、、、、。
いやいや、高校や大学の受験を目標に授業していた先生たちに言わせれば、「出来の悪い生徒を楽しませる余裕はないよ!」「数式も必要だから覚えろ!」って感じかもしれませんが。

量子コンピュータ研究者のYouTube

本格的にがっつり勉強したい、数式が出てきても平気という人には、大阪大学基礎工学研究科 藤井研究室の配信動画がおすすめです。おそらく本気の人は既にこういう動画を観ていると思いますが。

「量子コンピューティング」2回~14回の配信は、私にとっては、数式、方程式、使ったことのない単位、耳慣れない用語などで構成されている動画でしかなく、、、。なので第2回を聞き流しただけで継続視聴を諦めました。
この配信を14回まで完全視聴できて理解できる人、きっとそういう人たちに人類の未来は託されているんだろうなあ、なんてことを思わずにはいられませんでした。

前編・中編・後編の3部構成になっている「阪大教授が解説する量子力学と量子コンピュータ」は、図解入りで比較的分かり易く、一般人向けの動画になっています。
自宅で手作りできる量子干渉実験装置の作り方なども紹介されています。


以上、量子コンピュータ関連のYouTubeサイトを3つ紹介しました。
実際はもっとたくさんのサイトを視聴したのですが、いくら数多く視聴してみても、「量子の重ね合わせ」って何とも理解しにくくて、もやもやが残ります。
「量子の重ね合わせ」は見えないところで起こっていて、観測すると消えちゃう。
誰も見たことないけど、実験の結果から「量子の重ね合わせ」が在ると分かっている。
量子は「粒子でもあり波動でもある」と考える人もいれば、「粒子でも波でもない何かである」と考える人もいて、実のところよくは分かっていない。
とにかく量子とはそういうもんだと受け容れてください、ということなので受け入れるしかないのですが、、、そんなもやもやした量子で私たち人間も、世界も造られているって話ですね。

「線は、僕を描く/砥上裕將」私の知らない水墨画の世界

「線は、僕を描く」

著 者: 砥上 裕將 (とがみ ひろまさ)
出版社 ‏ : ‎ 講談社
発売日 ‏ : ‎ 2019/6/27
単行本 ‏ : ‎ 322ページ

第59回メフィスト賞受賞
2020年本屋大賞第3位!
「ブランチBOOK大賞2019」受賞!
「未来屋小説大賞」第3位
「キノベス!2020」第6位

先月、姉から薦められて読んだ本です。
メディアで話題になったということで、図書館でも貸し出し中が続いていて、年明けにようやく借りることができました。

著者の砥上 裕將(とがみひろまさ)さんは、1984年生まれの水墨画家。
水墨画の絵師さんが書いた小説というのは、とても珍しい。というより、水墨画というジャンル自体、現代では馴染みが薄いように思います。
ウィキペディアによると日本における水墨画の全盛期は室町時代だったらしい。全盛期は過ぎたとはいえ、現在に至るまでその技術・技法は伝統文化として継承されているようです。
私は美術の教科書で目にした程度の知識しかなく、学校で習った覚えもないので、未知の世界への好奇心を持って読み始めました。

粗方のストーリーを書くと、

主人公の青山霜介は高校生の頃事故で両親を亡くし、突然独りぼっちになってしまった。それ以来、大学生になった今も自分の心の内側にガラスの部屋を創りあげ、その中に自身を閉じ込めている。
ある日偶々水墨画の大家篠田湖山と出会い、半ば強引に弟子にさせられてしまう。そうして水墨画の修行が始まり、虚無の中にいた彼の生活が少しずつ変化していく。

といったところ。表現することで喪失感から立ち直っていく再生の物語という、どちらかというとありがちな構図なのですが、本書の読みどころはそこではない。
いや、そこだよ!っていう感想の声も多いと思いますが、私は絵師による指導と修練、その丁寧な描写に惹きこまれました。
いわば水墨画の指南書として、この本を読みました。

一本の線に水墨画特有の型があり、何度も何枚も描き続けてその技術・技法を習得していく。
一度描いてしまった線は消すことができない。描くスピードにも墨にも筆に含んだ水分にも、否応なしに左右されてしまう。
作品はいつだって下書き無しの一発勝負。「勇気がないと線なんて引けない」と言う。
一本の線を描くことさえどんなに難しいか、緊張感を持って伝わってくる。そんな水墨画の世界を描いた物語です。

講談社のウェブサイトに本書の紹介ページがあるので、興味のある方はそちらをご覧ください。水墨画に必要な道具や用語、著者からのメッセージなども掲載されています。

https://senboku.kodansha.co.jp/

実技の動画。必見です。

 instagram.com/yokotanji/

本書の表紙は、イラストレーター丹地陽子さんのイラストです。私はこの方のイラストも大好きで、時々インスタを覗いたりしています。

通畠義信氏が「第76回南日本美術展JAL賞」を受賞されました!!

本サイトでご紹介しています通畠義信氏が「第76回南日本美術展JAL賞」を受賞されました!

おめでとうございます。
JAL賞は2005年以来2度目の受賞になります。

『Godzilla island-来歴-』

2017年から2019年は 「ハエの家シリーズ」 で3回続けて海童賞を受賞されていた通畠氏。「ハエの家シリーズ」は2019年で完結したと聞きました。
今回は「ゴジラ島」です。今までとはがらりと作風が変わった感があります。
島の周りをぐるっと回って表から裏から見える景色を鑑賞したい作品です。
現在この島は市立美術館にありますが、「やはり野外にあって欲しいなあ」などと思いながら観ました。

第76回南日本美術展は今日から開催です。

 2021年 11月20日(土)-12月5日(日)

黎明館/鹿児島市立美術館


詐欺メールは進化していた

使っているヤフーメールに、アマゾンの名を騙る詐欺メールが送られてきました。先月から3度も。

メールの最後に書かれた「私たちと一緒に買い物をありがとう」というフレーズは、日本人には出せないフレンドリーな味があって、ちょっと楽しい文章ですね。

このメールはヤフーのフィルタリング機能によって迷惑メールにフォルダに入れられているし、そもそも私はアマゾンプライムの会員ではないので、これがなりすましメールであることは明らかです。

そのまま削除してしまえばいいのですが、どんな偽メールアドレスが作られているかなあとちょっと好奇心が湧き、送信元アドレスを見 てみました。

from:を開いてみると、送信元アドレスが「no-reply@amazon.co.jp」となっていて、アマゾンのドメインが使われていることにびっくりしました。
これまでのなりすましメールは正規のアドレスとよく似ていて紛らわしいドメインだったり、フリーメールだったり、英語のoを数字の0にしてあったりみたいなものでしたが、今回の偽メールのドメインは正規のamazon.co.jpと全く同じでした。

そもそも正規のドメインで詐欺メールを送るなんて、そんなこと可能なの?
と疑問に思い調べてみると、なんと”可能”でした。

迷惑メール対策に関する情報を公開している「財団法人インターネット協会」のサイトに、なぜ、嘘のメールアドレスが書けるのか?本当の差出人のメールアドレスを知るにはどこを確認すればよいのか?などについて丁寧な解説がありました。

メールのFrom:だけを見て本物かどうか判断するのは危険なようですね。
本当の差出人を知るには、メールのヘッダーを開いて、Return-Path:に続くアドレスのドメインを確認しましょうということです。

私にきたなりすましメールのヘッダーは以下の通り。

ヘッダー部分がいつもオープンに表示されていれば、なりすましもしにくくなるだろうになあと思ったりしましたが、情報量が多すぎて表示が難しいのでしょうか。分からないけど。。。。

私が知らなかっただけで、ドメインの偽装なんて当たり前に行われていて、こういうなりすましメールは、だいぶ以前から出回っているようです。

日本データ通信協会の「迷惑メール相談センター」⇒要注意メールサイトには、注意すべき迷惑メールに関する情報が随時掲載されています。
おかしなメールがきたら、このサイトで確認してみるのもいいと思います。
文章を眺めるだけでも結構面白いです。

『アート・ヒステリー/大野左紀子』「自由」「個性」「創造」の幻想

『アート・ヒステリー』—なんでもかんでもアートな国・ニッポン

著者 : 大野左紀子

出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社

発売日 ‏ : ‎ 2012/9/26

著者の大野左紀子さんは、以前はアーティスト活動をされていたが、それをすっぱりやめて現在は文筆活動をされているという経歴の方です。
図書館でたまたま手にして、『なんでもかんでもアートな国・ニッポン』という副題に惹かれて表紙をめくると、
表紙の裏にはこう書かれていました。

アートは”希望”の灯火ではない。
人々を結ぶ”絆”でもない。

「アート=普遍的に良いもの」ですか?そこから疑ってみませんか?
アートが分からなくても、それは当たり前。
民主主義の太陽が生んだ「自由」と「個性」を掲げる美術教育と、
資本主義の飴がもたらした増殖、拡大し続けるアートワールド、
それらを通して、アートと私たちの関係を読み解いていきます。

たまに現代アートとかポップアートとか紹介される作品をニュースか何かで観て、「これもアートなの?」「これがなんで何十億円?」と驚くことがあります。

単にきれいな作品というだけではアートではない、とも言われるし、デュシャンの「泉」のように社会への問題提起というかメッセージが込められていれば、既成の便器がアートだ、芸術だ、となる。
それまでの既成概念を覆すこと、そのこと自体がアートなのか?
作品に物語性を込めることはそんなに大事なのか?説明されなければ分からない物語でも必要なのか?
アートについて日頃疑問に思うことはたくさんあるし、そもそも、「アート」と「芸術」の境界線が私には分からない。

誰かが、たぶんその時代の権威ある誰かが、これは「芸術」であると認定した作品を、私は「芸術」として観ているだけだと思う。
「芸術」と言われると単に好き嫌いで語られるものであってはならないし、何か意味のあるものだと思ったりするし、理解できなくても当たり前だと思ったりする。
とはいえ、周囲を見渡すとそんなに誰もがアートに興味があるわけでもなさそうだし、私が働いてきた職場でアートが話題になったことはないし、アートに興味があるのはアート業界の人たちだけなのかな?って思ったりする。

という様々な思いを巡らしながら、本書を読み始めました。
本書の目次は下記の通り。


「第一章 アートがわからなくても当たり前」

  1. ピカソって本当にいいですか?
  2. 疎外される「わからない人」
  3. アートの受容格差
  4. 「美術」はどこから来たのか

「第二章 図工の時間はたのしかったですか」

  1. 芸術という「糸巻き」
  2. 日本の美術教育
  3. 夢見る大人と現実的な子ども
  4. 問い直される理想

「第三章 アートは底の抜けた器」

  1. 液状化するアート
  2. 空想と現実の距離
  3. 村上隆の「父殺し」
  4. アートの終わるところ

本書は西洋美術がいかにして日本に取り入れられてきたか、民主主義や資本主義の観点から、児童に対する学校教育の観点から、そして現在の商業主義的なポップアートの事象などから、読み解いていて、”アートを語りたい!”という著者の熱意を感じる本でした。

ヒロ・ヤマガタやバンクシーのエピソードも面白かったですが、特に興味深かったのは、「第二章 図工の時間は楽しかったですか」です。

明治時代、小中学生の図画教育は、ひたすらお手本を模写し、図形や立体物を描写する「臨画教育」と言うもので、これの目指すところは「富国強兵と近代工業の発展に寄与する実用的な”眼と手の訓練”」だったという。
その後、社会の変革に伴う諸々の思想に影響されながら第二次世界大戦を経て戦後50年代に登場したのが「創造主義美術教育」(略して創美)。
「創美」の理念は「児童の想像力をのばすことは児童の個性をきたえる。児童の個性の伸長こそ新しい教育の目標」というものだったそうです。

そして70年代以降、図画工作・美術の学習指導要綱に次々と新メニューが盛り込まれ、それらを総合すると「創造性の育成」「豊かな発想」「造形的創造活動」「自由な表現力」「つくりだす喜び」「豊かな人間性」などといった目標が並びます。
そのあまりにも高い目標に、私は驚いてしまいました。

そして、本書によると小中学校では指導要綱の中に「絵の描き方を教える」という項目はないという。
「子どもの中にあらかじめ表現したい欲求があることが前提になっている」ので「教えるのではなく子どもが主体的に行うことを支援する」というのが学校側のスタンス。
子どもは誰もが皆生まれながらにしてアーティストだ、と大人は思っているのでしょうか。
子どもは皆自由で豊かな発想ができてそれを表現できる力を持っているはずだ、という幻想を抱いているように思えます。
ましてや、美術が「豊かな人間性」を育成するなどと、何を根拠にそう考えるのか、、、、、
学習指導要綱なんてお題目だけで、まあ、別にアーティストを養成しようと考えていたわけではないとしても、観念的なものを求め過ぎじゃないでしょうか。

著者は子どもへの教育について、
「美術についての知識や理解を深める「美術の教育」が不十分なまま「個性」「自由」「創造性」を賞揚することによって、子どもは美術を「無論理」的で「説明不能」なものと捉えるようになる」と危惧し、「美術の方法論を理解させる教育」、鑑賞することや知的理解も必要と書いています。

私も中学生の頃に、絵の描き方や方法論というものも学んでみたかった。あの頃はネットもYouTubeもなかったし。
画家とか彫刻家とか陶芸家とかイラストレーターとか漫画家とか、アニメーターとか、とにかくいろいろな美術業界の方たちが実際にどうやって制作しているのかを、子どもの頃に知ることもできたら面白かっただろうなあと思う。
「豊かな発想」や「自由な表現力」という、私にはハードルの高い「才能」と言えるものの有無に捉われず、もっと幅広い美術の楽しみ方も見つけられたのではないかと、今更ながら考えました。

絵画への興味が倍増するかも!?YouTube『山田五郎 オトナの教養講座』

美術評論家・山田五郎さんのYouTube「社会人になったばかりの20代から、老後の学び直しまで、 全てのオトナに送る」『山田五郎 オトナの教養講座』が面白い!

毎回、助手「ワダさん」が持ち込んだ一枚の絵画を、山田五郎さんが解説するというスタイルの動画です。
画家たちのエピソードはもちろん、その時代の文化、史実も詳しく紹介され、 美術好きの方なら好奇心をくすぐられるのではないかと思います。

美術についてはさほど知識がないという「ワダさん」が、「この絵、なんでこうなんですか?」と毎回疑問を呈する、その 目の付け所も面白いです。

【現代絵画の父】セザンヌのリンゴはなぜ落ちない?【実は〇〇っぴ】

ワダさんの疑問、「セザンヌのリンゴはなぜ落ちないの?」
その答えは、「セザンヌはマジ絵が下手だったから」。

「近代絵画の父」と呼ばれるセザンヌは絵が下手だけど、だからこそ新しい発想が生まれ、後世多くの画家に影響を与えたというエピソードは興味深かったです。
美術好きの方でなくても楽しめる「教養講座」ではないかと思います。


著作権使用料がかかるために紹介できない作品も多いようですが、『山田五郎 オトナの教養講座』を生配信すると、視聴者から著作権の購入金に充ててくださいと多額のスパチャが寄せられました。

その後ピカソの作品が2枚、紹介されました。

なぜピカソはあんな「わけのわからない絵」を描いたの?下手なの?【皆様の浄財で実現!※もしや1年限定公開!?】

気になる映画「パンケーキを毒見する」

6月に、「菅首相題材の映画、公式ツイッターアカウントが一時凍結」という記事を読んで、この映画の存在を知りました。イラストも目を惹きます。

画像
映画「パンケーキを毒見する」ポスター

菅義偉政権の正体に迫るドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』の予告編

タイトルとポスターを見れば、この映画が管政権へ批判的な内容であることは容易に推測できます。
だからといって、自由民主主義国家において国民の表現手段である映画が、「作品の告知しかツイートしていない段階」であるにも関わらず、「攻撃的なツイートや行動」などと判定され、アカウントを凍結されるとは!
何だか日本も中国みたいになってきたじゃないですか。政権批判的なものは、あからさまに潰されていくのかしら?
逆にどんな映画なのか、この目で味見したくなるってものです。

2020年9月、内閣総理大臣に就任した菅総理。
コロナ禍の中でオリンピックを開催することさえ「普通ではあり得ない」のに、緊急事態宣言を出してなお、オリンピックはやるぞ!と意気込みは揺るがない。信念の人、菅総理。
緊急事態宣言下ならオリンピック中にコロナ感染者が増える心配も少ないし、安心安全な大会が開けることでしょう。
もっと安心するために「酒販売事業者には酒類の提供を続ける飲食店との取引停止を要請」して菅さんをサポートする田村厚生労働大臣(訂正しました。言い出しっぺは⇒こっちの人)西村康稔経済再生担当相。
安心するのは政権側だけで、国民の不安は残ったままです。
オリンピックが終わった後に感染者が増えたとしても、それはオリンピックとは関係ないからね、っていう政府の思惑も透けて見えます。

こんな日本のオリンピックを海外から辛辣に批判したコラムを目にしました。

話題を呼んだ「ぼったくり男爵」著者、再び辛辣コラム
米紙「東京五輪、安全安心なのは自己責任同意書で武装したIOCだけ」

https://courrier.jp/news/archives/252544/


日本国内に住む国民は、思っていても言いたいことを言えない空気に支配されているのか、長い物には巻かれろという国民性なのか。
政府が何が何でもオリンピックをやると言えば、「じゃあ、せめて無観客でお願いします」といつの間にか無観客を譲歩案にしてしまう。
「いーや、無観客でもやらない!」と強く言い張れる一般人がどれだけいるでしょうか。

私のように地方に住んで、スポーツと全く関連の無い一般人の周辺では、オリンピックの話題は全く出てきません。
今一番の関心事はワクチン接種で、早くこのコロナ禍から解放されたい、という切実な願いがあるだけです。

鹿児島で『パンケーキを毒見する』の上映は、9月11日(土)から、ガーデンズシネマであります。
オリンピックもパラリンピックも終わったあとなので、今とは別の地平から映画を鑑賞できるのではないでしょうか。

最近の他愛もない私事

読書と自動車免許更新とコロナのこと

小学5年生の時、学校の図書館で初めて漫画じゃない本に手を出し、読書の楽しさを知りました。

大人になって、数々のパート・バイトに応募する際、履歴書の趣味の欄には必ず「読書」と記入してきました。
面接で「好きな小説は?」と聞かれたらレイ・ブラッドベリの『火星年代記』と答えよう。ついでに一番号泣した本は三浦綾子の『塩狩峠』。一番笑った本は奥田英朗の『イン・ザ・プール』。初めて読んだ小説は江戸川乱歩の少年探偵シリーズ『地獄の道化師』。
と答える準備はできていたのだけど、残念ながらというか幸いにもというか、一度も聞かれたことはなく、「読書」は「無趣味」と同じ扱いなのだと知りました。

長い読書歴を持ち、数多の本を読んできた私ですが、このところ別の趣味が生活の優先順位上位になっているため、読書に費やす時間がめっきり減ってしまいました。
今年はまだ6冊しか読んでいなくて、とても「趣味は読書」と胸を張って言えない状況です。

パソコンに触れることができない環境で、ただ何かを待つだけの無為な時間があればなあ。集中して本を読めるのだけど。と思っていたら、この冬、それにぴったりの時間を提供してくれる、5年に1回のイベント、自動車免許更新の時期がやって来ました。
毎回、更新手続きには、交通安全教育センター入り口の外から手続き窓口まで長い行列ができ、30分くらいかけてじりじりと歩を進めるので、結構立ち読み読書に適しているのです。 

ところが今回の免許更新は、感染対策によって立ち読み時間は無くなりました。
センターに行くと、まずグループ分けした整理券を配られ、5,6分、自分の車の中で待機。
放送でグループ番号が呼び出され、椅子のある待機所に集められる。10分ほど椅子に座って待つ。
密にならないよう、スタッフがグループごとに手続き窓口まで誘導してくれる。
例年より時間がかからず、外で並ぶ冬の寒さもなく、椅子に座って待っていられる。とても高齢者に優しくスムーズなシステムになっていました。
なぜ今まで、ただただ立って並んで進む、という雑なシステムを続けていたのだろう?
免許更新手続きに関しては、新型コロナがなければ、楽な方に改善されることはなかっただろうと思うと、ちょっと複雑な気持ちでした。

どんなシステムも完璧なものはなく、いくらでも改善の余地があるものだと思います。
実際、コンピュータのOSなんて、常にアップデートを続けています。アップデートをしなければ、システムを続けていくことができないから。
だけどこの社会には、何十年もアップデートされないまま続けられている、不具合だらけのシステムって、まだまだたくさんありますねえ。昭和生まれ(あるいは昭和以前から)のシステムとかルールとか。
一度”まるごと一斉見直しキャンペーン”を張ってくれないかなあ、と思ったりします。

とはいえ、今の社会で決定権を持っている人たちって、まだまだ昭和のままでいることを望んでいる昭和の大人が多いのですよ。国会中継を聞きながら、そんなこと思ったりしています。

卵なしの親子丼とオリンピックのこと

先日久しぶりに親子丼を作ったところ、卵を入れ忘れてしまいました。
卵なしのため、「鶏肉と玉ねぎのスープ」となってしまったものをご飯にかけ、お箸で食べながら「親子丼ってこんなに食べにくいものだったかなあ」、と違和感を感じつつも完食しました。
なんとなくもやっとした不満が残ったものの、卵の入れ忘れに気づいたのは翌日になってからでした。

ついにアレかな、物忘れの激しいヤツが始まったのかな?と言われそうですが、いやいやたまたまです。その日は他のことで頭がいっぱいだったせいです。
それに親子丼に卵を入れ忘れたことは、私にとってはたいした問題じゃないのです。元々料理が苦手なのだから。
問題なのは、食べにくいと感じながらもスプーンを使わなかったことと、卵が入っていないのに親子丼だと思い込んででいたことです。
これは何だか、新型コロナ禍の中にあってもオリンピックを開催すると言っている今の政府の状況に似ているような気がする。

「オリンピックが開催されるとしたら、スーパー・スプレッダー・イベントになるだろう」と危惧する専門家の声もある中、政府や組織委は、「コロナに打ち勝つ、安心・安全なオリンピックを開催する」と、同じ文言をオウムのように繰り返しています。
オリンピックの開催と中止、どちらが政府にとって得か、どちらが9月の選挙10月の総選挙に有利か、おそらくそのことで頭がいっぱいなのかも。政府にとっては国民の命や生活よりもオリンピック開催の優先順位が高そうです。
そして、今のところ、無観客であっても開催した方が得だと思い込んでいるようです。観客の入らないオリンピックなんて、卵のない親子丼と同じなのに。

感染対策としてアスリートと一般人が接触しないように分断され、アスリートたちは厳しい行動制限を強いられる。その割にはアスリート以外の関係者たちの行動規制は緩くて、感染対策は穴だらけ。
参加できない国もあるし、参加を拒む国もある。こんな状況でオリンピックを開催する意義があるのかと疑問に思います。
昨年、政府はオリンピックを「完全な形で開催する」言っていましたが、今はもうオリンピックの形をしていないスポーツ競技大会を、「コロナに打ち勝った証としてのオリンピック」と言い張る人たち。嘘をついて招致したオリンピック。その後も嘘の上塗りを続ける政府や組織委の姿勢。私はしっかり見届けたいと思います。

とまあ、親子丼とオリンピックを無理やりこじつけてみましたが、、、、

日本人は新型コロナによる死者数が欧米やインドに比べると少ないとは言え、最近では一日に100人前後の人たちが亡くなってます。もし目の前で100人の人たちが亡くなるのを毎日見たら、ただ事ではないと大騒ぎになるはずですが、全国に数が散らばっているので、たいした死者数ではないとうやむやにされているような感じです。

ワクチンも行き渡っていない現状で、オリンピックが開催されれば、人の動きは全国に広がり、自粛生活も大義が見いだせず、なし崩しに崩れ、第5波と呼ばれる波は今まで以上のものになると思えて仕方がないのです。

「スポーツを通 して文化や国籍などの違いを越え、フェアプレイの精神を培い、平和でより良い世界を目指 す」というオリンピックの理念を考えると、別に4年に1回、一つの都市で世界大会をしなくたって、1年ごとでも、競技別でも、複数の都市でも、それなりの大会を開いて、世界平和を目指してもいいのでは?と思います。

「新型コロナ関連の情報提供:NHK」

プラグイン無しで作った「ページナビ」と「トップへ戻るボタン」

最近、何かと身の回りを整理したくなる断舎利モードに入っていて、2年以上着なかった服とか、10年近く着こんでいる服とか、使わなくなったバッグとか、再読しそうもない本とか、使うかも~と取って置いた紙袋とか、インストールしたけど活用してないスマホのアプリとか、、、、諸々処分しています。

その流れで当サイトを見直してみると、インストールしているプラグインが多過ぎるのではないかと気になりました。
確かにプラグインは「こんなのが欲しかった!」という機能を簡単に実装してくれる便利なものです。
その便利さと単なる好奇心から、これまで多数のプラグインを試してきました。
導入しても使い勝手が悪いものも多く、その都度削除を繰り返してきて、現在21個のプラグインが入っています。
中には何のために入れたか忘れてしまったプラグインもあり、これはちょっとまずい状況です。
プラグインの入れ過ぎはデメリットが大きい。

WordPressでプラグインを導入するときの心構えと、初心者におすすめの7つのプラグイン

https://thewppress.com/basic/plugins-for-newbies/ 参照

プラグインは更新がたびたびあって煩わしい上に、更新を怠るとそれもまた不具合の元です。
当サイトも以前「WordPress Related Posts」の更新時に重大な不具合が起きたこともありました。
⇒「プラグインを使わないで、関連する投稿記事を表示する

便利だからとプラグインを安易に導入するより、できるだけプラグイン無しで機能を実装できる方法を見つけていきたいと思います。Google先生の力を借りて。

というわけで、今回、比較的簡単にできそうなものを見つけましたので、メモしておきます。

(1)ページナビをプラグイン無しで作る

これまでページ送りの表示にはプラグイン「WP-PageNavi」を使っていましたが、これをプラグイン無しで作る方法が下記サイトに書かれていました。

「WordPressにプラグイン無しでページネーションを設置する方法」 

https://coliss.com/articles/blog/wordpress/how-to-build-a-wordpress-post-pagination-without-plugin.html 「コリス

ノーマル版と拡張版の二通り紹介されていますが、私はPagination without plugin:拡張版の方をまるっきりコピーして実装できました。興味のある方は「WordPressにプラグイン無しでページネーションを設置する方法」を参考になさってください。
出来上がりは、こんな感じです。↓

ページネーションを表示させる場所は、当サイトではテーマテンプレートの「index.php」のみにしました。

(2)TOPへ戻るボタンをプラグイン無しで作る

プラグイン「Royal Scroll to Top」を使って表示していた「トップへ戻るボタン」、これもプラグイン無しで作ることにしました。
アフィリエイトで稼ぐ方法を全部話そうと思う」というサイトの下記記事が分かり易く、とても参考になりました。というか、サイト主さん自作のJavaScriptをそのまま(勝手に)使わせていただきました(ありがとうございます)。

 ページの先頭に戻るボタンを自作してみた 
 自作のJavaScriptをWordPressで利用する方法

アフィリエイトで稼ぐ方法を全部話そうと思う」参照

cssを少し書き換えて、丸いボタンを作りました。

/* topへ戻るボタン */
#scroll-top{ /* ボタンのデザイン */
	background-color:#000; /* ボタンの背景色 */
	color:#fff; /* ボタンの文字色 */
	text-align:center; /* ボタン内の文字を中央に */
	position:fixed; /* 画面がスクロールしても固定する */
	right:100px; /* 固定する場所は右から100px */
	bottom:20px; /* 固定する場所は下から20px */
	display:none; /* ボタン表示は最初は非表示 */
	margin:0 0; /* ボタンの余計な余白はいらない */
	border-radius: 50%; /* 円形にする */
	-webkit-border-radius: 50%; /* Safari,Google Chrome用 */
	-moz-border-radius: 50%; 
	cursor:pointer; /* カーソルを指のマークに */
	opacity:0.6; /* ボタンの透明度 */
	}
	 
	#scroll-top p{
		font-size: 14pt;/* ▲のフォントサイズ*/
		padding:16px;/* ▲の余白 */
		text-decoration:none;
		display:block;
	}
	 

出来上がりはこんな感じです。↓

パンくずリストをプラグイン無しで作る

今回はプラグイン無しでパンくずリストを作ったので、備忘録としてメモしておきます。

作成にあたって、とても分かり易い解説がされている下記サイトを参照いたしました。(感謝!)

WordPress】パンくずリストをプラグイン無しで自作する方法

オリジナルゲーム.com【WordPress】パンくずリストをプラグイン無しで自作する方法」参照

作成手順は、

  1. 作業前に変更するファイルのコピーを取っておく(※これ、大事です)
  2. functions.phpにコードを追記する
  3. パンくずを表示させたいファイルにコードを追記する
  4. style.cssでスタイルを整える
  5. category.phpとtag.phpの二重表記を修正(必要があれば)

2.functions.phpに追記したコード

「【WordPress】パンくずリストをプラグイン無しで自作する方法」に掲載されている完成版を、まるっきりコピーして使用させていただきました。

// ===========================
// = パンくず =
// ===========================
function mytheme_breadcrumb() {
    	//HOME>と表示
    	$sep = '>';
    	echo '<li><a href="'.get_bloginfo('url').'" >HOME</a></li>';
    	echo $sep;
     
    	//投稿記事ページとカテゴリーページでの、カテゴリーの階層を表示
    	$cats = '';
    	$cat_id = '';
    	if ( is_single() ) {
    		$cats = get_the_category();
    		if( isset($cats[0]->term_id) ) $cat_id = $cats[0]->term_id;
    	}
    	else if ( is_category() ) {
    		$cats = get_queried_object();
    		$cat_id = $cats->parent;
    	}
    	$cat_list = array();
    	while ($cat_id != 0){
    		$cat = get_category( $cat_id );
    		$cat_link = get_category_link( $cat_id );
    		array_unshift( $cat_list, '<a href="'.$cat_link.'">'.$cat->name.'</a>' );
    		$cat_id = $cat->parent;
    	}
    	foreach($cat_list as $value){
    		echo '<li>'.$value.'</li>';
    		echo $sep;
    	}
     
    	//現在のページ名を表示
    	if ( is_singular() ) {
    		if ( is_attachment() ) {
    			previous_post_link( '<li>%link</li>' );
    			echo $sep;
    		}
    		the_title( '<li>', '</li>' );
    	}
    	else if( is_archive() ) the_archive_title( '<li>', '</li>' );
    	else if( is_search() ) echo '<li>検索 : '.get_search_query().'</li>';
    	else if( is_404() ) echo '<li>ページが見つかりません</li>';
    }

3.パンくずリストを表示させたいファイルに追記するコード

<div class="mytheme_breadcrumb">
    <?php mytheme_breadcrumb(); ?>
       </div>

パンくずリストを表示させたいファイル
  ・single.php
  ・category.php
  ・tag.php

コードを追記する位置は各ファイルの<div id=”content” role=”main”>の下になります。<div>のクラス名は任意。

4.style.cssでスタイルを整える(一例:2021/03/27修正しました)

/* パンくず */
.mytheme_breadcrumb li {
    font-size: 90%;
    display: inline-block;   
}

5.category.phpとtag.phpの二重表記を修正

私が使っているテンプレートでは、カテゴリーとタグページに元々パンくずが表示されていたので、二重表記になってしまいました。スタイルを統一するために
category.phpとtag.phpのコードを一部削除しました。

category.phpで削除したところ

<h1 class="archive-title"><?php printf( __( 'Category Archives: %s', 'twentytwelve' ), '<span>' . single_cat_title( '', false ) . '</span>' ); ?></h1>

tag.phpで削除したところ

<h1 class="archive-title"><?php printf( __( 'Tag Archives: %s', 'twentytwelve' ), '<span>' . single_tag_title( '', false ) . '</span>' ); ?></h1>

新しいPCについて(その2)AdobeCCを購入する前に知っておくこと

Adobe Creative Cloudのプランを検討する

「新しいPCについて(その1)Google Chromeが削除できない!を解決!」にも書きましたが、先月から新しいPCを使い始めました。

新しく購入したPCはWindows 10なので、手持ちのIllustrator CS5とPhotoshop CS5のパッケージ版をインストールすることができなくなり、Illustratorを使いたければAdobe Creative Cloud(略してCC)のサブスクを利用しなければならない状況になりました。

https://www.adobe.com/jp/creativecloud.html?promoid=ZP46FD38&mv=other

20221年2月現在、Adobe CCのサイトでプランを検討したところ、すべてのアプリを完備したコンプリートプランは年間プランの月々払いー6,248円/月(税込)。
学生・教職員であれば、65%以上OFFー2,178 円/月(税込)。

残念ながら私は学生でも教職員でもないし、月々6,248円出せるほど太っ腹でもないので、欲しいアプリだけの単体プランを検討してみたところ、

Illustrator – 単体プラン 年間プランの月々払いー 2,728 円/月(税込)
Photoshop – 単体プラン 年間プランの月々払いー 2,728 円/月(税込)
Dreamweaver – 単体プラン 年間プランの月々払いー 2,728 円/月(税込)

単体で3つアプリ選ぶと年間プランの月々払いー8,184円/月(税込)。
コンプリートプランより高くなります。

仕方ない。この際Dreamweaverは代替のフリーソフトを探すことにして、IllustratorとPhotoshopの2つだけを購入すると、年間プランの月々払いー5,456円/月(税込)。これでもまだ高い。

何とかならないかとネット検索して見つけたのが下記の記事。

Photoshop、Illustratorのみを利用する最安のお得なおすすめプランは?[Adobe Creative Cloud]

上記の記事でお勧めしているのが、Photoshop – 単体プランでなくフォトプランという選択です。

フォトプラン 年間プランのみの月々払い — 1,078 円/月(税込)

フォトプランにもPhotoshopが入っていますが、単体での扱いでないことや料金の安さから、フルスペックのPhotoshopではないだろうと思い込み、うかつにもスルーしていました。単体プランより安いなんて驚きです。

ただ、フォトプランは年間プランのみしか扱ってないので1年間使うかどうか分からないという人は二の足を踏むところです。
Photoshop、Illustratorのみを利用する最安のお得なおすすめプランは?[Adobe Creative Cloud]では、解約した場合についても詳細に検討されているので、「AdbeCCを購入する前に知っておくこと」の一つだと思いました。

ちなみにAdobe CCの解約については、下記のように定められています。

注意 : 14 日以内にプランを解約した場合は、料金の返金を全額受け取ることができます。年間プラン月々払いの場合、それ以降は残りの契約期間で発生する料金の 50%が請求されます。

【ご購入・ご利用ガイド】プランの変更と解約方法

選んだプラン

検討の結果、選んだプランは下記の二つです。

  • Illustrator – 単体プラン 年間プランの月々払いー 2,728 円/月(税込)
  • フォトプラン 年間プランの月々払い — 1,078 円/月(税込)

インストールされたアプリは以下の10個。

  1. Photoshop
  2. Illustrator
  3. Adobe XD
  4. Lightroom
  5. Premiere Rush
  6. Fresco
  7. Bridge
  8. Lightroom Classic
  9. Aero
  10. Camera Raw

月々の支払いは通常なら3,806円(税込)となりますが、初売りキャンペーン中であったため、初年度の支払いは、Illustrator – 単体プランが32%オフの1,848円となりました。フォトプランは割引なしです。

Adobe CCのキャンペーンについて

Adobe CCの購入にはキャンペーンを利用することが望ましいと思いますが、キャンペーンがいつあるかは分からないそうです。

驚いたことにAdobe CCの割引セールは、Adobeの公式サイト以外に「AmazonのAdobeセール」や「Adobe提携スクールの割引キャンペーン」などがあり、そちらの方が割引率が高かったりするらしい。
下記の記事も「AdbeCCを購入する前に知っておくこと」を教えてくれます。

【2021最新】Adobe CC 割引セールの時期はいつ?価格は?

※Adobeの公式サイトのキャンペーンについては、1回限りしか利用できません。

140秒映画『viewers:1』のSF感。どうやって作ったの?

140秒のショートフィルム『viewers:1』がSNS上で話題になっています。

まだ観てないという方、まあ、ご覧ください。

この作品は、GEMSTONEクリエイターズオーディション第6回グランプリ作品だそうです。
第6回の募集テーマは140秒以内の「リモートフィルム」作品であること。

【リモートフィルム】の定義
リモートで企画され、リモートで撮影され、リモートで視聴する、すべての過程がリモートで作られたあらゆる映像作品群。リモート演劇、リモート映画、リモートコント、リモートMV、リモートアニメなど、すべてのリモート作品の総称。

第六回テーマ:「リモートフィルムコンテスト」参照

リモートで作るというと、部屋に閉じこもって独りパソコンカタカタとか、Zoomでミーティングとかいう感じですが、この作品はオールロケに映像加工をプラスしたもの。
ドキュメンタリータッチなので、観ている人は皆思うはずです。

ここはどこ?

ここはどこなんでしょう?
そしてあの巨大ロボットたち!どうやって作ったの?

その謎を明かしてくれている動画がありましたので、こちらもご覧ください。
意外な制作過程にも、出演俳優さんの素顔にも驚かされますよ。

新しいPCについて(その1)Google Chromeが削除できない!を解決!

10数年愛用してきたPCが不調になり、illustratorにも不具合が出てきたので、昨年末修理に持っていきました。
OSがWindows7のままで劣化しているパーツを全て交換したところで、もう長く快適には使えそうもないという判断で、ついに継続使用を諦め、Windows10のOSでショップブランドPCを作ってもらうことにしました。

大晦日に新しいパソコンが出来上がり、年明けからは暇さえあればPCを自分環境にするために、あれやこれやソフトを入れたり試してみたり削除したりを楽しんでいます。
なので、Adobe Creative Cloudのことや使ってみたソフトのこと、経験したエラーのことなど、今後折々備忘録として書いていきたと思っています。
今日はGoogle Chromeの不快な事象についてメモしておきます。

PCを起動するとGoogle Chromeのログイン画面が勝手に立ち上がる

一昨日からPCを起動すると勝手にGoogle Chromeのログイン画面が立ち上がるようになりました。
Mozilla Firefoxを規定ブラウザに設定しているにも関わらず、しかもGoogleには既にログイン済みなのにも関わらずに、です。

一時的な現象かなと思っていたら、翌日もPCを起動すると勝手にGoogle Chromeが立ち上がるので、Chromeを削除して再インストールした方がいいだろうと考えたのですが、、、

ところが、これが簡単には削除できないのです。
通常であれば、PCのコントロールパネル「プログラム」を開いて、ここでアンインストールするだけで簡単にできるはず。

しかしアンインストールをクリックすると、以下のような警告ダイアログが出ます。

すべてのGoogle Chromeウィンドウを閉じてからもう一度お試しください。

え?クローム開いてないんだけど。

強力なデータクリーナーソフトで削除するという手もありますが、できるだけ穏健な方法で対処したい。
というわけで、ググっていくと答えを提供してくれているブログがありました。

Google Chromeがアンインストールできない方への解決方法【5秒で解決】

タスクマネージャーを立ち上げて、「プロセス」を見ると、クローム関連のファイルが10個くらいありました。全部終了させてから、Chromeをアンインストールすると通常通りに削除できました。
こんなに簡単なことだったんですねえ。

Google Chromeを再インストールして、設定を見直す。

下記記事を参考にGoogleChromeを設定しました。

ChromeがPC起動時”なぜか起動する”2つの原因

(1)Windows10の設定画面で「アプリ」を開いてGoogle Chromeをオフにする。

再インストール後にアプリのスタートアップ画面を確認したところ、今回はGoogle Chromeがスタートアップアプリに含まれていませんでした。

(2)Chromeの設定で「Google Chromeを閉じた際にバックグラウンド アプリの処理を続行する」をOFFにする

この設定画面は、うっかりすると見過ごしそうな場所にあるのが、ちょっとイラっとします。

設定画面の「詳細設定」を三角ボタンで展開して「システム」をクリックする。

PCをシャットダウンしてから起動させてみました。今度はGoogle Chromeが勝手に立ち上がることなく、すっきりした気分!

もっとも、Google Chromeを規定のブラウザにしていて、PCも一人で使っていて、勝手に起動してくれるのは逆にありがたい、という方にとっては設定する必要もない役に立たない話ですが。

「罪の轍/奥田英朗」20世紀と21世紀の東京オリンピックを比べてみる

罪の轍

著者:奥田英朗
発行:2019年/新潮社


奥田英朗のシリアスな犯罪小説。587ページの分厚い本です。

時は昭和38年、西暦で言うと1963年。アジア初となる東京オリンピックを翌年に控えている日本。
20世紀の東京オリンピック前年は、新幹線や高速道路や競技場などの建設ラッシュで、オリンピック景気に沸いている高度成長期真っただ中でした。
まだ60年安保闘争の熱も残る、そんな時代背景を緻密に描いているのが本書「罪の轍」です。

そして「罪の轍」が発行された2019年夏は、21世紀の東京オリンピックを翌年に控えた年でした。
20世紀と21世紀の、オリンピック前年の空気を比べてみると、今世紀のオリンピックは前世紀ほどの盛り上がりはないようです。

振り返れば、オリンピック開催都市を決める際の最終プレゼンテーションで、安倍首相が「福島はアンダーコントロールされている」と、ギョッとするような嘘をつき勝ち取った東京オリンピックです。

嘘で始まり、開催が決まったあとも、なにかとごたごた続き。
新国立競技場の建設費が膨らみに膨らみ、一度決まっていたデザイン案が白紙撤回される。
公募で選ばれたエンブレムデザインは盗作疑惑が浮上し、こちらも白紙撤回の上再公募。
オリンピック招致をめぐる贈賄疑惑。
開催の前年になって、マラソンと競歩の競技会場を札幌に変更。
「東京・札幌オリンピック」と呼んでもいい状況になったけど、誰もそうは呼ばない。
東京都知事と政府のバトル。
ごたごたによって暴露される利権の絡みは数知れず。

2020年。「復興五輪」という偽りの冠を被せたオリンピックイヤーが始まりましたが、まさかのパンデミック襲来。
東京オリンピックは1年延期されて、なんと今年2021年もオリンピックイヤーとなりました。
さあ!オリンピックだ!頑張っていこう!という祝賀ムードなどいっさいない。
あるわけない。
「お・も・て・な・し」など、できない状況なんだから。
それどころじゃないんだから。

しかし2021年1月24日現在、オリンピックは中止が決定しているわけではなく、どんな形で開催されるかも決まっていない。アスリートの方たちにとっては生殺し状態が続いています。
最初は、「東日本大震災の被災地を元気づける復興五輪」と位置付けていたものが、いつの間にか「コロナに打ち勝つ証としてのオリンピック開催を目指す」とコンセプトさえも書き換えられていますが、今日現在コロナに打ち勝っていないので、夏には間に合わないのではないでしょうか。

さて、話を本書「罪の轍」に戻しますと、この長い物語は3人の登場人物の視点で語られます。

・空き巣狙いの常習犯、宇野寛治(20歳)。
・警視庁刑事部捜査一課5係の刑事、落合昌夫:通称オチ(29歳)
・山谷で旅館を営む、朝鮮から帰化した一家の娘、町井ミキ子(22歳)

宇野寛治は、北海道のニシン漁が廃れ、かつての繁栄の面影もない礼文島から、空き巣を繰り返しながら命からがら東京へと逃げてきた若者。
落合昌夫は、警視庁捜査一課5係の正義感に燃える若手刑事。
この5係には癖のある刑事が7人います。
昭和の人気ドラマ「7人の刑事」を彷彿とさせる、刑事たちの執念の捜査。
それから、町井ミキ子を通して山谷という、オリンピックインフラの建設を支えた労働者たちの姿を書き、これぞ”昭和”というリアリティある犯罪小説となっています。

シリアスな犯罪小説とは言え、何といっても著者は奥田英朗です。そこかしこに小さな笑いを差し挟んできます。
奥田英朗は、笑いのない物語は書けない作家なのです。

「僕の人生には事件が起きない/岩井勇気」幸せというハンデ

「僕の人生には事件が起きない」

著者:岩井勇気
発行:2019年/新潮社


昨年の小晦日には米粒写経・サンキュータツオさんの「もっとヘンな論文」で締めくくりましたが、2021年の始まりもお笑い芸人繋がりで、ハライチ・岩井勇気さんの「僕の人生には事件が起きない」を紹介したいと思います。

岩井勇気さんといえば、ハライチの澤部”じゃない方”という認知のされかたで、腐れ芸人とも呼ばれる。漫才については、正直言って印象に残っていないのだけど、「マジ歌選手権」では、かなり毒のある替え歌が面白い人。というのが私の持っている知識の全てです。

本書を読むと岩井勇気さんは、

  • 都会でも田舎でもない埼玉出身。
  • 実家は多少貧しい時期もあったけど、自慢できるほどの貧乏はない。
  • 中高生時代、いじめられたこともなければ特にクラスの人気者でもなかった。
  • 芸人になって3年程度でテレビに呼ばれるようになり、下積みの苦労がない。
  • 30歳になるまで実家住まいで、家族仲もよい。
  • 実家を出て一人暮しを始めて現在に至るまで特に苦労はなく、アニメやアート鑑賞や音楽や料理など趣味を楽しんでいる。

一般人であれば、いい家族の元に育ち苦労なく社会生活を送り好きなこともできて幸せな人生と言えるけど、芸人としては面白い話や波乱万丈の苦労話もなく、バラエティ番組などにおいて語るべきエピソードがない。
不幸要素がないことは芸人にとってハンデとなる場合もあるようです。

しかし、岩井勇気さんは何もない人生に事件が起こることを望むわけでなく、話を盛ることもない。「普通に生活している日常を面白がる」という才能を開花させ、今では「ハライチの”じゃない方”が面白い」と評価されるまでになっています。

そういうわけで、本書「僕の人生には事件が起きない」は、ほんとに何でもない日常のささいなことを書き連ねているエッセイです。
いやいやホントにどーでもいい話ばかりなのですが、それが、ちょっとだけ面白い。
「ルイ・ヴィトンの7階にいる白いペンギンを見張る人」とか、「通販の段ボールを切り刻んで感じた後味の悪さ」とか、私は好きなエピソードでした。





「もっとヘンな論文/サンキュータツオ」私の憧れ-研究の世界!

中学生のころ、私は研究者という仕事に憧れていました。
大学に行って研究室に入り、誰も取り組まないようなニッチな研究対象をみつけ、生涯をかけ成果を出すこともなく死んでゆく、そんな無名の研究者になりたい。と夢見たことがありました。なんかロマンチックな憧れ。子供らしい!

けど、今思うと本当のところは、研究所を自分の部屋代わりにして引きこもっていたいだけなのかも。まあ、変種のニートライフ願望ですね。
〝成果を出すこともなく”というところに、研究に打ち込む本気度が感じられない、〝社会人になりたくないんだ”という本音が見えます。

そんな過去の記憶が、この『もっとヘンな論文』というタイトルに共鳴し、読んでみることにしました。
そう、“ヘンな論文”とは、世の中の人が研究しようと考えたことがないだろうと思われるニッチな事象に、人生のある時間を費やした人々の成果を、形に残したものです。

本書で紹介されている主要な論文は以下の10本

  1. 「プロ野球選手と結婚するための方法論に関する研究」
  2. 「『追いかけてくるもの』研究 -諸相と変容ー」
  3. 「縄文時代におけるクリ果実の大きさの変化」
  4. 「竹取の翁の年齢について」
  5. 「『起き上がるカブトムシ』の観察 -環境-行為系の創発」
  6. 「曖昧さが残る場所ー競艇場のエスノグラフィー」
  7. 「『過去生の記憶』を持つ子供について -日本人児童の事例ー」
  8. 「マンガの社会学:鍼灸・柔道整復の社会認知」
  9. 「花札の図像学的考察」
  10. 「『坊っちゃん』と瀬戸内航路」

番外編として

  1. 「男女の下着の嗜好性と印象の評価」
  2. 「デート中の性行動の期待と正当性についての男女の認知差ーデートの誘いとデート内容が及ぼす影響ー」
  3. 「青年期における恋愛と性行動に関する研究 デート状況と性行動の正当性認知との関係」
  4. 「片手袋研究」
  5. 「メロスの全力を検証」

以上の論文について著者のサンキュータツオさんが、芸人みたいなツッコミを交えて愛ある解説をされているので、楽しく読める本となっています。

サンキュータツオさんは、「研究は、なにも大学院に進学し、修士論文や博士論文を書いてどこかの組織に所属しなければできない、というものではない。
誰でも研究者になれる」と書いていて、私の子供時分の夢にも厳しくツッコミを入れられた気がしました。
検索してみると、実際に芸人さんで、漫才コンビ「米粒写経」のツッコミの方ということ。私が知らなかっただけで有名な方なのかもしれませんが。
YouTubeに公式チャンネルがあります。映画や書籍などについてのマニアックなトークが面白くて、さっそくチャンネル登録しました。

本書『もっとヘンな論文』の中で、よくぞ研究してくれました!と個人的に感動した論文があります。
2013年度に発表された「メロスの全力を検証」です。
これはメロスが妹の結婚式に出席して帰ってくるまでの3日間を、距離や行動、かかった時間などをまとめ、文学を数学的に検証した論文です。
そして検証の結果、メロスはほぼ歩いている!!

『走れメロス』は、たぶん中学の国語の教科書で読んだと思いますが、あの物語のどこが良くて教科書に載せられているんだろうと、ずっと疑問に思っていました。
メロスは自分の欲望のために親友を犠牲にする身勝手な奴だし、人間不信から国民を処刑しまくるサイコパスな暴君が二人の友情に「感動した!」とかで、あっさり改心するって話ですよ。中学生でもすんなりとは呑み込めない無理筋なストーリーだと思うのですが。
なのに私が受けた授業では、単に美しい友情物語として語られたような覚えがあります。
中学・高校の国語教科教員免許を持っている、サンキュータツオさんによると、「『走れメロス』は国語科でも教え方が複数存在する単元として有名」だそうです。「果たして友情に厚いだけの男なのかどうか」ということを考えてもらいたいとする先生もいるらしい。
先生から「君たちはどう思う?」という問いかけがあり、生徒同士でディベートするような授業だったら、『走れメロス』は中学生に人間について、いろんなものの見方を考えさせる、いい教材なのかもしれません。
この「メロスの全力を検証」を書いたのも、中学二年生です。
きっと私同様メロスに何かしら疑惑を感じていたに違いありません。

ウィキペディアによると、『走れメロス』の中に書かれている「距離については文学的言い回しに過ぎず、実際に計算することは不可能」という説もあるようです。私としては「メロス徒歩説」に納得しているのですが、本当に計算が不可能な話なら、メロスにとっては風評被害となる論文でしょうか。それだとちょっと残念です。

まあでも、何はともあれ、疑問を持ったら研究してみる。研究したら検証結果を論文という形にする。論文を書いたら世の中に発信する。それが研究者の使命です。
「成果を出さなくてもいいなんて、研究をなめんなよ」と、中学生のころの自分を叱りたくなった一冊でした。

ロックの名盤ランキングに興奮しました

ローリングストーン誌が発表した「2020年版最も偉大なアルバム500」の、1位から100位までを紹介している動画を見つけました。
解説が楽しい動画です。

懐かしい~、持ってたわ、そのアルバム、レコードで。
あぁ、それ!!今も聴いてる!CDで。
私の好きなのがたくさんはいってるじゃん!って興奮しながら動画を観ていたのだけど、、、
しかし冷静に考えれば、好きなのがランクインしているのは当然のこと。
音楽関係者でもない、マニアでもない、ただのロック好きが聴くようなアルバムは、そもそも名盤だから世界的に流通しているわけで。
日本の地方の町にいても聴くことができる、私は、そういう名盤しか知らないわけですね。

100位までなんかじゃなく、500位まで全部もっと知りたい、と思ったら下記ローリングストーンジャパンで見れます。(※会員登録が必要です。)

ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選 | 2020年改訂版

ここではジャケット全ての画像も見れるし、アルバムの視聴もできますね。
かなりの時間さえかければ、もっともっと好きな曲に出会えそうです。

「Google keep」にストックしたメモ

何か気になる記事や言葉を見つけた時、とりあえず「Google keep」にメモを取ったりします。
それは後でブログを書くときに役に立つはず、と思っているのですが、なかなかブログ化できないまま溜まっていく一方です。

今日はそのうちのいくつかを、メモのまま載せてしまいます。


「知ってるか、三人に一人は被害妄想を患っているって?」
「そんなに少ないのか?」
「あとの二人はその一人を監視してる」

       『わたしを探して』p28から抜粋

    


バナナは冷蔵庫で保存すると皮は黒くなるが、剥くと白いまま美味しいらしい。


西暦和暦簡単変換

・《新元号と平成》平成から「30」を引いた数字が新元号
・《西暦と平成の計算方法》平成の年数から「12」を引いた数字が、西暦の  下2桁の数字になります。
・《西暦と昭和の変換》昭和の年数に「25」を足した数字が、西暦の下2桁  の数字になります。


人間とは、徒労の情熱である
選択の余地はなく、ただ徒労な生存期間をつづけ、それを自覚することしかない(サルトル)

いかに生きるべきかに関心を抱く人間は、それだけで、おのずから「アウトサイダー」なのだ                (p117)

根本的に言って、ロレンスは人間に興味を感じていなかった          (p136)

たいがいの人は、肉体よりもはるかに早く魂が老けるからだ。人類は、労役から遂になんの儲けも得なかった。        (p141)

どこまでも愚かしさをつきつめてゆけば、馬鹿でも賢くなる  (p267 ブレイクの言葉)

「アウトサイダー(上・下)コリン・ウィルソン」から抜粋


美術家・横尾忠則さんが創作秘話を語る!​ 通俗的なものにしか興味がなかった


ブラックに働ける人間は学校・部活が育てる!? 「耐えるのが美徳」「まるで奴隷根性」とさまざまな反応集まる


どこかで拾ったセリフ

・「盆踊り文化」の対語は「カップル文化」
・2,3日遅刻するかも
・恋のアップグレード、つまり乗り換えだ(TVドラマから)
・低空飛行しとけば落ちても痛くないわ、みたいな。(cakesから)
・マネキンさえ着こなせない服だわ(ZARAの前で)


『未必のマクベス』
この本、当たりかな?外れか?
と値踏みしているうちに、どんどん惹き込まれていった。
最初は、気取ったビジネスマン物語ぽくて、参加していくことにちょっと手間取ったけど。

ずっと忘れることができなかった人を探す、ラブストーリー。
意外と面白い。

でも、大企業に入社すると、人殺しまでしなくちゃならなくなるのか!?普通の営業マンが?
と疑問は残る。



「人間関係のリセット癖が直らない」と悩む女性 その理由に共感の声が相次ぐ


「嘘つきは、戦争の始まり」宝島社が出した新聞広告に注目集まる「嘘に慣れるな、嘘を止めろ。今年、嘘をやっつけろ」

「我らが少女A / 高村薫」と現代アートのこと

「我らが少女A」高村薫 発売日 : 2019/7/20 出版社 : 毎日新聞出版

「我らが少女A」高村薫
発売日 : 2019/7/20 
出版社 : 毎日新聞出版

高村薫のデビュー作は、1990年第3回日本推理サスペンス大賞を受賞した『黄金を抱いて翔べ』。銀行の地下深くに眠る金塊強奪を企てる男たちの物語です。
その作品を読んだとき、緻密な犯罪計画に圧倒され、そして物語のディティールの肌理細やかな描写に圧倒されました。
微に入り細に入り時間を掛けた入念な犯罪計画があり、登場人物の心情にも多くのページを割いているので、読み進めてもなかなか銀行襲撃の瞬間は訪れず、いったいいつになったら計画は決行されるんだ!?と焦れながら読んだ覚えがあります。
結末はもう覚えていません。銀行襲撃は成功したんだっけ?いや、そんなことはどっちでもいい。本を読んでいる間、一緒に銀行襲撃を目論んでいる時間がスリリングでした。

その1冊で高村薫という作家に嵌り、『マークスの山』や『レディ・ジョーカー』などの合田雄一郎刑事シリーズを読み、合田雄一郎刑事のキャラクターにも大いに魅了されました。

本書『我らが少女A』は合田雄一郎刑事シリーズ、『冷血』以来7年ぶりの新作です。
なんと合田雄一郎は57歳という年齢になっていました。
私が好きな『レディ・ジョーカー』のころは30代半ばだったはず。いつの間にこんなに年を取ったの?と小さくショックを受けましたが、合田雄一郎はきっちり現実の時間の流れに生きている刑事なのです。『レディ・ジョーカー』の後に出た『太陽を曳く馬』を読んでいないせいで、私は40代の彼の活躍を知らないのでした。

2017年で57歳ということは、今年は還暦でしょうか?
もし、国家公務員の定年延長法案法が可決されたとしても、彼には定年延長はないようですね。

さて、本書『我らが少女A』のストーリーはというとーーー
2005年クリスマスの早朝、元中学校美術教師が殺害された。
事件は未解決のまま12年が経った2017年の早春、風俗店アルバイト女性が、同棲している男から殺された。
その女性こそ、12年前の未解決事件の周辺にいた、当時中学生の上田朱美だった。
そして彼女が12年前の事件に関与していたのではないかという疑いが浮上し、未解決事件が再捜査されることになる。
上田朱美と接点のあった者たちの記憶を通して、2005年当時の東京が再現されていく。
ポップなヒット曲をBGMに、電飾に彩られたゲーセン、援助交際、ストーカーなど、思春期の少年少女たちの危うい日常と、街の風景が描きだされる。
27,8歳となった登場人物たちの現在と、15,6歳の彼らの姿が交錯する。
亡くなった上田朱美だけが何一つ語ることなく、「#少女A」として、ネット上で拡散していく。

我らが少女Aは、
「ひとつの事件が起こす、周囲の関係者へのさざ波、様々な反応の連鎖を書きたかった」
と、作者自身が「P+D MAGAZINE」のインタビューで語っているように、事件によってあぶりだされる被害者家族やその周辺の者たちの心情、家庭の問題が丁寧に書かれていて、そこに読み応えがあります。

ここからは余談ですが、本書の中盤あたりに現代美術家:会田誠のフアンだという男(電通マン)が登場します。
私は「会田誠」の作品のあれやこれやを思い出し、しばらくの間、本書のストーリーから外れて「現代アート」について考えていました。

性差別的な美術作品について思うこと

「会田誠」の名をネット検索に掛けると、四肢を切断された美少女が鎖を付けられて微笑む「犬」シリーズ、大量の裸の少女たちをミキサーに詰め込んでジュースにする「ジューサーミキサー」、少女が食べ物として描かれる「食用人造少女・美味ちゃん」シリーズ、少女が盆栽となって剪定される立体作品、キングギドラに美少女がレイプされる「巨大フジ隊員vsキングギドラ」、人間サイズのゴキブリとAV女優との性行為写真作品、などのエログロ画像が現れます。
こういう作品が現代アートとしてネットに流布し、公共の美術館でも展示されたりしています。

どんなに過激な作品であろうと実在しない少女を描いて個人的な妄想を表現したものであり、特定の誰かを中傷しているわけではないから、日本では「表現の自由」の範疇にある作品だと思う。
「表現の自由」は侵害されてはならない。規制されてもいけない。それは一国民として私も強く思っています。

でも、先に挙げたような作品は、女性の尊厳を踏みにじる、加虐的で侮蔑的な性暴力描写に見えて、私は不快に感じます。
それらは高い画力があり、一見、美しい日本画のような表層をしている作品もあって、芸術だと言われる。でも描かれている内容は児童虐待ポルノであり、サディスティックな性差別表現であり、日本に古くからある女性蔑視の文化を継承している時代錯誤な価値観の作品だと思います。

少女が凌辱されている性犯罪場面の描写を、女性蔑視的な、時代錯誤な価値観の作品を・・・常識にとらわれない独自の視点だ、タブーへの挑戦だ、現代アートだ、天才だ、と称賛する人たちの感覚が、私はどうにも理解できなくてモヤモヤします。

疑問に思うところを列挙してみると、

  • 女性の尊厳を踏みにじる作品を敢えて世に出すことが、タブーへの挑戦だということなのだろうか?
    女性の尊厳を踏みにじることは、人間の尊厳を踏みにじることと同じだとは考えないのだろうか?
  • 「犬」などの作品に対して、侮蔑的な性暴力と感じることの方が、過剰反応なのだろうか?
  • 会田誠の作品は全てがエログロだけではないのだから、他の社会批判性のある(ように見える)作品などと合わせて、”総合的俯瞰的観点から”会田誠の作品であればエログロ作品もひとまとめに肯定されているのだろうか?
  • 「食用人造少女・美味ちゃん」シリーズなど一連の作品は、男性の変態的妄想で描いた児童虐待ポルノ画に見えるのだけど、実は何かしらのテーマがあって、それを表現するために児童虐待的な描写が必要だったのか?
    その隠れたテーマを私が読み取れなかっただけなのだろうか?
  • 作品から女性蔑視などの差別表現を無くしたら、「表現の自由」は委縮してしまうものなのだろうか?
  • 政治的批判を含んだアート作品は「表現の自由」を侵害されやすいのに、政治性を含まない女性蔑視表現はなぜこうも肯定され野放しになるのだろうか?
  • 「現代アート」という分野は、女性蔑視以外の差別表現も容認しているのか?

まだまだ疑問がありますが、モヤモヤが膨らむばかりなので、今夜はこの辺でやめておきます。
「現代アート」は、作家側と、観るだけの一般人である側の私とでは、人権意識に相入れないところがあるのだなと思うしかない?

ギャラリー「銅版画」のサイト名とデザインを変更しました

当サイトでご紹介している通畠朋子さんの作品サイト名を「銅版画 TOMOKO・T・TORIBATTA」から「画 家 TOMOKO・T・TORIBATTA」に変更いたしました。

最近の通畠朋子さんは、銅版画以外の絵画制作にシフトしておられるので、「銅版画家」というご紹介がしっくりこなくなっていました。

ご本人にお聞きしたところ、最近は、ガラスペンを使った線描画を描くことが多いそうですが、画材や技法は特に決めているわけでなく、今後も変化していくかもしれません。そこでサイト名はシンプルに「画 家 TOMOKO・T・TORIBATTA」としました。

なお、サイトのデザインも変更しました。ぜひ、ご覧ください。

WordPressの「Fukasawa」というテーマを使用しています。
絵画に合うきれいなテーマだと思います。(無料なのに!)

イラスト素材ブログ「アトコンのMe-time」を始めました。

昨年2月から、フリー素材投稿サイト「イラストAC」に素材投稿を始めました。
以前はフリー素材サイトからダウンロードして、チラシやバナーを作る素材利用者側だったのですが、adobe Illustratorにはまって、自分でも素材を作りたくなってきました。

16ケ月経った現在、投稿数 150点。
ダウンロード数は、国内と海外を合わせて合計 5,130 DL 。

投稿数もダウンロード数も、まだまだ少ないです。
とてもブログで友人に紹介できるものではなく、作成した素材も「見て見て!!」と自信を持って披露できるものでもなく、こっそりと匿名で投稿を続け、そのうち素敵な素材が描けるようになり、DLも劇的に増え、いつかは堂々とポートフォリオサイトを作るのだ、と心に決めていたのですが、、、、

今月、イラストACサイトから「イラストAC以外のWebサイトに作品をアップしていると、著作者確認が取れて作品審査がスムーズに行えます」といった旨の案内があったので、思い切って作品サイトを作ることにしました。

そのうち素敵な素材が描けるようになり、DLも劇的に増え、、、、なんて夢みたいなこと言ってないで、その時その時のありのままをさらけ出すことが、もしかしたら上達の道になるかもしれません。

というわけで、これからは作成素材を「アトコンのMe-time」にアップしてから、イラストACに投稿することにします。
時々でも、どなたか見てくだされば嬉しいです。

XamppのPHPだけバージョンアップするつもりが、XamppもWordPressもインストールする事になった

初めはPHPだけバージョンアップするつもりだった

2020年5月現在、PHPのバージョンは7.4となっています。
PHPは7系になって数年経っているらしいですが、私がローカルで使用しているXAMPP(ザンプ)のPHPは5.6.19。
PHPが古過ぎるためにWordPress 5.4.1をバージョンアップすることができなくなり、他にも作動しないプラグインが増えてきました。

PHPのバージョンアップは、レンタルサーバーだとボタンをワンクリックするだけでできたりするのですが、ローカルサーバーのXAMPPは自力でバージョンアップ作業をしなければならないわけで、、、、、7年間見直すこともせず放っておいたけれど、WordPress を更新できないのは困るので、PHPを最新版にバージョンアップすることにしました。

PHPバージョンアップに際して参考にさせていただいたサイト

上記サイト等を参考に、最新版PHP7.4をインストールしました。あれこれ設定して、最後にXAMPPコントロールパネルのApacheを開いて、PHPが最新バージョンになっていることを確認しました。

PHPをバージョンアップしたらWordPressが表示されなくなった

なんだ意外と簡単~と喜んだのも束の間、ローカルのWordPressサイトにアクセスするとページが表示されないという致命的エラーが!
データベースを使ってないサイトは正常に表示されるので、問題はデータベースとの関係か?エラー構文を手掛かりにひたすら検索を繰り返しました。

検索の結果参考にさせていただいたサイト

上記サイトを読んで、私もPHPのみのバージョンアップは諦め、XAMPPの最新版をインストールしなおすことにしました。

XAMPPの最新版をインストールする

XAMPPのバージョンアップは実に7年振り。
前回、XAMPPのインストールって面倒!と実感したため、OSをWindows10にバージョンアップするまでは放っておこうと思っていたのですが、今回なりゆきでXAMPPインストール作業を始めることになりました。
結果的に言えばXAMPPのインストールは以前より簡単になっている印象です。
もちろんGoogleの参考サイトが無ければ自力ではできないわけで、多くのGoogle先生に感謝するばかりです。

XAMPPの最新バージョンは 7.46。現在は64bit版のみになっています。
シンプルになってダウンロードに迷うことがなくなりました。

XAMPPインストール作業工程

  1. 使用中のXAMPPのフォルダ名をリネーム(「古いXAMPP」とした)してデータをバックアップする
  2. XAMPPのアンインストーラを使ってXAMPPを削除
  3. PCを再起動(これが必要かどうかは分かりませんが、念のためにしました。)
  4. XAMPP最新版をダウンロードする(Windows向け7.4.6)
  5. XAMPP最新版をインストールする(⇒XAMPPをインストールしてみよう!参照)
  6. php.iniの編集(⇒XAMPPの文字化けをphp.iniの設定で直す方法【初心者向け】参照)
  7. XAMPPのセキュリティの設定(MySQLの管理者用IDのパスワードを設定する⇒XAMPPセキュリティの設定~データーベース(phpAdmin)編~参照)
  8. phpMyAdminの設定ファイル(config.inc.php)を編集する(⇒XAMPPセキュリティの設定~データーベース(phpAdmin)編~参照)

XAMPPインストールについて参考にさせていただいたサイト

WordPressも再インストールすることになってしまった

XAMPPのセキュリティ設定を終えたのち、ローカルのデータベースに新規にデータベースを作成し、
⇒WordPressのwp-config.phpを開いて、データベースの設定を書き直し、⇒WordPressのローカルサイトにアクセスしてみると、
⇒何故かどうしても管理画面に入れない。
という面倒な事態になりました。

http://localhost/scrapbook(当ブログ名)/wp-login.phpでログインしても
http://localhost/scrapbook/wp-adminでアクセスしても
ページは開かず、「お探しのコンテンツを見つけられませんでした。」というエラーが表示されるのみ。

ここにきて、原因を考えることを放棄し、新規にWordPressを設置しなおすことにしました。

  1. WordPressサイト「scrapbook」を「古いscrapbook」とリネームしてデータをバックアップする。
  2. WordPressの最新版をインストールしてXAMPPの「htdocs」の中に設置
  3. WordPressのフォルダ名を「scrapbook」に変更(※当ブログの名前です)
  4. http://localhost/scrapbook/」にアクセスしてデータベースの設定をする
  5. レンタルサーバーにある「scrapbook」からデータをエクスポートする
  6. XAMPP上にあるローカルの「scrapbook」にデータをインポートする

WordPressのインストールについて参考にさせていただいたサイト

XAMPPコントロールパネルの注意点

XAMPPのコントロールパネルは、今まではワンクリックで開くことができましたが、今回インストールしたXAMPPでは、右クリックで「管理者として実行」を選択して開かなければ機能しなくなりました。
間違って左クリックで開くとエラーを起こしてPCを再起動するはめになります。
面倒なことになったなあと思っていたら、常に管理者権限で開けるよう設定する方法が下記サイトに書いてありました。
XAMPPコントロールパネルのプロパティを開いて「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れるだけで、左クリックで開けるようになります。詳細は下記サイトで。

XAMPPコントロールパネルのプロパティ設定について参考にさせて頂いたサイト

語彙力抜群のキモくて可愛いアニメキャラクターにはまりました。

「はじめまして松尾です」のラインスタンプが送られてきて知ったキャラクターです。
このラインスタンプはクセが強いので使いこなすのは難しそうですが、もらうとちょっと”クスッ”となって楽しいスタンプです。
つい誰かに教えたい!というお節介心が動き出す。
はまる人ははまるし、はまらない人はスルーする面白さです。

作者の紹介動画↓↓↓↓

「最後の講義 完全版 福岡伸一/どうして生命にそんなに価値があるのか」

「最後の講義 完全版 福岡伸一」著者:福岡伸一/発行:令和2年3月/主婦の友社
動的平衡”を提唱する生物学者・福岡伸一教授は語ります。
「”昨日の私”と”今日の私”は少しだけ入れ替わっている」

新型コロナウィルス関連で、生物学者の福岡伸一教授という方が、ウイルスは“進化”の一つだと言っているという話に興味を持ち、amazonを覗いてみました。
数ある著書の中から、”昨日の私”と”今日の私”は少しだけ入れ替わっている!という帯の惹句に惹かれ、「最後の講義」を読んでみることにしました。

本書は、ウィルスの話は出てきません。
「生命」がなぜ、38億年もの長い間連綿と続いているのか、その謎を解く、といった内容になっています。

謎を解くキーワードが二つ。
エントロピー増大の法則」と「動的平衡」です。

まず、エントロピー増大の法則とは何か?
以前何かの本でこの言葉に出会い、気になってウィキペディアを訪れたことがありましたが、そこには見知らぬ数式が並んでいて理解を諦めたものでした。
しかし、今回本書を読んでみると、それは数式よりももっと身近で馴染のある“現象”であることが分かりました。
エントロピー増大の法則とは、

宇宙のシンプルな大原則で、秩序あるものは秩序がない方向にしか動かない

(第2章「1年前の自分は別人である」)

ということだそうです。
具体例として、「きれいに整理整頓した机の上も2、3週間もすればだんだん紙が積み重なってきたり、本が崩れてきたり、珈琲のしみがついたりして、乱雑になっていきます」ということを挙げています。
なんと机の上が散らかるのは、宇宙の大原則、自然の摂理だということなんですね。
ということは、私の作業用机の上がいつも、山積みの本やファイルや紙や布や何かの空袋やホコリやいろんなものでグチャグチャになっているのは、実はエントロピー増大の法則のせい。宇宙の大原則のままに放置した結果だということです。

もし私が机をきれいに長く使いたいと思うなら、エントロピー増大の法則に抗うことが大事なようです。
つまり、不要な物を捨て、必要な物をあるべき場所にしまい、汚れたところを拭い、ホコリを払って、常に秩序を保つようにしなければならない、というわけです。
それでも私の机は、私亡きあと粗大ごみとして捨てられ、10年そこらでボロボロの木屑となってしまうはず。そのうち跡形もなく無くなってしまうでしょう。
もっと頑丈で立派な石造りの建物であっても、数千年の時の流れの中でエントロピーが増大し、風化していく運命にあるのです。

しかし「生命」は滅びることなく、38億年連綿と続いている。
それはなぜなのか?
それは私たちの体というものが、常にエントロピー増大の法則に抗って、生きながらえているからだと、福岡教授はいいます。

エントロピー増大の法則が襲ってくるよりも先回りして、自分自身を積極的に壊し、作り替えるという動的平衡を繰り返すことによって、秩序を作り直している。

(第2章「1年前の自分は別人である」)

「生命」である私たちの体の中身は、流動的に、絶えず動いていて、合成と分解を繰り返すことでバランスをとるという特性があり、それを動的平衡と名づけています。

動的平衡によって、体の細胞の中身は常に少しだけ入れ替わっています。
1年もすれば今日の私とは、ほぼ別人にとなっているほどに入れ替わっているそうです。もちろんこれは物質レベルでの話ですが。

でも、「身体は絶えず入れ替わるのに、なぜ老けるのか?」
「脳も入れ替わるのに、どうして記憶は消えないの?」
とか、次々疑問がわいてきますね。
福岡教授は、数々の疑問に答えつつ、画家フェルメールについて熱く語ったりもして、「生命とは何か?」という宇宙規模のテーマを、楽しく読ませる本となっています。

「物件ファン」で見つけた「a day in the life」の彼

ネット不動産サイト「物件ファン」観てますか?
ご存知の方も多いと思いますが、サイトに書かれた「物件ファンについて」から抜粋して改めて紹介しますと、

物件ファンは、
住む、住まない、
買う、買わないにかかわらず、
物件をたしなむサイトです。
引っ越しの時だけでなく、
毎日でも見て楽しめる、
不動産エンターテーメントサイトです。
       「物件ファンとは(https://bukkenfan.jp/about)」から

アパート、マンション、一軒家、どれも、おしゃれにリノベーションされた物件が多いですね。ときどき見てはふうーとため息ついている私です。

過去幾度も、引越のたびに不動産屋を覗いて回りましたが、現実の部屋探しでは、おしゃれな部屋に当たったことがなかった。そりゃそうだ、いつだって予算で探していたからですね。

おしゃれな物件だけでなく、かなり個性的な間取りとかあったりします。
例えば「必見物件!ここはお風呂。(もう部屋じゃない。)ぎりぎり暮らせないお風呂。」は、お風呂のみの部屋。 トイレさえ無い、超シンプル。

三角形の間取りなんて、どうでしょう。「リアルタイム間取り図ナイト その29 」住めるか?住めないか?って観る人に問いかけてきます。
私はぎりぎり住めない気がしますが、何かから逃げる時の隠れ家として使えそうです。

「左右の壁は全部、棚。」ここには惹かれます。棚が少し多すぎる?その分家具を思い切り減らして住んでみたい。

分かれ道に建つ、とんでもなく渋い一軒家を」は、外観から内装まで、トイレ以外、 隅から隅まで昭和過ぎて既視感に頭がクラクラしてきます。

最近の物件だと、時勢に合った「リモートワークと共に新しい家も手に入れて」は、内と外のギャップがすごい。
外観は小屋としか表現のしようがないのですが、家の中に入ると明るくオープンな空間が居心地よさそう。
子どもたちが小さい頃は、こんな一軒家に憧れていました。
まあ、この家は、家族向きというよりは、別荘感覚の小屋なのかも知れませんが、、、、鉄製の薪ストーブに強い憧れを抱いていた夫が見たら、「住みたい!」と言ったに違いない物件です。

今の私は一人暮らしなので、「家と仕事場の切り替えスイッチ。」みたいな、手狭な部屋を気に入っています。

「物件ファン」の面白さは、物件の多様性はもちろんですが、物件案内人の妄想語りに依るところも大きいです。

「家と仕事場の切り替えスイッチ。」 を選んだ案内人は、実家を出て、初めて一人暮らしを始めた社会人(という設定?)のようです。リモートワークに最適な部屋として紹介していますね。

「駅までの道もちょっとスキップ。
転職した先も良かったし、部屋も
かわいいし。人生きっと大丈夫。」
っていうセリフから、一人暮らしへの期待と、未来へのちょっとした不安が感じられます。

ふっと、私の頭の中にビートルズの「A Day in The Life」が流れました。
私の好きな曲ベスト3に入る1曲なので、よく勝手に流れ出すのですが。
私の頭の中では、「A Day in The Life」 の主人公の彼は、こんな部屋に住んでいて、毎朝、駅への道を急いでいる。そんな妄想が始まりました。

「ドーン/平野啓一郎」読書途中の感想文

ああるの「映画と読書」に紹介されていた「マチネの終わりに」に触発されて、平野啓一郎さんの本を読みました。私にとっては、初めまして!の作家さんです。

ブックオフに赴き、数ある著作の中から迷った末購入したのが、本書「ドーン」。

『DAWN 』 講談社文庫:2012年 Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。

舞台は2033年のアメリカ。近未来小説です。
その10年程前には東京大震災があった、という設定になっています。
タイトルの『ドーン (DAWN) 』とは、人類初の有人火星探査宇宙船の名前です。
主人公・佐野明日人(サノアスト)が、 この 『ドーン』 のクルーとして火星に行き、火星でのミッションを終えて地球に帰還した、ところから物語が始まります。

人類初の火星探査に成功し、一躍英雄となった宇宙飛行士・佐野明日人。
しかし、闇に葬られたはずの火星での”出来事”がアメリカ大統領選挙を揺るがすスキャンダルに。さまざまな矛盾をかかえて突き進む世界に「分人」という概念を提唱し、人間の真の希望を問う感動長編。

「BOOK」データベースより

『ドーン』を読んで私が気になったワードは、以下の5つ。
可塑整形、 散影 、添加現実 、無領土国、分人主義、 

可塑整形:顔の中に塑性シリコンという物質を埋め込んで、粘土を捏ねるように顔を自由に形成していくことができるというもの。
これによって、人はいくつもの顔を持ち、使い分けることができるようになる。

散影:防犯カメラの映像全てがネットに繋がって、誰でも(一般人でも)閲覧できるようになっているプログラムシステム。顔認証検索機能がついているために、誰がどこで何をしていたか、いま何をしているか、検索すれば一切丸見え。プライヴァシーなんて無いに等しい。

添加現実(AR) :現実に存在しないものをコンピュータの三次元映像として付け加えること。亡くなった人であっても、その人のDNA情報や解剖的データ、生活環境などの情報を駆使し、本物そっくりのAR人間として蘇らせることができる。

無領土国 :文字通り領土を持たない国家。
現物としてのお金が無くても通用する仮想通貨と同じように、現実の領土は無くても国家として統治権を持つ政治的共同体。

分人主義dividualism) : 略して ディヴ と言う。
個人は一つの人格をもっているのではなく、 対人関係ごとに異なる人格を分けることができ、それは意図的に創りだしたり使ったりするのではなく、その場に応じて ディヴ は自然発生する。複数のディヴ の集合体が個人であるという概念。
正直、分かりにくい概念です。、、、、自分自身に置き換えて考えると、私も対面する人によって、相手との関係性、場の空気などに左右され、異なる自分になっているとは思う。
それはキャラを作っているわけではなく、自分を断片化し、決して丸出しにならないよう自分で制御しているのだと、自分では思っているのですが、、、、分人主義とは真逆の考え方かもしれません。

本書は640ページほどの長編ですが、宇宙飛行の過酷さを考えたり、登場人物のセリフや大統領候補者たちの演説内容に惹きこまれたり、読み応えがあります。

そして未来小説を読むといつも思うのですが、人類社会は常に進化しているけれど、必ずしも「より良い方向に進歩している」というわけではなく、ただ後戻りができないだけなんだなあ、と。

現在、520ページ目を読んでいるところで、実はまだ読み終わっていません。
いつも読了したらブログに感想文を書こうと思って読み始めるのですが、結局いつも書けないまま次の読書に移ってしまいます。
そこで今回は、読み終わる前に感想文を書いてみようと思いました。
今夜は結末に向かって残りの100ページ余りを楽しもうと思っています。

『中田敦彦のYouTyube 大学 』が面白い

令和元年も足早に過ぎ去ろうとしています。
令和上半期は、忙し過ぎてあまり読書する時間がなかった。
秋からは新しく得た趣味作業に熱中しているために、さらに読書時間がなくなりましたが、代わりに作業BGMとしてYouTyubeを視聴することが増えました。

そこで今回は、今月聞いて面白かった『中田敦彦のYouTyube 大学 』を紹介してみます。

正直、タレントユーチューバーなんて、ヤラセのバラエティ番組みたいな動画を配信しているんでしょ、とこれまで観ることはなかったのですが、 申し訳ない、それは偏見でした。

『中田敦彦のYouTyube 大学 』は、オリエンタルラジオの中田敦彦さんが、あらゆる分野の専門書(もしくは専門書の解説書)を読み解いて、学校の授業みたく解説する動画です。
スタイルとしては、テレビの『池上彰のニュースそうだったのか!! 』に近く、 池上彰さんの著書を取り上げることも多いようです。もちろん、池上さんよりはうんと砕けた口調ですね。
テレビと違って、取り上げるテーマに制約が無いからか、政治、経済、情報文化、歴史、文学、芸術、などなど多岐にわたります。
どの分野も無知な人間としての立場で、好奇心を持って猛勉強しているようで、聞いている方も分かり易く楽しく聞けます。

最近、1年振りにあった友人が、自分のガラケー携帯をみつめながら、
「5Gになったら、ガラケー使えなくなるんだって」と言うので、「え?どういうこと?」と私。
そのあと二人とも無言。
私も友人も、5Gという言葉は聞いたことあっても、それが何だか説明することはできなかったのです。
私はスマホを使っているので、5Gになったらナンカ今より通信速度が速くなるんだろうな、ぐらいの認識であまり興味もなかったのですが、急に気になって家に帰ってからPCで検索。そして 『中田敦彦のYouTyube 大学 』 を知ったわけです。

5G、確かに通信速度が速くなるのだけど、それはただスマホが便利になるっていうだけの話ではなかった。まさしくこれからの世界が変わる話でした。
そう遠い未来じゃない。
孫たちが大人になっているぐらいの未来。
その未来は幸せなんですか?って考えてしまいます。
たぶん幸せの価値観も変わっていくのでしょうから、今の私には想像がつかない未来です。

5Gになるとガラケーが使えなくなるか?という疑問については、この動画では分からなかったので、さらに検索してみると、下記サイトに答えがありました。

【ガラケー終了はいつ?】廃止のお知らせは本当?使えなくなったらどうするの?ドコモ/au/ソフトバンクの現状を解説

これによると、「2022年でガラケー終了」というデマが出回っているらしいです。
2022年にauの3G回線を停波するために、そんなデマに繋がったようです。使えなくなるのは「auの3G回線端末」を使った機種のみということですが、ユーザーは極少数。マニアレベルだそうです。気になる方は上記サイトを参照してみてください。

追記: 『中田敦彦のYouTyube 大学 』では、原発についての解説動画もありました。
政治】まだ解決していない「原発問題」〜原発の歴史編〜①
政治】国家や大企業の利権が絡む「原発問題」〜真相追求編〜②
これも分かり易く、秀逸です。当サイトの「原発は要らない」ページに掲載しました。

追記:2020.07.13

上記の動画
【政治】まだ解決していない「原発問題」〜原発の歴史編〜①
【政治】国家や大企業の利権が絡む「原発問題」〜真相追求編〜②
は非公開になり、閲覧できなくなりました。

通畠義信氏、南日本美術展にて海童賞受賞しました!

画像は第74回南日本美術展カタログより転載

当サイトで紹介しています「鉄の作家」通畠義信氏が、第74回南日本美術展にて海童賞:空間造形部門優秀賞を受賞されました。おめでとうございます!
この賞は2017年、2018年に続き3回目の受賞となります。

今回の作品は「ハエの家2019 -冥界ニュース -」

会場には応募作品についてのコンセプトをまとめたファイル「一次審査用書類ファイル」が展示されています。
これから観に行かれる方には、是非そのファイルも手に取って開いて読んで欲しいです。
作品に関する基本コンセプトのほかに「仮想劇~冥界ニュース リアルタイム~」という寸劇の脚本がファイルされています。

舞台は「地底界放送局スタジオ」
出演者は、ニュースキャスター、コメンテーター、お天気屋お姉さん、そしてリポーターとしてハエ男が登場する劇です。
2ページくらいの短い場面でしたが、面白かったですよ。もっともっと読みたかったです。
通畠氏のマルチな才能を知ることができるファイルです。

第74回南日本美術展

2019年11月16日(土)~12月1日(日)
黎明館・鹿児島美術館


この「ハエの家シリーズ」は今回で最後になるそうです。
また新たな作品の登場を心待ちにいたしましょう。

「絶叫委員会(著:穂村弘)」を再読した

穂村弘さんの「絶叫委員会」を再読しました。
再読と言っても本棚から取り出して読み直したわけではなく、ブックオフで見つけて、愚かにも2冊目を購入してしまったわけで。

「未読の穂村弘発見!」と小躍りしてレジでお金を払い、寝る前に読み始めて1ページ読むごとに既視感を感じながらも読み進め、「読んでいる」「いや、読んでない」と自問自答を繰り返しつつ読み終わりました。

読書リスト」で確認すると、どうやら3年前の2016年11月に既読しているようです。二重購入を避けるために作成した「読書リスト」だったのに、頼りにならないヤツです。

本棚を見直してみると、1冊目の 「絶叫委員会」 が見当たらない。
おそらく3年前の11月と言えば、職場が辛くてもう辞めたい!けど辞められない!って時期だったから本を読みながら暖まろうと、お風呂読書に使ったため、ボロボロになってしまって捨てざるを得なかったに違いありません。
取り敢えず、本棚に同じ本が2冊並ぶことは避けられました。

それはともかく、何度読み直しても、穂村弘さんのエッセイは面白い。
お風呂が冷えた体を温めるように、穂村弘さんのエッセイは私の心を温めてくれます。

「絶叫委員会」は著者が日常の中で遭遇した印象的な言葉について書かれたエッセイです。
普段は聞き逃してしまいそうな何気ない言葉や、パニックに陥った時に思わず発してしまう意外な言葉、あるいは「それを言っちゃあお終いよ」的な致命的発言などなど。
一見、無意味にしか聞こえない言葉であっても、無意味さの中から面白さや愛や悲しさを取り出したりして、世界の奥行を垣間見せてくれる一冊です。

日頃、何かの言葉に違和感を持っても、それを言語化できない私はモヤモヤしながら、そのうち忘れてしまいます。
例えば、
「万一ご満足いただけない場合は全額ご返金致します」
というフレーズ。何だか不快に感じるのだけど、どこがどう嫌なのか言葉にすることができなかった。このフレーズについて誰かと意見交換することもなかった。それを本書の中で見つけたときには、あっ、と思いました。

「他人の主観に対してそこまで強気になれるのは自信の現れというレベルを超えている。サービスの顔をした恫喝に思えるのだ。」

P161「サービストーク」

そうそう、それ。私もそれを言いたかったのです。

「償いの雪が降る」健気な主人公を応援しながら読んだミステリ

大学生のジョーは、授業で身の回りの誰かの伝記を書くことになった。適当な身内がいないため訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮出所し施設で最後の時を過ごしていた。カールは「臨終の供述」をしたいとジョーのインタビューに応じる。話を聞くうちにジョーは事件に疑問を抱き、真相を探り始めるが……。バリー賞など三冠獲得、衝撃のデビュー・ミステリ!

(「BOOK」データベースより)

小説というのはシリーズ物でなければ、主人公が魅力的な人物なのか、自分好みなのか、読んでみるまで分からない。
テレビドラマだったら、好きな役者が出演しているとか、配役情報だけで観る気になったりするのだけど、小説はそうはいかない。

特に本書のようにこれが作家のデビュー作となれば、登場するのは全員未知の人物ばかりです。
読みながら登場人物の顔や性格を、書かれている情報を元に自分なりに想像して新人俳優に育てていくのは、これも読書の楽しみ方の一つです。
本書『償いの雪が降る』の主人公ジョーは、結構魅力的な若手俳優でしたよ。
イケメンではないけど、健気で勇気があって、優しく、まっすぐで。
性別こそ違え、ジブリ映画に出てくる女の子みたいに、応援したくなるキャラクターではないかと思います。

酒とギャンブルと男に溺れている母親。今で言う「毒親」の元で育ち、自閉症の弟の面倒をみながら、自立し明るい未来を手に入れるために、孤軍奮闘する主人公。私も応援しながら読み進みました。

同じ主人公で2作目も書かれているということなので、シリーズ化されるかもしれませんね。

シリーズ物と言えば、私は以前、パトリシア・コーンウェルの『検屍官シリーズ』と、スー・グラフトンの『キンジー・ミルホーンシリーズ』に嵌って、新作を見逃さず読んでいた時期がありました。
でも、『検屍官シリーズ』の方はある時から、たぶん10作目かその前あたりからか、全く読まなくなってしまいました。何故か主人公のケイ・スカーペッタに魅力を感じなくなってしまったのです。
ケイ・スカーペッタが人気女優に育ち過ぎたのか、私の好みが変わったのかは分かりませんが、シリーズ物といえど惰性で読み続けることはできないようです。

一方、女探偵『キンジー・ミルホーンシリーズ』については、キンジ―に飽きることはなく、1作目『アリバイのA』から始まって、18作目『ロマンスのR』まで読みました。
『S』で始まる次回作の刊行をずっと待ち続けたけれど、何故か日本では『S』から後は翻訳されることはなく、2017年、スー・グラフトンは亡くなってしまいました。
今では既刊分も全て絶版だということです。本当に残念です。
できることなら、アメリカでは既に刊行されている『S』から『Z』までを、日本でも翻訳刊行して欲しい。

女探偵キンジーは社交的なことが苦手で、人と会った時天気のことぐらいしか話題がない。キンジ―が「この世にお天気があって、ホントに良かった」と自嘲気味に思う場面が、何故かいまだに妙に忘れられない。

『選んだ孤独はよい孤独(山内マリコ)』

まず表紙の絵に惹きつけられました。
「装画:長谷川潾二郎 タイトル:アイスクリーム」
存じ上げないお名前だったので画像検索してみると、他にも心惹かれる絵が多く、嬉しい発見となりました。
勝手に若いイラストレーターを想像していましたが、 長谷川潾二郎は明治生まれの画家であることに驚き、さらにウィキペディアによる長谷川潾次郎の生涯について、あまりにも簡素な記述に驚きました。

1904年、父・長谷川清(後に淑夫に改名)、母・長谷川ユキの二男として函館に生まれる。長兄に、牧逸馬・林不忘・谷譲次の三つのペンネームを用いて活躍した作家の長谷川海太郎がおり、弟には、ロシア文学者で詩人の長谷川濬(三男)、作家の長谷川四郎(四男)がいる
旧制函館中学(現・北海道函館中部高等学校)卒業。中学の同級生に、探偵小説家・編集者の水谷準がいた。その後、画家を志して1924年に上京し、松本泰が大家をつとめる下宿で、水谷と共同生活を送る[2]
1931年、画の勉強のためパリへ渡る。数年滞在する予定だったが約1年で帰国。
1988年、84歳で死去。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E3%82%8A%E3%82%93%E4%BA%8C%E9%83%8E

表紙の装画も彼の生涯記述同様に「簡素」というイメージがぴったりです。
たぶん私が惹きつけられたのも、その飾り気の無さかも知れませんが、はっきりしたことは分かりません。簡素な絵は他にいくらでもあるのですから。
ただ本書のタイトルにある「孤独」という言葉が上乗せされることで、1個のアイスクリームと1冊の本と1冊のノート(かな?)、ピンクの色鉛筆とメガネと煙草が、誰かの人生の孤独を象徴しているかのように見えてくるから不思議です。

とは言え本書「選んだ孤独はよい孤独」には、「選んだ孤独」というのがどんなものなのか、いま一つはっきりとは書かれていません。

地元から出ることなく遊び仲間とつるむ失業中のヨシオとか、自己中な女子に振り回される男子高校生とか、同棲生活が1年で破綻した理由が分からない彼とか、仕事ができない男の話とか、、などなど、日常をちょっとだけ切り取った、物語と呼ぶには断片過ぎる19個のお話です。

そして、どのお話もまた孤独と呼ぶには日常的過ぎる。
それは、孤独が特別なものでなく日常そのものなのだ、とでも言っているかのようです。

19個のお話の中の一つ、「おれが逃がしてやる」は、ちょっと泣けました。

人は、その時々にどこかのコミュニティに所属していて 、そこに順応しきれない自分を感じながら順応した振りをして生きていくんだよなあ。
それは私だけではないんだよなあってことを、今さらながら、しみじみ思いました。

ブラウザを『Firefox Quantum』に変えてみた。

ブラウザを変えたい理由

インターネットを利用していてストレスに感じることの一つに、閲覧しているサイトに、ちょいちょい表示される「広告」の存在があります。

中でも 「追跡型広告」と呼ばれるアレ。Webサイトで閲覧した商品画像や広告が、何の関係もないはずの他のサイトでも表示されるアレです。

通販サイトなどでちょっと閲覧したことのある商品画像が、他のWebサイトまでストカーのように追いかけてくる。「知っているよ、あなたはこれが欲しいんでしょ。」みたいな感じで煽ってくる。

いやいや、私の好みを勝手に推測しないでください。買う気はないんだから。ってちょっとイラッときます。

トマス・スウェターリッチ作のSF小説『明日と明日』(ハヤカワ文庫)に描かれる未来は、「アドウェア」というアプリを頭部に装着することでwifiに自動接続され、頭の中に直接Web配信される電脳社会。

ニュースもメールもSNSも、あらゆる情報、データが頭の中でやりとりされ、3Dのヴィジュアルが目の前にポップアップされる。

広告もスパムも勝手にストリーミングされるので、車で走っていると、彼の思考をトラッキングして、関連した広告やサイトに誘導する煽り映像が、次々と行く手に現われる。ビキニの女性が、飲料水が、チョコレートが、有料パーティへのお誘いが、絶え間なく現われる。
主人公は思わず叫ぶ。「やめろーー何もいらないー-今は何も買いたくないーー」

そんな3D広告にストーキングされる未来がこないとも限らない。
だって、選挙の時に名前を連呼するだけの立候補者に投票する人たちがいて、しつこくすればその気になるでしょ、と信じている広告業者が絶滅していない現状なのだから。
というわけで、トラッキング防止に特化したブラウザに乗り換えることにしました。

参考サイト
『Chromeはランク外? 安全で信頼できるベストなブラウザ4選

https://www.lifehacker.jp/2019/08/the-best-privacy-and-security-focused-web-browsers.html

上記サイトを参考にして、今回は『Firefox Quantum』をインストールしました。
https://www.mozilla.org/ja/firefox/

 

 

インストール後、画面の右端上部にあるメニューアイコンを開いてオプション、アドオンの設定をします。

『 Firefox のオプション設定 』を参照しながら設定していきました。

アドオン(拡張機能) にある 『Privacy Badger』については、Chromebookのある生活サイトのChrome拡張機能、『Privacy Badger』という記事を参考にさせていただきました。

設定後 『Firefox Quantum』 と今まで使っていた 『Chrome』と両方で、いろんなサイトを開いてみて、表示される広告を比べてみました。その結果、 『Firefox Quantum』 では「追跡型広告」がしっかりブロックされていることを確認しました。
しかし、喜ぶのも束の間、表示がおかしいサイトを発見!

サイト表示がおかしかっのでリフレッシュした

ヤフージャパンを開いたらこんな色気の無いサイト表示になってびっくり!

原因は分かりませんが、、、 おそらく私が設定を変にいじり過ぎたせいなのかと。
『 Firefox をリフレッシュする – アドオンや設定のリセット』 ページにあるリフレッシュボタンをクリックしたところ無事解決。
その後、特に問題は見つかりませんでした。

Firefox Quantum』に変えて良かったところ

「追跡型広告」をブロックできるのはもちろんですが、そのほかにちょっと嬉しい機能がありました。

①右クリックで簡単にスクリーンショットが撮れる。
キーボードでもスクリーンショットは撮れますが、画面全体だけでなく撮りたいところを選択して撮れます。これはちょっと便利です。

②アドオンにある『Worldwide Radio』
アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、世界各国のFMラジオが視聴できます。
機能を追加すると、画面右上にラジオのアイコンが表示されます。
チャンネル数が多くて、一つ一つ視聴していくといったい何日かかるやら、、、作業用BGMとして使えそうです。

③画像変更表示が素早い
ホームページ作成をしていて、画像の差し替えをアップした時、『Chrome』では一度キャッシュを削除しなければ、差し替えた画像がすぐには表示されなかったのですが、『Firefox Quantum』では瞬時に表示されるので気持ちがいい。

追記

後から気が付いたのですが、以前『 web作成にちょっと便利なGoogle Chromeのカラーピックアイドロッパー 』で紹介しました“カラーピッカー”は使えなくなりました。『 Chrome 』の拡張機能なのだから仕方ないけど、ちょっと残念。

追記2

TVerやYouTubeも『Firefox Quantum』で開くと、広告無しで観れます。
ストレスフリーでありがたいです。

でも、途中で止まってしまう動画サイトが、たまにあったりします。ある種の広告が出るタイミングではじかれてしまうようです。(※後日、広告無しで難なく見れるようになりました。Firefoxの更新で修正されたのか?YouTube側の問題だったのか?理由は分かりませんが、とりあえず現在動画も快適です。)

【追記】動画が途中で止まってしまうことはなくなりましたが、TVerを観ていたら、最初から動かない動画がたまにあります。これは広告を表示しなければ動かないぞ!という作りになっているらし。仕方ないので、『GoogleChrome』と両方使っている現状です。

アドオンとしては、『Notes by Firefox』が気に入っています。
すごく便利なメモ作成機能です。WEBを閲覧している間中、画面にサイドバーを固定表示できて、メモとして利用できます。

しかし、サイドバーを表示させていると、イラストACの投稿管理画面ではソート機能が使えなくなる、といった問題もあったり、(※後で分かったことですが、これはブラウザの問題でなく、使ってるモニタの画面サイズ、縦横比が原因)

Firefoxを推奨していないサイトもあったりで、、、、やはりWEBは『GoogleChrome』を基本にサイト作りがされているのだろうと思います。


「ザ・バニシング―消失-」真相を知りたいという好奇心

1988年製作の映画ですが、日本公開は初めてという埋もれた名作。

「サイコ・サスペンス映画史上№1の傑作、ついに解禁 !」
スタンリー・キューブリックは本作を3回観てこれまで観たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だと言った。

http://www.thevanishing-movie.com/ 映画『ザ・バニシング -消失-』オフィシャルサイトより

という煽り文句にしっかり煽られました。
ホラー映画の金字塔と称される『シャイニング』を生み出した、あのキューブリック監督が恐ろしいと言い放つ、それはいったいどんな映画なのか、どうしても知りたくなりました。

予告編を観る限り、おそらく血液の量で恐怖を表現するようなスプラッターホラーの類ではなさそうです。
そこのところは一応確認して、『シャイニング』 も怖いからと観れなかった超ビビリのくせに、恐ろしい結末が待っていると分かっていながら、好奇心に抗えず観に行きました。

オフィシャルサイトに紹介されているストーリーはいたって簡素。

「7月、オランダからフランスへと車で小旅行に出掛けていたレックスとサスキア。立ち寄ったドライブインで、サスキアは忽然と姿を消してしまう。必死に彼女を捜すも手掛かりは得られず、3年の歳月が経過。依然として捜索を続けるレックスの元へ、犯人らしき人物からの手紙が何通も届き始め…。」

http://www.thevanishing-movie.com/ 映画『ザ・バニシング -消失-』オフィシャルサイトより

3年前、忽然と姿を消した恋人(妻?)サスキアを探し続けるレックスだが、3年という歳月が過ぎた頃には、もはや彼女の生存を信じることは難しくなった。
『喪失感』から立ち直るには、3年という歳月が必要だったのでしょう。
そんなところへ彼女の失踪について知っているらしい人物からの手紙が届く。
レックスは彼女に何が起こったのか真相を知りたい、ただただ知りたいという好奇心に抗えず、待ち受ける恐怖へ足を踏み出してしまう。

携帯電話もなかった30年ほど前のフランスの、のどかな村の美しい景色と日常。
登場人物も少なく、派手な演出もない。
あるのは3者の好奇心だけ。
サスキアに何が起こったか知りたいというレックスの好奇心。
自分の中にある異常性と正常性を立証したいという男の好奇心。
結末を知りたいという観客の好奇心。

知りたいと言う好奇心に抗えない人間の性(サガ)を描いた作品とも言えそうです。

39席だけの小さな劇場に観客は10人ほどでした。
観客の少ない映画館で席を選ぶとき、いつも悩みます。どの席が一番「最適」なのか。

前方の席だと見上げる感じになるから首が疲れそう。自分の目線と水平なところがいいのか。それとも階段を上がった後方からスクリーンをちょいと見下ろすくらいがちょうどいいのか。
迷いつつも結局は、最初に目についた誰も座っていない列の中ほどに座ることにしました。

そういえば、私は物事の「最適」がよく分からないなあとふと思いました。
人との「最適」な距離感とか、TPOに「最適」の服装とか、場に「最適」な言葉遣いとか、、、、

つらつらそんなことを考えていましたが、館内が暗くなりいよいよ映画が始まると、何を考えていたかすっかり忘れて、これから始まるであろう恐ろしい物語への好奇心でいっぱいになるのでした。

「2019 宮崎国際現代彫刻・空港展」のご案内

6/9(日)-6/23(日)

開催会場:宮崎ブーゲンビリア空港1階 オアシス広場

主催:2019 宮崎国際現代彫刻・空港展開催実行委員会

宮崎県内を中心とした全国、海外の彫刻家グループによる国際彫刻展です。
今年は国内作家55名、海外作家9カ国15名、合計70名の彫刻作品が一堂に並びます!
30回記念展 2019宮崎国際現代彫刻・空港展 より)

また、今年は30回記念展特別企画として、「彫刻家の小さな世界~ひむかの神のはなし~」と題して「神話」をテーマにした小作品の展示販売も行っております。( 30回記念展 2019宮崎国際現代彫刻・空港展 より)

当サイトでご紹介しています通畠義信氏が出品されています。

「鉄のオブジェ」YOSHINOBU TORIBATTA

今年は30周年だそうです。30年続けられるというのは、本当にすごいです。
案内ハガキのデザインも今年は新しくなっています。

「宮崎国際現代彫刻・空港展」のサイトは↓こちらから

「令和」がレイラに聞こえる4月

「新しい元号は『 令和 』であります」と発表された途端、頭の中で「いとしのレイラ」が鳴り響いたのは私だけではない。

新元号「令和」で「いとしのレイラ」が脳内再生される人たちhttps://www.itmedia.co.jp/news/articles/1904/01/news115.html

レイワ、惜しい!
しかしレイラを漢字表記するのは難しい。
思いつくのは「麗羅」だけど画数が多過ぎて、役所で書くとき面倒です。
そこで思うのだけど、役所もいい加減西暦表記統一を採用してくれたらと。

まあたぶん時代の流れとか、総理交代とかで、いつかはそうなっていくだろうとは思います。なんてったて、日本人は利便性を優先して発展してきた国なのだから。

ただ庶民の生活感覚では、時代を元号で一括りして振り返ることも多い。
西暦では毎年1年ずつ増えて「過去から続く終わりの無い時の流れ」が、日本では元号が変わると時代がリセットされたような、そんな感覚にもなります。

西暦と和暦の二つの時代感覚を持った日本の文化は面白いと思う反面、元号が変わることで過去の歴史を無いものにしてしまう「リセット癖」もあるように思うのは考え過ぎでしょうか?

平成の時代は戦争の無い「平和」の時代であったけど、大きな災害に見舞われ多くの不幸を生み出した時代でもありました。
「令和」はその不幸を救う時代になって欲しい。


「●REC from 311~復興の現在地」

テレ朝ニュース」サイトに「●REC from 311~復興の現在地」というサイトがあるというニュースを観て、早速サイトを覗いてみました。

2011年3月11日の震災から現在に至るまでの記録サイトです。

3.11後の風景の変化を定点カメラによって撮り続け、復興の歩みが目に見える形になっています。また、復興関連のニュース企画も地図上にマッピングされており、とても貴重な記録サイトです。

サイトオープニング動画

「東日本大震災以降の震度6弱以上の地震」という記事によると 2011年以降、『 震度6弱以上の地震は25回発生。うち、震度7以上は4回。』だそうです。
地震以外にも、台風、火山の噴火、土砂災害、酷暑、雪崩、、など大きな災害が絶えることありません。

昨日も北海道で震度6弱の地震が起こりました。
ニュース速報が流れたとき、正直言うと、 熊本地震の時ほどの衝撃はありませんでした。
自分や自分の関係者が被災地の当事者にならない限り、やはりどこか他人事というか 、関心が薄くなってきているのを感じます。

こんなとき私は、「我々は皆、他人の不幸に耐えるだけの強さを持っている。」というラ・ロシュフコーの皮肉な言葉を思い出します。

「猫展2019」のご案内

2019.2.16(土)~3.5(火)

11:00~18:00

定休日(水曜日)最終日(17時)

2月22日は「猫の日」。

ギャラリー白樺では、毎年「猫展」が開催されます。

今年は総勢48人の作家が出品されます。
現在ご活躍中の作家たちが創りだす、48匹(たぶんそれ以上)の猫たち。
見応えありそうですね。

当サイトでご紹介しています、通畠義信さん通畠朋子さん山田利喜子さんも毎年参加しています。
猫好きな方はもちろん、犬派の方もぜひ覗いてみてくださいませ♪

ギャラリー白樺/〒892-0822 鹿児島市泉町14-9
TEL/099-226-4518

我が家de個展 ギャラリーときどき    『通畠朋子・山田利喜子 二人展』

『通畠朋子・山田利喜子 二人展』開催中

2018.12.2(日)~12.9(日)

時間:am11:00~pm5:30
於:我が家de個展 ギャラリーときどき

ただいま、『ギャラリーときどき』で開催中の二人展に行ってきました。
通畠朋子さんは今回、新しい試みとして、ガリ版刷りの版画を出品されていました。

ガリ版刷りと言っても、もう若い世代の方は知らないツールかもしれませんね。
私は小学生の頃、新聞部だったのでロウ紙を鉄筆でガリガリと削って学級新聞を作っていました。先生たちも週報(だったと思うが記憶はあやふや。。。)などガリ版を使って作成していたので、原稿を用紙に刷る作業を手伝った思い出が懐かしい。

通畠朋子さんが若い頃創った人形たちもありました。

山田利喜子さんは今年の美展入賞と入選作品を展示されています。
常連入賞入選の実力派ですね。

 

革のバッグのほか、珍しい革のベストがありました。ベレーとセットで小粋に!

ギャラリーときどき:鹿児島市薬師2丁目16-18
Tel:099-255-5575

[mappress mapid=”37″]

 

「第13回いずみものづくり8人展」のこと

「第13回いずみものづくり8人展」
会期:12月2日(日)まで

出水市在住の『ものづくりたち8人による展示会です。
当サイトでご紹介しています鉄の彫刻家通畠義信氏、銅版画だけでなくいろんな素材を混合して(ミクストメディア)作品を創りだすTOMOKO・T・TORIBATTAさんも、毎回参加されています。
陶芸・織・染め・編み物・
木工・彫刻など、多種多彩な作品が展示されていて、販売もしています。
場 所:「東雲の里あじさい園」
入場料:12月9日まで「もみじ祭り」開催中に付き、入場料500円。


 

「東雲の里あじさい園」とは、「鹿児島県観光サイト/かごしまの旅」サイトによると

四季折々の花や木々を楽しめる
約4万坪の敷地には、沢が流れ、上流には「東雲の滝」、自然の地形を活かした遊歩道や展望台がある日本最大級のあじさい峡。春は桜、夏は紫陽花、秋は紅葉など四季折々の花や木々などが楽しめます。鹿児島県観光サイト/かごしまの旅」サイト

だそうです。

いままさに紅葉が見ごろですね。紅葉とアートを楽しむ一日を過ごしてみたいものです。

ところで、「東雲」をシノノメとすんなり読めたあなたはかなりの漢字力。
難読漢字としてクイズ番組に出題されるレベルの読み方ですね。
昔古典の授業で習ったはずだけど、もうすっかり忘れていました。

東雲は、「日本の古語で闇から光へと移行する夜明け前に茜色にそまる空を意味する。(ウィキペディアから)」そうです。たった2文字から美しく壮大なロケーションが目に浮かんできます。

第9回 1000の小箱展 (2018年)

宮城県大崎市の「感覚ミュージアム」が開催する、「第9回 1000の小箱展 (2018年)」に、当サイトでご紹介しています「銅版画」TOMOKO・T・TORIBATTAさんの作品が展示されています。
出品作品は「TOMOKO・T・TORIBATTA」のギャラリーにアップしましたので、是非ご覧ください。

主催する「感覚ミュージアム」とは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚といった、”感覚”をテーマとする、日本で初めてのミュージアムだそうです。
来館者も鑑賞するだけでなく、五感をつかった感覚体験ができる仕掛けになっているようです。
「1000の小箱展」は、一つ一つの作品が約1000個の小さな引き出しに収められ、来館者が引出しを一つ一つ開けて作品と対面する仕掛けですね。

自分の机以外の引出しを開けるって、ちょっとワクワクしますね。

感覚ミュージアム

〒989-6434
宮城県大崎市岩出山字100

[mappress mapid=”36″]

第29回 2018宮崎国際現代彫刻・空港展のご案内

2018 宮崎国際現代彫刻・空港展

平成30年9月2日(日)~9月17日(月・祝)(最終日は15時まで)
会場:宮崎ブーゲンビリア空港 1階 オアシス広場

当サイトでご紹介しています、通畠義信氏が毎年参加されています。
「鉄のオブジェ」YOSHINOBU TORIBATTA

宮崎県内を中心とした全国、海外の彫刻家グループによる国際彫刻展です。
国内から45名、海外から7ヶ国13名、合計58名の
彫刻作品が一堂に並びます!

彫刻といっても、木や石、鉄やガラスなど多様な素材を用いた
具象・抽象彫刻など様々な作品です。
会場では、一部の作品には触れることができます。
実際に触れてみて素材の違いを手触りで体感してみませんか?

彫刻といっても、木や石、鉄やガラスなど多様な素材を用いた
具象・抽象彫刻など様々な作品です。
会場では、一部の作品には触れることができます。
実際に触れてみて素材の違いを手触りで体感してみませんか?

宮崎ブーゲンビリア空港のサイトから引用

「宮崎ブーゲンビリア空港」は、いかにも南国っぽい名前がインパクトありますね。
「宮崎ブーゲンビリア空港」のサイトには、こんな面白動画もアップされています。
ついでにこちらもご紹介します。

「驚きI!滑走路で踊ってみた 現役空港スタッフ 踊る宮崎ブーゲンビリア空港」

 

ー通畠義信・朋子「まがり角の二人」展ー観てきました!

12月1日から開催していました、通畠義信・朋子「まがり角の二人」展を観に行ってきました。と言っても、観に行けたのは終了日間際の11日。
諸事情でなかなか時間が思うようにならない今日この頃です。もっと早くブログにアップしたかったのだけど、あれから2週間も経ってしまいました。
クリスマスも過ぎ、今は来年に向けての最終助走中です。
今年のうちに画像だけでもアップしておきたい。

今回の二人展も前回と印象の異なる作品がいくつもありました。停滞することなくいつも新しい作品を創り続けているお二人の日々が感じられました。

前回の「二人展」はこちらをご覧ください。「通畠義信・朋子二人展ー彫刻と絵ー」行ってきました!


第72回南日本美術展空間造形部門優秀作品「ハエの家 2017-収束の刻-」より


←左「Chalynien チャリニアン」

上↑「Nyamp ニャンプ」上↑「Nyailien ニャイリアン」

左←「花咲く鳥」

上↑「Mermaid hunter」

上↑「水の在処」

左←「Last mermaid」

上↑「スフィンクスの谷」

 

 

左、下、キャンドルシリーズ 

 

 

「きよしこの夜」-ラファエロ聖母像より-

「12月の孤島」-モン・サン・ミシェル-

「沈黙」

「海の星」

「魚に飲み込まれた男」

「セイレンの歌声」

「星屑」

「海の怪獣」-ピエロ・ディ・コシモの絵より-

通畠義信さんのギャラリーはこちらから

通畠朋子さんのギャラリーはこちらから 「銅版画」TOMOKO・T・TORIBATTA

 

ー通畠義信・朋子「まがり角の二人」展ー開催のお知らせ

2017.12.1(金)-12(火)

(休館日:木曜日) 11:00-17:30 最終日16:00
ギャラリーセージにて

今月、南日本美術展にて海童賞:空間造形部門優秀賞を受賞された通畠義信さんと、9月に西脇市サムホール大賞展受賞作家展を開催した通畠朋子さん。お二人の「二人展」が開催されます。
展覧会のテーマが「まがり角の二人」というのは、何だか意味深ですね。
案内状によると

60歳を過ぎて新たな方向性を模索して行くという意図と様子を「まがり角」と呼ぶとして、そのひとつの契機としての展覧会になればと思います。

とのこと。
どんな作品が見られるか、楽しみです。

ギャラリートーク:12月3日(日)15時から

ギャラリーセージ:〒890-0041鹿児島市城西2丁目10-22(城西中学校体育館近く)
TEL:099-210-5802
営業時間
11:00 ~ 17:30
水・木曜は定休日
( ※企画展中は木曜のみ)

通畠義信氏、南日本美術展にて海童賞受賞しました!

当サイトで紹介しています「鉄の作家」通畠義信氏が、南日本美術展にて海童賞:空間造形部門優秀賞を受賞されました。おめでとうございます!!

作品は『ハエの家2017ー収束の刻ー

一幕の舞台装置のようなこの「ハエの家」。10年ほど前、ハエ男の遅刻』という作品がありましたが、ここは、あのハエ男の家なのでしょうか?

 


← 『
ハエ男の遅刻』(2008年)

南日本美術展会場には「作品コンセプト」ノートが置かれていて、その中にハエについての考察が書かれています。
会場に行かれた際は、「作品コンセプト」ノートも開いてご覧ください。

南日本美術展は11月26日、今度の日曜日まで開催です。

『我が家de個展 ギャラリーときどき』にお邪魔しました。

友人と誘い合わせて『我が家de個展 ギャラリーときどき 秋色の手仕事展』にお邪魔しました。
友人にも、
『ギャラリーときどき』店主(?)にも久しぶりに会ったので、ついついお喋りに夢中になり、作品全部の写真を余すことなく撮る、という目的を忘れてしまいましたが、、、、楽しい時間を過ごさせていただきました。

11月12日、日曜日まで開催しています。




「秋色の手仕事展」開催のお知らせ

皮革染色工芸作家の山田利喜子さんは、ご自宅で個展やグループ展を不定期的に開催されています。
ギャラリー名は『我が家de個展 ギャラリーときどき
今回は7人参加のグループ展を開催します。
出品作品は、ポプリ、エコたわし、子供服、刺し子、なべつかみ、人形、布小物、革バッグ、・・・・etc
ぜひ、通りすがりにふらりと覗いてくださいませ。

山田利喜子さんの作品サイトは⇒こちらから

期間: 11月3日(金)~11月12日(日) 

時間: 11:00am~17:30pm
会場: 鹿児島市薬師2-16-18
連絡先: 099-255-5575

 

 

第10回全国公募西脇市サムホール大賞展受賞作家展VOL.7 「通畠朋子展」会場写真

第10回全国公募西脇市サムホール大賞展受賞作家展VOL.7 「通畠朋子展」の作品画像と会場風景写真をいただきました。

この展覧会のために制作された、シリーズ「いとも豪華なる時禱書」の作品を10点、通畠朋子さんのギャラリーページに掲載しました。
是非、「銅版画」TOMOKO・T・TORIBATTAをご覧になっていただきたいです。色彩も美しく見応えあるシリーズです。

 

第10回全国公募西脇市サムホール大賞展受賞作家展VOL.7 「通畠朋子展」が開催されます。

2014年、当サイトでご紹介しています銅版画作家、通畠朋子さんが、「第10回西脇市サムホール大賞展」にて大賞を受賞しました。
22.7cm×15.8cm×6cmの片手に乗るほどの小さな作品なのに、豊かな発想高度なスキルがあれば、こんなにユニークな造形作品が生まれるのだなあと、私は感動を覚えたものでした。

通畠朋子さんのギャラリーはこちらから⇒「銅版画」TOMOKO・T・TORIBATTA

あれから3年、西脇市サムホール大賞展は、2年に一度の開催から、3年に一度のトリエンナーレ方式にスタイルを変え、今年、第11回西脇市サムホール大賞展が開催されます。それに併せて、前回の入賞者の作品展「通畠朋子展」が開催されます。

西脇市岡之山美術館にて
http://www.nishiwaki-cs.or.jp/
開催日時:9月20日(水)~10月9日(月)
10:00~17:00(入館16:30まで)
最終日は15時まで
休館日:9/25、10/2

第11回全国公募西脇市サムホール大賞展は
平成29年10月29日(日曜日)から12月3日(日曜日)まで

プラグインを使わないで、関連する投稿記事を表示する

WordPressには、標準装備以外の機能を追加してくれるプラグインが数多く配布されています。
とても便利なのでついつい、あれもこれもとインストールしてしまいがちですが、メリットがあれば当然デメリットもあるわけで。
プラグインを入れ過ぎるとアップデート作業も増えますし、めったにないことですがアップデートの際に重大な不具合を起こすリスクもあります。

WordPress Related Postsのアップデートでエラー

この前、WordPress Related Postsのアップデートで、そのめったにない不具合を経験しました。
WordPress をバージョン 4.8 に更新して、そのあとWordPress Related Postsをバージョン 3.6.4 にアップデートしようと更新ボタンを押した途端、画面が真っ白!何も表示されない状態になってしまいました。
管理画面も真っ白で入ることができず、私の頭の中も真っ白に!
本来ならこんなトラブルの時こそ、エラーの原因を追究してスキルを上げるチャンスなのですが、真っ白な画面が恐ろしくて気持ちの余裕をなくし、すぐにFFFTPを立ち上げてサーバーからWordPress Related Postsを削除しました。
それで一応問題なくサイトは復旧しました。

あとから検索するとこのエラーに対して、解決法がネットにありました。
原因は「PHPのバージョンが5.3以下だと作動しない」ことだそうです。

参照サイト:

【WordPress】関連記事プラグインRelated Postsエラーの解決方法

プラグイン無しで関連投稿記事を表示させる方法

WordPress Related Postsはバックアップを取ってあったので、旧バージョンをサーバーにアップし、そのまま使い続けていました。こんな感じで関連記事を表示させています。

しかし、このプラグインのアップデートは当分できないので、この際、プラグインを使わず関連投稿記事を表示させてみることにします。

以下のサイトを参照させていただきました。ありがとうございます!

WordPressのサムネイルつき関連記事を表示する

プラグインなしで関連記事を表示する方法[WordPressカスタマイズ]

『WordPressのサムネイルつき関連記事を表示する』のコードでは、サムネイルの下にタイトルといった形で横並びに5個表示されます。
プラグインなしで関連記事を表示する方法[WordPressカスタマイズ]』のコードでは、サムネイルの横にタイトルと記事の抜粋を表示し、それを10個縦に並べたスタイルになります。
どちらも関連した記事を、ページを読み込むごとにランダムに表示させます。

新規にテンプレートを作成する
related-entries.php

テーマ内にrelated-entries.phpというファイルを新規に作成します。
コードは下記のようにしました。

&amp;lt;?php
//カテゴリ情報から関連記事を5個ランダムに呼び出す
$categories = get_the_category($post-&amp;gt;ID);
$category_ID = array();
foreach($categories as $category):
  array_push( $category_ID, $category -&amp;gt; cat_ID);
endforeach ;
$args = array(
  'post__not_in' =&amp;gt; array($post-&amp;gt;ID,'booklist'),
  'posts_per_page'=&amp;gt; 5,//表示させる個数
  'category__in' =&amp;gt; $category_ID,
  'orderby' =&amp;gt; 'rand',//ランダムに表示させる
);
$query = new WP_Query($args); ?&amp;gt;
  &amp;lt;?php if( $query -&amp;gt; have_posts() ): ?&amp;gt;
  &amp;lt;?php while ($query -&amp;gt; have_posts()) : $query -&amp;gt; the_post(); ?&amp;gt;

     &amp;lt;ul class="related-entry"&amp;gt;
      &amp;lt;li class="related-entry-thumb"&amp;gt;
  &amp;lt;a href="&amp;lt;?php the_permalink() ?&amp;gt;" title="&amp;lt;?php the_title_attribute(); ?&amp;gt;"&amp;gt;
        &amp;lt;?php if ( has_post_thumbnail() ): ?&amp;gt;
        &amp;lt;?php the_post_thumbnail(array(100,100)); //サムネイルのサイズ?&amp;gt;
        &amp;lt;?php endif; ?&amp;gt;
        &amp;lt;/a&amp;gt;
      &amp;lt;/li&amp;gt;
             &amp;lt;li class="related-entry-title"&amp;gt; &amp;lt;a href="&amp;lt;?php the_permalink(); ?&amp;gt;"&amp;gt;
          &amp;lt;?php the_title(); ?&amp;gt;
          &amp;lt;/a&amp;gt;&amp;lt;/li&amp;gt;
    &amp;lt;/ul&amp;gt;

  &amp;lt;?php endwhile;?&amp;gt;
  &amp;lt;?php else:?&amp;gt;
  &amp;lt;p&amp;gt;記事はありませんでした&amp;lt;/p&amp;gt;
  &amp;lt;?php
endif;
wp_reset_postdata();
?&amp;gt;
&amp;lt;br style="clear:both;"&amp;gt;

下記のコードをテーマのテンプレートの表示させたい所に挿入します。
一般的にはsingle.phpに表示させるようです。


 &amp;lt;!-- 関連する投稿ここから --&amp;gt;             

            &amp;lt;div id="related-entries"&amp;gt;
  &amp;lt;h3&amp;gt;関連する投稿&amp;lt;/h3&amp;gt;
  &amp;lt;?php include( TEMPLATEPATH . '/related-entries.php' ); ?&amp;gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&amp;lt;!-- #related-entries --&amp;gt;
     &amp;lt;!-- 関連する投稿ここまで --&amp;gt;

(※)今までWordPress Related Postsを導入していた場合は、テンプレートに記述してある以下のコードを必ず削除しましょう。

&amp;lt;?php wp_related_posts()?&amp;gt;

style.CSSのコードも書いておきます。あまり参考にならないかもしれませんが・・・
(※ただ今cssを修正中です。)
仕上がりはこんな感じです。5個の関連記事を横並びにしてみました。

一つプラグインを減らすことができて、ちょっとスッキリです。と言いたいところですが、こんな記事を見つけました。

【WordPress】プラグイン選びのポイント~悪いプラグインって何?

私もプラグインをあれこれ入れてみては削除し、を繰り返してきたのでデータベースには相当ゴミがたまっているはず。次回は、溜まったゴミを削除するプラグインClean Optionsを試してみたい。

『夢の断片(かけら)』モーラ・ジョス・・結末を知りたくない物語

2004年/ハヤカワ・ミステリ
英国推理作家協会賞・シルヴァー・タガー賞受賞

7月に入ってから、職場の休憩時間を使ってちまちま読み進めてきたこの本(367ページ2段組み)も、残すところ58ページとなりました。
いよいよ、ここから結末に向かって物語は、新たな局面を見せるに違いない、と思うところですが、今回は結末を読む前に本書を紹介してみたい。

物語の主役は、留守番派遣会社に勤める64歳の女性、ジーン。
長期不在の家に住み込みで留守番をすることがジーンの仕事だった。
18年間、57軒の家に住み込んできたジーンだが、高齢を理由に解雇を言い渡されていた。
58番目のこの家、ここが彼女の最後の仕事場となる。
ここで8か月間留守番係を勤め終えると、そのあと彼女にはもう行く所はない。ジーンには身寄りがなく帰る家もないのだった。

そんなジーンにとって、この最後の仕事場であるウォルデン・マナーの古くて美しいマナーハウスは、これまでで一番気に入った理想の屋敷だった。趣味の良い年代物の調度品にあふれ、時が止まったような静かな美しさがあった。
ジーンはいつしか自分がこの家の所有者であることを夢想するようになる。

偶然、屋敷中の鍵を手に入れてしまったことから、ジーンの夢想は現実的な欲望となった。
ジーンは開けてはいけない扉を次々と開けていく。
使ってはいけない客間の暖炉に火を入れる。
鍵のかかった部屋のバスタブに、たっぷりお湯を張る。
衣装戸棚に仕舞われている上等な衣服や靴を身に着ける。
ジーンの欲望は膨れ上がり、今までの人生で得られなかった幸福を、この家で手に入れたいと思うようになっていった。幸せになりたい。愛する家族が欲しい。息子とか、孫とか。
運命の糸に手繰り寄せられて、その日暮らしの男マイクルと、男に捨てられた若い身重の女ステフがジーンの元に現われた。三人は家族として暮らし始める。
やがて、ジーンと偽家族の欲望は暴走を始める・・・・・

読み進むほどにじわじわと、恐怖が増してくる物語です。
ジーンとマイクル、ステフの偽家族が、毎日一緒に食事をしたり、ワインを楽しんだり、庭の手入れをしたり、三人で赤ちゃんの面倒を見たり、とても穏やかで幸せな日常生活を営むほどに、読んでいるこちらの方が不安な気持ちに胸が苦しくなってきます。
間違いなく破綻の時がやってくるっていうのに、気づかないふりをして日常生活を続けている彼らの姿は、何だか身つまされて、他人事と言い捨てることができないのです。

この物語は、果たしてこのあとどんな展開を見せるのか?
決してハッピーエンドに終わるはずがありません。読み終わったとき、きっと、救いようのない後味の悪い思いをすると思う。
いやいや、もしかしたら読者の浅い読みを裏切って意外などんでん返しが用意されてるかもしれない。
だけどもし、すべてが狂人の戯言であったと言うような結末だとしたら?
それはそれで茶番をみせられたようで、がっかりするかも。

まあ、とにかく、結末を先延ばしにするのはほどほどにして、明日の昼休みに続きを読んでみることにします。
どんな結末であれ、本書が優れた作品であることは間違いないのです。

「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女」ダヴィド・ラーゲルクランツ“国民を監視する者は、国民によって監視される”


2015年発行/早川書房

 

 

 

職場に新しく入ったアルバイトの女性が、前職場を辞めた理由を話してくれました。
そこは従業員用のロッカーがなく、従業員はバッグなどを籠に入れて休憩室に置いておくだけ。
あるとき現金の盗難が相次いだため、防犯対策として休憩室に監視カメラが設置され、映像も音声も本社へ送られるようになったという。それがすごく嫌だった、と。

それまで、会社側は従業員には物を盗む人などいないと、信用していたのだろう(たぶん)。だから、ロッカーなんか無くても構わないと考えていたのだろう(たぶん)。
ところが現実に盗難が起こると一気に、休憩中の従業員を監視するという極端な選択をする。
その選択の前に、従業員のために貴重品ボックスを設置するとか、職場環境の改善を考えてもよかったのではないかと私は思う。

しかしまあ、実際にはロッカーを置かないのは経費節約のためであり、ロッカーや貴重品ボックスを人数分設置するよりも、監視カメラを1台追加設置する方が安上がりだろうし、休憩室にいる従業員を監視することに何らかのメリットが会社側にあるということなのだろう。
常に監視していれば、人はよく働くと考えているのかもしれない。
休憩時間に共謀して何かよからぬ企みをすることを、阻止できると考えているのかも知れない。
あるいは、従業員には職場において寛ぎも息抜きもプライバシーも必要ない、と考えているのかもしれない。

更衣室やトイレなどでなければ、休憩室に監視カメラを設置すること自体、違法ではないらしい。でも、労使間の信頼関係を損なうことは間違いないと思う。
休憩時間が息抜きにならない職場は、ストレスが溜まる。

しかし、この話題で一番気になるポイントはというと、世の中には他人の財布の中身を盗む人もいるが、監視カメラのデータを盗む人もいるっていうことです。そして、そっちの方が、はるかに被害が大きい。例えばこんなニュースがあります。

防犯カメラ映像、ネット「だだ漏れ」のリスク

先月もランサムウェア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー犯罪が多発して、世界中に多大な被害をもたらしました。インターネットには高度なスキルと悪意を持ったハッカー(これをクラッカーと呼ぶ)がいます。防犯カメラのデータを盗むくらい容易いに違いないのです。

というわけで、ここからが本題。
天才ハッカーリスベットが活躍する『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女』の話です。
『ミレニアム』の前作を読んだ方はご存知のことですが、今回の『ミレニアム 4』の著者はスティーグ・ラーソンではありません。
スティーグ・ラーソンは生涯のパートナー、エヴァ・ガブリエルソンと共に『ミレニアム』を1,2,3部と4部の途中まで執筆していましたが、第1部が発売される前に心筋梗塞で急死してしまいました。
彼の死後発売された『ミレニアム』シリーズは大ベストセラーとなり、ファンの間ではエヴァ・ガブリエルソンによる続編が出るのでは、と期待する声もあったようですが、意外なことに『ミレニアム 4』はスティーグ・ラーソンとは全く無関係のダヴィド・ラーゲルクランツという作家が執筆することになりました。
登場人物は同じだけど書き手が違うという作品です。
私の感想としては、テレビ版の「ドラえもん」と劇場版の「ドラえもん」では登場人物にちょっとした変化がみられる、その程度の違いはあるような気がしました。
シリーズのテーマとなっている<女性に対する蔑視および暴力>を憎む姿勢は相変わらずですが、リスベットよ、少し手加減していないか?と物足りなさを感じた部分もありました。ま、私がリスベットに過激さを求め過ぎているかもしれませんが。

余談ですが、『ミレニアム』が<女性に対する蔑視および暴力>をテーマとすることと、リスベットの名前の由来には、深い理由があります。興味のある方はウィキペディア「ミレニアム (小説)」を読んでみてください。

さて、今回の『ミレニアム』は、“ドラゴン・タトゥーの女”ことリスベットが、ネットワークの中をかけめぐり、謎の犯罪組織と対決するサイバー・サスペンスストーリーとなっています。
手始めにリスベットは、監視国家アメリカの象徴と言えるNSA(国家安全保障局)のイントラネットに侵入し、自作の遠隔操作プログラムを使ってデータを根こそぎ盗んだりします。
NSAから見ればリスベットはハッカーではなく、クラッカーだと言いたいところでしょうが、テロ対策を大義名分に掲げ、その実、権力を濫用して企業スパイ活動にいそしみ、国内外のテロとは無関係な人々の日常を監視してきたNSAこそクラッカーと言えるでしょう。(「暴露」スノーデンが私に託したファイル/グレン・グリーンウォルド参照)
リスベットはNSAのセキュリティー管理最高責任者エドのPCに痛快な警告を書き残していきます。

「違法行為ばかりするのはやめろ。簡単なことだ。国民を監視する者は、やがて国民によって監視されるようになる。民主主義の基本原理がここにある。」

と。
今月15日我が国で、「組織的犯罪処罰法改正案」(通称「共謀罪法」)が強行採決によって成立しました。とても他所の国の話だと面白がってはいられない警告ですね。

11歳の少年がテディベアをハッキングして「オモチャが武器になる危険性」を語る

といった記事を読むと、この子のような天才たちが正当なハッカーとなって、どうか世の中を正しい方向に導いてくれ、と願わずにはいられません。

東日本大震災関連の動画を地図上から探せる検索サイトのこと。

「動画でふりかえる東日本大震災公開動画検索ファインダー」というサイトでは、インターネット上に公開されている東日本大震災に関連した動画を、地図上から検索することができます。

動画でふりかえる3.11とは
1) インターネット上に公開されている動画から,東日本大震災に関連するものだけを選んでリンクしています.
2) 「どこで」撮影されたものか分かるように,撮影された「場所」を地図上にプロットしています.

サイトの作成者は「東北大学災害科学国際研究所」。
東日本大震災後に設立された研究所だそうです。
検索できる動画の数は、2017年2月現在で約1,700件!
そのうち約1,000件については、正確な場所もしくはおおよその場所の情報が示されているそうです。これは、「動画の内容から目視で場所を同定する」ことによって得られた情報だということです。とても地道な人力的作業の積み重ねで作られていて、リンクされた動画の一つ一つが、震災の被害実態を記録した貴重な情報となっているサイトです。

[/youtube]

先ごろ、今村復興大臣が「東日本大震災東北で良かった」などと発言して、物議を醸す事態になりました。東日本大震災の復興は国の重要課題(のはず)なのですから、大臣が辞任させられたのは当然のことでしたが、一方で、震災を被災地だけの問題、もしくは被災者個々人の問題だと考えている人たちも多くいるのでしょう。

今見ても衝撃が強く、辛くなる映像ですが、震災からまる6年経過した現在、震災の記憶を風化させないためにも、震災をふりかえり、3.11を語り継ぐことが大事だと思います。

「絶叫」/葉真中 顕“たまたま、同じ家に降ってきた人を家族と呼ぶ”

光文社/2014年発行

この歳になると、何歳で死ぬことになるのかよりも、私はどこでどんな死に方をするのか、そのことの方が気になります。
室内か、野外か、病院か。自然死なのか、病死なのか、事故死なのか、災害によってか。

厚生労働省の「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」、第7表 死因順位(1~5位)別死亡数・死亡率(人口10万対),性・年齢(5歳階級)別 によると、私の年齢層では、女性の死因1位から3位までが病死です。4位が自殺、5位が不 慮 の 事 故。
95歳以上になって初めて老衰が1位となる。
人間が自然のままに死ぬことは、かなり難易度が高いことのようです。

私のこれまでの人生から考えると、平凡に生きて平凡に終わる。大多数の人と同じように病死というのが一番ありそうな終わり方だなと思えます。そして現在一人暮らしなので、部屋の中で孤独死する可能性が高い。

孤独死予備軍の私としては、本書『絶叫』のプロローグに登場する孤独死体には、少なからず衝撃を受けました。
気密性の高いマンションで一人暮らし。人付き合いもなく、公共料金は自動引き落としだから誰にも不審がられることなく。4カ月経ってようやく発見されたそれは、11匹の猫の骸骨と大量の蠅や蛆の死骸に囲まれ、猫や虫のエサとなり、もはや人間の形をなしていない状態だった。
グロテスクとしか言いようのない光景ですが、そう珍しい事ではないそうです。
飼い主に先立たれたペットは、密閉された部屋の中で必死に生きようとするわけで、ペットのためにも我が身のためにも、ペットより先に死んではならない。そう思いました。

とまあ、『絶叫』は、いきなりインパクトのある死体から始まる濃厚な犯罪小説です。
ただ、本書で扱われる犯罪そのものは、そう特異な事件ではなく、似たような題材で他のミステリ作家も優れた作品を書いています。
しかし、同じリンゴを描いても、セザンヌとマグリットでは、まったく印象が異なる作品になるように、この『絶叫』も既存の作品とは随分違った世界が見えてきます。

物語は、鈴木陽子という女性の転落していく人生が、その孤独な過去と現在が、二人の人物によって交互に語られていくというスタイルで進みます。
鈴木陽子は1973年生まれ。 サラリーマンの父と専業主婦の母と弟との4人家族。当時で言えば、割と普通の家庭に育ち、平凡でぱっとしない容姿、特別な才能もない、どこにでもいるような地方都市の少女だった。
何故彼女の家庭は崩壊したのか。何故彼女は東京で一人、頼る者もなく生きていかねばならなかったのか?

根底にあるテーマは、時代とともに変遷する日本の家族の姿です。
いつの時代に、どこの場所で、どの家族の元に生まれるか、それによって、人生の粗方は決まってしまう。それを私たちはよく、『運命』とか『宿命』とか言うけれど、この物語のなかでは、それを「降ってくるもの」と表現します。
「この世に選んで降る雨がないように、選んで生まれてくる人もいない。たまたま、同じ家に降ってきた人を家族と呼ぶ」と言う。
そして、
「姉さん、人間って存在はね、突き詰めれば、ただの自然現象なんだ。どんなふうに生まれるか、どんなふうに生きるか、どんなふうに死ぬか。全部、雨や雪と同じで、意味も理由もなく降ってくるんだ。」と。

500ページ超えの大作ですが、その語り口に惹きこまれて一気読みしてしまいました。
また、随所に伏線が張られていて、それが次々と現在にリンクしていき、最後には過去と現在がループのように繋がっていく感じが、ちょっとした快感を与えてくれる読了感でした。

作者の葉真中 顕(あき)について言えば、最初児童文学でデビューしており、ミステリー作家としての活動はごく最近になってからのようです。
2013年に1作目「ロスト・ケア」で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、本書「絶叫」が2作目の作品になります。

久しぶりにブログを復活、の前にWindowsアップデートに手こずった話

久しぶりにブログを書こうとPCを起動したら、Windows をアップデートしてください、とおなじみのメッセージが表示されました。
Windowsのアップデートは手動設定にしているのですが、最後にアップデートしたのがいつだったか思い出せない。ずいぶん長いことほったらかしにしていたようです。

まずは、コントロールパネル⇒システムとセキュリティ⇒Windows  Updateと開いていき、「更新プログラムのインストール」をクリックしたところ、何故かインストールが始まらない。いつまで待っても「更新プログラムをインストールしています….」の文字は表示されない。

検索してみるとWindows 7 SP1の場合、Windows Updateに非常に時間がかかるという症状が確認されているようです。長いことほったらかしにしていたことも原因の一つらしい。
下記のブログに解決法がありました。

「Windows7のWindows Updateが終わらない、遅い、進まない問題の解決方法」

それによると、Windows Update Client なるものの最新版をインストールすると良いとのこと。

2017年1月11日時点、Windows Update Client の最新版は KB3172605 に含まれています。
「Windows7のWindows Updateが終わらない、遅い、進まない問題の解決方法」より抜粋)

「Microsoft®Update カタログ」ページからWindows6.1-KB3172605-x64.msu(windows 7の64ビット対応)をダウンロードしてインストール。するとまたもやインストールできない。「スタンドアロンインストーラー」というダイアログが出るだけで一向にインストールが始まる気配がありません。

「Windows7のWindows Updateが終わらない、遅い、進まない問題の解決方法」には、

※ KB3172605 のインストールが出来ない場合は KB3177467 (2016年9月21日配信)のインストールも必要です。

と親切に注意書きがあったのに、それを読み飛ばしてしまった私は、焦って検索を続けたところ、

windows7更新プログラムを確認していますを劇的に改善KB3138612

スタンドアロンインストールについての注意点が紹介されていました。

スタンドアロンインストールが終わるまで、下記2つの作業をしたほうがいいかもしれません。

Windowsアップデートの自動更新は停止してあるので、インターネットの無線接続を切断して再度Windows6.1-KB3172605-x64.msuをインストールしてみると、今度はあっけなくインストール完了。

Windows Update ClientのインストールができたところでPCを一旦再起動して、改めてWindows  Updateページを開いて更新プログラムをインストール。
無事Windows  Updateが終了しました。

久しぶりにブログを書くつもりでしたが、Windowsアップデートに手こずって時間切れ。
下記サイトの方に感謝しつつ、今夜はここまで。

『猫展2017』のご案内

2017年(木)~26日(日)11:00~18:00
20日(月)定休日 最終日17時

昨年に引き続き、この日にちにちなみ「猫」をモチーフとした作品を集め「猫展」を開催致します。可愛らしい猫、凛とした猫など作家の愛情こもった猫たちが今回も皆様をお待ちしております。  (案内状から)

ギャラリー白樺にて
〒892-0822 鹿児島市泉町14-9
TEL 099-226-4518

生活を彩る革の作品展

山﨑恵子グループwith山田利喜子

2016年10月1日(土)~10月10日(月) am11:00~pm5:30

我が家de個展
ギャラリーときどき にて

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原口倫子先生に師事して革工芸の手ほどきを受けた、仲間たちの作品展。
木の葉ブローチの手作り体験もできるそうです。(要材料費:100円)

追記:写真を追加しました。

山田利喜子さんよりコメント欄に写真をいただきましたので、追記掲載致します。
コメントによると、革の小物やバッグがかなりたくさん搬入されたそうです。
山田さんの新作バッグも9個~10個出品するとのことですので、見応えのある作品展になりそうですね!
0-32569-tn

我が家de個展
ギャラリーときどき/鹿児島市薬師町2-16-18 TEL/099-255-5575

[mappress mapid=”28″]

「加藤勝海日本画展」のご案内

20016年9月9日(金)~9月20日(火)

11:00~17:30(最終日:16:00 休館日:木曜日) ギャラリーセージにて

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ギャラリーセージにて

TEL:099-210-5802
駐車場3台有
鹿児島市城西2-10-22
城西中西門裏
環境未来館近く

[mappress mapid=”27″]

「森 一浩 展」のご案内

20016年7月1日(金)~7月12日(火)

11:00~17:30(最終日:16:00 休館日:木曜日) ギャラリーセージにて

7月1日は15:00からギャラリートークが開催されます。

mori

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「第1回枕崎国際芸術賞展」に通畠朋子さんが入選しました!

枕崎市が今年から開催する「枕崎国際芸術賞展」。その記念すべき第1回目に、当サイトでご紹介しています通畠朋子さんが入選されました。
おめでとうございます!

「枕崎国際芸術賞展」は、

「国内・国外を問わず広く作品を募集することにより,優れた作品の発表と鑑賞の場を提供し,芸術文化の発信地として,国際文化交流と地域文化の向上を図る」

というもの。

展示会期:平成28年7月18日(月・祝)~9月4日(日)
展示会場:枕崎市文化資料センター南溟館

会期も長く、私も観に行くことができそうなので、今から楽しみです。
makurazaki

「普段使いの帽子とぬいぐるみたち」SA帽

2016年6月3日(金)~14日(火)

11:00~17:30

ギャラリーセージにて  休館日/木曜日  最終日/16:00

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6月12日(日)pm15:00から
Sound’s Wind(ヴァイオリンとエレクトーン)コンサートを開催(参加費無料)

ギャラリーセージ

[mappress mapid=”26″]

「2016宮崎国際現代彫刻・空港展」のご案内

6/5(日)~6/19(日)

宮崎ブーゲンビリア空港 1階オアシス広場

20160525

国内内外から多数の現代彫刻家が出品されます。鹿児島からは通畠義信氏も毎回参加されています。
是非、多くの方にご覧いただきたいです。
私も今年は久しぶりに観に行けそうで、楽しみです。

「宮崎の現代彫刻展」webサイトはこちらhttp://miyazakisculptureexhibition.web.fc2.com/

 

山元 悦子 絵画展 -ふりゆくものはー

5月13日(金)~5月31日(火)

営業時間:11:00〜17:30
 定休日:水・木 (※企画展期間中は木のみ)
ギャラリーセージにて

20160508

流れるようで、飛び去っていく毎日が自分の制作の糧となっています。
有形無形の変容の色を重ねて描き続けています。
光や植物、人物をテーマにした水彩・油彩 約15点を展示します。
ギャラリーセージのホームページより転載

ギャラリーセージ:http://www.gallerysage.jp/

〒890-0041 鹿児島市城西2丁目10-22(城西中学校体育館近く)
TEL:099-210-5802

[mappress mapid=”24″]

『馬場 明成 作陶展 -七然窯器展- 』

2016.3.18(金)~3.29(火) 休館日:木曜日
11:00~17:30 (最終日16:00)

ギャラリートーク:21日15時~
img001

ギャラリーセージにて

TEL:099-210-5802
駐車場3台有
城西中西門裏
環境未来館近く

[mappress mapid=”23″]

「雛もいる手仕事展」今日から開催です。

「雛もいる手仕事展」が、今日から[ギャラリーときどき]で開催です。
午前中2時間ほど見ている間に、次々売れていましたよ。

参加者の作品を少しだけピックアップしてご紹介します。
まずは、案内状には記載されていなかった、(遅れてきた参加者)下津眞治子さんの布やニットの小物。
G-DSC03371ユニークな表情のパグやテディベア、布のコサージュは、通畠朋子さん。

G-DSC03351G-DSC03355

 

 

 

自家製の「バラの幸せポプリ」は、上ノ原杏さん。G-DSC03356

こちらの人形たちも、かなりユニーク。品田心さん。
G-DSC03348
G-DSC03336

革のバッグ、ルームシューズは山田利喜子さん。(この白いバッグは朝一番に売れました。)
G-DSC03330G-DSC03334

陶器のランプは特別参加、(故)山田利矢さん。
akari02カラフルな鍋敷きは、私のパッチワークです。
g-tokidoki06

写真のほかにも革の雛飾りや陶器のお雛さま、パッチワークのなべつかみ、猫のイラストレーション、革のルームシューズ数足などなど、写真がうまく撮れなくて割愛いたしました。
「雛もいる手仕事展」は2月28日まで開催です。
どうぞご覧ください。

我が家de個展 ギャラリーときどき
鹿児島市薬師2-16-18
TEL:099-255-5575

[mappress mapid=”22″]

『猫展』-平面と立体-開催のお知らせ

2016年2月17日(水)~2月28日(日)
am11:00~pm6:00
会期中無休(最終日5:00)

27人の作家たちによる「猫」にちなんだ展覧会です。
当サイトでご紹介しています、通畠義信さん、TOMOKO・T・TORIBATTAさん、山田利喜子さんが出品致します。是非ご覧ください。

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《2月22日は、「猫の日」》
この日にちなみ猫をモチーフとした作品を集め「猫展」を開催いたします。
可愛らしい猫、凛とした猫など作家の愛情こもった猫たちが皆様をお待ちしております。
(案内状より転載)

ギャラリー白樺にて
鹿児島市泉町14-9
TEL/099-226-4518

 

「雛もいる手仕事展」開催のお知らせ

2016年2月19日(金)~2月29日(月)

11:00am~5:30pm

img004

『我が家で個展 ギャラリーときどき』の3回目の展示会が開催されます。
今回は『ギャラリーときどき』オーナーの呼びかけで集まった者たちのグループ展になります。
ハガキに掲載されているのは特別参加の故山田利矢さんを含め6人ですが、オーナーによるとハガキ作成後に一人追加参加があったとか。
素材は布、革、ポプリ、陶器など。小物中心の展示会になりそうです。
オーナー曰く、「珈琲店変わりにお気軽にどうぞ!期間限定オープンの自宅ギャラリーです。」とのこと。
皆さまのご来場をお待ちしています。

我が家de個展
ギャラリーときどき

鹿児島市薬師2-16-18
TEL:099-255-5575

[mappress mapid=”19″]

「宮下 昭二 油彩画展」のご案内

-癒しの風景画展-
2016.2.12.(金)~2.23(火)
11:00~17:30(最終日16:00 ※木曜日は休館)

20160208-min

小さい頃、魚釣りやどんぐりを拾った川や山。年を重ねるごとにとても懐かしく愛おしく感じるようになり、その風景を描くようになりました。現実と空想の狭間にある世界観を絵の中に感じて頂ければ幸いです。独特のタッチをお楽しみください。 (案内状より転載)

 ギャラリーセージにて
TEL:099-210-5802

[mappress mapid=”20″]

WordPress4.4で掲示板を作る

以前、「wordpressで掲示板を作る」にWordPressのコメントフォームを利用して掲示板を作る方法を紹介しました。

コメントフォームをそのまま使うと、メールアドレスやウェブサイトの入力項目が表示されます。
メールアドレスが入力必須項目となっていると、掲示板としては気軽にコメントしずらい気がします。
かといって、WordPressのディスカッションの設定では、メールアドレスだけ必須項目から外すということができません。
それで、テンプレートを少し書き直すことで、ウェブサイトの項目を削除し、メールアドレスを入力必須項目から外し、名前だけを必須にするようなフォームを作りたかったのです。

WordPressのメジャー アップグレードの際には、その都度テンプレートのコードを書き直す、という手間さえかけてきたのですが、それが今回、WordPress4.4へのアップグレードからテンプレートの仕様が変わって、以前の方法が通用しなくなってしまいました。

というわけで、何か他の方法はないかと検索したところ、なんと以前よりも簡単なカスタマイズをみつけましたのでメモしておきます。

WordPress4.4で掲示板を作る

掲示板を作成する手順は「wordpressで掲示板を作る」と同じです。
手順②の「メールアドレスは入力必須項目から外し、webアドレスの入力フォームは削除する。」という部分を変更します。

(A),(B)の2パターンメモしておきます。

(A)名前は入力必須にして、メールアドレスは入力しなくても承認されるようにし、ウェヴサイトの項目は削除する場合

keijibann01
  • WordPressのディスカッションの設定で、「名前とメールアドレスの入力を必須にする」のチェックを外します。(チェックを入れるとメールアドレスの項目にも必須マーク(*)が付いてしまうため。)
  • テーマのfunctions.phpに以下のコードを追加します。
  • 自動的に代替メールアドレスが表示されるようになります。

//コメントフォームの変更

// コメントからウェブサイトを削除
function my_comment_form_remove($arg) {
$arg['url'] = '';
return $arg;
}
add_filter('comment_form_default_fields', 'my_comment_form_remove');

//名前は必須項目にする

function preprocess_comment_author( $commentdata ) {
 if (&quot;&quot; === trim( $commentdata['comment_author'] ))
 wp_die('お名前を入力して下さい。');
 return $commentdata;
}
add_filter('preprocess_comment', 'preprocess_comment_author', 2, 1);
/* comment-template.phpの配列$argsのカスタマイズ */
add_filter('comment_form_defaults', 'comment_form_customize_args');
function comment_form_customize_args($args) {
 // コメントフォームの前の文言を変更
 $args['comment_notes_before'] = '

お名前は必須項目です。
メールアドレスが公開されることはありません。

';
 return $args;
}

//メールアドレス項目を入れたときの設定(未入力時は自動でメールアドレスを設定する)

if (basename($_SERVER[&quot;REQUEST_URI&quot;]) == &quot;wp-comments-post.php&quot;) {
 if ($_POST['email'] == null || $_POST['email'] == '') {
 $_POST['email'] = 'guest@example.com';
 }
}

(B)名前を必須項目にして、メールとウェヴサイトの項目を削除する場合

keijibann00
  • WordPressのディスカッションの設定で、「名前とメールアドレスの入力を必須にする」にチェックを入れます。(名前のところに必須マーク(*)を付けたいので)
  • テーマのfunctions.phpに以下のコードを追加します。

//コメントフォームの変更

// コメントからEmailとウェブサイトを削除
function my_comment_form_remove($arg) {
$arg['url'] = '';
$arg['email'] = '';
return $arg;
}
add_filter('comment_form_default_fields', 'my_comment_form_remove');

/* comment-template.phpの配列$argsのカスタマイズ */
add_filter('comment_form_defaults', 'comment_form_customize_args');
function comment_form_customize_args($args) {
 // コメントフォームの前の文言を変更
 $args['comment_notes_before'] = '

 お名前は必須項目です。

';
 return $args;
}

//自動でメールアドレスを設定する(メールアドレス項目を削除した場合も設定する)

if (basename($_SERVER[&quot;REQUEST_URI&quot;]) == &quot;wp-comments-post.php&quot;) {
 if ($_POST['email'] == null || $_POST['email'] == '') {
 $_POST['email'] = 'guest@example.com';
 }
}

以前はWordPress本体のテンプレートを2個書き直していましたが、今度はテーマのfunctions.phpに追加記述するだけなので、WordPressの メジ’ャー アップグレードのたびに書き直す必要がなくなり、ちょっと楽になりました。

下記ブログを参考にさせていただきました。
下記ブログを参照して、自分なりのカスタマイズを試してみることをお勧めします。

・WordPressのコメント入力欄から不要な項目を消す方法

関連記事を表示する「WordPress Related Posts」を少しカスタマイズしてtopページにも表示してみました。

WordPressの投稿に関連記事を表示するプラグインはいろいろありますが、私が最初に導入したのは「Yet Another Related Posts Plugin」でした。
「Yet Another Related Posts Plugin」は日本語対応。投稿と関連性の高い記事を自動選択して、トップページとシングルページに表示してくれます。
これまで関連する投稿のタイトルだけを表示していたのですが、急に画像表示もしてみたくなり設定を変えてサムネイル表示してみたところ、下図のような見た目になりました。

Related01

無理やり画像を縮小しているため、縦横比が合わなくてちょっと歪な画像になっています。
「Yet Another Related Posts Plugin」の仕様なのか、プラグインのせいではないのか確認はしていないのですが、この際他のプラグインを試してみることに。

関連記事プラグイン WordPress Related Posts の初期設定の方法と使い方」を参照させていただき「WordPress Related Posts」をインストールしてみました。

下図が「WordPress Related Posts」の設定画面。機能が少ないので設定が簡単です。

Related03

8種類のレイアウトから表示タイプを選ぶことができます。
どのタイプもビジュアルがきれいです。

Momma

Related04Modern
Related05

Vertical (Large)
Related06

Vertical (Medium)

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Vertical (Small)
Related08 Pinterest Inspired
Related09

Two Columns
Related10 Plain (your own css)
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今回は”Momma”を選択して関連投稿を10個表示してみました。
無理やり正方形に縮小することなく画像を切り取るので、すっきりした表示になります。

Related02

ログインしている状態なら、投稿ページに「Edit Related Posts」ボタンが表示されます。
ボタンをクリックすると、関連記事を入れ替えることができます。
親切な機能と言っていいのか?面倒と言えば面倒のような。楽しいオマケ機能です。

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Auto Insert Related Posts(or add<?php wp_related_posts()?>to your single post template) にチェックを入れると、シングルページ(投稿個別記事)のみに関連投稿が表示されます。

Related07

チェックを外してテンプレートに直接下記コードを追加すれば、任意の場所に表示させることができる、ということなのでトップページとシングルページの両方に表示できるようにちょっとだけカスタマイズしてみました。

&lt;?php wp_related_posts()?&gt;

WordPressのテーマで使用しているcontent.phpの任意の場所にコードを挿入しました。
備忘録として下記にメモしておきます。

<br>
~省略~<br>
&lt;div class="entry-summary"&gt;<br>
	&lt;?php the_excerpt(); ?&gt;<br>
		&lt;/div&gt;<br>
&lt;!-- .entry-summary --&gt;<br>
		&lt;?php else : ?&gt;<br>
&lt;div class="entry-content"&gt;<br>
			&lt;?php the_content( __( 'Continue reading &lt;span class="meta-nav"&gt;&amp;rarr;&lt;/span&gt;', 'twentytwelve' ) ); ?&gt;<br>
			&lt;?php wp_link_pages( array( 'before' =&gt; '</p>
<p>&lt;div class="page-links"&gt;' . __( 'Pages:', 'twentytwelve' ), 'after' =&gt; '&lt;/div&gt;<br>
' ) ); ?&gt;<br>
		&lt;/div&gt;<br>
&lt;!-- .entry-content --&gt;<br>
		&lt;?php endif; ?&gt;<br>
         &lt;!--関連する投稿ここから --&gt;<br>
        &lt;?php wp_related_posts()?&gt;<br>
        &lt;!--関連する投稿ここまで --&gt;<br>
&lt;footer class="entry-meta"&gt;<br>
			&lt;?php twentytwelve_entry_meta(); ?&gt;<br>
~省略~<br>

追記:

2017年に「WordPress Related Posts」の使用をやめて、プラグイン無しで関連記事を表示させるようにしました。
「プラグインを使わないで、関連する投稿記事を表示する」

「紋切型社会-言葉で固まる現代を解きほぐす」/武田砂鉄・・・違和感を表明すること

monnkirigata 2015年発行/朝日出版社
第25回 Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞

フリーライター武田砂鉄さんの名前は、Yahoo !ニュースなどでたびたび目にしていました。
面白いことを書く人だなあと憶えていたので、本書が出たとき、古本価格になるまで時を待てず新刊を購入してしまいました。

武田砂鉄さんは1982年生まれというから、現在33歳。
昨年、10年近く勤務していた出版社を退職。本書はフリーになって初めての著作となるそうです。

本書は「誰からか強制されたわけでもないのに、既存の選択肢にすがる緩慢さが閉塞感を補強する」社会を『紋切型社会』と定義し、著者が『紋切型社会』を象徴していると考える言葉を拾いあげて考察している、コラム集です。

「特に言葉。フレーズ。キーワード。スローガン。自分で選び抜いたと信じ込んでいる言葉、そのほとんどが前々から用意されていた言葉ではないか。紋切型の言葉が連呼され、物事がたちまち処理され、消費されていく。そんな言葉が溢れる背景には各々の紋切型の思考があり、その眼前には紋切型の社会がある。(「はじめに」から抜粋)

目次には著者が違和感を持っている20の紋切型フレーズが並べられています。
「あ、それ!」と気になるフレーズはありませんか?

  1.  乙武君・・・障害は最適化して伝えられる
  2.  育ててくれてありがとう・・・親は子を育てないこともある
  3.  ニッポンには夢の力が必要だ・・・カタカナは何をほぐすのか
  4.  禿同。良記事。・・・検索予測なんて越えられる
  5.  若い人は、本当の貧しさを知らない・・・老害論客を丁寧に捌く方法
  6.  全米が泣いた・・・<絶賛>の言語学
  7.  あなたにとって、演じるとは?・・・「情熱大陸」化する日本
  8.  顔に出していいよ・・・セックスの「ニュートラル」
  9.  国益を損なうことになる・・・オールでワンを高めるパラドックス
  10.  なるほど。わかりやすいです。・・・認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
  11.  会うといい人だよ・・・未知と既知のジレンマ
  12.  カントによれば・・・引用の印鑑的信頼
  13.  うちの会社としては・・・なぜ一度社に持ち帰るのか
  14.  ずっと好きだったんだぜ・・・語尾はコスプレである
  15.  ”泣ける”と話題のバラード・・・プレスリリース化する社会
  16.  誤解を恐れずに言えば・・・東大話法と成城大話法
  17.  逆にこちらが励まされました・・・批評を遠ざける「仲良し子良し」
  18.  そうは言っても男は・・・国全体がブラック企業化する
  19.  もうユニクロで構わない・・・ファッションを彩らない言葉
  20.  誰がハッピーになるのですか?・・・大雑把なつながり

章のタイトルを見ただけで、うん、うん、わかる、「いいね!」押しちゃおう、なんて早まってはいけません。
そう簡単に分かった気になってもらっちゃ困る、「言葉は人の動きや思考を仕切り直すために存在するべきで、信頼よりも打破のために使われるべき」っていうのが著者のスタンスだから。一つのフレーズから、話はぐいぐい奥へ突き進み、横に広がっていく。
だからまあ、頷いたり突っ込みを入れたり、こんなフレーズも違和感あるよねと自分なりの章立てをしてみたり、可能な人はテレパシーを使って、著者と遠隔対話することが、この本の読み方ではないかと思います。

私は日常生活の中で、世の中に大量に流通している物事に対して「これって変だよね」と違和感を表明することは、意外とむずかしいことだと思っています。

たとえば職場で、本書に書かれているような違和感をかたっぱしから口にしていたら、職場の人たちは目を合わせてくれなくなりそうな気がする。
”泣ける”と話題のバラードに泣いたり、『24時間テレビ』や『情熱大陸』や『プロジェクトX』に感動したり、「育ててくれてありがとう」という子どもの感謝の言葉に涙したり、それらは素直で優しい人だからこその感動なのだから、「10歳の子どもに『両親に感謝します』と言わせる『半成人式』なんて、気持ちが悪いよね」と私が言ったとき、職場でだれの賛同も得られなかった。
『半成人式(1/2成人式)』は出席した親の9割近くが「満足」と答えているそうだから、私はきっと感動に難癖をつけるひねくれものと思われたにちがいない。

たとえば職場では、省エネやエコロジーについて話題にしても、原発反対を強く表明することはできない。「国益を損なうって何よ。」なんて会話はしにくい。
実は言いにくいことだらけ。職場ってところは。
そもそも職場はおしゃべりをするような場所ではないし、突っ込んだ話をする暇もない。
職場では型どおりの言葉をどれだけ衒いもなく使えるか、がコミュニケーション能力だと思われている感があります。

じゃあ、どこでみなさん、違和感の表明をしているのか?
たいていは夫や妻、気の置けない友人との会話の中ででしょうか。
あるいはデモに参加したり、ブログに書いたり、本を出したり、音楽や映画やアート作品に仕上げたり、でしょうか。
手段はどうあれ、違和感を表明できない社会とは、ジョージ・オーウェル『1984年』で言えば、『2+2=5』を受け入れてしまう社会だし、違和感を持たなくなることは、穂村弘『本当はちがうんだ日記』で言うところの、《「この世」の大穴》に吸い込まれることだと、私は思っています。

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武田砂鉄(Satetsu Takeda) 1982年生。ライター/編集。
webサイト→http://www.t-satetsu.com/
Yahoo!個人 連載 武田砂鉄の「極めて遺憾」(現在はリンク切れ)

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「通畠義信・朋子二人展ー彫刻と絵ー」行ってきました!

22日、「通畠義信・朋子二人展ー彫刻と絵ー」に行ってきました。
鉄の作家、通畠義信さん(T/義信さん)は鉄を使った作品と石の彫刻作品を出品。版画家の朋子さん(T/朋子さん)は今回、「西脇市サムホール大賞展」に出品した紙素材の立体作品9点と鉛筆画2点を展示。
異素材の立体作品の数々が見事に融合して、とても見応えある空間をつくりあげていました。

まずは、ギャラリーを入って真正面、T/義信さんの舟シリーズの新作『Shelter boat』 。どの角度から見ても美しい存在感のあるフォルムに圧倒されます。

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上: 『Shelter boat』  彫刻・鉄 ¥270,000

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上左:『長い虫』 彫刻・鉄 ¥50,000   上右:『漂泊』 彫刻・鉄 ¥20,000

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上左:『舌の孤独』 彫刻・石 ¥220,000  上右:『人差し指の孤独』 彫刻・石 ¥180,000

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上: 『峡谷』 彫刻・石 ¥150,000

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上: 『停車場-虫-の孤独』 彫刻・鉄・石 ¥40,000

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上左: 『ベイビースフインクス』 彫刻・石 ¥25,000
上右: 『夢の街が見える丘の上の彫刻』 アクリル画15号 ¥150,000

T/義信さんの鉄の特徴として「サビ」があると、私は考えているのですが、T/義信さんもよく「鉄の作品を錆びさせるのは何故ですか?」と聞かれるそうです。そんな時、「答えるのが面倒で、仕上げが面倒だから、って言ってしまうけど、実はサビ仕上げの方が手間がかかるんですよ。今回制作した『Shelter boat』は、サビ仕上げがうまくいった作品」と話していました。
答えるのが面倒で、というのは彼流の照れに違いないのですが、『Shelter boat』は薄い鉄板を溶接していき、大きくて軽い舟の形になった作品。
風化させてサビの様子を見ながら、またはいろんな技法でもってサビを早めたりしながら、風化という「時間」を作品の中に取り込んでいる。それがT/義信さんの作品の大きな魅力でもありますね。

さて、ここからはT/朋子さんの作品をご紹介します。
版画をベースにコラージュした立体作品は、「西脇市サムホール大賞展」に出品したものです。

01昨年は「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞。という快挙をなし遂げました。
美術館買い上げとなった受賞作品の他に2点、既に売れてしまった出品作品もあり、今回9点の作品展示になりました。

西脇市サムホール大賞展は一人3点まで出品できるので、常に3点の作品を同時進行で制作していたそうです。
3点には共通のテーマがあるものの、イメージや手法はそれぞれ異なっています。
「作品を作る上で自分で作品をコントロールしているようでコントロールされていない部分を、自分自身が楽しみながら制作していた」とギャラリートークで語っていましたよ。

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上:『カクティダンスⅠ』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『虹色製造工場』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『カクティダンスⅢ』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『夢屑旅行』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『メビウスの従姉妹』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『カクティダンスⅡ』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『ミルキーウェイ氾濫』 ミクストメディア ¥50,000

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上:『誕生Ⅲ』 ミクストメディア ¥50,000

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上左:『誕生Ⅱ』 ミクストメディア ¥50,000  上右:側面

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上左:『花たちの名前』 色鉛筆画 ¥10,000   上右:『赤い言葉』 色鉛筆画 ¥8,000

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『コサージュ』 布シーチング

T/朋子さんは、「特に版画にこだわらず、その時その時の自分の想いを形にしていきたい」と言い、「今は版画から他の手法に移るかもしれない」との考えもあるそうで、今後どのような作品が生まれるか、私も楽しみに見ていきたいと思っています。

最後にギャラリーオーナーから「今後の抱負」を尋ねられたお二人。
T/朋子さんが、「作品をずっと作り続けていく。やめることは全く考えていない。きっと死ぬまで作品づくりを続けていくと思います。」と話すと、T/義信さんが、「妻に同じ。やめる時は自分がダメになったときさ。ハハ(笑)」とこれまた照れくさそうに。

後日、T/朋子さんに、「扱う素材は鉄と紙と全く異なるけど、夫婦で同じ方向を見ているって素敵ね」と私が言うと、「異素材とは言えない」と意外な答えが返ってきました。
銅版画は紙にプレスするまでは、ずっと銅板に向かい合う作業になるので、実は「金属つながり」のお二人でした。

12月1日まで開催しています。ぜひギャラリーに足を運んでいただき、作品をご覧ください。

 2015年11月20日(金)~12月1日(火) (木曜日は休みです)

11:00~17:30 (最終日:16:00)

ギャラリーセージ/http://www.gallerysage.jp/
〒890-0041  鹿児島市城西2丁目10-22
TEL 099-210-5802

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「通畠義信・朋子二人展ー彫刻と絵ー」開催のお知らせ

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鉄のオブジェ作家通畠義信さん版画作家通畠朋子さんの二人展が、今日から開催されています。
ギャラリーセージでは3回目、2年ぶりの二人展になります。

2015年11月20日(金)~12月1日(火) (木曜日は休みです)

11:00~17:30 (最終日:16:00)

22日(日)はギャラリートーク開催  15:00~

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昨年は通畠朋子さんが、西脇市サムホール大賞展の大賞を射止め (速報!通畠朋子氏「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞!)今年は春に通畠義信さんが県美展で奨励賞を受賞( 通畠義信氏、県美展で奨励賞受賞!)と、活躍されているお二人です。

今回はどんな作品を展示されるのか、楽しみです。

 

 

ギャラリーセージ/http://www.gallerysage.jp/
〒890-0041  鹿児島市城西2丁目10-22
TEL 099-210-5802

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FTPフリーソフト「FFFTP」と「FileZilla」を比べてみました。

ウェブサイトを作成し始めた当初から、ファイルをサーバーに転送するフリーソフトとして「FFFTP」を使用してきました。
長年使っている私にとって「FFFTP」は、もう手放せないツールになっています。
しかし最近、高機能で高速の「FileZilla」というFTPフリーソフトがあると聞いて好奇心がうずき、早速インストールして「FileZilla」と「FFFTP」、二つのソフトを比べてみることにしました。

「FFFTP」 Windows専用

FFFTP」は日本人による日本製のフリーソフトです。
公式サイト→https://osdn.jp/projects/ffftp/ ⇒FFFTP(http://www2.biglobe.ne.jp/sota/ffftp.html

FFFTP(エフエフエフティーピー)は、1997年に曽田純(Sota)が開発したFTPクライアントソフトウェア。日本語版と英語版が公開されている。
原作者による開発は2011年8月31日をもって終了。その後有志によりオープンソースで開発が行われている。(ウィキペディアより抜粋)」

ffftp

作成者が開発をやめたあとを有志が引き継ぎ開発を続けているなんて。多くの人に必要とされ、支持されてきたことが窺えますね。
英語がベースのコンピュータの世界では、日本語は何かと不利な言語だから、日本人が開発したソフト、というだけでも安心感があります。
現段階では、Windows 7(32bit), Vista(32bit), XP(32bit), 2000対応(2015年9月現在)。

FFFTPは基本的には左ウィンドウにローカル側のファイル、右ウィンドウにリモート(サーバー)側のファイルが一覧表示され、パッと見てすぐ使えるシンプルな作りが特徴です。シンプルだけど基本的に必要な機能は揃っていると思われます。

  • ファイルリストの部分とファイル転送が別スレッドなので、ファイル転送をしながら新たなファイル操作ができる。
  • ミラーリングアップロード機能により、ローカルのファイル構成と同じ物をホスト側に作ることができる。(※ミラーリングダウンロード機能もあり、サーバー側と同じ内容をローカル側に上書きできる)
  • 漢字コードの変換ができる。(漢字コードをEUCやJISコードに自動で変換したり、半角カナ文字を自動で全角に変換)
  • 漢字のファイル名を扱うことができる。
  • サブディレクトリを含めたファイルの転送ができる。
  • ファイルの転送を、いつでも中断できる。また、以前ダウンロードを中断したファイルがある時、その続きをダウンロードできる。
  • 各種FireWall、SOCKS、ワンタイムパスワードに対応している。
  • FTPSを利用して暗号化されたデータの送受信ができる。ただしSFTPには未対応。
  • ドラッグ&ドロップや右クリックメニューなどの操作でファイルのアップロードやダウンロードができる。
  • 右クリックメニューの操作でファイルの削除や名前の変更、パーミッションの変更などが簡単にできる。
  • フォルダ同時移動(左右のウィンドウに同じフォルダを同時に表示する)ができる。
  • ブックマーク機能があるので、よく使うフォルダをブックマークし、素早く表示させられる。
  • ファイルのパーミッション自動変更に対応している。
  • .htaccessの表示ができる。
  • ファイルの名前を変えてアップロード、ダウンロードができる。

FileZilla」 Windows版とMac版、他あり。

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Filezillaは、海外産、2001年リリース。日本語翻訳済みで日本語情報サイトもあります。

こちらは基本が四分割ウィンドウで、上下に情報表示用のウィンドウがついていて、全体の見た目がちょっとややこしい。スマートさに欠ける感じです。

実際に使ってみると、左ウィンドウにローカル側のファイル、右ウィンドウにリモート(サーバー)側のファイルという作りはFFFTPと同じ。

Vectorの「FileZilla詳細説明」から抜粋すると、

  • FTPSとSFTPに対応し、暗号化による安全なファイル転送を行うことができる。
  • ローカルとリモートのフォルダやファイルがエクスプローラ風のツリー形式で左右に表示される。
  • ドラッグ&ドロップで、アップロードとダウンロードができる。
  • 並列通信によるファイルの高速転送機能が装備されていて、大量のファイルを転送する際に非常に威力を発揮する。
  • 4GBを超えるファイルの転送およびレジュームにも対応。
  • ファイル名のフィルタ機能があり、目的のファイルを素早く見つけ出したり不要なファイルの転送を防いだりすることができる。
  • ローカルとサーバのパスを登録しておくことで瞬時に双方の目的のフォルダを開くことのできるブックマーク機能も搭載。
  • ローカルとリモートどちらか一方のフォルダ構成を変更した場合に、自動的に構成を揃えてくれる同期ブラウズ機能。
  • ディレクトリ比較機能により、ファイルサイズやタイムスタンプといった条件を指定して比較し、その結果をカラーリング表示してくれる。

そのほかに、

  • アップロードやダウンロードしたいファイルをあらかじめキューに追加しておいて、あとでまとめて処理できる。
  • 複数サイトの接続を表示できる。

Filezillaの説明は下記サイトに詳しく紹介されています。
第3章 FTPソフト(ファイルジラ(FileZilla))の使い方と設定方法: 『WordPress ことはじめ』
 http://wisdommingle.com/ch3-ftp-client-filezilla-wordpress-kotohajime/

FFFTPとFilezillaどちらが便利?

まず、FFFTPはWindows専用だから、Windows以外のユーザーには選択外ですね。

FFFTPの良さ(個人的感想)

とにかくシンプルで操作が簡単。初心者でも直観的に操作できる
漢字のファイル名を扱うことができるところも、国産ならではの強みだと思います。
私は一括ミラーリング機能を使ってはいませんが、必要な人には便利な機能だと思う。

※ミラーリングとは、転送元の内容を転送先にそっくりそのまま上書きして、転送元と転送先を同じファイル構成内容にすることです。転送元にないファイルが転送先にあると、転送の際に削除してくれます。
転送してはいけないファイルなどは、あらかじめフィルタリングしておくことができます。
うっかり削除してしまうリスクもあるので要注意です。

Filezillaの良さ(個人的感想)

ソフトの立ち上がりが凄く早いです。
ツリー形式表示なので、フォルダの階層を行ったり来たりという煩わしさがありません。
Filezillaにはミラーリング機能はありませんが、そのかわり「ディレクトリ比較機能により、ファイルサイズやタイムスタンプといった条件を指定して比較し、その結果をカラーリング表示してくれる。」機能があります。
ローカル側とサーバー側のファイルの差異分を色分けしてくれるので、ファイルのアップし忘れなど防止になりそうですね。
また、「アップロードやダウンロードしたいファイルをあらかじめキューに追加しておいて、あとでまとめて処理できる。」機能もかなり便利です。

セキュリティの面

FFFTPはFTPSだけ対応しているのに比べ、FilezillaはSFTPにも対応。
FTPSやSFTPが利用できるかどうかは、サーバーの環境に依存します。SFTPについては有料オプションになっているサーバーが多いのではないかと思います。
FFFTPとFilezillaのセキュリティについては、下記サイトが参考になります。

しばらく両方使ってみましたが、私には操作がシンプルなFFFTPが、やっぱり楽でした。
Filezillaは高速転送機能がウリなので、大量のファイルや複数のサイトを管理する人向け、それとSFTPを利用している人向け、と言えるでしょう。

ただ欲を言えば、二つのソフトどちらにも備わっていない機能なのですが、画像がサムネイル表示されれば、もう何も言うことありません。
無料ソフトにそこまで望むのは、厚かましいとは思いますが。

「本当はちがうんだ日記/穂村弘」を再読。 たぶん4回目。

7月中旬からブログの更新ができないまま、気が付けばもう秋です。
働く、家事する、疲れる、寝る、のループから抜け出せず、ほぼ思考停止状態のこの頃。
時間は容赦なく流れ去り、巷に年賀状予約の広告チラシが貼ってあるのを見つけて驚いたのだって、もうひと月前の話。準備のいい人なら、今夜は猿の絵を描くのに忙しいかもしれない、そんな時期になりました。

何も考えないまま年を越してしまうのは避けたいので、生活のループを断ち切って、読書メモを一つ、あまり肩の凝らない一冊を紹介したいと思います。


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本当はちがうんだ日記/穂村弘

集英社文庫 /2008年9月発行

日々に疲れて何も考えたくない、
とがった言葉は聞きたくない、
誰かにダメだしする文章は読みたくない、
あまりポジティブに励まされたくない、
そんな時に私がフラッと読み返してしまう本、それが穂村弘さんのエッセイ『本当はちがうんだ日記』です。

総務課長で兼業歌人で独身で、のちに専業歌人になり結婚もした穂村弘さん(40代)。

「今はまだ人生のリハーサルだ。
本番じゃない。
そう思うことで、私は『今』のみじめさに耐えていた。」

という彼が、「今」はもう本番に入っていることに気づいてしまう。そんな人生の過渡期にある日々の小さなわだかまりを綴ったエッセイ集です。

いつも風景を眺めるように読んでいた本ですが、今回はどうしたことか、ところどころ胸がグッと詰まるような切なさを感じる場面がありました。

独り言のような、詩のような、《クリスマス・ラテ》では、母親から
「おまえ、将来何になるんだい?」
と聞かれて
「いやだなあ。お母さん。もう今が将来なんですよ。」
と答える。
どうってことないセリフなのに、私はじわっと泣けてきました。
過ぎた人生の長さより、今後の人生の方がかなり短いということが確定してしまっているからでしょうか。「将来」というワードに過剰に反応してしまうようです。

若い頃には私にも「将来」があり、将来私はどうなるんだろうという不安や焦りや憧れや欲望に振り回されて、「早く30歳になりたい」と願ったものです。30歳になった時、もうこれで無理な望みを抱いて悩んだりしなくていい、とホッとしたことを覚えています。自分の無能さを年齢のせいにすり替えただけの話ですね。

この頃やたら国は「すべての女性が輝く社会づくり」(首相官邸ウェブサイト参照)を推進しています!なんて大言壮語していますが、全て の女性が輝く生き方(って、そもそも何?)を手に入れるなんて、現実世界ではありえない絵空事です。
「非力で軟弱で、容姿が平凡で、あだ名が無くて、才能のない人間」にとって、現実世界は、女性にも男性にも、生きにくいのです。

《「この世」の大穴》の項も、私にとっては身につまされるものでした。

「世の中には、いろいろな長所や魅力があるんだなあ、という感想を持つ。普通だ。だが、勿論、そちらが正しいのだ。心から他人を認められるようになったことを嬉しく思う。
それなのに、ときどき不安になるのだ。(略)
なんとなく、入賞しなかったパチンコ玉が、最後に同じ場所に吸い込まれるように、ひとつの大きな穴に向かってゆくところを想像する。
何ひとつ知らず、どんな考えも持たず、泣きながら産まれてきた自分の全てが、最後は世界の多様な豊かさという、「この世」の大穴に吸い込まれてゆく。これは錯覚か、妄想か。

『本当はちがうんだ日記』は、非力な自分にダメだしを続ける軟弱男の自虐エッセイ、と見せかけて実は、現実世界の大穴に落ちまいと抵抗を続ける、40歳を過ぎようが踏ん張っている、著者の姿がみえてきます。
そしてなお、解説で三浦しおんさんが書かれていることですが、

「すぐれた観察眼で、世界を見据えつづける。観察の結果、残酷で理不尽なこの地上に、このうえもなく美しく貴いものが宿る瞬間があることを発見する。(三浦しおんさんの解説から抜粋)」

《それ以来、白い杖を持ったひとをみつめてしまう》の項を読むと、著者は世の中の真に美しい部分を見逃さず、それを言葉で伝えてくれている。歌人とは、あるいは詩人とは、そういう能力を持った人なのだなあと思います。

 

唐突ですが、最近、奇妙礼太郎が歌うCMソングが耳について離れない。
「なつかしい痛みだわ」って出だしから、もう泣きそうになります。最近の私のこの涙もろさ。
現実圧に負けてしまっているのか。それとも秋のせいなのか?

「解錠師/スティーヴ・ハミルトン」きっと泣く予感がする1冊

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ハヤカワ文庫/2012年

八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に…非情な犯罪の世界に生きる少年の光と影を描き、MWA賞最優秀長篇賞、CWA賞スティール・ダガー賞など世界のミステリ賞を獲得した話題作。
このミステリーがすごい!2013年版海外編。2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位。

内容(「BOOK」データベースより)


表紙のイラストが児童書みたいなトーンなので、なんとなく読むのをためらっていたのですが。
アメリカ探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞のダブル受賞。しかも「このミステリーがすごい!2013年版海外編 第1位」。アメリカでも英国でも日本でもファンを獲得しているミステリーとなるとやはり捨て置けない。

「たぶん、きみはぼくを覚えているだろう。思い出してもらいたい。1990年の夏のことだ。」
という書き出しで、主人公マイクの獄中記が始まります。

主に17歳の夏から20代後半の現在まで。
犯罪に手を染めていない頃のマイクと、犯罪者として転落した日々を送るマイクの、二つの人生を行ったり来たりする形で、物語は進んでいきます。少し勿体をつけ過ぎかなという構成ではあるけど、時系列通りに書いては、やはり面白くない。
この時間を行ったり来たりするごとに、物語の結末が気になっていくのです。

そして、これはたぶん翻訳者(:越前敏弥さん)の手腕によるところが大きいのではないかと思いますが、少し感傷的な、でも感傷に過ぎることのないバランスで書かれている文体が、幼くして人生を諦観してしまったマイクの、孤独な世界を表しているように感じられました。
マイクは淡々と書いているのに、そこが切ない。読んでいる私の方がだんだん感傷的になってしまい、早い段階で、きっと私は泣く、と予感しました。
実際に、516ページの7行目で泣きました。それから残り47ページを一気に涙目で読みました。
ラストを確かめずには眠れない。
確かに血なまぐさい場面もあって、「非情な犯罪の世界に生きる少年」の物語なのだけど。ピッキングやダイヤル錠の解錠場面は凄く臨場感があって、とてもスリリングなのだけど。何よりも、マイクのピュアな恋の行方が気になります。
口をきけないマイクが彼女と心を通わせる、その冴えた手段が胸を打ちます。

やっぱり、この本は児童書とまでは言わないけれど、青春小説だなあと思う。

「自分がどんな体験をしたかを知る人が世界じゅうにただひとりでもいて、それが自分を真に理解してくれる人であるなら、ほかには何も要らなかった。」

というマイクの心のうちは口に出して言うことはできない。でもそれを全力で身を以て実現していく物語なのでした。

アメリカ探偵作家クラブ賞受賞、英国推理作家協会賞受賞だからといって、バリバリのミステリとは限らないようです。
付け加えると、2011年、アメリカ図書館協会主催の『アレックス賞』というのも受賞しています。「12歳から18歳のヤングアダルトに特に薦めたい大人向けの本10冊」に贈られる賞だそうです。

「短歌の友人/穂村弘」

tankano河出文庫/2011年
『短歌の友人』は、歌人・穂村弘さんが自分以外の人の作品を読み続けてきて、「頭の中に面白いなと思う短歌が少しづつたまって」いった作品について論じた、初めての歌論集です。伊藤整文学賞受賞。

第1章 短歌の感触
第2章 口語短歌の現在
第3章 <リアル>の構造
第4章 リアリティの変容
第5章 前衛短歌から現代短歌へ
第6章 短歌と<私>
第7章 歌人論

目次だけを並べてみると、お堅い学術書的装いです。
取り上げている短歌は、現代短歌を代表する穂村弘さんならではのチョイス。ニューウェーブ短歌とか、前衛短歌とか言われている現代歌人たちの作品が多い。例えば、一番最初に掲げられているのは、

電話口でおっ、て言って前みたいにおっ、て言って言って言ってよ
東 直子

この一首目に私はたじろぎました。苦手だな、というのが正直な感想です。
現代短歌の中には、日常語を使って表現されているにもかかわらず、私の住む日常とは別の世界の出来事のように感じられる歌があります。一言で言えば、私には共感しにくい歌。面白さが分からない私が無粋なのか?と自問したくなる歌。
著者は作品の面白さを論理的に構文解析したりしていますが、読み始めは、歌を作ることのない私には、歌人による歌人向けの指南書みたいに思えました。

しかし、「第3章<リアルの>の構造」あたりから俄然面白くなってきましたよ。
「酸欠世界」、「棒立ちの歌」、「言葉のモノ化」、「モードの多様性」、「モードの乱反射」、「『私』の価値の高騰」といった分析が、素人にも分かりやすい。
あるいは、「小さな違和感の強調が現実の手触りをアリバイ的に保証している」とか「<心>とは限りなくレベルダウンしてゆくものなのか」や「寿司屋を回転寿司屋に変える力」といった言い回しで、短歌を通して現代(戦後)社会を鋭い観察者の目で分析してみせる。
なおかつ著者はとても客観的にそして正直に短歌と歌人としての自分を語っています。
その辺も読んでいて面白く、いつものエッセイとはまた一味違う穂村弘さんの魅力を感じました。

穂村弘さんは、思いのほか説得力ある短歌の伝道師のようです。
読み終わったころには現代短歌を、逆に戦後社会の在り様を通して読み直すと、そこにリアルな共感以外の面白さを感じることができる、、、ような気がしてきました。少なくても私は、最初感じたような苦手意識は無くなりました。

monogatari01ところで、最近、短歌エッセイ集「物語のはじまり/松村由利子」を再読したばかりなので、ついつい2冊の本を比べてしまうのですが、面白いことにどちらも表紙は河川に架かる鉄道橋がモチーフになっています。
これは単なる偶然なのか?と思ったらどちらも同じ装丁家(間村俊一氏)によるカバーデザインでした。

とはいえ受ける印象はずい分違いますね。
『物語の始まり』の鉄道橋には電車が走り、青い空、草茂る土手。イラストレーションなのに、すがすがしいリアルな日常が感じられる。
一方、『短歌の友人』は薄ら淡く背景に同化したような風景。この鉄道橋に果たして電車が通ることがあるのか。いったいどことどこを繋ぐ橋なのか。写真なのに本物の橋なのかと疑わしくなるほどリアル感が薄い。

2冊の本に掲載されている短歌は、ほとんど被ることのない作品が並んでいたのですが、例外が4首。しつこく読み比べて、見つけました。
どんなに感性が違って見える世界の住民たちでも、同じものを見て「ああ、これいいね」と言う時があるんだと、ちょっとほっとするような、少しさびしいような複雑な気持ち。なんだろう?自分でもよく分かりませんが・・・。二冊の本のどちらにも取り上げられていた、その4首をここに記しておきます。

大きければいよいよ豊かなる気分東急ハンズの買物袋
俵 万智

馬を洗はば馬のたましい冱(さ)ゆるまで人戀(こ)はば人あやむるこころ
塚本 邦雄

死に近き母に添寝のしんしんと遠田(とほた)のかはづ天に聞ゆる
斎藤 茂吉

日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも
塚本 邦雄

 

IE8のレイアウト崩れは直ったみたいですが・・・

20150705-0一昨日「ブラウザチェックツールを使ってみたらIE8で完全にアウトだった!!」に書いたように、「IEテスタ」をインストールしてIEのバージョン5.5~11をチェックしてみたところ(5.5と6は仕方ないとしても)8でもレイアウトが崩れていて愕然としました。
レイアウトの崩れと言えば、やはりcssの書き方、特にfloat、margin、paddingの扱いに原因がありそうなので、cssを精査してみました。

私のブログはWordPresssのデフォルトテーマ「Twenty Twelve」バージョン 1.7をカスタマイズして作成しているので、「Twenty Twelve」のcssと見比べながら、不要なfloatを見つけて削除し、それでも崩れが直らず焦りましたが、最終的には下図のようにbodyに

margin-top: 0px;
margin-right: auto;
margin-bottom: 0px;
margin-left: auto;

を追記したところでレイアウト崩れが直りました。
左側が「Twenty Twelve」のcss。右側が修正後の当ブログのcss。あれ?これで良かったのか?

2015070703
まあ、崩れが直ったんだからいいじゃないかって思いたいのですが、他にきちんとした対応の仕方があるのじゃないか?他のブラウザではもっと酷いレイアウト崩れを起こしているのではないか?と不安が募るのは私が知識不足である証拠です。
この夏には、是非ともHtml5とcss3を学習しておきたい。

それにしても、IEのバージョン格差は何とかならないものか?
ブラウザに関しては世界統一を望みます。

ブラウザチェックツールを使ってみたらIE8で完全にアウトだった!!

20150705-4そろそろHTML5について本気で勉強しなければと本を購入しました。
と、その前に久しぶりにブラウザチェックをすることに。
Windows7を使い始め、ブラウザをGoogle Chromeに変えてからというもの、IEの存在を忘れつつありました。
しかしWeb上ではまだまだIEを使っている人が多いはず。そこでIEに特化したブラウザチェックツールを手に入れることに。

「IEなどの複数のブラウザチェックができる便利な無料ツールまとめ (NESTonline Blog)参照」

上記サイトで紹介されていた、無料ソフトIEテスタ」をインストールしてみました。
これがなかなかの優れもので、IE5.5~11まで一括して動作確認ができます。
ダウンロードサイトはこちら → http://www.my-debugbar.com/wiki/IETester/HomePage

下図がIEテスタ」上の表示画面です。

20150705-1

予想していたことですが、IE5.5と6ではレイアウトがガチャガチャに崩れていて観れたもんじゃありませんでした。でももう対応する能力がなくIE6以前については諦めることにしました。
しかし、残念なことにIE8でも下記図のごとく崩れていました。
いつからこんな姿になっていたのか?
Windows XPのサポートが終了しているとは言え、IE8を使っている人は多いと思われるので何とかしなければと思うのですが、今日のところはどこをどう修正したらよいのか分からずじまい。
しばらくは御見苦しい姿をさらしたままということになりそうです。

20150705-0

こちらは携帯やタブレットなどの表示を確認できるサイト「Responsive Design Testing」です。インストール無し、登録不要、web上で無料で利用できます。お手軽ですね。
20150705-2

「押川珠江(仕立服)山田利喜子(革)二人展Vol.2」見てきました。

昨日、『我が家de個展 ギャラリーときどき』に行ってきました。

開催から6日目ともなると、かなりの作品が売れてしまっていて、全作品を見ることはできませんでしたが、取り急ぎ少しだけご紹介します。

作家紹介

押川珠江・・・仕立屋

日常は、堀江町の自宅アトリエでお客様のオーダーを受けて仕立ててします。
2012年11月に初めてギャラリーセージで、山田利喜子との二人展を開催、この7月でアトリエ開設20周年の今年、二回目の二人展です。
サイズお直しします。仕立ての良さを味わってみてください。

・・・・押川珠江

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tama001tama006tama006-1押川珠江さんの仕立服は、ほとんど着物地を使ったもの。

私は右上の黒いバルーンワンピースが気に入りました。背中の金色のファスナーが大人な感じですね。

山田利喜子・・・革染色造形

riki00小山田に亡父の生家があり、誰も住まない荒れ家・荒れ庭の管理傍ら、土間で革の染色をしています。
染まった革を持ち帰り、自宅でバッグなどに形作ります。
ちなみに、左の壁掛けは、その小山田の皺の大きな欅の木を見ながら去年染めました。(今回作成の)一番大きなバッグは、今年の欅を見ながら染めたものです。

・・・・山田利喜子

今回の作成の一番大きいバッグというのが下のトートバッグです。表と裏の二つのデザインが楽しめるバッグです。
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他のバッグ作品は後日改めて、山田利喜子さんのギャラリーサイト「皮革染色工芸」に画像をアップしたいと思います。
sri-3ところで、昨年の『山田利喜子 革の仕事展』の際、次回はぜひ販売して欲しいとお願いしていた革のルームシューズも出品されていました。
しかし、ほとんど売れてしまっていて、わずか3足を残すのみ。
最初は、左写真の白っぽいルームシューズが気にっていたのですが、サイズが合わず断念。

私のサイズに合うのが、1足だけあったので、足を入れるところ(ここは何と言うのか?)が、青色の皮のシューズを購入してきましたよ。

家に帰ってから床に置いてみると、奇麗な青色が何ともおしゃれ。履き心地も良く、満足の一品です。

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追記:2015年7月3日

11点のバッグの画像を山田利喜子さんのギャラリーサイトにアップしました。「皮革染色工芸」Rikiko Yamadaをご覧ください。

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「押川珠江(仕立服)山田利喜子(革)二人展Vol.2」開催のお知らせ

2015年6月26日(金)~7月7日(火)
am11:00~pm5:30

我が家de個展 ギャラリーときどき

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「皮革染色工芸」の山田利喜子さんと、洋裁師・押川珠江さんの二人展が開催されます。

お二人での企画展は2012年の「山田 利喜子・押川 珠江  二人展」に続き2回目。
山田利喜子さんは個性的な造形が持ち味のバッグ。押川珠江さんは小粋で仕立ての良い一点ものの服。今回も素敵なコラボレーションを見せてくれそうです。

今回の会場は、山田利喜子さんの『我が家de個展ギャラリーときどき』です。
なんと!「断捨離予定の本、お持ち帰り自由」のおまけつきです。

 

 

我が家de個展 ギャラリーときどき

鹿児島市薬師2-16-18 TEL099-255-5575

 

短歌「物語のはじまり/松村由利子」

monogatari01中央公論新社/2007年

「1. 働く」
「2. 食べる」
「3. 恋する」
「4. ともに暮らす」
「5. 住まう」
「6. 産む」
「7. 育てる」
「8. 見る」
「9. 老いる」
「10. 病む、別れる」

以上、10のテーマに分けて、松村由利子さんが113人の歌人を選び、180首余りの短歌を紹介しつつ、一つ一つの作品に著者なりの解釈と想いを綴ったエッセイです。
未知の歌人や短歌に多く出会える短歌集としても楽しめますし、松村由利子さんの解説が面白く、エッセイとしても読みごたえのある一冊でした。

「三十一音という短い詩型がもつ力、それは物語を内包する力ではないかと思う。こんなに小さな形なのに、人生のいろいろな場面が凝縮されていて、読む者の胸に届いた途端みるみるうちに感情をあふれさせる。」

(「おわり」から)

日々に何かしらひどく屈託があるとき、平たく言えば落ち込んでいるとき、私は詩歌集を読んで、ずいぶん慰められたものでした。
短歌は言葉が少ないから、感情までの距離が短い。そこが魅力です。
即座に感情を刺激してくれる。
言葉がストレートに心に届く。
私が言葉にできないでいる日々の屈託を、たった三十一の文字で鮮やかに表現してくれる。
全くただの日常の一場面でしかない光景でさえ、心に沁みる歌になり、ハッとさせられる。

私が住んでいる狭くて小さい日常にも、実はたくさんの窓があって、もっといろんな風景が見えるんだよ、と感じさせてくれる作品。短歌に限らず本でも映画でもアートでも音楽でもなんでも。
そんな作品に出会うと嬉しくなり、縮こまっていた気持ちが解れていくようです。

今回特に印象に残った作品を少し挙げてみます。
何度も落ち込むので何度も開いてしまう本ですが、それを読むときの生活状況とか(ころころ状況が変わるので)それに伴う自分の心境とかで、作品の印象もずい分変わります。この次読むときは、また別の作品に心惹かれているかも知れませんが。

もし豚をかくの如く詰め込みて電車走らば非難起こるべし

奥村 晃作

水桶にすべり落ちたる寒の烏賊いのちなきものはただに下降す

稲葉 京子

日本のパンまづければアフリカの餓死者の魂はさんで食べる

山田 富士郎

わが使う光と水と火の量の測られて届く紙片三枚

大西 民子

安売りの声がはじけるスーパーでいらないものを買って帰ろう

船橋 剛二

駅前に立ち並ぶ俺 お一人様1本限りのしょう油のように

斉藤 斎藤

のちの世に手を触れてもどりくるごとくターンせりプールの日陰のあたり

大松 達知

サバンナの像のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい

穂村 弘

たちまちに涙あふれて夜の市の玩具売り場を脱れ来にけり

木俣 修

著者の松村由利子さんは、2010年より沖縄県石垣島に住んでおられ、ブログで島の生活やいろんな歌人の作品を紹介しています。
そらいろ短歌通信  松村由利子の自由帳 (http://soratanka.seesaa.net/

「2015宮崎国際現代彫刻・空港展」のご案内

「2015宮崎国際現代彫刻・空港展」のご案内です。
「宮崎国際現代彫刻・空港展」は、「宮崎彫刻グループ」が主体となり、国内外の多くの現代彫刻家たちが出品する作品展です。
今年で26回目の開催となります。
当サイトでご紹介しています「鉄の作家」通畠義信氏も出品します。

会場となっている宮崎空港は、2014年から「宮崎ブーゲンビリア空港」という愛称がつけられたそうです。
初夏、「宮崎ブーゲンビリア空港」のオアシス広場。アートを楽しみながらリゾート気分を味わえそうですね。
miyazakikuukou2015

下記のWebサイトには、昨年の宮崎国際現代彫刻・空港展の作品と作家が紹介されています。
宮崎の現代彫刻展」(http://miyazakisculptureexhibition.web.fc2.com/

通畠義信氏、県美展で奨励賞受賞!

2015kainohune

当サイトでご紹介しています「鉄の作家」通畠義信氏が、第62回県美展にて奨励賞を受賞されました。
おめでとうございます!

早速画像をいただきましたので、アップします。タイトルは

「Shelter boat ━ 貝の舟 ━」

大きさ:H25×w75×D33
素材:steel(鋼材)

明後日から県美展が始まります。観に行かれる方、彫刻のフロアもぜひ観てみてくださいね。

県美開催日:5月16日(土)~24日(日)
休館日:18日(月)
会場:黎明館、市立美術館

インスタグラム講座のお知らせ

写真共有SNSアプリ「Instagram」の登録に四苦八苦したことは、以前「スマホアプリ「Instagram」登録エラー!解決」に書きましたが、その「Instagram」も今ではFacebookに次ぐ人気SNSになっているそうです。2014年12月では

  • 月間アクティブユーザー:3億人
  • シェアされた写真:300億枚以上
  • 1日にシェアされる写真:平均7,000万
    「Instagram:企業アカウント急増中の注目ソーシャルメディア」参照(リンク切れ)

というデータがありました。

有名人や人気タレントがプライベート写真などを投稿して、日本でも人気に火がついた感じですが、わが鹿児島ではどうなんでしょうか。
この頃はファッション系のお店で「Instagramやってます」という案内を貰うことが何度かあったので、企業などにはジワジワ浸透してきているような。

私の周りでは、まだまだ。IT関係に勤めている人しかやってない、という感じです。そのIT関係者から「はじめてのインスタグラム講座」を紹介して欲しいということでチラシをいただきました。
これから始めたい方も登録から実際の投稿まで、手取り教えてくれるようですよ。お子様連れでもOK。
アカウントは持ったものの、どうやって気に入った投稿者をフォローしたらいいのか、フォロワーを増やすにはどうしたらいいのか、安易に写真をアップしちゃっていいものか、写真をおしゃれに加工する方法とか、いろいろ知りたいことありますね。

instagram

詳しくはフォークリエイトのホームページを御覧ください。
ホームページ≫ http://forcreate.co.jp/cat_news/456
Facebook:https://www.facebook.com/forcreate

Instagramは携帯で登録しておけば、PCからも観れるようです。「InstagramのWeb版」
PCからは登録や画像のアップロードをすることはできなくて、他の人の写真を閲覧したり「いいね!」やコメントをするだけの機能しかありませんが、(PCからInstagramに画像をアップロードする方法やアプリを紹介しているサイトも結構あるので、必ずしも画像のアップロードが無理、とういうわけではなさそうですが)。

nasa01私の場合、フィードに流れるアートは、ちょっとした画廊めぐり。素敵な風景は眺めているだけで刺激になるし、NASAの公式Instagramにいたっては感動的な宇宙風景(空間?)を見せてくれます。

私は写真投稿はほとんどせずに、ただ雑誌を眺めるような感じで楽しんでいます。
もちろん、楽しみ方はいろいろですが、本来は写真を投稿して、他の人の写真をシェアして、いろんな人と広く繋がっていくコミュニケーションツールですから、気軽に写真をアップロードして多くの人に見てもらう方が、より楽しめるのはまちがいないですね。

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『下流志向(学ばない子どもたち 働かない若者たち)』内田 樹

karyuusikouゴールデンウィークの最中”こどもの日“、予定の時間までの暇つぶしに入った書店で手に取り、思わず購入してしまいました。
この本は、「ああるの映画と読書」で最近紹介され興味をもっていたもの。
ネットで古本を購入しようと「お気に入りリスト」に入れていたけれど、たまには小さな贅沢、定価で買ってもいいじゃないか、ゴールデンウィークなんだから。と自分に言い訳しつつ530円(税別)の新刊を買う私は、間違いなく「下流」に住む人間です。

じゃあ「上流」にはどんな人が住んでいるのか?
たとえば与党政治家たちと財界人、高級官僚たちの「閨閥」。
彼らは集団全体でリスクヘッジする「相互扶助組織」を形成し、「集団として生き残る」という明確な目標を掲げる「強者連合」に属する人たちであるという。
こういう集団が私たち社会の上層にいて、社会を回している。(どうりでアベノミクスの恩恵は下流までは流れてこないわけです。)
彼らは利益と結果責任をシェアする代わりに自己決定をすることはできないらしい。進学、就職、結婚、あれやこれや、属する集団が集団の利益のために決定するらしい。
それと対極に、「相互扶助組織」に属することができない個人は、自分自身のことは自分で決定し、結果に対し自分で責任をとるしかない。
「獲得した利益をシェアする仲間がなく、困窮したときに支援してくれる人間がいない人間」は、このリスク社会においては社会的弱者である、という。
なるほどなあ。と感心している場合ではない。社会的弱者とは私のことですよ。

社会的弱者の立場からこの本を読み進めると「リスクヘッジというのは一人ではできない」という理論は十分納得できます。でも相互扶助したくても共倒れになってしまうという現実がある、という側面は無視されて書かれているように感じます。
弱者は「獲得した利益をシェアする仲間がなく、困窮したときに支援してくれる人間がいない」のではなく、「仲間とシェアできるほどの利益を獲得できず、困窮している人を支援することもできない」現実の中にいるのです。
著者の視点はどこにあるのでしょうか?

そもそも本書の第1章に「学びからの逃走」や「労働からの逃走」について、「主体的決意を持って、決然と逃走する」とし、これが「下流社会」への階層降下を意味し、下降志向の社会集団が登場してきた、と他の学者の言葉を借りて社会分析をしていますが、本当にそうなのでしょうか?
本当に主体的決意を持って学習をやめる子どもが増え、主体的決意を持って労働をしない人間が増えているのでしょうか。

私も身近に、学級崩壊している小学生のクラスを知っています。授業中に走り回ったり、椅子や机の上に乗って騒いだりする子どもが何人かいます。その子たちは、主体的決意を持って、学習から決然と逃走しているのでしょうか?
「教室は不快と教育サービスの等価交換の場となる」と言われると、ホントにそうかなあ、って疑問に感じます。まあそう考える子どもや親が全く居ないとは言い切れないけど、著者がそう決めつけているだけなのでは?

「労働からの逃走」の例として「正社員になると辞めにくくなるからアルバイトのままがいい」という若者や、「責任あるポストに就いたら自由が無くなる」という理由で会社を辞めた若者の話がでてきますが、理由はそれだけでしょうか?仮にそうだとして、本当にそんな若者ばかりでしょうか?
日本のニートは「社会的上昇の機会が提供されているにもかかわらず、子どもたちが自主的にその機会を放棄している」と著者は言うのですが、本当に、本当にそうなのですか?ニートってそんな理由でニートになっている?
「現代日本の多くの妻たちが夫に対して示している最大の奉仕は夫の存在それ自体に耐えていることなのです」って、それ、きみまろのネタじゃなくて?

読むにつれ疑問ばかりが膨らんでいくのですが、最終章まで読んでも納得できる根拠は見いだせませんでした。
どこかで見聞きしただけの一面的な話に終始し、その話に現実感の伴わない持論をくっつけているだけ。
でなければ、下流に浮かぶ木葉のあれこれを川岸で眺めて説教している人、そんな印象です。

私にとっては突っ込みどころ満載の本ではありますが、最初からぐいぐい話に惹きこみ一気に聞かせる、語り口のうまい人だなあとも思います。
「おっ!」と心に引っ掛かるワードがいくつもあって、たとえば「世界そのものが穴だらけ」とか「不快という貨幣」とか「『師であることの条件』は『師を持っている』こと」とか。上手いこと言うなあ、って思います。
講演会場でリアルに聴けば突っ込みを入れる隙もなかったかも。
講演と質疑応答を文章に起こして本にしちゃうと、「意味の穴だらけ」状態になるのも仕方がないのでしょう。

WordPressからFacebookに自動投稿する「Social Networks Auto-Poster」

rssGraffitiブログで書いた記事をFacebookに自動投稿してくれる無料アプリ、「RSS Graffiti」が4月30日、いきなり(!)サービスを終了してしまいました。

私は非社交的な性格なので、SNSには向かないのですが、Facebookの機能を覚える必要性があってアカウントを持っています。
それでこれまでWordPressで書いたブログを「RSS Graffiti」を利用してFacebookに自動投稿してきたのですが、昨日、「RSS Graffiti」がサービス終了したという記事を見つけ慌てました。

Facebookページを開いてアプリの確認をしてみると、そこには、涙ポロリの丸顔キャラクターが「RSS Graffiti is no longer available.」というメッセージとともに表示されました。 英語翻訳サイト「weblio」で機械翻訳すると、「RSS Graffitiは、もはや利用できません」とのこと。

無料アプリでは、いきなりのサービス終了もありがちなことらしいです。仕方ないので代替アプリを探してみました。

検索してみるとWordPressの場合は、プラグインがいろいろあるようです。
今回は「Social Networks Auto-Poster」を使ってみることにします。
サイト「9ineBB」の記事『WordPressでFacebookのページへ自動投稿するのを 「NextScripts: Social Networks Auto-Poster」を使って行う方法』を参照しながら設定しました。

プラグインのインストールは通常通り、WordPressのプラグイン画面から簡単にできますが、「Social Networks Auto-Poster」の設定に必要な

  • FacebookのApp ID
  • FacebookのApp secret

を、取得するにはFacebook側でアプリの設定をしなければなりません。
私はそこのところのやり方を知らなかったので、「9ineBB」のように丁寧な解説をしてくれるサイトがなければ、自力で設定するのは大変だったと思います。

「Social Networks Auto-Poster」の導入を考えている方、『WordPressでFacebookのページへ自動投稿するのを 「NextScripts: Social Networks Auto-Poster」を使って行う方法』は、お勧めですよ。

追記 2015年5月5日

「Social Networks Auto-Poster」の設定を見直して修正しました。
あれこれ設定を変えてテストしてみました。ブログを更新すると瞬時にFacebookの方に反映されます。
でも連続投稿すると、「ちょっと待ったー」ってなるようです。
Auto-Poste10
「Post Type」を上図のように設定すると、Facebookでは下図のように表示されます。
いろいろ詳細な設定ができて、高機能のプラグインですね。
Auto-Poster08

悪医/久坂部 羊

akui『悪医』  朝日新聞出版 (2013/11/7)

作家の久坂部羊さんは、現役の医師であり、現在は高齢者を対象とした在宅訪問診療に従事されている方です。

5,6年前、『日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか』を読んで以来、私は久坂部羊さんのエッセイや小説を読み続けているのですが、なかなか人に「面白いよ、読んでみて」とお薦めできる作風の作家ではありません。

『大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す』『医療幻想―「思い込み」が患者を殺す』
など、ストレートなタイトルが過激な印象を与えるし、人の生き死にに直面させられる医療現場の実態を、嘘やごまかしやきれいごとを嫌う姿勢でもって、直截な物言いで書いているので、切実な内容だけに、楽しい読み物とはなりません。

小説の方はというと、ところどころグロテスクな描写や露悪的な表現があるので、これもお薦めしにくい要因です。
デビュー作の『廃用身』は、タイトルもストーリーも衝撃的でした。
「廃用身」とは「脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足」のことを言う医学用語だそうです。人間の身体が廃棄物のように扱われているようで、読んで不快に感じる人もいるかもしれません。

今回紹介する『悪医』は、グロテスクな表現を抑えて後味も良く、お薦めできる、というかお薦めしたい作品です。
文芸賞などとは無縁の作家と思っていたのですが、『悪医』は日本医師会が主催する第3回日本医療小説大賞を受賞しています。(医師会批判もしている作家なのに!)隠れファンとしては、ちょっと嬉しいことです。

とはいえ本書は「抗がん剤ではがんは治らない」という事実を前提にしたストーリーなので、今現在、抗がん剤でがんが治ると信じて闘病中の方にはショッキングな内容かも知れません。

『悪医』に登場する患者、小仲辰郎は52歳の独身男性。
早期の胃がんが見つかり手術を受け、11か月後に再発して肝臓への転移が見つかり、苦しい副作用に耐えながら抗がん剤治療を続けてきたが、ある日、医師から、「残念ですが、もうこれ以上、治療の余地はありません」と告げられる。
余命は3ヶ月くらい。「あとは好きなことをして、時間を有意義に使ってください」と医師は言うが、小仲は、「治療法がないというのは、私にすれば、死ねと言われたも同然なんですよ!」と怒りを露わにする。

余命3ヶ月と医師から告げられた患者と、その患者に余命3ヶ月と告げた医師。
余命宣告されたがん患者にとって希望とは?
患者にとって良い医者とは?
有意義な人生とは?
人生の意味とは?
二人のそれぞれの物語を交互に織り交ぜながら、命を救うことのできない医師のジレンマや医療システムの矛盾、現場の医師たちの激務、安易な幻想を振りまくマスメディア、そして人と人のつながり、などなど多くの問題を絡ませ、苦悩と希望の物語が綴られていきます。

私の夫ががん患者であった経験から言うと、インフォームド・コンセントがしっかりしている病院なら、「抗がん剤治療はがんを治すものではない。延命効果を期待して行なうものだ」という説明が、しっかりなされると思います。
私たちも、延命効果があるかは、やってみないと分からない手さぐりの状態であることや、副作用の危険性や、いつまでも抗がん剤を使い続けるわけにはいかないということなど、折に触れ説明を受けました。
何度も時間をかけて説明を受け、十分知っていたはずでしたが、それでも医師から「今のうちにホスピスを受診しておいたほうがよいでしょう」と言われた時にも、「もう使える薬はありません」と言われた時にも、治療を止めるという選択はできませんでした。
『悪医』の患者、小仲辰郎と同じように、いつのまにか治療を続けていれば生きていられるような、錯覚に陥っていたと今なら分かります。

がんになったら、あるいはがん患者の家族になったら、手術や治療に同意するか拒否するか、余命告知するかしないか、人工呼吸器による延命措置を望むか望まないか、あらゆる場面で何度も何度も選択を、やり直しのきかない選択をすることになります。
その時は必死な思いでする選択であっても、残された者に後悔は残るものです。
そうそう誰もが冷静な判断なんてできるものではないけど、いろんな選択肢があること、同意だけでなく拒否という選択もあることを知っていた方がいいと、本書を読んで再認識しました。
また本書は、医療の問題だけでなく、人生の意味についても深いメッセージが込められていて、私には考えさせられるところの多い一冊でした。

暗号解読(上・下)/サイモン・シン

angou新潮文庫/2007年6月

以前、高野秀明 『ジェノサイド』 を読んだ際、インターネットでは「RSA暗号」というものが使われていることを知りました。
特に暗号マニアというわけではありませんが、いまや私の生活に無くてはならないインターネットで、どのようにして暗号化が行われているのか?その仕組みを知りたくなって、本書『暗号解読』を読み始めました。

著者は、前作『フェルマーの最終定理』で、高等数学など全く無知な私をも、楽しませ、感動すら与えてくれたサイモン・シンです。
本書でも数々の暗号を素人にも分かるように図解入りで丁寧に解説し、興味をかき立てるようなエピソードをふんだんに盛り込んで、壮大な歴史物語を語ってくれています。

暗号の歴史は、紀元前から現代にいたるまで、為政者たちが繰り返す愚かな戦いの中にあり、様々な暗号が発明されては破られてきました。人類の歴史の暗い部分で、暗号作成者と暗号解読者の熾烈な戦いが、繰り広げられているのです。

暗号作成や解読には、多彩な分野の能力が必要なことも分かりました。
もし「暗号」が中学の授業科目にあったら、世界史、政治経済、科学、数学、言語学、古典学、工学、コンピュータ、チェスやクロスワード・パズル、その他もろもろ多岐にわたって学べそうです。暗号作成や解読の実技では、根気、忍耐力が養われることも間違いない。

サイモン ・シンの語り口は、前作にもまして軽快です。RSA暗号にたどりつくまでの長い歴史を、存分に楽しませてくれました。
もちろん、サイモン・シンの魅力は単に語り口のうまさだけではありません。
暗号マニアでもない私が読んでも楽しめるのは、作者の人柄によるところが大きい。
訳者、青木薫さんの言葉を引用させていただくと、

「血なまぐさい謀略や裏切りの連続であるはずの暗号の歴史が、卑小も偉大もひっくるめた愛すべき人間の営みとして浮かび上がってくるのである。わけても、マイノリティや弱い立場に置かれた人たちに向けられた視線の温かさはサイモン・シンならではのもの」
(訳者あとがきより)

そうなのです。前作『フェルマーの最終定理』でも感じたことでしたが、文章のそこかしこから作者の温かさが伝わってくる。もっともっと話を聞きたいという気持ちになるのです。

さて、今回の読書の目的であったRSA暗号ですが、2000年に及ぶそれまでの暗号とは全く異なる、逆転の発想で生まれたものでした。開発にかかわった暗号作成者たちのエピソードも面白く、RSA暗号のしくみについても、まあだいたい、分かってスッキリしました。
そのRSA暗号を利用して開発された暗号化ソフト、PGPというのがあります。これを作ったジマーマンの物語は、特に興味深いものでした。

1977年にRSA暗号が発明され、「完全な安全のもとでメッセージをやり取りできる」ようになりました。しかし、このRSA暗号の実用化は、政府、軍部、大企業だけを対象としていたといいます。
「それに対してジマーマンは、RSA暗号を使ってプライバシーを守ることは万人の権利だと考え、その政治的情熱を一般大衆向けのRSA製品を開発することに向けた」のでした。

彼はRSA暗号を使って、個人のコンピュータにインストールできて、専門家でない人でも使いやすい、そんなソフトに仕立て上げ、PGP (プリティー・グッド・プライバシー〝ほぼ完全なプライバシー”)と名付けました。
RSAの特許権を無視して開発したというから、ある意味とんでもない話なのです。
折しも、政府が安全性の高い暗号を禁止するような法案が提出され、PGPが非合法化されてしまうことを恐れたジマーマンは、急いでPGPを誰でも無料でインターネットからダウンロードできるようにしました。
そしてジマーマンは特許侵害の罪だけでなく、武器の非合法輸出という重大な罪で告発されることになります。暗号化ソフトが軍需品に指定されていたからです。

PGPは、デジタル通信をするすべての人々のプライバシーを守ってくれるものとして、多くの人にダウンロードされています。一方、犯罪者やテロリストも安全に通信ができるようになり、犯罪を助長するとして非難の的にもなりました。
「大事なのは犯罪防止か、それとも個人のプライバシーか」という論争は、以前読んだ『暴露 スノーデンが私に託したファイル』でも大きなテーマでした。そこには、スノーデンがPGPなしには外部と接触することはできなかった状況が書かれていました。
PGPはスノーデンのような内部告発者や、世界各地で危険にさらされている人権グループの人々の、身の安全を確保していることも確かです。
PGPの存在は、「大衆がもっとも恐れているのは何か」ということを考えさせます。

PGPは最強の暗号ソフで、「PGPで暗号化されたたった一つのメッセージを解読するために、世界中にあるおよそ二億六千台のパーソナル・コンピュータを投入したとしても、解読には平均して宇宙の年齢の一千二百万倍の時間がかかると推定されている」と言われるほどです。
しかしサイモン・シンは、今後、「現在のコンピュータよりも何十億倍も速い処理能力を持つという量子コンピュータが実用化されれば、PGP暗号も難なく破られ、新たな量子暗号を開発する必要があるだろう」と予測しています。

そこで、最終章では量子コンピュータの原理を、量子物理学から丁寧に図解入りで説明していますが、これは私には理解が難しかったです。
「重ね合わせ理論」を用いて「スピンする粒子」でコンピュータに計算をさせる?
・・・って、具体的にイメージすることができないのです。
いずれ別の本で、どこまで理解できるか挑戦してみたいと思います。

ところで、『暗号解読(下)』の付録に、1万ポンドの懸賞金付き暗号問題が10問あります。残念ながらすでに優勝者が賞金を手にしているものですが、訳者の青木薫さんがチームを組んで、この10問に挑戦し、解読法を掲載しています。かなりハードな暗号マニア向きです。
私は1問目を見ただけで頭がくらくらしてしまいました。

追記

本書「暗号解読」の中でも、悲劇のエピソードとして取り上げられている天才数学者アラン・チューリングの物語が映画化され、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたことでも話題となっているそうです。今年春公開予定。詳細は下記サイトから。

天才数学者vs世界最強の暗号 カンバーバッチ主演『イミテーション・ゲーム』で半世紀越しの秘密が明らかに

映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編

「摩天楼の身代金/リチャード・ジェサップ」を再読してみて思ったこと

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文春文庫(1983/04)


「世界で最も安全」な超高級マンションがニューヨークにオープンした。青年トニオは、周到な準備と大胆な発想でこのビルを“人質”にし、警備側の誰一人として予想もしていなかった要求をつきつける。さらに、脅迫した400万ドルの受け取り方法についても、まったく新しいアイデァを編み出した。
異色でハードな最高の襲撃小説!
(裏表紙から)


30年ほど前に一度読んで、非常に面白かったミステリです。
ある事情から大金が必要になったトニオは、100階建てのセントシア・タワーに爆弾を仕掛け、ビルオーナーに身代金を要求します。
どうやってトニオはセキュリティ強固なビルに爆弾をしかけることができたのか。
どうやってトニオは身代金を受け取るつもりなのか。
斬新なアイデァと、最初から最後までよく練られたプロットの面白さは秀逸です。
完全犯罪を目論むトニオのストイックな日常がスリリングに描かれ、ついつい犯人に肩入れしてしまう困った作品でもあります。
セントシア・タワーと登場人物以外はほとんど、実在のものが配置されているそうです。大都会の活気や裏通りの情景は映画を観ているような臨場感にあふれています。
トニオに対するセントシア・タワーの副社長兼総支配人マードックもまた、知的でクールな魅力ある人物で、粘り強く犯人に迫っていきます。果たしてどちらが勝つのか、二人の頭脳戦も読みどころ。
私にとっては、好きなミステリベスト5に入る作品です。

最近急に読み直してみたくなり、アマゾンにて古本を購入しました。現在、絶版のため新品は手に入らない状況です。
30年ぶりに再読してみて、さすがにレトロな雰囲気は感じられるものの、作品の魅力は色褪せていませんでした。
でも、ただ、登場人物たちの口調がちょっと気になりました。
30年前だときっと違和感なく読んだのだろうとは思いますが、今読むと何かちょっと変。

時代設定はベトナム戦争終結後だから、1975年以降。ヒッピー全盛の時代だと思うのですが、若い女性のセリフが、「とび込んだりしやしないわ」「あたし、なんか盗むかもしれなくてよ」「大丈夫だわ」「困りゃしないわ」と、だいたいこんな感じ。欧米ドラマの日本語吹き替え版みたいな不自然さ。
バーテンダーのセリフが「それだけのことでさあ、お兄さん(おあにいさん)」とか、20歳の娼婦のセリフが「なんだって?何を取ろうっていうのさ。おふざけじゃないよ。この間抜け。とっとと失せな」といった調子。
トニオのバイト先もウェイターもタクシー運転手も、街の人間たちはたいがい、任侠映画かギャング映画の吹き替え版。トニオだってコロンビア大学の学生ということになっているのだけど、言葉使いがどうにも若さに欠ける。
極めつけは、
「いやぁ、あんたはお利口さんだぜ!爆弾かって?そうさ、その爆弾でござんすよ!」
てなセリフには、思わず私はずっこけました。(この言い方も古いが)
これじゃあ、ニューヨークじゃない。

原文を読めないくせに勝手なことを言っていますが、できたら新訳の『摩天楼の身代金』を読んでみたい。
とてもいい作品なのですから、絶版はもったいない。

ミレニアムⅠ ドラゴン・タトゥーの女/スティーグ・ラーソン

millennium01ミレニアムⅠ ドラゴン・タトゥーの女(上・下)
スティーグ・ラーソン
ハヤカワ文庫 2011年発行


内容(「BOOK」データベースより)
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいというのだ。解決すれば、大物実業家を破滅させる証拠を渡すという。ミカエルは受諾し、困難な調査を開始する。


スウェーデンから世界的ヒットになり、日本で北欧ミステリブームの火付け役となったと言われる作品が、この『ミレニアム』3部作です。

以前、 「ああるの映画と読書」に紹介されていて興味を持ち読み始めました。
3部とも上下巻あり、1冊あたりが500ページ前後もある分厚さです。
超大作だけに登場人物がやたら多く、馴染みのない北欧的姓名や地名が読み難い、覚えにくい。
そんな困難にもめげず、のっけから完全に嵌って読み通しました。

といっても、ミステリー自体はさほど目新しいものではないのです。
第1部『ドラゴン・タトゥーの女』について言えば、ジャーナリストであるミカエル・ブルムクヴィスト(43歳)が、大実業家一族が住む閉ざされた孤島を舞台に、40年前の少女失踪事件の謎を解くというストーリー。
密室あり、見立て殺人あり、暗号解読あり、暗く陰惨な一族の歴史が暴かれ・・・とくると、『犬神家の一族』や『獄門島』などでお馴染みの横溝正史が描く、あのおどろおどろしたクラシックな探偵小説みたいと感じる人も多いはず。
それはそれで読み応えがありますが、『ミレニアム』の面白さは何といっても、“ドラゴン・タトゥーの女”こと、リスベット・サランデル(24歳)の強烈な個性によるところが大きいと思います。
リスベットは、感情表現が著しく欠如し、他人を苛立たせることはあっても、他人を受け入れることはしない。小柄でやせこけて、見た目は15歳にしか見えない女、という設定です。
このリスベットがたった一人で、“彼女なりのモラルとやり方”で、自らの運命に屈することなく巨悪に立ち向かっていく姿が、孤独で健気で痛快で格好いい。この“彼女なりのモラルとやり方”に惹かれました。

リスベット以外にも、それぞれの分野で女性蔑視や差別と戦い苦悩する女性たちが何人も登場し、『ミレニアム 3部作』には、“戦う女の物語”という側面もあります。
そしてまた、ミカエルの言動や月刊誌『ミレニアム』の在り方には、作者スティーグ・ラーソンの“ジャーナリスト魂”が色濃く投影されていて、そこのところも本書の読みどころです。

ところで、『ドラゴン・タトゥーの女』は、2011年にハリウッド映画化されていますが、確かR15+指定の映画だったと思います。
1部、2部と読み進めると、なるほどR指定にせざるを得ないなあと思わせる過激な描写が随所にありました。このへんはハリウッド狙いなのでしょうか。少しくど過ぎる気がしました。
読んでいるページを他人に覗かれるのは憚れる場面も多い。落ち着いて読みたい方は、職場とか通勤電車とかは避けた方がいいでしょう。余計なお世話かも知れませんが。

第1部『ドラゴン・タトゥーの女』と第3部『眠れる女と狂卓の騎士』は北欧5ヵ国におけるミステリ最優秀作「ガラスの鍵」賞を受賞。
第2部『火と戯れる女』はスウェーデン推理作家アカデミー最優秀賞を受賞。
2部、3部は、1部の続編ではあるけれど、それぞれ趣きが大きく異なるストーリーで、その点でも読者を飽きさせないエンターテインメント作品となっています。

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web作成にちょっと便利なGoogle Chromeのカラーピックアイドロッパー

今年4月、Windows XPのサポートが終了するに伴い、インターネットブラウザをウィンドウズ インターネット エクスプローラー(IE)からグーグルクロームに変更した方も多いのじゃないでしょうか?

IEはWindowsに標準装備されていて、OSのバージョンによってIEのバージョンも異なり、最新のIEを使うにはWindowsのOSも最新でなければならない、っていうところがちょっとついていけません。
その点、クロームは勝手に自動更新して、常に最新バージョンを利用できます。

強制アップグレードの仕組みがあり、古いバージョンを使っていると、特にメッセージも出さずに新しいバージョンへと更新される。たとえ、メジャーアップデートでも自動更新される。そのため、最新のバージョンがほぼ100%のシェアをもつ[14]。アップデートは古いバージョンを実行時にバックグラウンドで行われ、Chrome起動時に新しいバージョンへと差し替えられる。
ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/Google_Chromeより

それで、私も現在はクロームをメインに使用して、webサイトの表示確認のために時々IEを開いてみたりしています。
ColorPick

そのクロームの拡張機能の一つ、「ColorPick Eyedropper」がwebサイト作成にちょっと便利なので、ご紹介します。
無料アプリです。

まず、Googleウェブストア 「ColorPick Eyedropper」からアプリをインストールします。
インストールすると、クロームのツールバーの右上にアイコンが現れます。

ColorPick02

アイコンをクリックすると、十文字のカーソルが現れ、スポイトしたい色にマウスを合わせると、カラーコードが取得できます。

ColorPick03

スタイルシートを編集するときなど、いちいちフォトショップ等のペイントソフトを立ち上げなくても、web上から気に入った色を即座に取得できるので、結構便利な機能かなと思います。

追記:2023年7月2日 だいぶ前からFirefoxでも拡張機能にインストールできるようになりました。

Google Chromeについては、下記サイトを参照してみてください。
クロームのメリット、デメリットが紹介されています。

「乗り遅れた人のためのGoogle Chrome入門」
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1206/14/news130.html

『山田利喜子 革の仕事展』-ギャラリーときどき-に行って来ました。

03当サイトでご紹介しています、皮革染色家・山田利喜子さんの『我が家de個展 ギャラリーときどき』に行ってきました。

まずは、山田利喜子さんの‘ウェルカムメッセージ’をお読みください。

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今回の個展はバッグが主役です。
トートバッグ、ショルダーバッグ、ハンドバッグ、クラッチバッグ、巾着袋など種類が豊富で、色・デザインも個性的です。

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私が気に入ったのは、洋梨のような形をした赤い小振りなハンドバッグです。

このバッグは持つ人を可愛く見せてくれそうな気がします。
私も、もう少し若ければ。きっと。

他のバッグについては当ギャラリーサイト『「皮革染色工芸」Rikiko Yamada』9点10点の作品を掲載しましたので、そちらをどうぞご覧ください。

 

 

 

slipper05ところで、売り物ではなかったのですが、玄関に用意された革の手縫いの、素敵なスリッパが目を引きました。
白なめし牛床革のナチュラル感がとてもさわやか。
履いてみると、とても軽いのに、足にフィットして、安定感があります。履き心地が良いのです。
形も一つ一つ異なり、革に直接パステルで落書き(失礼)したデザインもかわいい。
slipper01来年の夏には、以前ギャラリーセージで「二人展」をされた服飾デザインの押川 珠江さんとの第2回『ギャラリーときどき』展を開催する予定だそうです。
その時には、是非、このスリッパを販売用にも作って欲しいとお願いしてきました。

「山田利喜子 革のしごと展」ご案内

rikikoten

当サイトでご紹介しています皮革染色家、山田利喜子さんが個展を開催します。
今回は自宅がギャラリーとなります。

開催期間:2014年11月22日(土)~12月3日(水)

am11:00~pm5:30

「我が家de個展 ギャラリーときどき」

 

kawa2山田利喜子さんの2年振りの作品展になります。
以前、制作中の革のバッグを一部見せていただいたのですが、どれもクオリティが高く、個性的な作品ばかりです。
山田利喜子さんのギャラリーサイトもどうぞご覧下さい。

 

 

 

 

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通畠朋子さんのギャラリーサイトをリニューアルしました。

new-hanga当サイトのギャラリーでご紹介しています、銅版画作家 通畠朋子さんが、「第10回西脇市サムホール大賞展」で大賞を受賞されたのを機に、サイトのデザインをリニューアルしました。
リニューアルに伴い、通畠さんの過去の作品をたっぷり掲載しています。
通畠さんは、個展等において過去の作品を展示することがあまりないので、私も個展で目にしたっきり、二度は見たことのない作品がたくさんあります。
こんな素敵な作品を今まで紹介してこなかったなんて!と自分の怠慢さに腹が立ちます。

もっともっと多くの方に作品を観て、知っていただきたいと思っています。
リニューアルした「銅版画」TOMOKO・T・TORIBATTAを、どうぞご覧ください。

絶望名人カフカの人生論/カフカ・頭木弘樹翻訳

kafka

『絶望名人カフカの人生論』
(新潮社/2014/10/28)

カフカは偉大な作家です。
「現代の、数少ない、最大の作家のひとりである」とサルトルは言い、日本のカフカと称される安部公房は、「フランツ・カフカが存在しなかったとしたら、現代文学はかなり違ったものになっていたはずだ」と言う。
カフカ以後の作家や芸術家たちに大きな影響を与えた作家です。

私も若い頃、カフカの長編『審判』や『城』を読んで衝撃を受けました。
カフカの作品は、それまで読んでいた文学作品と呼ばれる小説とは、まるで違っていました。

何故か理由がわからないまま何かに振り回され、迷路のような世界をぐるぐると彷徨い、来た道へも戻れず出口も見つからないKの物語。
『審判』ではヨーゼフ・Kという名前がありましたが、後の作品『城』ではKとしか書かれていない。Kがどんな人物なのか詳細な説明もなく、記号のような存在の主人公。それは他人ではない私自身の物語のように思えました。
誰かの人生でない、誰かの恋愛や私生活や思想や哲学、夢や希望や苦悩、などではない物語です。

本書『絶望名人カフカの人生論』は、カフカの日記や、友人や恋人たち、父親などに宛てた手紙から、ネガティブなものを抜粋した断片集です。
例えば、恋人に宛てた手紙の中に、こんな文面があります。

「ぼくはしばしば考えました。
閉ざされた地下室のいちばん奥の部屋にいることが、
ぼくにとっていちばんいい生活だろうと。
誰かが食事を持って来て、
ぼくの部屋から離れた、
地下室のいちばん外のドアの内側に置いてくれるのです。
部屋着で地下室の丸天井の下を通って食事を取りに行く道が、
ぼくの唯一の散歩なのです。
それからぼくは自分の部屋に帰って、ゆっくり慎重に食事をとるのです。」

同じ恋人にはまたこんな手紙も送っています。

「ずいぶん遠くまで歩いてきました。
五時間ほど、ひとりで。
それでも孤独さが足りない。
まったく人通りのない谷間なのですが、
それでもさびしさが足りない。」

あるいは、日記にはこんな言葉が。

「ぼくが仕事を辞められずにいるうちは、
本当の自分というものがまったく失われている。
それがぼくにはいやというほどよくわかる。
仕事をしているぼくはまるで、
溺れないように、できるだけ頭を高くあげたままにしているようだ。
それはなんとむずかしいことだろう。
なんと力が奪われていくことだろう。」

引きこもり精神、孤独志向、ニート願望をうかがわせる言葉ですが、でも、これって本音のところでは誰もが心のうちにあることではないでしょうか。
え?そんなこと一度も考えたことはない?そう言えるあなたはとても幸いです。

まあ、でも実生活のカフカは、引きこもりでもニートでもなかったようです。
ウィキペディアの「フランツ・カフカ」などを合わせて読んでみると、カフカは「労働者傷害保険協会」という役所に8時から14時まで病気退職するまでずっと働き続け、真面目で有能な職員としてどんどん出世もしています。
午後の時間は小説の執筆にあて、「亡くなる前日まで作品の校正刷りに手を入れていた」そうです。
生涯独身ではあったけど、恋愛経験も数多く、心のうちを吐露できる生涯の友人、恋人もいました。
周囲の人の評判は良好で、物静かでユーモアがあり、「職場では常に礼儀正しく、上司や同僚にも愛され、敵は誰一人いなかった」という。
心優しく穏やかな人物の日常を思わせるようなエピソードもいろいろ残っています。

カフカのネガティブな言葉と、こういう実生活とのギャップが面白い。
もしカフカが今の時代に暮らしていたら、きっとツィッターで毎日つぶやき、『ツィッター名人』と呼ばれていたかもしれません。

《参考サイト》

頭木弘樹さんの著書『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』を紹介した記事
「光り輝くゲーテの言葉を、いちいち暗闇で塗りつぶすカフカ、文豪たちの絶望対話が凄まじい」

第10回全国公募西脇市サムホール大賞展の案内状

第10回全国公募西脇市サムホール大賞展の案内ハガキをいただきました。
西脇市岡之山美術館のサイトに、今回の入賞者、12点の作品が掲載されているのも観ましたが、レベルの高い公募展ですね。

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開催期間 : 2014年11月16日(日)~12月14日(日)

開館時間 : 10:00~17:00 ※最終日は15時まで
休 館 日 : 月曜日(祝日の場合は翌日)と祝日の翌日
会場 : 西脇市岡之山美術館

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続報(2)通畠朋子氏「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞

通畠朋子さんが「第10回西脇市サムホール大賞展」の大賞を受賞したニュースが、今朝の南日本新聞にも掲載されていましたので、転載してご紹介致します。
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(南日本新聞2014年10月20日掲載)

作品画像部分

minami02

嬉しいことに、当ブログに『速報!通畠朋子氏「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞!』を書いて以来、関連投稿に毎日たくさんのアクセスがあります。
通畠朋子さんのギャラリーサイトも多くの方が見てくださっています。
これを機に、ギャラリーをもっと充実させなければと思うようになりました。
これまでの個展やグループ展に出品した作品や、公募展の入選、入賞作品など、画像データをたくさん送っていただきましたので、サイトのデザインも変えて、近く(たぶん、今週末くらい)リニューアルオープン致します。

続報!通畠朋子氏「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞

9月25日の投稿、速報!通畠朋子氏「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞!の続報です。

作品タイトルは「誕生Ⅰ」
作品の展示は、11月16日~12月14日 兵庫県西脇市 岡之山美術館 にて

「作品画像を入手次第画像をアップします」と書いたのですが、通畠さんによると「実は今年のはなんとなく駄目だろうと思い、写真がないのです。1枚も。いつもは撮っておくのにね。」・・・とのこと。
入賞作品は買い上げとなるので、もう手元には返ってきません。
12月の授賞式の際に写真を撮ってきてくれるそうなので、作品画像はその後アップすることにします。

作品画像の代わりに、昨日の朝日新聞の記事を送っていただきましたので、ここに掲載します。

tanjou1

(2014年10月3日/朝日新聞より)
ちなみに、作品を手にしている女性は、通畠さんではありません。

追記:2014年10月11日

作品についてのコメントを当サイトのT/T:Blogに書いてくださいました。
こちらの方もお読みください。

作品 「 誕生 」Ⅰについて 

 

 

速報!通畠朋子氏「第10回西脇市サムホール大賞展」大賞受賞!

当サイトでご紹介しています「銅版画」作家、通畠朋子さんが、「第10回西脇市サムホール大賞展」にて、大賞を受賞されました!

おめでとうございます!
受賞作品については、画像を入手次第、詳細をご紹介したいと思います。

hanga2通畠朋子さんのこれまでの作品ページはこちらからご覧ください。

「銅版画」TOMOKO・T・TORIBATTA

第8回の西脇市サムホール大賞展では、惜しくも大賞は逃しましたが、最終審査に残る素晴らしい作品でした。
「第8回全国公募西脇市サムホール大賞展」入選作品「カクティダンス オペラ」も合わせてご覧ください。

今年は5月に通畠義信氏の彫刻作品が、第61回県美展にて知事賞を受賞しています。
ご夫婦そろって大きな受賞の年になり、作品を紹介している私も嬉しい限りです。

とりあえず、速報でお伝えしました!

5冊まとめて、ちょっとだけ読書感想。

本を読み終えて、すぐにブログに感想を書けばよいのだけど、それができずに本だけが溜まっています。あれも書きたい、これも書きたい、でも時間が経ち過ぎて記憶がどんどん薄れていく。で、今回は忘れ去らないうちに5冊まとめて、書き出してみようと思います。

2014-09-07-17.11『ベイジン(上下)』
真山 仁/幻冬舎文庫
2010年4月発行

「お願いだ、俺にこの発電所を停めさせてくれ」

『ベイジン』とは北京のことで、英語ではBeijingと表記するとのこと。
舞台は、北京オリンピックを目前に控えた中国。
冒頭のセリフは、北京オリンピック開会式に合わせて運用を開始させるという原子力発電所を建設するために、中国へ招へいされた日本人技術者、田嶋の必死の叫び声です。
電源喪失、ベント操作、海水注入、といった事故場面の描写は、否が応でも福島第一原発の事故を想起させる物語ですが、作品が書かれたのは事故前の2008年。
図らずも予言の書となってしまった感があります。

「『ベイジン』は、我々がけっして忘れてはならない希望について書いた小説です。
21世紀は「諦めの時代」なのかと思ってしまうことがあります。努力しても頑張っても報われない。何かに果敢に挑むより、最初から闘わず諦めてしまう。でも諦めからは何も生まれない。
私はそう信じています。」

(Amazonの商品説明、「著者からのコメント」)

2014-09-07-19.02『ぐるぐるまわるすべり台』
中村 航/文春文庫
2006年5月発行
第26回(2004年) 野間文芸新人賞受賞

「黄金らせんはオウム貝の殻や、ヤギの角などに現れることでも知られています。生物の成長というのはすなわち、相似な変形の繰り返しであるという原則が、このことからもわかります。つまり黄金比は物事が成長するときの普遍的な比率なのです。それゆえに我々は美しいと感じるのかもしれません。」

上記は、老教授が建築概論を教える講義室の一場面。こんな授業を受けてみたいものだと思いました。静かで贅沢な時間。
物語は、主人公が大学を中退するところから始まります。
彼は、塾の講師をしながら、バンドメンバー募集専用サイトでバンド仲間を探すのです。
「熱くてクール、馬鹿でクレーバー、新しいけど懐かしく、格好悪いくらいに格好いい、泣けて笑えるロックンロール。拡大と収縮、原理と応用。最高にして最低なメンバーを大募集。19歳」
彼がメンバーへの課題曲に選んだのが、ビートルズの「ヘルター・スケルター」
「ヘルター・スケルター」は、「しっちゃかめっちゃか」というような意味合いに訳されますが、元々の意味は、「らせん状のすべり台」のことだそうです。
毒気の強いニュースばかりが目につく世の中にあって、久々に毒気も悪意も一切ない青春物語を読んだなあって感じです。
主人公は、とてもナイーブ。
若い頃は私だって、いまみたいじゃない、もっともっとナイーブだったと思う。そして“若い”って昔も今も結構シンドイことだって思います。

2014-09-07-19.24『火星ダーク・バラード』
上田 早夕里/ハルキ文庫
2008年10月発行
第四回小松左京賞

「人類に進化なんてものはない。ただ、環境への過剰な適応があるだけよ。」

舞台は火星。
殺人容疑をかけられた火星治安管理局員の水島と、生まれつき他人の感情を読む能力のある少女、アデリーンとのロマンスを主軸とした、ハードボイルドタッチのSFサスペンスです。
アデリーンはプログレッシブと呼ばれる新人類。
プログレッシブは、宇宙のいかなる過酷な環境にも適応できるよう、遺伝子操作によってデザインされて生み出されるという。
「重力変化、温度変化、宇宙放射線、酸素濃度、などの異なる環境に耐え、寿命は長く、他者と不毛な争いをせず、優れた共感性を持ち、より高い知性を備えた人類」をつくるために・・・・。

人類が生き延びるには、もう宇宙に出ていくしかない未来が、いつかきっとやってくるのでしょうね。
2023年、人類火星移住計画」によると、火星移住計画「マーズワン・プロジェクト」は、すでに現実発進しているようです。(→http://www.tel.co.jp/museum/magazine/spacedev/130422_interview02/index.html
第1回目チームの飛行士4人を募集したところ、行ったら帰ってはこれない片道切符のミッションにもかかわらず「希望者は全世界から20万人にも及んだそうで、昨年末の12月30日、移住希望者の中から1058人の候補者が選出された。その中には日本人10人も含まれている」(「2025年、火星への片道切符の旅。日本人10人が最終選考に入る。」→http://karapaia.livedoor.biz/archives/52150116.html参照)そうです。
こんなにも勇気と犠牲精神にあふれた人たちがいるなんて、すごい!それだけでも人類の未来に希望が持てる話です。
ただ、「2023年火星移住計画“MarsOne”は夢の話だろうか」を読むと、技術的な不安要素も多く、お隣の星へ行くのも容易ではありません。
地球で死ぬも火星で死ぬも同じと言えば同じだけど、火星での開拓生活がどれほど過酷なものになるのか、想像もつかないところが怖い。

2014-09-07-19.05『文章読本さん江』
斎藤 美奈子/ちくま文庫
2007年12月発行
第1回小林秀雄賞

「服飾史と文章史には、共通した大きな原則がある。
第一に、衣装も文章も、放っておけばかならず大衆化し、簡略化し、カジュアル化するということである。」
「服だもん。必要ならば、TPOごとに着替えりゃいいのだ。で、服だもん。いつどこでどんなものを着るかは、本来、人に指図されるようなものではないのである。」

文章読本とは、「文章の上達法を説く本」のことを言う。
古くから谷崎潤一郎とか三島由紀夫とか、名だたる文豪たちが文章作法書として「文章読本」を書いてきたらしい。
本書は明治から現代にいたるまでの「文章読本」を多数取り上げ、文例をあげて(この文例が面白い!)、検証していく「文章読本」の歴史書みたいなもの。それによって文章というものが、時代とともにどのように変遷してきたかよく分かる。そして、いつもながら斎藤美奈子さんの文章は痛快!気持ちいい。

本書を読めば文章が上達する、わけでは決してないですが、小中学校の頃、作文が嫌いだった、という皆さんにぜひとも読んでいただきたい、お薦めの一冊です。
私も作文が大嫌いでした。
「嫌い」の一番の理由は、先生の「思ったことを素直に、あるがままに書きなさい」っていう言葉だったと思うのです。私の小学生の頃はそういう指導でした。
これを「作文の私小説化」と斉藤美奈子さんは言う。
まったくその通りです。

子供の頃の私には、自分の身の回りの狭い範囲のことしか題材がなく、それを書くということは、プライバシーを先生に覗かれるみたいで、すごく抵抗がありました。
大人になって、ブログというツールを手に入れた現在、書いたものをまず先生に見せる必要がないことが、とてもありがたい。

2014-09-07-01.25『喪失』
モー・ヘイダー/ハヤカワポケットミステリーブックス
2012年12月発行
2012年度アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞

セラピーセッションで持ち上がった問題のひとつは、コーリーがジャニスを伝統的な妻ではないと感じることがあるという点だった。
テーブルにはいつも夕食が用意され、朝はベッドまで紅茶が運ばれるにもかかわらず。
ジャニスが仕事と子育てを両立させているにもかかわらず、コーリーはなおも重箱の隅をほじくるのだ。
家に帰ったときに、焼き上がったばかりのケーキがあってほしいとか。弁当を持たせて、何なら昼食時に喜ばせてくれるちょっとしたラブレターも添えてほしいとか。

イギリスの伝統的な妻とはなんと大変なことか、と驚きました。
お弁当にラブレターを添えなくて済む分、日本の良妻賢母と呼ばれる主婦の方がまだましとさえ思えます。
ちょっと大袈裟に書いているんじゃないの?と思い「イギリスの家庭」で検索してみると、「家族に関する国際調査」(http://www.suntory.co.jp/culture-sports/jisedai/active/family/2_2.html参照)というサイトがありました。
それによると、イギリスも「急激な単身化・単親化と離婚率の上昇」があり、伝統的な家族形態は崩壊しつつあるとのこと。しかし仕事より家庭を大事にし、家族と密接な関係を持とうとする姿勢は、今も変わらないらしい。
女性の家事分担が大きいが、最近では「男性にも家事をすることが期待されていて、育児をしない男性は同性からも不謹慎にみられる」とあります。先進国と言われる国はどこも似たような状況のようです。
まあ、これは、作品の内容とはあまり関係のない話ですが。

「宇宙は何でできているのか」/村山 斉と「ルバイヤート」

村山 斉/幻冬舎新書
2010年9月発行

これまで、「万物は原子でできている」という考えが常識とされてきましたが、2003年に「原子以外のもの」が、宇宙の約96%以上を占めていることが分かったそうです。

宇宙のエネルギー

  • 星と銀河        0.5%
  • ニュートリノ       0.1~1.5%
  • 普通の物質(原子)  4.4%
  • 暗黒物質        23%
  • 暗黒エネルギー    73%
  • 反物質         0%
  • 暗黒場(ヒグス)   10%??
  • 『宇宙は何でできているのか』 p44図6参照

では、「原子以外のもの」の大半を占める、「暗黒エネルギー」とは?「暗黒物質(ダークマダー)」とは?いったいどんなものか。
それはまだ名前しかついていない正体不明のもの。でも「ある」ということは分かっているそうです。
宇宙は、不思議がいっぱい、まだまだ謎だらけ。

2014-09-07-01.58まあ、「地球が秒速30㎞という猛スピードで公転している」ということすら知らなかった無知な私ですから、この1冊で宇宙を理解しようなんて土台無理な話ですが、謎解きの過程を垣間見る楽しさを味わえました。

「宇宙は、どうやって始まったのだろう?
遠くに見える星は、何でできているのだろう?
どうして、自分たちはこの宇宙にいるのだろう?
宇宙はこれからどうなっていくのだろう?」
という素朴な疑問に挑み続ける科学者たちによって、素粒子の法則から宇宙の構造まで、謎は少しずつ、時には飛躍的に解き明かされ、壮大な宇宙マップが作成され続けていることが、本書を読んで分かります。

2014-09-07-13.28そういえば、文部科学省の「科学技術週間」サイトに「一家に1枚」というコンテンツがあります。ここに「宇宙図」のポスターがpdfファイルで提供されています。
私の持っているものは2007年版なのですが、現在は2013年版。ちゃんと更新されているんですねえ。

「一家に1枚」http://stw.mext.go.jp/series.html

宇宙図以外にも「たんぱく質」「鉱物」「太陽」「磁場と超伝導」「未来をつくるプラズママップ」「天体望遠鏡400年」「光マップ」「 ヒトゲノムマップ」「元素周期表」等があります。中高生のお子さんのいらっしゃるご家庭に、「一家に一枚」はおすすめです。

さて、本書を読んで、11世紀ペルシアの詩人、ウマル・ハイヤームの詩を思い出しました。若い頃、ノートにいくつか抜き書きしていたものです。その中の2節をメモしておきます。

『ルバイヤート』

ウマル・ハイヤーム

われらが来たり行ったりするこの世の中、
それはおしまいもなし、はじめもなかった。
答えようとて誰にはっきり答えられよう――
われらはどこから来てどこへ行くやら?

来ては行くだけでなんの甲斐があろう?
この玉の緒の切れ目はいったいどこであろう?
罪もなく輪廻の環の中につながれ、
身を燃やして灰となる煙はどこであろう?

 追記

ああるさんのコメントに返信していて、「Mitaka(ミタカ)」のことを思い出しましたので、ここにもメモしておきます。
「Mitaka」は、「国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト(http://4d2u.nao.ac.jp/)」が提供するフリーソフトです。
自分のPC上で、「地球から宇宙の大規模構造までを自由に移動して、宇宙の様々な構造や天体の位置を見る」ことができます。
容量が大きいソフトなので少々注意が必要かも・・・

ダウンロードはこちらから→http://4d2u.nao.ac.jp/html/program/mitaka/

RSSフィードから更新タイトルと日付を取得して更新情報を表示する

htmlページなどに、ブログの更新情報を表示する方法をメモしておきます。

当サイトでは、トップページ(htm)に、ブログやギャラリーの新規投稿記事のタイトルと日付が自動更新されるように設定しています(下図の赤線枠部分)。
これはGoogleの提供するGoogle AJAX Feed APIを利用して、RSSフィードを読み込むというものです。

toppage

私が表示したい更新情報のスタイルは、

日付 ..記事のタイトル

とシンプルなものですが、取得したいRSSフィードは6個。数が多いので、スクリプトコードはhtmに直接記述せず、外部ファイルとして読み込むことにしました。

私なりの手順は以下の通り。

  1. Feedを取得するコードを記述したJavaScriptファイルを6個作成し、一つのフォルダに入れる。
  2. 更新情報を表示したいhtmlページの<head>~</head>にGoogle AJAX Feed APIと6個のjsファイルを読み込むコードを記述する。
  3. 更新情報を表示したいページの<body>~</body>にFeedのIDを記述。
  4. cssでレイアウトを整える。

1.JavaScriptファイルのコード


// Feed1のコード
google.load("feeds", "1");

function initialize() {
var feed = new google.feeds.Feed("表示させるRSSフィードのURL");
feed.setNumEntries(表示させたい件数);
feed.load(function(result) {
if (!result.error) {
var container = document.getElementById("feed1");
for (var i = 0; i &amp;lt; result.feed.entries.length; i++) {
var entry = result.feed.entries[i];
var dd = new Date(entry.publishedDate); // now
var yearNum = dd.getYear();
if (yearNum &amp;lt; 2000) yearNum += 1900;
var m = dd.getMonth() + 1;
if (m &amp;lt; 10) {m = "0" + m;}
var d = dd.getDate();
if (d &amp;lt; 10) {d = "0" + d;}
var date = yearNum + "." + m + "." + d + " ";
container.innerHTML += "&amp;lt;li&amp;gt;&amp;lt;span&amp;gt;" + date +" &amp;lt;/span&amp;gt;" +"...&amp;lt;a href='" + entry.link + "' target='_blank'&amp;gt;" + entry.title + "&amp;lt;/a&amp;gt;&amp;lt;/li&amp;gt;";
}
}
});
}
google.setOnLoadCallback(initialize);

上記のコードの「表示させるRSSフィードのURL」とfeedのIDナンバー部分を2,3,4・・・と書き換えて、6個のJavaScriptファイルを作成。

    IDナンバーは、ここを書き換える。↓
google.load(“feeds”, “2“);
var container = document.getElementById(“feed2“);

それぞれfeed1.js、feed2.js・・・と名前を付けてフォルダに保存する。フォルダ名はjsとした。

2.<head>~</head>

&amp;lt;script type="text/javascript" src="http://www.google.com/jsapi"&amp;gt;&amp;lt;/script&amp;gt;
&amp;lt;script type="text/javascript" src="feed1.jsまでのパス"&amp;gt;&amp;lt;/script&amp;gt;
&amp;lt;script type="text/javascript" src="feed2.jsまでのパス"&amp;gt;&amp;lt;/script&amp;gt;
&amp;lt;script type="text/javascript" src="feed3.jsまでのパス"&amp;gt;&amp;lt;/script&amp;gt;
&amp;lt;script type="text/javascript" src="feed4.jsまでのパス"&amp;gt;&amp;lt;/script&amp;gt;
&amp;lt;script type="text/javascript" src="feed5.jsまでのパス"&amp;gt;&amp;lt;/script&amp;gt;
&amp;lt;script type="text/javascript" src="feed6.jsまでのパス"&amp;gt;&amp;lt;/script&amp;gt;

htmの<head>部分に、外部ファイルを読み込むコードを記述します。

3.<body>~</body>

<body>部分の更新情報を表示したい箇所にFeedのIDを記述します。

&amp;lt;ul id="feed1"&amp;gt;&amp;lt;/ul&amp;gt;
&amp;lt;ul id="feed2"&amp;gt;&amp;lt;/ul&amp;gt;
・・・・以下略

4.cssでレイアウトを整える。

必要に応じて、cssでレイアウトを整えます。

 下記のサイトを参照させていただきました。

参照したサイト:「サイトに外部ブログのRSSを表示する方法と、記事タイトルが長すぎる場合に省略表示する方法メモ。」(http://webimemo.com/web/3873

日付やタイトルだけでなく、 記事内容や概要、画像なども表示したい場合は下記サイトを参考にされるといいと思います。

ブログのRSSを読み込んで新着記事を表示!Google AJAX APIを使ってみました」(http://kana-lier.com/javascript/google_ajax_rssfeed/

「暴露」スノーデンが私に託したファイル/グレン・グリーンウォルド

2014-06-29-17.23CIA(アメリカ合衆国中央情報局)やNSA(アメリカ国家安全保障局)の局員として、アメリカ政府による情報収集活動に関わっていたエドワード・ジョセフ・スノーデンが、NSAによる個人情報収集の手口を告発したのは、昨年、2013年6月のことでした。

あれから1年。
先月、スノーデンの告発に関するノンフィクションが2冊、同時に出版され書店に平積みされていました。
一つはジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドによる本書「『暴露』スノーデンが私に託したファイル」(新潮社)。
方やイギリスの大手新聞『ガーディアン』の海外特派員による「スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実」(日経BP社)。

どちらを買うか悩んだ末『暴露』を選んだ理由は、本書の方が機密文書を多数収録しているから。知りたい。文書の中身を!でも、『暴露』ってタイトルはちょっといただけない。
このタイトルは日本向けなのか、原題は『No Place to Hide』-隠れる場所はどこにもない-というものです。本書を読むと、原題の持つ意味は深い。

本書は5章仕立てになっています。
第1章「接触」、第2章「香港での十日間」では、著者グレン・グリーンウォルドが香港に身を潜めるスノーデンと密会し機密文書を受け取り、それを公開していく顛末をスリリングに書いています。まるでスパイ映画を観ているような感覚で読んでしまいますが、しかしこれはフィクションではなく、当事者が語る命がけの現実。

第3章「すべてを収集する」、第4章「監視の害悪」には、多数の機密文書が掲載されています。それらの機密文書を読み解き、具体的にどのようにして、NSAが大量情報収集を実行してきたか、目的は何か、それに対する国内外の反応や、監視社会が人々に与える害悪などについて述べています。

第5章「第四権力の堕落」では、グレン・グリーンウォルドは、「立法」「行政」「司法」に続いて第四権力と言われる「報道機関」、ジャーナリズムのあるべき姿勢について論じています。

スノーデンが暴露した機密文書の、中でも衝撃的だったのは、インターネット監視プログラム「PRISM(プリズム)」の存在が立証されたことです。
「PRISM」は、世界の人々のあいだで交わされる電子通信をすべて収集・保管・監視・分析できるようにするシステムだといいます。
このシステムにはインターネット企業や電話会社の協力が不可欠であり、企業はNSAに顧客情報へ無制限のアクセスを許可しているのです。
マイクロソフトの「So.cl」(ソーシャル)、Google、ヤフー、Facebook、アップル、AOL、Skype、YouTube、PalTalk(チャットソフト)など、ウェブサービスを通してユーザーの電子メールや文書、写真、利用記録などの情報を、政府からの要求のままに提供してきたという。

マイクロソフトは”あなたのプライバシーは私たちの最優先事項”というスローガンを掲げる一方で、同時に暗号化システムを回避する方法をNSAと共に構築したりしている。
「国外に輸出されるルーター、サーバー、その他のネットワーク機器を定期的に受領、押収して、それらの機器にバックドア監視ツールを埋め込んだうえで再び梱包し、未開封であることを示すシールを貼って、何事もなかったかのように出荷する。NSAはこうして世界中の全ネットワークと全ユーザーに対するアクセス手段を得ていた」などといった企業の協力体制は、ユーザーへの裏切り行為に他なりません。
そんな中で、「ツイッターは(政府からの)要求を拒んだ」というエピソードには、わずかに心救われる思いがしました。

アメリカ政府は、「PRISM」で電子通信を収集するほか、世界中の光ファイバー網に直接侵入したり、アメリカ国内のシステムを通過する情報(※国際間のインターネット通信はだいたいアメリカのシステムを通過する)をNSAのデータベースに転送したり、他国の諜報機関と協力して情報を得たりして、膨大な量の情報を傍受、収集していました。いったいそれは何のために?

最初の名目は、テロ防止のため、だったはずですが、この監視プログラムによって未然に阻止できたテロ事件は1件もない、という事実にも驚かされます。
2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件においても阻止するどころか、何かを検知することすらできなかった。
「あらゆる人間の通信に関するあらゆる記録を収集することは、本物のテロリストが企てている本物の計画を目立たなくさせるだけだ」と分析する科学者もいます。
データ量が膨大になり過ぎて、データを効率的に分類することさえままならなくなっている、のだといいます。
情報の大量収集は、テロ対策には何の成果もあげていない。
それどころか、NSAが、通常のインターネット取引や電子記録の暗号手段を無効化することは、クラッカーや敵対勢力の侵入に対してもインターネットのセキュリティを脆弱にしてしまうことである、という指摘もあります。これは、世界一般のインターネットユーザーを危険にさらしていることでもあるのです。

もはやNSAはコンピュータオタクのハッカー集団。
「世界中全ての情報を収集する」を目標に掲げ、偏執狂的にシステムの開発、構築を繰り返し、国内外のテロとは無関係な人々の日常を監視してきた様子が、暴露されたファイルには得意気に記録されています。
また、アメリカ政府は、監視システムによって収集した情報を、テロ防止ではなく、主に国内外に対する経済活動や、政府を批判する人物のプライバシー監視に利用していたことも明らかです。

NSAの情報収集・傍受行為の具体的な手段は?
NSAと情報を共有しあう、ファイブ・アイズ同盟国とは?
スノーデンの内部告発は国益に反する行為か?
内部告発者はどのような社会的攻撃を受けるか?ウィキリークスのジュリアン・アサンジの場合は?
監視され続けることでプライバシーを無くした人々は、どのような心理状態になっていくのか?
監視社会から隠れる方法は?
などなど、本書の読みどころはたくさんあります。
何といっても大事なのは、ジャーナリズムの本来の使命とは何か?ということです。
これは、ジャーナリストだけでなく、情報を受け取るだけの一般人である私たちにとっても、考えなければならないことだと思います。
スノーデンの内部告発から見えてくるアメリカ政府の、権力の濫用、行使、それに加担するジャーナリズムの姿は、日本の現状-アメリカに監視されながら追随している日本の現政権の暴走っぷり-を考えれば、決して他人事ではないと思います。

スノーデンは内部告発するにあたって、自分の正体を明らかにしました。
国家機密を暴露すれば、テロリストという汚名を着せられ逮捕され、グアンタナモ湾収容キャンプに収監され拷問され・・・となってしまう危険性を十分承知していながら。
しかし、自ら名乗り出て、自らの行動に対する責任を取り、隠れることも追われることも断固拒否することによって、彼は身の安全を得ることができました。
内部告発に踏み切ったスノーデンの信念は、次のようなメッセージに込められています。

「マスメディアの自由闊達な精神の保持とインターネットの自由のために戦ってください。私は政府の最も暗い一角で働いてきました。彼らが恐れるのは光です。」

「フェルマーの最終定理」/サイモン・シン

+y=z は、nが2よりも大きい場合、整数解は存在しない。

『フェルマーの最終定理』と呼ばれるこの定理は、フランス人、ピエール・ド・フェルマーによって17世紀に発見され、彼の死後、多くの人々がこの定理の証明に挑戦してきました。
そして、3世紀の時を経た1993年6月、ついに一人の数学者が定理の証明に成功した!と発表しました。しかし、わずか数か月後に、証明には根本的な欠陥があることが明らかになりました。

KIMG0013本書『フェルマーの最終定理』(新潮文庫/2006年発行)は、その数学者アンドリュー・ワイルズの苦闘の物語であり、同時に”数”の魅力に憑りつかれた人々の壮絶な歴史の記録です。
著者のサイモン・シンの筆致は軽快で分かりやすく、「数学界の偉大な英雄たちを一人残らず巻き込んで展開する、勇気、不正、ずるさ、そして悲しみに彩られた魅力あふれる冒険物語」である、と言う通り、読み始めたら止まらない面白さです。
『フェルマーの最終定理』を解こうなんて一度も考えたことのない私でも、いやむしろ無知な私だからこそか、未知なる数論の世界に惹きこまれてしまいました。

正直に言えば、私は、『フェルマーの最終定理』というのがあるらしい、という程度の知識しかなく、それどころか、中学生の頃習ったはずの「『ピュタゴラスの定理』を言ってみろ」と言われても今はもう言えない。それとは無関係の人生を何十年も生きてきたのですから。

直角三角形の斜辺の二乗は、他の二辺の二乗の和に等しい。

方程式として表すと、x2+y2=z2 となる。

『フェルマーの最終定理』とは、この『ピュタゴラスの定理』を基礎として生まれたということです。そこで、本書はまず、ピュタゴラスが命をかけて”数”の真理を追い求めた紀元前六世紀から、物語が始まります。

その後、話は17世紀に飛んで現代にいたるまで、フェルマーや、数学にかかわったプロやアマチュアの天才たちが残した業績や、フェルマーの残した定理を証明しようとした人々の悪戦苦闘ぶり。
そんな彼らを魅了してやまない”数”にまつわる、自然界のミステリーの数々。
あるいは、他の分野と同様、女性研究者の歴史は偏見と差別との戦いだったというような話。
そして数学が戦争に利用されるようになり、コンピュータが発明され、戦後、証明へ大きな道筋をつけることとなった、二人の日本人数学者が登場する。
そうした多彩で興味深いエピソードを織り交ぜながら、アンドリュー・ワイルズへと繋がっていきます。

が、「谷山=志村予想を、セルマー群の計算に還元し・・・楕円方程式とモジュラー形式の根本的な関係を維持するには・・・」といった証明へのアプローチに話が及ぶと、もう私には何のことだかさっぱり理解できません。

こんな訳の分からない言葉を操る人たちの物語なのに。
『フェルマーの最終定理』を知らなくても、私はこれからも支障なく生きていけるけど。
情熱をもって取り組むことのできる『定理』を心に抱いている彼らが羨ましくもあり、真理を求め、無限のかなたを目指して歩みつづける、天才たちの姿に心打たれます。

WordPressをローカル環境で動かすWordPress Portable

WordPress Portable(ワードプレスポータブル)というのがあるそうです。
XAMPPと同じように、WordPressをローカル環境で動かすことができる、WordPress専用のアプリケーションです。
WordPressのカスタマイズには、レンタルサーバーにアップする前に、ローカル(自分のPC内)でテストできる環境がある方が、断然便利で安全です。
WordPress PortableはXAMPPより設置が簡単、データベースの設定も不要だそうです。
ただし、マックには対応していないらしい。

001私もどんなものなのか試してみたかったのですが、 既にXAMPPを導入している場合、まずXAMPPをアンインストールしなければならないようなので、WordPress Portableの設置は諦めました。
WordPressユーザーで、まだローカル環境の構築をしてない方は、 試す価値があると思いますので、紹介してみました。
興味のある方は、下記サイト等を参考にしてみてください。

「城ヶ崎悟展」「架爾美智也個展」二つの個展のご案内

ああるさんより二つの個展の案内状をいただきましたので、ご紹介します。

「城ヶ崎悟展」 -白い刻-

5月24日(土)~6月8日(日)

10:00~19:00 会期中無休
オープニングパーティー/5月24日(土)16時~
会場:みぞえ画廊 (MIZOE ART GALLERY
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みぞえ画廊   (mizoe-gallery.com)   福岡市中央区地行浜1-2-5     TEL:092-738-5655

[mappress mapid=”9″]

「架爾 美智也個展」
重ねられる時間と空の誘い

5月25日(日)~6月8日(日)

11:00~17:30 (会期中月曜日休み)
初日15時より茶話会&ギャラリートーク
会場:Art Space道
鹿児島市郡山町4208
TEL:099-298-4255

postcard03

[mappress mapid=”10″]

通畠義信氏が県美展で知事賞!

当サイトでご紹介しています通畠義信氏の彫刻作品が、「第61回県美展」にて知事賞を受賞しました。
おめでとうございます!!

作品タイトルは『飛べない鳥』
展示前の作品画像をアップしました。
生の作品をぜひ、展示会場でご覧ください。

tobenaitori

作品の展示は以下の通りです。

  • 平成26年5月17日(土)~5月25日(日)
  • 会場:鹿児島県歴史資料センター黎明館  9:00~18:00(最終日16:00まで)
  • 会場:鹿児島市立美術館  9:30~18:00(最終日16:00まで)
  • ※5月19日(月)は休館日

『What’s Going On』と中桐雅夫の『こんな島』

不意にマーヴィン・ゲイ の『What’s Going On』がカーラジオから流れてきました。
この曲はマーヴィン・ゲイの中で私が一番好きな歌ですが、聞くといつも泣きたいような、落ち着かない気持ちになります。

マーヴィン・ゲイが「音楽に没頭するきっかけは、彼の父親の常軌を逸した躾であり、精神的な虐待であった。(ウィキペディア マーヴィン・ゲイ参照)」そうです。マーヴィンの最期は、その父親によって殺されるという、あまりにも悲劇的なものでした。
しかし彼の歌からは、「戦いは解決にならない。憎しみを克服できるのは愛だけだ。」というメッセージが、今もなお美しい旋律とともに伝わってきます。

What’s Going On?
今、この国で「何が起こっている」か考えてみると、何よりもざわざわした気分にさせるのが、集団的自衛権の行使が容認されそうだってことです。
こんな大事なことを、国民の意見を聞くこともなく決めてしまおうとしている。
”戦争ができる国”になりたいんじゃないでしょうね?
それを望んでいる人たちがいるけど、私は望んでいない。

 

中桐雅夫詩集「夢に夢みて」より
『こんな島』

みんなが正しくおれは間違っているから
おれはいっそ情けない怠け者になってやろう
線香の煙のように
寝言と仕事の間をうっすら揺れていよう

武器を手にしていないものはいないから
むしろおれはやさしい言葉になってみたい
きれいな人の咽喉と舌の間にころがって
唇から外へ出ない音になってみたい

だれもかれも勇敢だから
おれはいっそ卑怯な火消しになってやろう
ふところの金を勘定しながら
見舞い酒でねたみ心を燃え上がらせよう

みんな目的と確信をあり余らせているから
おれは行先を考えずにとぼとぼ歩こう
自信のないことがおれの唯一のとりえだ
おれは強いものや激しいものから離れていよう

故郷を恋しがらぬものはいないというから
おれは故郷をことわり続けてやろう
雨といっしょに降る塵となって
「こんな島は沈んでしまえ」とどなってやろう

今邑彩の短編集「鬼」

oni

ミステリー作家の今邑彩(いまむら・あや)さんが死去されたことを、1年以上も経った今頃知りました。
ネットニュースによると、昨年の「3月6日に自宅で倒れたまま亡くなっているのが発見された。約2年前から乳がんを患い、2月上旬に死去したとみられる。」そうです。57歳でした。

昨年の秋ごろには、「ルームメイト」が北川景子主演で映画化されたと話題になっていたので、てっきり現在もご活躍のことと思い込んでいました。
もう新作が読めないことも、とても残念です。

最初は文庫本の表紙絵に惹かれて読み始めた作家でしたが、心理的な恐怖をミステリアスに描いて、ひんやりとした異世界に足を踏み入れたような気分を味わさせる作風が好きでした。
ミステリー作家というよりは、ダークな世界のストーリーテラーといった感じです。

yomotuhirasaka幼い頃、たぶん5,6歳の頃、近所にちょっと変わったオジサンがいました。夕方、近所の子供たちを集めて、「怖い話」をしてくれるのです。
オジサンと言っても、今思えばまだ30代くらいの人だったかも。何しろ遠い記憶で、覚えているのはオジサンが小さな女の子と二人で暮らしていたこと。あるとき近所に越してきて、間もなくふっつりといなくなってしまったこと。オジサンの「怖い話」を聞いた後は、走って家に帰ったこと。

今邑彩の作品を読んでいて、そんな子供の頃の記憶が甦りました。
テレビがお茶の間にやってくる前は、そんな町のストーリーテラーが日本中のいたるところにいて、子供たちを怖がらせたり、楽しませたりしていたのではないかと思います。

個人的な好みでいえば、今邑彩の作品では、長編より短編の方が気に入っています。
その中でも特に好きな作品が、短編集「鬼」(集英社文庫:2011/2/18)に収録されている表題となった『鬼』です。

『鬼』は、7歳の頃、一緒にかくれんぼをして遊んだ5人の幼馴染みの物語。
夏休みのある日、鬼になったみっちゃんは、いつまで待っても姿をあらわさなかった。その後、古井戸から変わり果てた姿となって発見された。それから数年が経ち、残った幼馴染みは一人、また一人と死んでいく。皆、死の間際に、白いブラウスに赤いスカートをはいた女の子の姿を見ていた・・・・

と、粗筋を書くとまるっきりホラーな感じですが、しかし『鬼』はホラーではない。心にじんわりと沁みる物語です。
「それから、すこしわらった。」というラストの1行は、私の胸にも強く響きました。
私もいつしか主人公の心境に共感できる年齢になった、いえ、共感できる立場になっちゃったなあと思うのです。

文庫版の著者あとがきによると、今邑彩さんもこの短編集が、ご自身の短編集の中で一番お気に入りだそうです。
今邑彩さんは亡くなってからずい分日が経って発見されたとのことで、彼女の最期を見た人は誰もいない。だから、私は、彼女はすこし笑って異世界に旅立った、と思いたい。

特捜部Q-キジ殺し-/ユッシ・エーズラ・オールスン

kijigorosiハヤカワ・ミステリ文庫 (2013/4/5)

コペンハーゲン警察『特捜部Q』シリーズの第2弾です。
1作目の『特捜部Q ―檻の中の女― 』で、ミレーデ・ルンゴー事件を解決したカール・マーク。
その功績が認められ、特捜部Qには新たに女性メンバー、ローセが加わることになりました。
このローセが実は他の部署から厄介払いされた問題のある女性で、何かにつけカール・マークをイラつかせます。
ローセだけでなく、カール・マークを取り巻く登場人物は、カールの上司も同僚もアシスタントの謎のシリア人も元妻も義理の息子も間借り人も、ひと癖もふた癖もあり、カールの苛立ちの対象となるのです。
過去の事件で負傷し、脊髄損傷病院のベッドで寝たきりになっている元部下ハーディは、カールが見舞うたびに自殺願望を口にしてカールを悩ませるし、美貌の心理療法カウンセラー、モーナ・イプスンに対しても、カールは想いが募りすぎて苛立っている。
カールは、いつだって誰かに何かにイラついたりムカついたりしている。そもそもカール自身が周囲の人をイラつかせてしまう厄介者だっていうのに。

うかつにも私は、1作目『特捜部Q ―檻の中の女― 』を読んだあとカール・マークについて、「キャラクター設定はダーティハリーのハリー・キャラハンを継承しているように思う」とか、「日本でドラマ化されるとしたら、カール・マーク役に西島秀俊なんてどうでしょう?」などと書いていますが、これはとんでもない的外れでした。
カール・マークとローセとのやり取りは、まるでお笑いコントだし、美貌の心理療法カウンセラーへの恋心は、思春期の少年並み。まったく大人じゃない。
大柄で、茶色の革ベルトをしていて、サイズ45の履き古したドタ靴(27.5㎝:「靴サイズ対応表」 参照)を履き、彼の頭には、お尻みたいな形のハゲがある。

西島秀俊には、とてもさせたくないキャラクターです。

さて肝心なストーリーの方はと言えば、今回はかなり残虐な暴力シーンが多い。
それというのも、上流階級の家庭に生まれ、寄宿学校で出会い、『時計じかけのオレンジ』に魅了された、サディステッィクな若者たちが犯人だからです。
と、いきなり犯人をバラシちゃっても大丈夫。本書は、早い段階で犯人が明らかになります。

「罪のない者を痛めつけることは、彼らにとって称賛すべきことでもなければ、恥じ入ることでもない。幼少のころから慣れ親しんできた、いわば習慣なのだ」という、この犯人たち。すなわち特権階級に生まれた育った彼ら。
彼らへ報復することだけを心の支えに、過酷な路上生活を送るキミーと呼ばれる女。
キミーもかつては上流家庭に育った令嬢だった。
キミーも彼ら以上に凶暴性を持っている。
復讐のために彼らに徐々に迫っていくキミー。
事件の真相を明らかにするため、キミーを探し回るカール。
果たしてキミーの復讐は遂げられるのか。
といったところがスリリングな、リベンジ・サスペンスストーリーです。

それにしても、暴力描写が凄まじい。犯人たちは残虐で凶暴。
こんな犯罪小説はまっぴら!と言いたいところですが、実は3作目『特捜部Q ―Pからのメッセージ―』もすでに購入済みです。どうも私は、『特捜部Q』シリーズに嵌ってしまったらしい。
本書の解説で作家の恩田陸さんは、『特捜部Q』を「ある意味寓話的な、おとぎの国の暴力の小説なのである」と書いています。アンデルセンの童話のように、身体的な痛みを伴う物語であると。
確かに同じ警察小説でも、マイクル・コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズと比較してしまうと、ストーリーのリアリティ度は低いかも。
それでも嵌ってしまうのは、ハリー・ボッシュ・シリーズには無いユーモアがある。それに、登場人物の描写は、犯人をも含め、興味をそそられます。
そしてまた、 カール・マークを通して感じられる、デンマークという国への興味も大きい。
次回作でカールは、脊髄損傷病院から元部下ハーディを引き取って、自宅介護をすることになるので、ますます福祉国家デンマークの実態も見せてもらえそうです。

「WordPress自動更新しました」っていつから?

昨日(4月9日)突然送られてきた以下のメールにびっくり!

サイト (http://art-container.net/scrapbook) を WordPress 3.8.2 へ自動更新しました。
何もする必要はありません。 バージョン 3.8.2 について詳しくは「WordPress について」画面をご覧ください。

送信元はhttp://ja.forums.wordpress.org/WordPress チーム。
あわてて利用中のWordPressのダッシュボードを確認してみると、確かにバージョン 3.8.2になっています。
でも、WordPressの更新っていつから自動更新になったの?ひょっとしてこれは、誰かのいたずら?いわゆる遠隔操作ってやつ?
と、私みたいに驚いて不安になった人たちも多いようです。
ネット検索したところ、「WordPress3.8.2へのサイト更新が完了しました|自動更新で勝手にアップデート!?」を読んで、ほっと一安心。
Wordpressの自動更新は、Wordpress3.7から付加された機能らしいです。
知りませんでした。
自動更新機能については、下記サイトに詳しく紹介されていました。

WordPress 3.7 の自動バックグラウンド更新機能、言語パックについての情報

これまで、codeexWordPress のアップグレードの際にCodexページ(現在は「WordPressサポートhttps://ja.wordpress.org/support/)で新バージョンの内容を確認することもなく、さんざん利用しているわりには、深く理解しようとする姿勢のない、テキトーなユーザーだったのだなあと思います。

こんないい加減なユーザーのために、自動更新機能は追加されたようです。
「どうしてデフォルトで自動更新が有効化されているの?」を読んで納得です。

どうしてデフォルトで自動更新が有効化されているの?

コア開発チームなどはこの変更について非常に長い間じっくりとディスカッションを行ってきました。自動更新はセキュリティ上の問題を最小限に抑えるためのものであり、デフォルトで有効化されている理由は「この機能を最も必要としているユーザー層は、変更に気づかず有効化しないのではないか」という想定からです。
参照:「WordPress 3.7 の自動バックグラウンド更新機能、言語パックについての情報

「所有せざる人々」アーシュラ・K・ル・グィン


syoyuuハヤカワ文庫SF(1986年7月)
恒星タウ・セティをめぐる二重惑星アナレスとウラス―だが、この姉妹星には共通点はほとんどない。ウラスが長い歴史を誇り生命にあふれた豊かな世界なら、アナレスは2世紀たらず前に植民されたばかりの荒涼とした惑星であった。オドー主義者と称する政治亡命者たちがウラスを離れ、アナレスを切り開いたのだ。そしていま、一人の男がアナレスを離れウラスへと旅立とうとしていた。やがて全宇宙をつなぐ架け橋となる一般時間理論を完成するために、そして、ウラスとアナレスの間に存在する壁をうちこわすために…。ヒューゴー賞ネビュラ賞両賞受賞の栄誉に輝く傑作巨篇。(「BOOK」データベースより)

“ヒューゴー賞、ネビュラ賞、両賞受賞!”に魅かれて、作者もストーリーも知らないまま読み始めました。
作者アーシュラ・K・ル・グィンは、SF界の女王と称され、日本でアニメ化された『ゲド戦記』の原作者だそうです。

本書「所有せざる人々」の主人公は、地球から11光年の彼方にある『アナレス』という惑星の科学者シェヴェック。
アナレスは、隣の惑星『ウラス』から政治亡命してきた人々が移住してつくった、歴史の浅い、いまだ開拓途上にある惑星です。
アナレスでは、人々は何も所有せず、互いに全てを分け合って暮らしています。荒涼とした砂漠があり、飢饉があり、貧しい世界のイメージです。
一方、隣の惑星『ウラス』は、長い歴史があり豊かな文明があり、人々はあらゆるものを所有して暮らしています。イメージとしては現在の地球の一部の先進国、といったところでしょうか。
物語は、主人公シェヴェックが、アナレスからウラスに旅立つところから始まります。

読み始めは、あまり面白みを感じられませんでした。何だかイソップの「田舎のネズミと町のネズミ」みたい。二つの異なる文化を引き比べて、どちらが幸せか?といった寓話の宇宙バージョンかな、と。
けれど、読み進めるうちに、シェヴェックの人生やアナレスの生活に惹きこまれていき、SF小説を読んでいるというよりは、宇宙のどこかに実在する一つの惑星の歴史と、一人の異星人の伝記を読んでいるかのような気分になりました。

惑星アナレスは、アナキズムの社会です。
作者は、政府が無くても秩序のある社会を、具体的に細かく理念と理想を込めて構築しています。
そして、そこに住む人々の暮らしぶりや想いや苦悩を、鋭い社会批判を以て描き出しています。
作者の描くアナキズム社会は、国家が存在せず、政府も警察機関もない小規模な共同体の集まりである社会。権力が無いから命令されることも服従することもない。
労働も衣食住も全てを分け合い、誰も何も所有しない。全ての人間が平等である社会。
平等に自由であり、そして平等に貧しい社会です。
作者は、渾身の力で惑星アナレスにユートピアをつくりだそうと模索しているように思えます。
果たして惑星アナレスが人類にとってのユートピアなのか?というところも、本書の読みどころです。

本書のもう一つのテーマは「時間」です。
主人公シェヴェックは「時間は、線であると同様に、惑星が公転しているように循環している。」と考え、時間の「連続性」と「同時性」をまとめて証明できる「一般時間理論」を完成させることに人生をかけ、長年足掻き苦しむのです。
この「一般時間理論」が完成したら、宇宙空間で時間的にずれのない通信が可能になるという。シェヴェックは惑星と惑星が同時的に繋がることのできる宇宙を、つくりだしたいと願っているのです。まるでインターネットで繋がっている現在の地球のように。

ところで、アナキズムについて言えば、1968年から1970年、学生運動というものが日本にあった頃、「右翼」や「左翼」という言葉と共に、私の耳にも聞こえてきたイデオロギーでした。
「アナキズムは、『国家を含む権力装置を持たない』という思想や主義の総称である(ウィキペディア「アナキズム」を参照)」とありますが、当時の私は単純に「無政府主義」と捉えていました。
ちょうど反抗期の中高生だったので、国家権力を我がものにしたがるウヨクやサヨクより、権力に服従することのないアナーキーな思想は、束縛がなく自由で、ちょっとカッコ良く思えたものです。
しかし、この「所有せざる人々」を読むまで、「国家を含む権力装置を持たない社会」って、いったいどうやって運営されていくのか?どんな暮らしになるのか?なんてことを、私は具体的に想像したことなど一度も無かったことに気づきました。
具体的なビジョンを持たないイデオロギーなんて、あまり意味がありませんね。
自分ならどんな社会をユートピアとするか、自身に問いかけ想像することが大事だと、この本は改めて気づかせてくれました。

wpプラグイン「topへ戻る」ボタンを比べてみました。

ボタンをクリックすると、ページのトップにシュルシュルっとスクロールしてくれる。無くてもさほど困らないけど、あるとwebサイトがちょっとカッコ良くなる「topへ戻るボタン」を、いくつか比べてみました。
プラグインをインストールして有効化するだけで 作動するものと、設定やオプションがあって、カスタマイズできるタイプがあります。
「RRF Scroll To Top」,「Royal Scroll to Top」
「Smooth Page Scroll to Top」,「Scroll Button」
topbutton-1いずれも同じタイプのボタンです。
オプションはありませんので、プラグインを有効化するだけで、すぐ作動します。
ボタンが現れる位置やアニメーションに、微妙な違いがあります。
「Scroll to Top Button」
topbutton-3これもオプション無し。プラグインを有効化するだけでOKです。画面の右下角っこに四角いボタンがスッと現れます。
「LB Back To Top」
topbutton-11オプション無し。プラグインを有効化するだけでOKです。
画面右下に文字付きの黒い四角いボタンが現れます。
文字はプラグインファイル(backtop/index.php)を直接編集して変更できます。
「Smooth-scroll-to-top」
topbutton-8オプションは無し。プラグインを有効化するだけでOKです。画面右下にボタンが現れます。
「WP Scroll To Top」
topbutton-17プラグインの有効化だけで作動します。アイコン5個からボタンを選べるオプションがあります。
(私の場合icon4は、表示されませんでした。)
「WP-Smooth-Scroll」
topbutton-9ボタンの位置を右、中央、左から選択できます。
ボタンは、マウスオーバーで青色に変わります。
「Back To Top」
ボタンやアニメーションの効果について、オールマイティーなオプションがあります。
topbutton-13ボタンのオプションは以下の3通り。
①左のような25種類の画像が用意されているので、その中から気に入ったボタンを使う。
②手持ちの画像をアップロードして使う。
③画像でなくテキストでボタンを表示する。
ボタンの動きについても3通りのエフェクトが選べます。
①ボタンが、フェードイン/フェードアウト する。
②ボタンが画面下から上下に、スライドアップ/スライドダウンする。
③ボタンが画面右下角からヒョイと現れ、ヒョイと引っ込む。
「Scroll To Top」
topbutton-18テキストとテキスト幅、文字色、背景色を設定できます。ボタンは画面の中央に現れます。topbutton-5
まだまだ、ありますが、このくらいにしておきます。
利用しているWordPressのバージョンや導入しているプラグインなどとの相性で、作動しないものがあるかも知れません。

スマホアプリ「Instagram」登録エラー!解決

先週のこと、スマホ携帯のアプリで、「写真投稿によるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)『Instagram(インスタグラム)』が面白いよ」と勧められ、アプリをインストールしてみました。しかしユーザー登録の際エラーが出て四苦八苦するはめに。
instagramInstagramは「世界で1億5000万人以上のユーザーが利用」しているらしい。
写真を加工する様々なフィルタエフェクトが装備されているので、それを使用すれば素人写真もステキに変身できるらしい。
それを携帯から投稿して世界中の人に見てもらうことができる。
世界中の人のステキな写真もシェアして、携帯の中に〝お気に入りの写真集〟を作ることができるらしい。
写真を投稿するだけなら、コメント下手な私でも気楽に参加できるはず。
と、はりきってインストールしたのです。しかしインストールは簡単にできるのに、ユーザー登録の際、次のようなエラーが出ました。

Too many users have been registered on this device 

ディバイスに登録されているユーザーが多過ぎる、とはいったいどういうこと?

ネットで検索してみると、同じエラーが出て登録ができないという人も多いようです。
でも解決法を見つけることができず、アプリをアンイストールして、webサイトからインストールしてみたり、登録に使うメールアドレスを変えてみたり、Facebookにリンクさせて登録してみたり、キャッシュの削除をしてみたり。
試しに「Instagram」と同様の写真投稿SNSアプリ「FxCamera」をインストールしてみると、こちらの方は登録もすんなりできました。

エラーの原因として思い当ることは、最近携帯の機種変更をしたため、携帯が2台ある状態になっていること。
古い携帯に「Instagram」をインストールしてみましたが、やはりログインはできません。
そこで以下のような手順を試してみると、ユーザー登録ができましたので、ここにメモしておきます。

  • (1)古い携帯を初期化して再起動し、初期設定をし直す。
  • (2)古い携帯のgoogle playストアを開いて、既存のgoogleアカウントとパスワードを入力 する。
  • (3)古い携帯に「Instagram」をインストールし、ユーザー登録をする。
  • (4)新しい携帯に「Instagram」をインストールし、古い携帯に入力した通りの内容でユーザー登録をする。

以上のように簡単なことですが、あれこれ試行錯誤した結果です。
登録メールアドレスにはgoogleのGメールを使いました。別のメールアドレスでもいいのかもしれませんが、試していません。
もしかしたら、古い携帯を初期化などしなくても解決できる方法があるかも知れないし、アプリ側に原因があることかも知れませんので、まあ、あくまでも参考程度に。

「Instagram」の使い方には、「カッコいい写真を投稿できる「Instagram」を徹底解説(http://ascii.jp/elem/000/000/755/755677/index-2.html)」が参考になります。

fxcamera

「Instagram」と「FxCamera」はほとんど同じようなコンセプトの写真投稿SNSですが、大きな違いは投稿時の画像の切り取り方。
「Instagram」の場合、画像はすべて正方形に切り取られます。
「FxCamera」は正方形のほか縦長、横長の3種類から選択して切り取ることができます。

両方とも使ってみて、主観ですが「Instagram」の方が動きがスムーズな気がします。

写真によるコミュニケーションサイトは、写真を投稿して自分を表現することもできるし、投稿しなくても世界各国のユーザーの撮った写真を瞬時に見て、感じることができる。そこには国境は無いし、言葉も要らない。それがいいなって思えます。

【追記】

本日(2014年8月24日)「Instagram」の登録ができなくて困っている方からコメントを頂いて、改めてgoogleで検索をしてみました。これまでも何度か検索してみて、解決できたという記事を見つけることが出来なかったのですが、今回は参考になりそうなものが2件ありました。コメントの返信にも書きましたが、ここにもメモしておきます。

(1)「一度携帯をクリーンインストール(工場出荷時の状態に戻す)することでIDが変わって登録できるようになります。」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11129476171
(※初期化する前に携帯内のデータ保存を忘れずに!)

(2)「友達などのスマホを借りてアカウントを作った後、自分のスマホでログインする」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10133926870

特捜部Q「檻の中の女」/ユッシ・エーズラ・オールスン

tokusoubujpg発売: 2012/10/5 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

最近は家具や雑貨だけでなく、ミステリー界にも北欧ものが流行っているらしい。
毎月のように次々と北欧ミステリーの翻訳本が出版されているので、私もブームに乗ってデンマーク発の警察小説を読んでみました。
デンマークと言えば、子どもの頃アンデルセン童話を読んだ程度なので、この国が北欧の括りであることも、本土ではなくシェラン島という島に首都コペンハーゲンがあることも知りませんでした。
私にとっては未知の国デンマークです。

さて、本書、「特捜部Q『檻の中の女』」は、コペンハーゲン警察のカール・マーク警部補を主人公としたシリーズ第1作目になります。
優秀だけど強引な捜査で何かと面倒を引き起こすカール。 皮肉屋で、上司には盾突くし、同僚とも衝突して、周囲の反感を買ってばかり。早い話が殺人捜査課の嫌われ者。
このキャラクター設定は「ダーティハリー」のハリー・キャラハンを継承しているように思いますが、まあ、ハリーほどはクールじゃない。メンタルもタフとは言えない。

二か月前、事件捜査の銃撃戦によって、一人の部下を失います。もう一人の部下は死こそ免れたものの、脊髄を損傷し病院で寝たきりの身となってしまいます。そのことがカールの負い目となり、心的外傷後ストレス障害となり、周囲にとってはますます扱いにくい厄介者となってしまいます。
折しも警察は構造改革によって、新部署を立ち上げることになりました。それが「特捜部Q」。特に興味深い未解決事件を再捜査する、というのは建前で、実は予算獲得のために新設されたに過ぎない。そこのボスにカールを据える。刑事捜査課から厄介者を追い払って、しかも予算が増える。一石二鳥の得策と上層部は考えたわけです。
こうしてコペンハーゲン警察の地下に「特捜部Q」が誕生し、カール・マークと謎のシリア人アシスタントの活躍が始まります。

テレビドラマにうってつけのシチュエーションです。ドイツでは映画やテレビ化の話が進行中だというのも頷けます。
もし日本でドラマ化されるとしたら、カール・マーク役に西島秀俊なんてどうでしょう?二枚目でクールなところをかなぐり捨てて、皮肉屋で嫌われ者の役をやって欲しい。
謎のシリア人アシスタントには、顔の濃さで北村一輝でもいけるかもしれない。
金使いが荒く、年下の愛人をとっかえひっかえ、好き放題に暮らしている別居中の妻に小雪。
母親に愛想をつかしてカールと同居しているが、母親に似て好き勝手に振舞まい、毎度カールをイラつかせる義理の息子に瀬戸康史を。
代理主婦のごとく家事をこなして、しかも家賃まで納めてくれる、オペラが好きで料理の上手い下宿人に稲垣吾郎。
美人心理カウンセラーには鈴木京香・・・・

などと勝手に妄想キャスティングしていますが、はて、カール・マークは何歳なのだろう?と改めて読んでみると、「年金生活に入るまであと20年」という記述がありました。
では、デンマークの年金受給年齢は?と調べてみると、2004年からは65歳となっているようです。それでいくとカールは45歳前後となりますね。

本書の中で、年金のことを話題にしている場面が何度かあったので、さらに調べてみると、デンマークの年金システムはなかなか興味深いものでした。
国民年金は、居住年数を満たせば全ての国民に定額の年金が支給されるユニバーサルな年金で、財源は全て税金である。支給開始年齢は65歳で、40年間居住で満額を受け取ることができる。『デンマークの年金制度」から引用』」
というわけで、「年金制度の国際比較」によると、「公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか」「平均寿命と支給開始年齢の関係はよいか」「年金制度を運用するための見直し機能や透明性は図られているか」などの観点から、デンマークは、「十分に積み立てられた年金とその給付水準が評価され、第1位となっている」そうです。

住み続けるだけ(15歳から65歳までの居住年数で年金額が決まる)で年金が支給されるなんて、羨ましい話です。
そんなシステムなら、誰だって住み続けますよ、死ぬまで。
しかし、そんなデンマークも年金改革が進行中で、
今後の高齢化の進行に備え、2006年の与野党合意による法改正で、2024~27年にかけて国民年金の支給開始年齢は再び67歳に引上げられることになった。また2030年から支給開始年齢を平均余命に連動させる仕組みも導入される。『デンマークの年金制度」から引用』
だそうです。いずこも高齢化が問題です。
我が国の場合、老体に鞭打って年金受給年齢まで働いて、手にする給付金が「老後の生活に十分」な額とはならないところがツライのですが。

追記:デンマークは年金を税金で賄うわけだから、税金は高い。「消費税25%・平均的な所得税が約46%と高納税国」だという。それでも「国民の幸福度」調査で第一位となっている。しかし、もちろん良いことばかりでもないわけで・・・。デンマークの高納税国としての暮らし方とその問題点」参照

 

「都市と都市」チャイナ・ミエヴィル

tositotosiハヤカワ文庫SF 2011/12/20発売

内容(「BOOK」データベースより)
ふたつの都市国家“ベジェル”と“ウル・コーマ”は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく…。ディック‐カフカ的異世界を構築し、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞をはじめ、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説。
「都市と都市」。何ともそっけないタイトルです。内容もタイトルのまんま、ふたつの都市国家の物語。
時代は現代。
“ベジェル”と“ウル・コーマ”という、ふたつの都市はほぼ同じ位置にありながら、言語も生活様式も大きく異なる。
主人公のボルル警部補が殺人事件の捜査で、ふたつの都市を走りまわり、読者はボルル警部補の後を追いかけながら、ふたつの都市の風景を思い描いていくことになるのだが、読むにつれこれが奇妙な絵になっていく。
何枚ものセル画を断層的に重ねるような、あるいは立体的に絡み合わせたような、不思議な風景画が少しずつ出来上がっていく。
さらに不思議なのは、ふたつの都市の関係だ。
両都市国家の人々は、お互いに隣の都市を「見る」ことも「聞く」ことも禁じられている。そのことに違反したり、都市の境界を侵犯したりすることは“ブリーチ行為”と言い、ブリーチ行為をすると“ブリーチ”と呼ばれる謎の組織によって“ブリーチされる”という。

ブリーチ(breach)って何?ブリーチはどこから現れるのか?
なぜ、両国の人々は、まるで相手の都市など存在しないかのようにふるまわなければならないのか?
隣り合っていながら、本当に、見えるものを「見ない」で、聞こえるものを「聞かない」で、生活していくことができるものなのか?
謎は深まり、この物語がどんな方向に向かっているのか想像がつかない。

大森望の解説によると、本書のアイデアについて作者のチャイナ・ミエヴィルは、
「最初は、同じロンドンの街で暮らす人間とネズミがまったく違う生活様式を持っているのと同じように、環境に対する接し方がぜんぜん違う複数の種族が同居している都会を描くことを考えていたが、人間同士の話で書いたほうが面白いと途中で考え直した」
と語っているそうです。
作家の発想って素晴らしい。

チャイナ・ミエヴィルは1972年生まれ。「SF、ファンタジー、ホラーをひっくるめた“ニュー・ウィアード”の作家を標榜する」らしい。
貧しくてどこか時代遅れな感じのする“ベジェル”。巨大なビル群のある経済的に発展したウル・コーマ”というふたつの都市の設定は、壁が崩壊する以前の東ベルリンと西ベルリンを想起させるが、作家自身は「現実の政治状況の寓意として読まれることに強く意を唱えている」という。

通畠義信・朋子 2人展-2013-  開催中です!

ギャラリーセージで開催中の「通畠義信・朋子 2人展」を観て来ました。
鉄のキャンドルスタンドと銅版画の作品展です。

10月29日(火)まで開催しています。(※木曜日は休館)

まずは、鉄の作家、通畠義信さんの作品を少し紹介します。2ninten2013-06

candle-neko01

今回動物のキャンドルがいくつかありました。
猫、カエル、カラス、火の鳥。
それとエイリアンみたいな『フェアリアン』。

猫のキャンドルには、 ちょっと面白い仕掛けがありましたよ。
顔が2枚あってマグネットで着脱できるもの。昼の顔と夜の顔かな?
その日の気分で取り換え自由。
鉄ならではの仕掛けですね。

その他、サンタクロース、竹取物語を題材にしたもの、星をイメージした壁掛けなどなど。

candle-santacandle-hinotori

2ninten2013-04左の作品はシルエットのまま静かにたたずむ猫。
タイトルは『猫火』。

下の作品は「四つのキャンドルのバランスが美しい『立ちのぼるコンポジション』。
立ち姿も美しいですが、壁に作る影も美しかった。(影の写真が撮れなかったのが残念です。)
2ninten2013-05

tetu当サイトでご紹介している通畠義信さんの作品はこちらから

 

次に通畠朋子さんの銅板画をご紹介。
最新作はサンタクロースならぬ『サンタクリーム』

hanga01

当サイトではまだご紹介していない作品がありました。
ちょっとセクシーなウサギが主人公のシリーズもの。
それと服をテーマにした「クローズシリーズ」が2点。
hanga03hanga02-1
前回の「2人展」の際もそうでしたが、額装された作品を撮るのは困難。
是非会場で、繊細でキュートな作品の数々をご覧ください。

hanga当サイトでご紹介している通畠朋子さんの作品はこちらから。

ギャラリーセージ/http://www.gallerysage.jp/
〒890-0041  鹿児島市城西2丁目10-22
TEL 099-210-5802

 

[mappress mapid=”8″]

「通畠義信・朋子2人展ー2013-」開催のお知らせ

2013年10月11日(金)~10月29日(火)
11:00~18:00 

※10/17(木)10/24(木)はお休みです。

2ninten2

通畠義信さんと通畠朋子さんの2人展開催のお知らせです。
鉄のキャンドルと銅版画を中心にした作品展です。
お二人のこれまでの作品は当サイトのギャラリーをご覧ください。

ギャリ―セージにて2度目の開催になります。
前回は2012年7月。その時の様子は「『2人展』行ってきました。」をご覧ください。

ギャラリーセージ(http://www.gallerysage.jp/)

[mappress mapid=”7″]

「原発は要らない」ページを追加しました。

利用しているレンタルサーバーがハッカー攻撃にあったのを機会に(「サイバー攻撃に早まって・・」参照)、過去の投稿を見直しつつ、ブログのデータを復旧してきました。
私の不注意でメディアデータを消失させてしまったので、イメージはPCに残っている写真を探し、新たに撮れるものは撮り直し、ネットから取得できるものはコピーして、出来る限り作成しなおしました。
でもどうしても写真が見つからず、復旧できなかった投稿記事もあったので、データベースのバックアップを常に取っておくことは、本当に大事だと実感しました。それとPC上の写真データも、管理もきちんとしなければなりませんね。溜まる一方だからとすぐに削除してしまうのも考えものです。

以前「東日本大震災関連情報」として作っていたページを「原発は要らない」と名前を改めて作成し直しました。「原発は要らない」ページは「東日本大震災」「福島第一原子力発電所事故」を忘れないための備忘録です。
img-52011年3月11日に発生した東日本大震災は、当然のことですが、国内外に大きな衝撃を与えました。
そして津波と連動して起きた福島の原発事故は、チェルノブイリと並ぶ、もしくはそれ以上の最悪レベルで、世界を震撼させました。

一連の天災と人災は、あまりに多くの人たちの命を奪い、人生を変えてしまいました。
被災した方々は、生活の全てを奪われ、2年以上経った現在でも約28万人の方が“仮住まい”での暮らしを余儀なくされています。
福島第一原子力発電所も今なお、汚染水漏れなど深刻な状況が続いています。解体までは40年はかかるという遠い道のりです。まだ、何も終わっていない。

直接被災した者でなくても、私にも、震災前と震災後で、その後の生き方や社会に対する意識の変化がありました。
大地震も大津波も原発事故も、再び起こりうることを想定した日本の未来を、今こそ真剣に考えていかなければならないのですが、国も企業もそうはなっていない現状ですね。

XAMPP をver.1.8.2 にアップグレードする

WordPressをカスタマイズするには、自分のPCにサーバー環境があった方が断然やりやすい。サーバー環境を構築してくれるXAMPPは、多くの人に利用されている、お勧めできるフリーソフトです。ザンプと読むらしい。

Apache(Webサーバ)、MySQL(SQLデータベースサーバ)とWebプログラミング言語であるPHPや同目的で使われる>Perlの4つの主要ソフトウェアとphpMyAdminなどの管理ツール、さらにSQLiteなど、いくつかの補助的なソフトウェアとライブラリモジュールが含まれている。(XAMPP – ウィキペディアより)

私が初めてXAMPPをインストールしたのは、2010年のこと。「ヘッダーやフッターを共有する」から始まる長い話」に書いたとおり、四苦八苦してようやくバージョンは1.7.3をインストールしました。
2011年には、ver,1.7.4にバージョンアップするつもりが「xampp最新版インストール覚書」に書いたように、結局ver,1.7.3のままで終わったという、情けない私。
そんなド素人の私でも、これまで毎日XAMPPを活用してきて、私のPCには必要不可欠なソフトウェアとなっています。
WordPressもどんどん進化しているし、そろそろ、XAMPPもバージョンアップしなければならない時ではないか?
というわけで、今回XAMPPを最新版ver.1.8.2にアップグレードすることにしました。

参考にさせていただいたサイトは「プログラミングブログ」の「XAMPP 1.8.0へのアップグレード手順メモ」です。

  1. 1.現在使用中のXAMPPのバックアップをとる。
  2. 2.XAMPPのサイトから最新バージョンをダウンロードする。
  3. 3.XAMPPのコントロールパネルを起動する。
  4. 4.XAMPPのセキュリテイの設定をする。
  5. 5.バックアップの復元
  6. ドリームウィバーのエラー修正

1.現在使用中のXAMPPのバックアップをとる。

現在使用中のXAMPPのフォルダ名を「XAMPP1.7.3」とリネームして、そのままCドライブ直下に保存しておきます。

2.XAMPPのサイトから最新バージョンをダウンロードする。

http://www.apachefriends.org/jp/xampp-windows.html#2671にアクセスして、「XAMPP Windows版 1.8.2」のZIP アーカイブ をダウンロードしました。
xampp-0ネット環境のせいばかりではないかもしれませんが、ウチは〝光"じゃないので、ダウンロードに60分くらいかかりました。
ダウンロードしたzipファイルを解凍して、「XAMPP」のコピーをCドライブの直下に置きます。

3.xamppのコントロールパネルを起動する。

「XAMPP」を開いてxampp-control.exeをダブルクリックし、実行します。

アメリカ国旗とドイツ国旗が表示されますが、アメリカ国旗にチェックが入っていることを確認して、「save」ボタンをクリックします。

コントロールパネルが立ち上がります。
(※旧式のコントロールパネルが利用できるというxampp-control-old.exeは、ver.1.8.2には見当たりませんでした。)
xampp-1

コントロールパネルで「Actions」の「Start」ボタンをクリックして、ApacheMySQLFileZillaを起動させます。この時、新しいプログラムへのアクセス許可を求めるウィルスセキュリテイのメッセージが出たので、「許可する」をクリックします。
xampp-2

http://localhost/xampp/にアクセスしてXAMPPページを開きます。

xampp-3

「日本語」をクリックして、XAMPPの〝ようこそージ”を開きます。

xampp-4

4.XAMPPのセキュリテイの設定をする。

左側のメニュー項目から「セキュリテイ」をクリックすると、下記のようなページが開きます。
xampp-5

ページに表示されているリンクhttp://localhost/security/xamppsecurity.phpにアクセスして、セキュリテイ設定ページを開きます。

MYSQL 項目: “ROOT” のパスワードを設定し、「パスワードを変更しました」ボタンをクリックします。

XAMPPのディレクトリ制御 (.htaccess)のユーザーとパスワードを設定し、「安全なXAMPPディレクトリを作成してください。」ボタンをクリックします。

※参考にさせていただいた「プログラミングブログ」の「XAMPP 1.8.0へのアップグレード手順メモ」では、ここで「外部からのアクセスを禁止する」ために、c:/xampp/apache/conf 内にある httpd.confを修正し、c:/xampp/php/php.iniでsafe_modeをOn に変更していますが、httpd.confファイルは、ver.1.7.3とver.1.8.2とでは書かれているコードが異なりますので、ver.1.7.3と同様には修正できないようです。試してみましたが、「アクセス権限がありません」という403エラーが出てしまい、ローカルのウェブサイトが開けませんでした。その辺の知識が無い私には手に余るので、修正するのはやめました。
私はルーターを使っているから、外部からのアクセスには、まあ安心かと思うのですが、これも自信薄。xamppのver.1.8.2で、外部からのアクセスを禁止する方法を紹介してくれるブログが見つかるのを待つことにします。

設定が完了したら、コントロールパネルでApacheMySQLを「stop」させ、再び「Start」ボタンをクリックして、再起動させます。

再びhttp://localhost/xampp/にアクセスすると、パスワード入力画面が表示されます。
セキュリティー設定の「XAMPPのディレクトリ制御 (.htaccess)」で設定した、ユーザー名とパスワードを入力して、XAMPPページを開きます。左側のメニュー項目からセキュリテイページを開き、ステータスが「安全」になっていることを確認します。
xampp-6

5.バックアップの復元

コントロールパネルでApache、MySQL、FileZilla、Mercury、などを「stop」ボタンで停止させます。

旧バージョンのXAMPP1.7.3フォルダから、以下のファイルをコピーして、最新バージョンのXAMPPフォルダにペーストします。

①バックアップしておいたxampp-1.7.3のhtdocsに置いてある自分のウェブサイトのフォルダを、アップグレードしたxamppのhtdocsにコピーします。

②バックアップしておいたxampp-1.7.3のMercuryMailから、アップグレードしたxamppのMercuryMailに上書きします。(※私の場合は必要なさそうな気がするが、、、)

③バックアップしておいたxampp-1.7.3のmysql/dataから、アップグレードしたxamppのmysql/dataに上書きします。

※「バックアップしておいたxampp-1.7.3のFileZillaFTPから、アップグレードしたxamppのFileZillaFTPに上書きする」を実行したところ下記図のように「匿名のユーザのFTPパスワードが『wampp』のままです。」として、ステータスが「要注意」になってしまいました。xampp-7そこで上書きしたFileZillaFTPを削除して、ver.1.8.2のFileZillaFTPをコピーし直したら、FileZillaFTPのステータスも「安全」と表示されるようになりました。

コントロールパネルでApache、MySQL、FileZilla、Mercuryなどの「start」ボタンをクリックして起動させ、ローカルホストの自分のウェブサイトにアクセスして、正常に表示されることを確認します。

ドリームウィバーのエラー修復

どの段階で、何が災いしたのか分かりませんが、何度目かに開こうとしたDreamweaverが起動しなくなりました。画面はまったく真っ白の状態。
あれれ?さっきまで、なんてことなく開いたのに~と思っても、開かないものは開かない。

アドビサイトのDreamweaverヘルプに「ユーザー設定フォルダーを再作成する方法(Dreamweaver CS4/CS5/CS5.5/CS6)」という文書がありました。

  • ・Dreamweaver の起動時にエラーが表示される。
  • ・クラッシュまたは予期しない動作をする。

という場合の対処法です。手順は以下の通り。

Dreamweaver を終了します。
以下のフォルダーを開きます。

  • Windows XPの場合
    C:\Documents and Settings\<ユーザー名>\ApplicationData\Adobe\Dreamweaver <バージョン>\ja_JP\Configuration フォルダーを開き、Configurationの名前を ConfigurationOld に変更します。

上記のとおりにすると、新しいConfigurationフォルダが自動生成されます。
再度Dreamweaverを開くと正常に起動しました。なーんだ、簡単!と思ったのもつかの間、Dreamweaverを終了して、もう一度開こうとすると、今度はファイルのスキャンのようなものが始まり、それがなかなか終わらず、挙句に途中でフリーズしてしまう。
タスクマネジャーを立ち上げて見ると、プログラムが応答していない状態になっている。プログラムを強制終了して、もう一度Dreamweaverを開こうとすると、また、スキャンが始まり、フリーズしてしまい、またまた焦ってしまいました。
再々度Dreamweaverを開こうとすると、やっぱりファイルのスキャンなのか読み込みなのかが始まったので、今度は強制終了をせず、画面に表示されている「停止する」ボタンをクリックすると、あっけなくスキャンが停止され、Dreamweaverがするっと起動しました。何だ、これは?ってよく分かりませんが、ともかくその後エラーもなく、Dreamweaverは正常起動するようになりました。
XAMPP1.8.2はコントロールパネルの動きが、旧バージョンに比べてとてもスムーズです。

次回のアップグレードでは、もっとスマートに作業が完了できるようになっていたいものです。

2016.4.21【追記】ご注意ください!

xamppの最新バージョンは2016年4月現在、ver.5.6.19です。
xamppは2015年7月(ver.5.6.11)から、仕様がずいぶん変わってしまったようです。
上記方法で最新バージョンをアップデートしようとしたところ、ローカルでファイルの編集や表示はできるのですが、データベースが開けなくなってしましました。

これは新バージョンのせいなのか、私のデータベースが壊れているせいなのか(その可能性もある)、私にはよくわかりません。
結局最新バージョンをインストールし、下記ブログを参考にしてパスワードの設定をしました。
データベースも新規に作成しなおし、Wordpressも新規にインストールして、テーマや投稿のデータをバックアップから復元するという、結構な手間をかけました。

最新版をインストールしたい方は下記ブログを読んでからにしたほうがいいでしょう。

参考ブログ
「2015年7月からXAMPPの導入手順が分かりにくくなりました!対応の方法」
「【XAMPP】2015年10月から導入手順がまた難解に!対応の方法!securityが無い!」

サイバー攻撃に早まって・・

今週頭から夏風邪をひいて、ついに3日間寝込んでいました。発熱が続き一向に良くなる気配がないので、仕方なく今朝は病院に行き、1時間半の点滴。脱水症状と酸素不足だとか。
「夏風邪のウィルスに抗生物質は効かないんだけどね」と言いつつ医者は、二次感染を防ぐためだからと、抗生物質を出してくれましたが、これはちょっと不要な薬だなって思います。

それはともかく、私がウィルスに襲われて弱っている間に、私のブログは大変なことになっていました。 私が利用している「ロリポップ!レンタルサーバー」がサイバー攻撃され、WordPressの利用者に対し不正アクセス、データ改ざんが行われたとのこと。
私のブログも見事に文字化けし、管理画面もぐちゃぐちゃ。管理画面に不正侵入した証にブログタイトルが、「Hacked by Krad Xin」と書き直されています。
まったく弱り目に祟り目というか・・・。

私はサイトに複数個WordPressを設置していますが、今のところ、被害にあったのはそのうちの1個だけ。アドレスにwordpressの文字が入ったものだけでした。
被害が少ないうちにデーターベースのパスワードを変更しておこうとロリポップのデータベースを開こうとしたら、覚えのないパスワードに変えられていました。これもハッカーの仕業か?と焦りましたが、実はロリポップの方で、パスワードとwp-config.phpファイルの設定、及びパーミッションなどを書き換えているようです。

さて、この荒らされたブログをどう修復するか?
どこをどう改ざんされたか分からないブログを修復するよりは、この際、最初から作り直してついでにアドレスからwordpressの文字もなくしてしまおうと、私はブログをまるごと削除してしまいました。
データベースのバックアップがあるから大丈夫、と深く考えもせず、やってしまいました。
しかし、バックアップデータをデータベースにインポートしようと何度試みてももうまくいかない。
何が悪いのか、半端知識では理解できない。
残っているのは、画像無しのテキストデータだけ。

何故ブログを削除する前に、文字化けを修復することを考えなかったのか、悔やまれます。
文字化けは案外簡単に復旧できるようです。ロリポップサイトに、
2013/08/31 改ざんされたサイトの復旧方法について」というお知らせがあることに、あとから気づいて「しまった!早まった」と思いましたが、もう後の祭りです。
データ改ざんが文字化けとウィジェットのテキスト変更程度なら、あとはログイン名やパスワードを変更するだけで良かったかも。もちろん被害がそれだけでおさまっていればですが。
もしかしたら私がハッカーを買いかぶり過ぎていたのかも。もっとスゴイことされるんだって、ビビり過ぎだったかも知れません。

しかし、削除してしまったデータは戻らないので、当分はテキストデータを一つ一つ見直して、画像がPCに残っているものや新たに画像を取得できる投稿について順次アップして行こうと思います。これを機にブログをすっきり整理していければいいかなと。

今回の犯人は自分のFacebookで自分の仕事ぶりを随分自慢しているらしいです。ハッキングしたサイトのURLをリスト化しているというので見てみました。日本のサイトがターゲットにされたのは間違いないようです。 しかし、まあ、犯人のFacebookに対し、「いいね!」を押している人が多いのには呆れますね。

9月2日追記:
夜、ロリポップから「▽サイト改ざんへの対策をお願いいたします – ロリポップ!」http://lolipop.jp/security/というメールがありました。
データの改ざんパターンが多数報告されているそうで、「データ改ざんが文字化けとウィジェットのテキスト変更程度」というわけではなかったようです。やはりハッカーを甘く見てはいけないってことでしょうか。
指定ファイルを開いてみると、「webサイトが改ざんされてしまったら」、以下の作業が必要とのこと。

最後に 次の注書きがありました。

※お使いのパソコンにバックアップファイルがある場合は、一度サーバー上のファイルを削除した後にバックアップファイルをアップロード。その後、ディレクトリのパーミッションを「705」に変更することでも対応は可能です。

もっと早く教えて欲しかった!!!

映画「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」

heab&dorothy8月17日の「ああるの映画と読書」で、紹介されていた映画を見てきました。
映画の内容については、「ああるの映画と読書」に詳しいので割愛しますが、アメリカのいくつかの美術館を旅してまわり、たくさんの現代アートを目にすることができる、ちょっぴり幸せな気分にさせてくれる映画です。

自分の気に入った作品を手に入れ、好きなものに囲まれて暮らしたい、という想いは、アート好きなら誰でも少なからず、胸の内に抱いている欲望の一つでしょう。
しかし、半世紀かけたとは言え、それが5,000点近い数になってしまうとは!
その量に圧倒されます。

スクリーンに映る数々の作品の中には、これもアートなの?現代アートって何でもOKなの?って疑問がかすめる場面もありました。しかし、どの作品もすべて、ボーゲル夫妻の共感を得た作品であり、共感者を得た作品は、それだけで存在価値があるのかもしれません。
一部のメジャーな作家を除いて、ほとんどの作品は私の知らない作家たちの、見たことのない作品でしたが、スクリーンの中を次々と流れるその作品からは、「既存の概念にとらわれない新しい美をみつけたい」「今までにない作品を生み出したい」という強い想いや、あるいは「ねえ、これってきれいでしょう?」という単純でささやかな想いなどがあふれてくるようで、そのどれもが共感者を求めているようで、自分でも可笑しいのですが、少し涙ぐんでしまいました。

ボーゲル夫妻が全米50州の美術館に50作品ずつ寄贈した、計2,500点の作品は、まとめてネットで見ることができます。下記のサイトを覗いてみてください。(※一部まだアップされていない作品もあります)

「Vogel 50×50」http://vogel5050.org/

さて、今回映画鑑賞したマルヤガーデンズ7F にある「ガーデンズシネマ」。次回作も興味深いので、紹介しておきます。
「世界が食べられなくなる日」http://www.uplink.co.jp/sekatabe/
8/23(金)~25(日)、8/31(土)~9/6(金)

sekaiga

「MOVIE+BOOK」をリニューアルしました

ああるさんに書いていただいている「MOVIE+BOOK」を、このたび、ブログソフトをcgiからWordpressに移行しました。
それに伴い、アドレスも変わりました。
新しいアドレスは、http://art-container.net/movook/です。

new-blog1ああるさんは、プロフィールによると「アジア映画(もちろん日本を含む)にかたよりがち、万人にはお勧めできないややマニアック系に傾きがちな、映画と本についての感想文です。」とのスタンスで、2006年2月から250点あまりの投稿を続けて下さいました。

old-blog1できることなら、全ての過去ログをwordpressに移行したいのですが、cgiのデータを一括してwordpressにインポートする方法が分からず、2013年6月までの投稿記事は、そのまま以前の「MOVIE+BOOK」に残すこととなりました。どうぞ、こちらの過去ログもご覧ください。

(データの変換方法が見つかれば、いずれは一つのブログにまとめたいと思っています。)

ギャラリーをWordPressでリニューアルしました。

WordPressはテーマやプラグインが豊富に提供されていることや、カスタマイズの自由度が高いところが魅力ですが、それだけでなくセキュリテイの強化、アクセス向上にも効果的なソフトウェアです。
個人サイトであってもWordpressを利用すると、明らかにアクセス数が増えます。
もっと多くの人に作品を紹介したい。知ってもらいたい。そのためにも、ギャラリーをWordpressに移行したいと考えていましたが、Wordpressを使い始めて3年、ようやく実現しました。

リニューアルに伴い、アドレスも変わりましたので、お気に入りに入れてくださっている方は、ブックマークの変更をお願いいたします。

山田利喜子さん「皮革染色工芸」の新しいアドレスはhttp://art-container.net/galleries/kawa/です。使用したテーマは、「Wpshower(http://wpshower.com/)」のフリーテーマ「Imbalance 2」

kawaTOMOKO・T・TORIBATTAさん「銅版画」の新しいアドレスはhttp://art-container.net/galleries/hanga/です。使用したフリーテーマは「WordPress.ORG/themes」に紹介されていた「Polaroids」

hanga通畠義信さん「鉄のオブジェ」の新しいアドレスはhttp://art-container.net/galleries/tetu/。使用したフリーテーマは、「Wpshower(http://wpshower.com/)」の「Paragrams」

tetu作品のショップアドレスはhttp://art-container.net/galleries/です。使用したフリーテーマは「Shaken and Stirred Web」の「Shaken Grid (Lite) Free!」(←リンク切れています)
shop

以上、ギャラリー向けのシンプルなテーマばかりです。
テンプレートやcssを書き換え、プラグインも追加して使用していますが、自力で一から作り上げるのは、私には無理。こんな高品質なテーマが無料で提供されているなんて嬉しい限りです。

今回はWordpressをもう一個インストールし、一個のWordpressで複数のブログサイトを構築できる「マルチサイト」機能を使って、4つのサイトを作成しました。
Wordpressのマルチサイト機能については、後日改めて(忘れないうちに!)メモします。

「統計データはおもしろい」本川 裕

toukei出版社: 技術評論社 (2010/10/26)

「国内、国外を問わずに、あらゆる角度から収集された社会データを基に、相関図を表し、そこから見えてくる事実とその裏に潜む現実を解説する書籍である。ときに国別の情報であったり、県別の情報であったり、あるいは男女別の情報であったりと、特に収集データには傾向や制限をもたせず、現代社会の側面を表しているような興味深いテーマを中心に選んでいる。社会データの奥深い解説のみならず、相関図として表す際のグラフの見せ方についても解説している。
(本書概要より)」

以前読んだ、「絶望の国の幸福な若者たち/古市憲寿」の中で、本書のデータが引用されていて興味を持った本です。
著者の本川裕氏は「社会実情データ図録」(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/)というウェブサイトを主宰しています。このサイトは統計グラフとコメントで構成されていて、掲載されている図録も900~1000点という膨大なデータ量。そしてなんと、月間100万前後のアクセスがあるサイトだそうです。
その「社会実情データ図録」をもとに編集、まとめられたものが本書です。
「社会通念に囚われず、種々の社会現象について、データそのものが語っているように見える法則性に関し、オリジナルな仮説を示し、真実を見極めようとする人々に検討材料を提供すること」を目標に掲げています。

「少子化は公的支出で防げるか?」「日本の貧困度は高いのか?」「豊かになるほど経済格差は広がるか?」「安全なのに”不安”な日本、治安が悪くても”平気”な国」「日本の食料自給率はどれくらい低いのか?」「あなたは醤油派か、ソース派か?」などなど、様々な39のテーマで相関図が表示されています。
国際的データによる相関図では、日本という国の特異性が浮き彫りになるものが多く、興味深いものでした。                                                                一例を挙げると、「米国に対する各国国民の評価」というデータ。
調査結果は日本が16%、韓国が19%、ほぼ同程度の割合でアメリカに対しプラス評価です。
しかし日本は「どちらとも言えない」「分からない」「無回答」といった「あいまい回答比率」が、調査対象28ケ国の中で並はずれて、極端に、高い。正反対に韓国は「あいまい回答比率」が、各国の中で一番低い。
「白黒はっきりさせないと気が済まない韓国人と、白黒をはっきりさせないで物事に対処する日本人という国民性の違い」がこんなところからも見えてきて面白い。

日頃、私たちがニュースや情報番組なんかで耳にする統計データというものは、それを利用する人にとって都合のいい数字だけが取り上げられ、都合のいい解釈を付けて、世の中に流されているものだと、私は考えているので、統計の生のデータを自分の目で確認することは、とても大事だと思います。

擦り傷治療と中桐雅夫の詩

昨年の話で恐縮ですが、暮れも押し迫ったある朝、私は路上で転倒。左足打撲と膝に大きな擦り傷をこしらえました。
出勤ラッシュの車が渋滞している真っただ中での出来事で、派手に転んで血はダラダラ。
恥ずかしさで、その場から逃げるように立ち去ったのは、言うまでもありません。
まったく!いいトシした大人が、なんてザマ!と我が身に罵声を浴びせながらも、こんな大きな擦り傷をこしらえるのは久しぶりだなあと、ちょっと懐かしい気分がしました。

子供の頃はよく転んだものでした。なんせ運動能力が劣る子供だったので、何度も転んでは足の両膝を擦りむき、今でも痕が残っているのです。
大人になっても能力は向上せず、3年前にも大転倒した経験があります。その時は擦り傷はなく、全治2ケ月の打撲のみ。しかも周囲に他人のいない場所だったので、羞恥心もなし。
そう、誰も見てなきゃ、ちょっと転ぶくらい、どうってこともない話なんですよねえ。

しかしまあ、転んでもただでは起きないのが大人のたしなみです。せっかくの機会だから擦り傷の治療法についてネットで検索してみました。すると、今までの私の常識を覆す意外な治療法が出てきました。

これまで、傷の手当てと言えば、傷口を水で洗ったのち消毒液でしっかり消毒し、ガーゼ等を当てて傷口を保護。かさぶたが出来るのを待つ、というものでした。
実際、消毒液を買いに行った薬局でも同様の説明を受け、消毒液と傷当てパッドとステロイド系軟膏を勧められて購入しました。
しかし従来の傷当てパッドって取り替えるときに、痛いんですよねえ。かさぶたができるときはモゾモゾと痒いし、うっかり剥がれるとまた出血して、何度でも痛い思いをしますね。
それが私の常識だったのですが、ネットによると、消毒しない、かさぶたをつくらない、痛くない、治りが早い、傷あとが残りにくい、「閉鎖湿潤ラップ療法」という治療法があるそうです。
これには食品用ラップを使うというから驚きです。

「正しいケガ(傷)の治し方 ~消毒をしないうるおい湿潤治療(ラップ療法)~」http://homepage2.nifty.com/treknz/wound_care.html

上記のサイトによると、「閉鎖湿潤ラップ療法(うるおい療法)のポイントは、消毒薬は決して使わないこと」とあります。その理由として
「消毒薬は要は細菌(細胞)を殺す”毒”であって、当然人間の正常な細胞に対しても毒性があります。傷を消毒するということは、傷を治そうと活躍している人間の細胞をも殺すことになり、かえって傷の治りが遅くなります。消毒をすると傷が滲みて痛いのはまさに細胞が悲鳴を上げている証拠。はっきり言ってキズの消毒なんて自傷行為とおなじです」とのこと。

そういえば以前読んだ、立花隆の「がん 生と死の謎に挑む/文藝春秋」にも、こんな記述がありました。
「通常、傷口ができると、体から盛んに救援を求める信号物資が放出されます。この物質を感知するとマクロファージなどの免疫細胞が集まります。マクロファージは細胞の移動や成長を促す物質を放出します。こうした物質に刺激を受けて皮膚の細胞が移動を開始し、傷口を修復します」

傷を治すのはヒトの免疫細胞の力。確かに消毒は必要ないかもと思い「湿潤治療(ラップ療法)」を試してみることにしました。

治療手順は次のとおり

  1. 傷を水でよく洗う。消毒はしない!
  2. 傷を被うように少し大きめのラップをあてて、縁をテープで留める。可能ならどこかに隙間を残しておく。
  3. 翌日から毎日傷を水洗いし、ラップを交換。夏場など発汗の多い季節は日に1-2回程度繰り返す
    (「正しいケガ(傷)の治し方 ~消毒をしないうるおい湿潤治療(ラップ療法)~参照)

いったんは消毒をしてガーゼの傷当てパッドを当てていたのですが、さっそくパッドを外して(痛かった)、傷口を水洗いし、軽く水気を取ってラップを、テープが無かったため、膝にひと巻きました。
その上からレギンスを着用。
ラップをすると傷口からドロドロの体液が浸み出してくるのが分かります。これは結構匂います。人に気づかれるることはなかったけど、このままで大丈夫なのかと不安になるくらい。
シャワーで傷口を水洗いしてドロドロを洗い流す。水気を取る。ラップを取り換える。それを毎日、浸出液がなくなるまで2週間余り、繰り返してみました。
傷口を洗うたびに、周囲から皮膚がきれいになって、傷の範囲が小さくなっていくのを実感できます。
途中からラップはやめて、市販されているハイドロウェットという医療パッドを使用しました。膝にも楽に貼れて剥がれない。手間いらずで便利な物です。使用上の注意を読むと、「浸出液の少ない傷に使用すると疼痛を引き起こすことがあります。このような場合には、水道水等で事前に傷口を十分に湿らせて使用してください」とありますので、そのへんは注意が必要です。

擦り傷範囲が大きかったせいか、傷が1cm大くらいになるまで1か月ほどかかりました。
傷口を水洗いする際、まったく痛みがない。ラップやパッドを取り換える際にも、もちろん痛みはない。かさぶたができないから痒みや突っ張りもない。最初から最後まで傷の痛みを感じないですむところが何よりもよかったです。
もちろん傷の状態、怪我の原因によっては病院に行くべきだったり、薬が必要だったりしますが、通常の擦り傷ならこのラップ療法はおすすめです。

もっとも、この治療法、私が知らなかっただけで、もうすでに世間では常識なのかもしれませんね。遅まきながら、ハイドロコロイド材の救急絆創膏のコマーシャルが、テレビで流れていることにも気が付きました。

ところで、「擦り傷」という言葉から、中桐雅夫の詩を思い出しました。確か、擦り傷ができたっていう詩があったなあと古いノートを開いてみると、それは「誘拐」というタイトルの詩でした。擦り傷ではなく、かすり傷でしたが。

「誘拐」

中桐雅夫 「夢に夢みて」より

心の子供がかどわかされて
おれにはつらく激しい日々が続いている
二月の夜の二時 ひとり壁に向かって飲む
ウィスキーはよもぎのように苦い。

ふと気がつくと
右手の甲にかすり傷ができて
薄い血がにじんでいた

いつ怪我したのか わからない寂しさ。

五年たったら英雄の死も忘れられる
十年たったら戦争もなかったのとおなじだ
おれももっと早く記憶を棄てるかもしれん。

人さらいよ 骨の細い哀れな子供を
どこかで大事に育ててくれ
おれも生きてゆくだけは生きてゆくから。

身体の傷ならラップでうるおい湿潤治療、心の擦り傷にはお酒でうるおい治療、なんて。今読むと、ちょっと茶化したくなる”70年代の男の香り”がします。

「ジェノサイド」高野 和明

genocide出版:角川書店
2011年3月発行

このミステリーがすごい!2012年版」国内編第1位
「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位
第2回山田風太郎賞受賞
35万部突破!ベストセラー爆走中!!

と、帯に華々しい惹句が並び、その人気度を誇示しているのが、本書「ジェノサイド」です。
さらに
「読み始めたら眠れなくて、朝4時まで読んでしまいました。/谷原章介」とか、
「この物語は、人類の行方を予言している/中江有里」とか
「己の血に誇りを持ち、己の知をもって未来と世界を築いていく。日本人にはそれができると信じている。/杏」
「超面白かったです!『アバタ―』を3本分見たくらいの達成感があります!/鈴木おさむ」
など、有名人のレビューが並べられ、読者の興奮度と出版社の意気込みが伝わってきます。

この手の売り込みに乗せられて、読んでみたらがっかりということもままありますよね。
しかし、当サイトの「映画と読書」でも、ああるさんが「壮大なスケールで、すごい。」と評していたので、文庫化されるのを待っていられなくなり、単行本をブックオフで手に入れました。

「ミステリーは文庫で!」のマイルールを破って読んだ本書ですが、面白かった!大画面3Dサラウンド映画を観ているようでした。アフリカと日本とホワイトハウスを行ったり来たり。
とは言え、内容的には現在私が生きているこの世界の、ダークな側面を次から次へと見せられるものであり、面白がってばかりはいられないのだけれど。

ネット検索依存症の私は、気になるワードを検索しながら、この本を読みました。
私が調べたのは以下のワード。

  • ジェノサイド
  • ハイズマン・レポート
  • シリア 拷問施設
  • 肺胞上皮細胞硬化症
  • 単一遺伝子疾患
  • 第一次アフリカ大戦
  • ルワンダの大虐殺
  • 変異型GPR769
  • 世界終末時計
  • ピグミー
  • 素因数分解 RSA暗号
  • 人類の進化
  • 幼形成熟
  • 全世界盗聴システム エシュロン
  • ヒト加速領域Ⅰ
  • FOXP2
  • ツングースカ大爆発
  • 韓国語 情 ジョン
  • ビラ人
  • アロステリック
  • 武装無人偵察機プレデター
  • 「ヒトと進化」
  • 「ウィルス進化論」

本書の中では、「全世界に普及しているアメリカ製のコンピュータのOS全品に、合衆国の諜報機関に通じるバックドアが仕込まれている」というトンデモナイ話が出てくるのですが、先週、元CIA職員の内部告発がニュースで流れ、トンデモナイ話と思ったものが、俄に信憑性を帯びてきました。
内部告発は、「NSA(米情報機関の国家安全保障局)がPRISM(プリズム)という暗号名のインターネット監視システムによって、マイクロソフトやヤフー、グーグル、フェイスブックなどのサーバーからユーザーの電子メールや写真、利用記録などの情報を収集していた。さらに、バラク・オバマ大統領がアメリカのサイバー攻撃の『標的』となる国外の人物をリストアップするようNSAに要請していた」(「グーグルやフェイスブックの個人情報を収集して監視する米政府の秘密が明るみに」参照)というもの。

いつ誰に狙われるか分からないからと、盗聴やハッキングによって他人の個人情報を盗み出し、常に行動を監視し続けるという行為は、個人がやったら刑務所行きか精神鑑定もの。
国家レベルでやればテロ対策という大義名分が与えられます。
「安全保障」のためには「言論の自由」を犠牲にするのもやむ得ない、という世論の声も大きいようです。
日本も時勢に乗り遅れまいと、「国家安全保障会議(NSC:National SecurityCouncil)が創設される」ことになるそうです。(「“スパイ天国”日本に国家安全保障会議設置 CIA機能もない、体裁だけの機関」参照)

世界を盗聴、監視し続ければ、果たして世界は平和になるのか、疑問に思います。
むしろ、世界終末時計の針を進めるだけなのでは。
いえ、そもそも現人類の権力者たちは、平和なんて望んでいないのでは。

「過去20万年間に亘って殺し合いを繰り返してきた人類は、常に他集団からの侵略に怯え、疑心暗鬼が被害妄想寸前の状態で維持され、国家なる防衛体制を作り上げて現在に至っている。この異常な心理状態は、人類が遍(あまね)く共有しているために異常でなく正常と見做される。これが〝人間という状態”だ。
そして、完全なる平和が達成されないのは、他者が危険であるという確固たる証拠を、互いが己の内面に見ているからだ。人は皆、他者を傷つけてでも食料や資源や領土を奪い取りたいのだ。その本性を敵に投影して恐怖し、攻撃しようとしているのだ。」(「ジェノサイド」から抜粋)


追記:
元CIA職員の内部告発については、2014年に『「暴露」スノーデンが私に託したファイル/グレン・グリーンウォルド』という本が出ています。

Yahoo!BBのモデムを交換するなら

5月25日土曜日の朝突然、インターネットが繋がらなくなってしまいました。
こういう場合の対処法として、PCやモデムの再起動をすればたいてい解決するものですが、今回は無理。モデムの[警告]ランプが点灯しているので、ヤフーのテクニカルサポートセンターに電話をしました。0800-2222-820(無料)に。

音声ガイドに従って進んでいくと、ただいま電話がたいへん混み合っています。このままお待ちになるか、しばらく経ってからおかけ直しくだい、と決まり文句が流れ、そのまま待っていると、「インターネットモデムの通信状況をお調べします」という音声が唐突に入り、「通信不通なのでモデムの交換を致します。ありがとうございました」カチャ・・・・と切れてしまいました。

新しいモデムを送ってきてくれるらしい。ありがたい。でもいつ届くの?
最後まで人間のナマの声をきくことがなかったので、モデムの故障の原因とか、配送日とか、分からないのでした。

翌日、ヤフーのインフォメーションセンター0800-1111-820(無料)に電話すると、今度は人間スタッフに繋がりました。
いつ新しいモデムが届く予定なのかを尋ねると、そこから他の窓口に回されて、「自動音声でモデム交換を申し込まれた場合(注:私が自発的に申し込んだわけではない!)、4日~5日かかります」といわれました。「直接窓口に申し込んでいただければ、配達日の指定もできたのですが、、、」とのこと。
softbankbbどうやら、前日テクニカルサポートセンターに電話した際、私はどこかで順路を間違えてしまったらしい。もっと辛抱強く深く進んでいけば、きっとナマの人間に出会えて、「私はネット検索依存症なので、4,5日も待てません。」と訴えることができたはず。情のあるナマの人間なら「それはお困りですね。それでは2、3日ほどでお届けしましょう。」ということになったかもしれないのに。

ヤフーのモデムを交換するなら、音声ガイドに注意深く耳を傾け、人間スタッフのいる窓口まで進むことをお勧めします。

鹿児島弁「白雪姫」!笑えます!

今日、職場で休憩中に、鹿児島弁の「白雪姫」を鹿児島弁の上手い人が読んで聞かせてくれました。みんな大爆笑。
ネットで検索すると、いろんな人がブログで紹介しているようです。オリジナルがどれなのか分からなかったので「おんじょといの小屋」というサイトから紹介させていただきます。「おんじょといの小屋」では、音声も聴けますよ。

「鹿児島弁白雪姫」

おきさっどんが
「かがんよかがん、世界でいっばんみごちとはだいやろかい」
ち、たんぬれば、かねちゃ
「そあ、おはんがいっばんよかおごじゃっとよ」
ちゆぅ魔法のかがんに、かねっのっごっ たんねたなあ
「そや、白雪姫やらせんどかい」
ち、かがんがゆたなあ
「なんちな!?」
お妃っどんがはらけっかぎぃはらけっせえ、森んなけ小人んしと仲ゆ住んじょらった白雪姫がとこいっせえ、毒の入ったリンゴをば持っ行かったげな。

「リンゴは要いやはんどか~い」

ち魔女ん真似をしたお妃っどんがさるっごったなあ、そけ白雪姫げえがあっせえ、庭の草取いをしごった白雪姫に
「リンゴはかまんや?」
ちゆわったげな。
「まこち、どいうんめかろそなリンゴやろかい」
ち白雪姫はそんリンゴをもろっかんだなあ、かんだいき ひっくかあらった。
小人んしが
「がっついこえなこっつあねかった。け死んやったとけ?
じゃったれば、今夜が本通夜で明日そしっじゃろなあ。
こげん良かおごを、ほんのこちあったらしこつしたなあ」
ちほろめっごったなあ、そけうんめ乗らった王子どんが通おいかからっせえ、
「うんにゃ、んにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃ!まこちぐらしかこつしたもんじゃ。おはんなないごてリンゴをかんだとお」
ちゆっせえ起そかいちしたなあ、白雪姫ん口っかいリンゴが飛っ出っ来っせえ、白雪姫が
「たひかったがこあ!あんねこっでけ死んとこやったが!」
ちゆたげなお
「おんじょといの小屋」から引用

他には「鹿児島弁、浦島太郎」もあります。これも爆笑ものです。興味のある方は検索してみてください。

「後ろ向きの歌」は後ろ向きじゃない

先月の話ですが、オープニングテーマの「後ろ向きの歌」が学校で流行っているんだよ、と小学生にお勧めされ、「泣くなはらちゃん」というドラマの最終回を観ました。
「後ろ向きの歌」は本当のタイトルを「私の世界」といい、「かもめ児童合唱団」が、かわいい歌声で歌っています。着うた配信サイトで1位になったりして、結構当時は評判になったらしいですが、世の中は常に前向きに進んでいくので、ドラマが終わるとまったく耳にすることもなくなりました。

「私の世界」 ♪  作詞:岡田惠和、作曲・編曲:井上鑑
世界じゅうの敵に降参さ 戦う意思はない
世界じゅうの人の幸せを 祈ります
世界じゅうの誰の邪魔もしません 静かにしています
世界の中の小さな場所だけ あればいい
おかしいですか? 人はそれぞれ違うでしょ? でしょでしょ?
だからお願いかかわらないで そっとしといてくださいな
だからお願いかかわらないで 私のことはほっといて

確かに「前向き」「積極的」「ポジティブ」とは言えない歌詞ですが、「前向き」でなければ「後ろ向き」と言うわけではない。
私にとっては「ニュートラル」な立ち位置の歌に思えます。
人の思惑に絡め捕られることなく、自力で生きたいと願っているだけ。
この位置から、時には前に行ってみたり後ろに揺れてしまったり、というのが、おおかたの人の日々の生活じゃないかなあと思うのです。

「前」か「後」の二方向以外に、世の中には、「上」か「下」かの方向も存在します。
たいていの人は「上」に行くことを熱望するか、心ひそかに願う。
「下」に行きたいと望む人はまずいないでしょう。
「上」には何があるんだろう?って時々考えます。たぶん、富とか名声とか権力とか、そういうものなんでしょうか?上ったことがないので分かりません。
ただ分かるのは、前向きであれば上に行けるというものではない、ってこと。
上に行くためには、たぶん、スティーブ・ジョブズみたいに「夢の実現」とか「仕事へのロマン」とか「世界を変える野望」とかを声高らかに宣言する必要があるでしょう。何よりも上に行きたいという強い熱意が必要だし、他人を自分の人生に引き込む才能が欠かせないと思います。
そういう人にはきっと、世界中の空から垂らされているに違いない、透明な蜘蛛の糸のような何かが見えるのかもしれないと思ったりします。

蛇足ながら、「後ろ向き」関連でみつけたカフカの名言を。
カフカは大好きな作家なので、こういう発言には、思わずニヤリとしてしまいます。

「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」

「カフカの迷言がネガティブすぎて笑える」より。

通畠家にお邪魔しました。

torike16-300通畠家には10年ほど前にお邪魔して以来、今回が2度目の訪問になります。
前回は2時間ほどかけて、車で行きましたが、その後、九州新幹線が開通し、今では鹿児島中央駅から出水駅まで25分程度に短縮されました。
時間的にはとても近くなりましたが、世の中のインフラが整っていくのと反比例して、私が遠出をする機会は、年々、少なくなっていきます。皮肉なものです。

torike17-300通畠家は10年前に引っ越しをしており、私がこの家を訪れるのは初めてです。
家の中にも外にも、ご夫妻の作品がいっぱい。アートにあふれたお宅です。
まずは、前庭に置かれた二つの大きなオブジェが楽しい。

玄関を入ると、紙素材のアートが並んでいました。
こちらは通畠朋子さんの作品。

wasi-01-200wasi-02-178

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左上は通畠朋子さんの作品。
左下の絵は通畠義信氏の作品torike14-300

オレンジと紺色の扉も氏の作品です。どうしても開けてみたくなります。
torike12通畠義信氏は鉄や石。夫人は紙や布。
アトリエの中は夫妻の作品が無造作に、置かれています。
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ひらめきがあると、即座に削れる素材を使うことが多いそうです。
アトリエの中、発砲スチロールのオブジェもたくさんありました。

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河童の操り人形。こういうお茶目な作品もあり。

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(上)人見知りな愛娘〝りんごちゃん”

(左)発砲スチロールの腕で何か?を指さす通畠氏。

 

(下)裏庭からは、出水平野の田畑の広がりが見渡せる。時間をかけて錆びていく、鉄のオブジェのある風景。

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heri-189gazi-189通畠氏の車に置かれたオモチャ。ゴジラに釘。ヘリコプターはカメレオンに変身させて。

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本日から、出水市在住のものづくりたちによる、「いずみ ものづくり展」が、開催されます。
通畠夫妻も出品します。
「鉄のテツ学」展と合わせて、こちらも是非ご覧になって下さい。

【出品者】
《陶芸》宮上誠・永島 としゆき
《染色・ガーゼ服》本田すみ子・隅本和代
《鉄・石・銅版画》通畠義信・通畠朋子
《木工》平田健作・谷山陽啓

「第5回 いずみ ものづくり展」
2013年3月20日~3月26日 10:00~17:00
出水市クレインパークにて
(期間中 無休・・・最終日は16:00まで)

[mappress mapid=”5″]

「鉄のテツ学」展観てきました(3)

18

オリジナル燭台
彫刻作品、それも私のもののように「白い、やさしい、かわいらしい」が表現の枠内に存在しないものは、なおさら、ほとんど売れるものではありません。何か売れそうなものをと思って、キャンドルスタンド展を何回かやっていますが、やっぱりやさしく親しみやすいものがつくれないので、今後も売れる可能性は薄いと思われます。

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写真館のための唐草燭台
写真館のための椅子装飾金物
福岡での工房勤め時代には、仕事として作っていた装飾金物。本来なら、本展での展示は「芸術」には頼らず、このような技をみせるものであるべきだったと思いますが、あまりにも数が少なく、むしろこの二点があってよかったと思うことです。

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「月夜」—————– 右「山に月」

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「黒と白の対峙」
2000年代に入り、鉄素材にこだわらないという意識のもとに鉄を使った作品が、『黒と白の対峙』や『月夜』といった作品です。石と組み合わせたり、石の形をつくったりして、なぜか風景彫刻の形になりました。

鉄と石
学生時代は、ただただ石を彫ることが好きで、後の1994年に初めて、仕事として石のモニュメントをつくりました。大きな石彫は、仕事がなければ作れない状態なので、商品を少しずつ作り続けており、構想もまだまだあります。
鉄彫刻と石彫とは、いろんな面で違いがありますが、私にとっては違和感がありません。素材の違いを楽しめば、共通するものを見つけることができます。

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羽根のアイデア 2001

出水市歴史民俗資料館では「写真撮影OK」だったので、私は「作品を全部撮るぞ」と調子に乗って撮り続けたものですが、帰ってきて確認すると撮り残しがだいぶありました。
仕方ありません。ここにアップされていない作品や作家のコメントについては、ぜひ会場で観ていただきたいと思います。
下の3点は新聞のコラムに添えて描かれたもの。
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まだまだ、続きます。
次回は、お宅訪問編です。後日、アートにあふれた通畠家の写真をアップしたいと思います。

『鉄のテツ学』展観てきました!(2)

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無常の地球儀(1991年)私が「理科室シリーズ」と呼ぶ小品群のうちの一点。このシリーズ作品は、自分でも気に入っていますが、それだけに人気もあり、友人知人関係に買ってもらったり、預かってもらったりしており、私の手元には一点もありません。第二弾も考えてみたいシリーズです。

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Soul boat-月の舟ー(1999年)彫刻は構築物であり、「骨格」が、その基軸であると考えます。多様な現代美術が存在し、私もさまざまな試みをして来ましたが、つまるところ、私の彫刻の概念は、敢えて限定的です。1990年代に入り、『無常の地球儀』に始まる「骨格そのもの」の作品が生まれて来ました。それからもうひとつ転換して「外骨格」の概念にたどり着きました。それが舟の形として具体化し、「魂の入れもの」という意味で、1995年に「Soul boatシリーズ」が始まりました。

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Soul boat ’96

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Soul boat-海の呼び声ー(1997年 コールテン鋼、全長450cm)
ハウステンボス光のギャラリー金賞受賞
2000年、サンアリーナせんだい(薩摩川内市)に展示

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「星月夜ー海の呼び声ー」(1995年、黒御影石)
’95日向現代彫刻展大賞 日向市御鉾ケ浦公園に設置

この続きはまた、のちほど。

『鉄のテツ学』展観てきました!(1)

昨日、出水市歴史民俗資料館にて、通畠義信氏「鉄のテツ学」展~鉄を素材とした空間造形の世界~を観てきました。
出水市歴史民俗資料館は出水市立中央図書館の2階にあり、その名の通り歴史的な民俗資料、(旧石器時代の遺跡物とか、先人たちの使用した生活用具や特攻隊関連資料など)を展示している施設です。今回のように現存する(!)作家の作品を展示するのは異例のことのようです。
普段は2階までは訪れる人のほとんどいない施設らしく、案内係のきれいな女性が、この特別展のおかげで「来館者が増えました」とニコニコされていました。

通畠氏の作品の性質上、展示されているのは移動可能な小品が主で、野外設置作品はその模型や写真の展示になります。
小品が多いとはいえ、学生時代に遡った作品から近年まで、私は初めて目にする作品も多く、それぞれの作品の素晴らしさに圧倒され、改めて「通畠氏って凄い芸術家なんだなあ」と感動しました。
何しろ普段の通畠氏は、あまり物事にこだわらない、来るもの拒まず、寛容でひょうひょうとした人物。オレは芸術家だぞ!という自己アピールもせず、芸術家にありがちな(と私が思うところの)奇矯な言動や気難しさもなく、私などにも心安く接してくれます。でも本当は私が考えている以上に偉大な人物なのだと、今回認識を更新しました。

前置きが長くなりました。そろそろ会場で撮ってきた写真を、一部ですが、アップしていきます。作品に対する通畠氏本人のコメントがファイリングされて置いてありましたので、合わせて紹介していきたいと思います。
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蝗(こう)(1977年)学生時代に作り始め、卒業後に完成し、福岡県美展でいきなり受賞した、私の鉄彫刻の原点といえる作品です。いきなり受賞はいただけません。二匹目のバッタ(?)を狙ってしまいます。ここにあった本質的要素が、形を変えて現れてくるのは、ずっと後のことでした。

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歩く猫(1979年)
くずれかけた廃屋の中で見つけた猫のミイラのヴィジョンが、普段掃き集めて捨てていた、鉄クズを呼び寄せて立ち上がり、歩き始めました。

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一番手前にあるのが、「柱’84-PASSAGE-(1984年)」
不定形の暗雲に中心を貫かれた三本の柱が、波うち、ゆらぎ始めています。「9.11 同時多発テロを受けて制作しました」と言っても信じてもらえるかもしれませんが、実は1984年の作品。
不安や危機感、そして不満は、どの時代にもあるものであり、当時の私の「柱シリーズ」のテーマが、そのようなものであったということです。「柱シリーズ」は三部作でしたが、まともな形で現存しているのは、この『柱’84』だけです。

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ペガサス 1993伊佐市 速水荘 設置

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龍座宮 (1990年、鉄、コンクリート)

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はばたき式UFO開発計画(1992年)

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時の巣(2000年)モニュメント等、大きな彫刻のコンクールの場合は、模型による審査が一般的です。この他にも、いくつも作ってきましたが、私の鉄の作品は、まったく採用されません。石やブロンズにない形の鉄のモニュメントを実制作させてもらえたらと思ってきました。「記念碑」という意味でのモニュメントではありませんが、唯一『時の巣』(霧島アートの森)の場合は、内定指名の上で作ったので、実制作が実現しました。

続きは、またのちほどアップします。

通畠義信「鉄のテツ学」展のお知らせ

通畠義信の彫刻「鉄のテツ学」展
会期:平成25年2月9日(土)~3月23日(土)
会場:出水市歴史民俗資料館

66-1当サイトで紹介しています、通畠義信氏の作品展が開催されます。
会場となる出水市歴史民俗資料館の「歴民館だより」によると、出水は刀鍛冶や刀装身具制作の「鉄の職人」を輩出した土地柄だそうです。地元作家である通畠義信氏の作品を紹介することにより、「現在に息づく『鉄の技』そして『鉄の芸術』を紹介したい」とのこと。
今ではなかなか目にすることのできない、氏の過去の作品が展示されますので、ぜひ、この機会に『鉄の芸術』をお楽しみください!!

出水市歴史民俗資料館
住所: 〒899-0205 鹿児島県出水市本町3−14
電話:0996-63-0256

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「ららら科學の子」矢作俊彦

lalala出版社: 文春文庫(2006年10月)
第17回(2004年) 三島由紀夫賞受賞

タイトルの“ららら科學の子”は、ご存知「鉄腕アトム」のテーマソングのワンフレーズですが、このタイトルからは想像しにくい内容の作品です。

1968年、20歳だった主人公は学生運動による殺人未遂に問われ、中国に密航した。文化大革命、下放を経て30年ぶりに帰国した彼は、まるで浦島太郎。未来にタイムスリップしたかのような現在の日本を、違和感を持って見つめる。
彼が変えたいと思った30年前の日本と、30年間過ごした中国の生活と、50歳となった現在の自分への想いが交錯する中、幼くして別れた妹の行方を探す、といったストーリー。
1960年代の空気を知っている者にとっては、当時と現在を引き比べ、ノスタルジックな気分にさせられる1冊です。

著者の矢作俊彦(やはぎとしひこ)は1950年生まれというから、全共闘、文化大革命、天安門事件など、まさしく著者自身のリアルな時代感覚で書かれている作品だろうと思います。そして50歳という年齢に対する想いもまた。

実は、私が矢作俊彦の本を読むのは、これで3冊目です。
そして、すんなりスムーズに読み終えたのは、この作品だけ。

最初に読んだ「THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ 」(角川文庫 /2007年)は、私好みのハードボイルドタッチであるにも関わらず、なかなかページを読み進めることができなかった。
矢作ワールドに不慣れだったせいもあるけど、舞台が横須賀中心で、基地との関わりや街の背景にある程度知識が必要で、知識も土地勘もない私には、ちょっと入り込みにくいところがありました。
途中で何度も他の本に心を移し、それを読み終わると「THE WRONG GOODBYE」に戻って続きを読み、登山のように重い足取りで半年くらいかけて最終ページにたどり着きました。
読むのを完全に放棄しなかったのは、主人公である神奈川県警の刑事・二村永爾が魅力的だったのと、物語の結末が知りたかったから。しかし、あまりに時間をかけ過ぎたため、少々疲労感が残った作品でした。

2冊目は「あ・じゃ・ぱん!(上・下)」 (角川文庫/2009年) (第8回(1998年) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)
第二次世界大戦後、日本はベルリンのように東西を隔てる壁によって、東日本と西日本に分断される。東日本は東京を首都とする共産主義国家。西日本は大阪を首都とする資本主義国家で標準語は関西弁という、大阪市長が読んだら喜びそうな設定です。
戦後日本の壮大な歴史パロディ。
これは面白そう!と上下まとめ買いしたのが、8ヶ月以上前の話。
この本もスルスルとは読むことができず、ようやく上巻の三分の二程度まで来ましたが、これ以上読み進めることが億劫になり、ついにギブアップ。
歴史パロディだからオリジナルの歴史を正確に知らなければ、偽歴史の面白さが分かりません。いえ、昭和史など知らなくても、ただ矢作ワールドを楽しめばいいのかも知れませんが、実在の人物や実際に起こった歴史的事件と偽歴史が混合されているので、読んでいるうちに微妙な部分で事実か虚構か判別がつかないところが、私にはちょっと面倒な気分でした。
歴史だけでなく、いろんな文学の引用、というかパロディも散りばめられているらしいので、戦後の日本史に詳しい人、文学作品を多く読んでいる人には、きっと楽しめる作品だろうなあと思います。

それにしても「THE WRONG GOODBYE」に疲れ、「あ・じゃ・ぱん!」でギブアップしながらも、私は何故懲りずに3冊目を買ってしまったのか?
自分でも分かりません。
でも、いずれまた矢作作品に手を出してしまいそうな予感がしています。

「人間はどこまで耐えられるのか」フランセス・アッシュクロフト

dokomade出版社:河出文庫
発行:2008年5月10日(初版)

人間はどこまで耐えられるのか-辛い環境に追い込まれたとき、心はどこまで耐えられるか、という話ではなく、生きるか死ぬかの極限状況における、肉体そのものの限界について書かれた本です。

著者は「オックスフォード大学の生理学部教授で、インシュリンの分泌に関する第一人者」だそうです。学者の書く科学の本ではあるけれど、ユーモアある軽妙な語り口に、専門的知識がない私にも楽しく読める本になっています。ただ人間の命の限界を扱っているだけに、ユーモアもちょっとブラックになりがちですが。

本書は
第1章、どのくらい高く登れるのか。
第2章、どのくらい深く潜れるのか。
第3章、どのくらいの暑さに耐えられるのか。
第4章、どのくらいの寒さに耐えられるのか。
第5章、どのくらい速く走れるのか。
第6章、宇宙で生きていけるのか。
第7章、生命はどこまで耐えられるのか。
と7章編成になっています。

私は高山病になるほど高い山に登ったことはありません。スキューバダイビングも経験がないし、その前に泳ぐことすらできないカナヅチ。凍てつく冬のバルカン半島に行ったこともなければ、クウェートの灼熱の砂漠の存在すら知らない。50mを全速力で走って8.8秒(中学時のタイム)の鈍足だし、宇宙飛行も今後する予定はない。
危険なことや危険な場所に自ら飛び込むような冒険心も運動能力も、一切持ち合わせていないのです。

それに引き替え、世の中にはなんと冒険心あふれる人々が多いことか。
極限の過酷な環境のもと、命がけで仕事をする人々がなんと多くいることか。
そして、自らの身体を実験台にして、肉体的限界を見極めようとする研究者たちや、限界に挑戦した探検家や冒険家やアスリートたちの成功と失敗の歴史。
期せずして極限状態に投げ出されてしまった人々の死と生還の記録。
それらの貴重なデータによって、テクノロジーが発達し、「人間の限界」が更新されていく・・・

本書は極限状態と戦っている人たちのエピソードが興味深く、冒険をしない私には感動を覚える1冊となりました。

「整形前夜」穂村 弘

seikei出版社:講談社 (2012/7/13)

『現実入門』を書いていた穂村弘さんも、結婚という生々しい現実を手に入れ、いまや「現実上級」資格取得者。
もはやイノセントな少年のままではいられなくなったからか、この『整形前夜』には、
「「今」をきっちり生きることができないために、そこから先の未来が次々に腐ってゆく。(非エレガンスのドミノ倒し)」
だとか、
「普通に真面目に働き続けることで幸福になれた時代は終わって、同じ道が今では「絶望」に繋がっているのではないか。(「普通列車「絶望」行」)」
なんていう、極めて現実を見据えたセリフも出てきたりします。
今回は妄想の天使も現れない。
ただし、のっけから、彼の留守中に部屋を整頓してくれるという「妻」が登場します。「結婚したんだもん!」というアピールでしょうか?いや、単にノロケたいだけでしょう。
妻と古本屋めぐりをしていることとか、一緒にグアムに行ったこととか、もう臆面もなく書いちゃっています。「人生はぴんとこない戦いの連続だ」と、怯え戸惑いながらも、しあわせなんですね。きっと。

それはさておいて、「中身がどんなものでもこれなら即買う、という傑作タイトル」の話が面白かったので、私も真似して、これまで読んだ本の中からタイトルが気に入ったものを書きだしてみました。
が、・・・・案外、思い出せないものです。

「幽霊の2/3」ヘレン・マクロイ
「時計じかけのオレンジ」アントニイ・バージェス
「幻の女」や「私が死んだ夜」/コーネル・ウールリッチ(=ウィリアム・アイリッシュ)
「10月は黄昏の国」/レイ ブラッドベリ
「月は無慈悲な夜の女王 」/ロバート・A. ハインライン
「笑う警官」/ペール・ヴァールーとマイ・シューヴァル共著
「箱男」や「壁」/安部公房
「限りなく透明に近いブルー」/村上龍
「摩天楼の身代金」/リチャード・ジェサップ
「すベてがFになる」/森 博嗣
「潜水服は蝶の夢を見る」ジャン=ドミニック・ボービー
「意思ばかり生む夜」/小西 啓
「ハルビン・カフェ  」/打海 文三
「あなたの人生の物語 」/テッド・チャン
「ここがウィネトカなら、きみはジュデイ」大森望編
「冷たい方程式」/トム・ゴドウィン

穂村弘さんの本もタイトルに魅かれます。「世界音痴」や「本当はちがうんだ日記」も好きなタイトルで、中身もタイトルのイメージを裏切らない。
しかし、この『整形前夜』はちょっと予想外でした。
タイトルから私が想像したのは、常日頃、素敵男子になることを熱望してやまない作者のことだから、ついに整形したか!小心者だから、たぶんプチ整形に手を出したに違いない、というものでしたが、全くハズレ。
『整形前夜』はノーマ・ジーンがマリリン・モンローに変わる、その前夜について語ったものでした。
「男たちは多くを期待しすぎるけれど、私には応えてあげることができない。彼らは、鐘が鳴るのを、汽笛が鳴るのを期待する。でも私の体は他の女性たちと同じなの」
マリリン・モンローの言葉だそうです。
「分かる、分かる」と、言ってみたい。

「絶望の国の幸福な若者たち」古市憲寿

zetubouno出版社: 講談社 (2011/9/6)

日本という国はつくづく若い人間を大事にしない国だと思う。

昭和時代、第二次世界大戦末期に実施された、戦死を前提とした特攻隊(特別攻撃隊)に駆り出されたのは、10代から20代の若者たち。若者の命を爆弾1個分と引き換えにするという、とんでもない作戦を考え付いたのは、当時の大人たちでした。

平成の現代においても、国の財政破綻のしわ寄せは若者にきています。

パート、アルバイト、派遣、契約社員など、安くてクビにしやすい労働力として、非正規雇用の若者が増え続けている。2011年には15~24歳非正規比率が男49.1%、女51.3%というデータもあります。( 「社会実情データ図録 Honkawa Data Tribune」本川 裕
会社都合でいつクビになるか分からない非正規社員という身分は、若者たちに結婚や子育てを含む将来設計を立てにくくしています。国民年金を掛けられる余裕はないし、そもそも将来社会保障が機能しているかどうかも保証がない。

7月5日、大飯原発3号機は発電を開始しました。原発は安全性の問題も放射性廃棄物の処理も、すべて先送り。若者たちが原発のリスクをこの先ずっと背負い、将来彼らや彼らの子どもたち世代が何とかすればいいだろう、って一部の大人たちは考えているのです。

日本は若者が未来に希望の持てない国になっている。それは確かだと思う。

しかし、社会学者古市憲寿氏は、「絶望の国の幸福な若者たち」の中で

「2011年現在、若者たちは過去の若者と比べても、『幸せ』だと思う」

と言っています。
「絶望の国の幸福な若者たち」は、この26歳の社会学者によって書かれた若者による若者目線の若者論です。
著者は大量の資料やデータをもとに、過去の若者世代やこの国の近代化を検証し、現代の若者の「幸せ」を立証しようと試みています。

驚いたことに、 2010年の時点で20代の70.5%が現在の生活に満足しているという「国民生活に関する世論調査」があるそうです。
この満足度は70代以上の次に20代が高く、40代から50代はぐんと低くなる。若者の親世代の方がよっぽど日々不満を抱きつつ、生活していることになるようです。

とは言え、この満足度は未来に希望が無いからこそ高くなるとも考えられる。

「もはや自分がこれ以上幸せになるとは思えない時、人は『今の生活が幸せだと答えるしかない。

というわけです。

読み進めるうちに、この国の現状は若者世代だけに特に厳しいわけでなく、どの世代にもまんべんなく世代内の格差があること、大多数の一般人にとって、老いていくほどに暮らしにくくなる社会であるということがはっきりしてきます。
まあ、既にみんなが気が付いていることではあるけど・・・・

私自身も将来のことを考えると気持ちが凹むポジションにいるので、何とかささやかな幸せを身近なところに作り、今の生活に満足しようと考えたりしています。中高年だって結構若者と似たような状況です。
でも「今の生活に満足していますか」と聞かれたら、「満足している」とは、まだ答えたくはない。
何が起こるか分からないのが世の中さ、って思っています。
今の若者たちの中から 10年先、20年先、日本を変えるような人物が現れないとも限らない。
若者を、いや若者だけでなく、国民を大事にする大人の国になっているかもしれない。
根拠はないけど、希望は持っています。

著者はクールなヤツなのか、ただの皮肉屋なのか、クールで皮肉屋なのか、最後にこうも言っています。

「『日本』がなくなっても、かつて『日本』だった国に生きる人々が幸せなのだとしたら、何が問題なのだろう。国家の存続よりも、国家の歴史よりも、国家の名誉よりも、大切なのは一人一人がいかに生きられるか、ということのはずである」

もろ手を挙げて同意はできないけど、最近やたら聞こえてくる「国益」「国益」って言葉をきくと、「国」より大事なのは「人」でしょ、って私も思います。

アンダー・コントロール

映画『アンダー・コントロール』
原題:Unter Kontrolle/2011年ドイツ映画

先日、ガーデンズシネマで映画『アンダー・コントロール』を観ました。
ドイツの原子力発電関連施設を3年間にわたり取材したドキュメンタリーです。
各原子力発電施設等を一つ一つ、ほとんど映像のみで、淡々と映し出していくだけなので、予備知識が無いと、ちょっとわかりにくい内容でした。
キャッチコピーが「映画で見る“原発解体マニュアル”」

ドイツでは2022年の原発撤退に向けて、着々と準備が進められているそうです。
巨大な原子炉を廃炉にしていく危険な作業の工程も冷静に見つめている映画ですが、じんわりとした恐怖が浸み出してきます。

この映画で衝撃的だったのが、「ワンダーランド・カルカー 」という遊園地のシーン。
運転中止になった原発を遊園地として利用しているのですが、冷却塔の上では高さが58メートルもある回転ブランコがぐるぐる回り、観客たちが歓声をあげる。悪夢とも思える光景なのですが、これはこれで原発の再利用になっているようです。


ワンダーランド・カルカー
高速増殖炉SNR-300(またはカルカー増殖炉)は、日本のもんじゅと同時期にドイツで初めて運転される予定だった高速増殖炉である。1985年に試運転を開始したものの、1986年チェルノブイリ原子力発電所事故をきっかけにそれまで継続していた反対運動がさらに勢いを増したことで、本格運転に至らないまま、ノルトライン=ヴェストファーレン州政府から運転許可の取り消しを受けた。さらに、建設コストが当初予定の18億マルクから80億マルク以上になり、原発推進の立場だった連邦与党のドイツキリスト教民主同盟は、1991年にコスト面の問題を理由に計画中止を発表した。ヘンニー・ファン・デル・モストが所有者である電気事業者から原子炉施設を買い取った後は、まず遊園地の整備が始まり、冷却塔の外壁がクライミングウォール、中央制御室がレストラン、タービン室がトイレ、消防隊室がボウリング場、そして原子炉建屋がホテルに改装された。プルトニウム燃料が入ることのなかった原子炉自体も、「原子炉内探検ツアー」が体験できるよう、底部に電飾を施して見学者を受け入れた。こうした経緯から、SNR-300をドイツの「脱・原発」の原点とみなす意見もある。
ウィキペディア「 ワンダーランド・カルカー」より抜粋

原子力事業は、続ければ続けるほど危険を上積みしていくだけ。
再稼働なんて言ってる場合じゃないです。
今優先される課題は、廃炉のための技術開発や放射性廃棄物の安全な処分。
それが、今回の原発事故への責任の取り方ではないか、と思うのですが・・・ 

レディオヘッドと「1984年」

「わたしはずっと恋焦がれていたのである。フジロックに。
どこかの山奥で、なにやら楽しげなフェスティバルが毎年開かれていることは、雑誌の記事等で知っていた。」
これは、奥田英朗のエッセイ「用もないのに」(文春文庫/2012年)の遠足編、「おやじフジロックに行く。しかも雨・・・・。」の書き出しです。youmonainoni
これを読んで私は、フジロックという日本最大規模の野外音楽フェスティバルがあること、しかも私が20代の頃好きだったニール・ヤングが出演したりもすることを、今年になって初めて知りました。

今年も7月29日、30日、31日の3日間開催されたようです。
そして今年はなんとレディオヘッドが登場!

1998年のある日「OKコンピューター」を聴いて以来、私はレディオヘッドのファンになり、それ以降アルバムを買い続けて、それ以前のものも全て手に入れ、なによりも新しいアルバムが出るごとにその音楽性が好きになっていく稀有な存在。
ファンとしてはフジロックに飛んで行きたいところでしたが、鹿児島県民にとって新潟県蔵王は遠すぎます。むしろ韓国の方が近い。
会場に入ってからも何万人の人波の中を泳ぐなんて、私にはそんなエネルギーはありません。若くないのです。

さて、レディオヘッド繋がりで、ジョージ・オーウェルの「1984年」をメモしておきます。
レディオヘッドの6枚目のアルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』の1曲目「2+2=5」は、この「1984年」にインスパイアされて作られたものです。
不安を掻き立てるような印象的な曲で、プロモーションビデオのアニメーションが、ちょっとエグい。 

「1984年」を読むと、なるほど、そんなイメージがある小説でした。

1984

 1984年[新訳版]  ジョージ・オーウェル

早川書房; 新訳版 (2009/7/18) 高橋和久 訳
内容(Amazon.co.jp 「BOOK」データベースより)
“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。

1949年に書かれた近未来小説です。和暦で言えば戦後まもない昭和24年。
約30年後の近未来、1984年(昭和59年)を舞台に書かれています。
1984年、世界はオセアニア、ユーラシア、イートネシア、三大国にまとめられ、この三国は常にどちらかの国と戦争状態にある。
オセアニアは極度に管理された全体主義社会であり、党の幹部、一般党員、プロール(貧民労働者)の三つの階層で構成され、常に「テレスクリーン」によって、党員たちは24時間監視されている。というのがおおまかな設定。党には、名前と実態が裏腹な4つの省があります。

  • 「平和省」・・・戦争の遂行。
    「豊富省」・・・不足する食料や物資の、配給と統制を行う。
    「真理省」・・・歴史記録や新聞を、党の最新の発表に基づき改竄する。
    「愛情省」・・・拷問担当。

全てが「二重思考」のもとに運営される社会です。
「二重思考」とは、「相反し合う二つの意見を同時に持ち、それが矛盾し合うのを承知しながら双方ともに信奉すること」
作品の中で幾度も繰り返される『2+2=5』。これも二重思考で考えると、2+2=4であることを知っているが、2+2=5であることが真実であることを疑わないこと、となります。

「二重思考」のほか、社会を管理統治しやすくする装置として、

  • 二十四時間監視する・・・「テレスクリーン」
    単純化された言葉・・・「ニュースピーク」
    仮想敵を想定して、これを憎悪させる・・・「憎悪週間」、「二分間憎悪」
    反逆者には拷問・・・「思考警察」、「非在人間」

などなど、作家の生み出した造語にはインパクトがあります。

作品の中で主人公ウィンストン・スミスはテレスクリーンの死角をみつけ、こっそり日記にこんな言葉を書きます。

自由とは2足す2が4であると言える自由である。その自由が認められるならば、他の自由はすべて後からついてくる。

恋に落ち、自由を求める主人公とその恋人。拷問による服従に「愛」は勝てるのだろうか?
語り尽くせない本です。読むべき1冊だと思います。
付録の「ニュースピークの諸原理」、トマス・ピンチョンによる28ページに及ぶ解説も必読です。
蛇足ながら、訳者あとがきによると、英国で「読んだふり本」第一位の本でもあるそうです。

「モダンガール論」斎藤美奈子

modrnモダンガール論/文春文庫
発行/2003年12月

米原万里著「打ちのめされるようなすごい本」で紹介されて知った本なのですが、米原万里さんも指摘している通り、タイトルで損をしているかもしれません。
読む前は、「大正時代のコギャル論」といったものを想像して、お手軽なサブカルチャー本かなと。

しかし、読んでみると、明治から大正、昭和、20世紀100年間の女性の歴史。驚きも感動も笑いもある痛快な一冊でした。これ以後、私は斎藤美奈子さんに嵌ってしまいました。

「女の子には出世の道が二つある。立派な職業婦人になることと、立派な家庭人になること」「颯爽としたキャリアウーマンと優雅なマダムのどっちが魅力的な人生か。結婚するのと仕事をつづけるのとどっちが得か。両方とも手に入れる良策はないか。片一方を断念したら損をしないか」という女の子の出世願望を、100年の歴史の中で見ていく。コンセプトは「欲望史観で女の子の近代を読む」です。
そしてモダンガールの定義は「欲するままに万事を振舞う女」「我慢しない女」

著者が膨大な資料を読み解き引用しているので、その時代時代の女性たちの生の声が聞こえてくる本となっています。その声は現代の私たちの悩みとも共鳴します。
たとえば「育児と職業の両立、職場の待遇差別から主婦の自立論」などなど、現代の私たちが直面しているような問題は大正時代からすでにあった。
しかし、そんな問題を声に出して訴えることができたのは、ほんの一握りの恵まれた女性だけ。「ブルジョア婦人のぜいたくな悩み」でしかなかったという。
ほとんどの平民女性は自分の人生など、どうにもままならない貧困の中にいました。
当時は「『性差別』よりも、『階級的な矛盾』のほうが、はるかに深刻だった時代」だったといいます。

現在を見渡してみると、「高度経済成長期」(1960年所得倍増計画から1973年第一次石油ショックまで)を経て、1980年代「国民の90パーセントが中流意識をもっている」と言われるまでになった日本ですが、バブルがはじけ、いまや経済格差社会。
21世紀はまた階級社会に逆戻りってことでしょうか?

後書きで著者は「21世紀の課題は、『出世を目指すか、出世から降りるか』である」と書いています。
社会経済の変化に、人の意識・思想は左右されてしまうものですが、まだ選択の余地があるだけ、私たちの祖先の時代よりマシかもしれませんね。

ところで、蛇足ながら、「結婚の条件/小倉千加子著」の中に「主人がなくなってからも、残された家族が30年間まったく働かずに食べられる家をブルジョアという」とあります。
ひえ~、です。

「山田 利喜子・押川 珠江  二人展」行ってきました。

sage「山田 利喜子・押川 珠江  二人展」行ってきました。
今年4月にオープンしたばかりのギャラリーセージ。
新たに鉄製の透かし看板が設置されていました 。これは通畠義信氏が制作したものとのこと。素敵ですねえ。

goods2皮革染色工芸作家の山田利喜子さんは、1973年頃より革工芸を始め、県内の公募展に出品し、南日本女流美術展で南日本新聞社賞を受賞した実力派です。
これまで個展やグループ展を多数開催、参加されてきた方ですが、ここ数年は家庭の事情により活動休止中でした。今回は久しぶりの作品展となりました。しかし今後またしばらく休眠するとのことですので、ぜひこの機会に多くの方にギャラリーを覗いて欲しいと思います。
当サイトでも紹介しています。こちらもご覧ください。
http://art-container.net/galleries/kawa/
bag02バッグのほか、ランプやお財布、革のコサージュなどの小物も出品されていましたが、なんといっても個性的なバッグが目を引きますね。デザインも染色も個性的。手に持ってみると、かなり軽く使い勝手も良さそうです。bag04

いつだったか、だれが言ったのだったかは覚えていませんが、こんな言葉をききました。
「どんなバッグを選ぶかは、どんな恋人を欲しがるかと同じだ」
そして「自分のバッグをどう扱うかは、恋人に対する扱いと同じだ」とも。
それを聞いたとき、私は妙に納得したものです。
街を歩いてみると、見事に皆それぞれ異なるバッグを手にしています。
エコバッグやスポーツ、旅行などの実bag03用的なバッグは別として、普段身に着けるバッグはデザインや色、柄が違う一点物売りが当たり前の商品ですね。実用性を最優先にするか、自分に似合う、自分にぴったりのバッグを探し続けるか、あるいは多くの人が絶賛するブランドもののバッグに憧れるか、紙袋でもOKか、もしくは何も持たない手ぶらの気楽さを好むか、人それぞれですが・・・。

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huku04話しがそれました。
「2人展」のもう一人の主役、押川珠江さんは、大島紬などの和服地で仕立てた、〝小粋な”という表現がしっくりくるコートやジャケットなどを出品しています。鹿児島市在住。自宅アトリエで注文仕立てをされている方です。
今回、「戴きものの生地を使ったから」という理由で、贅沢な素材にもかかわらず、お手頃価格で出品されていました。

案内状に掲載していた黒のトレンチコートは早々売れてしまったようです。

山田利喜子さんの新作バッグも、既に数点売れている状態で目にすることができず、それが残念でした。

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山田 利喜子さんと押川 珠江さんによる二人展。
秋を奏でるためのバッグ&コート

11月9日(金)~11月20日(火)
(水・木曜日はお休みです)

ギャラリー セージにて

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山田 利喜子・押川 珠江  二人展

59-1山田 利喜子さんと押川 珠江さんによる二人展が開催されます。

秋を奏でるためのバッグ&コート
11月9日(金)~11月20日(火)
(水・木曜日はお休みです)
ギャラリー セージにて

(11月が近くなったら案内状をアップしようと早くから準備していたのに、11月はもう3日も過ぎてしまいました。
ホントにウカウカしていられない…秋です。)

短歌・小西 啓の二冊の歌集について

♦  いつかまた
     出会えるような雰囲気を
     自分はいつも残せずにおり

♦  雑踏の中で
     見つけた真実か
     俺も他人の足を踏んでおり

♦  急激に悲しくなりき
     反抗期終えてしまえば
     何もない俺

『こうしなければ生きていけなかった』より

10数年前、地方新聞に載った上記の短歌3首をたまたま目にして、小西啓さんという歌人を知りました。ずっと心に引っかかっていて、だいぶ経ってから二冊の歌集を購入しました。
あまり知られているとは思えない歌人なので、少し紹介してみたいと思います。

《プロフィール》

1976年11月4日、京都に生まれる。
14歳の頃より独学で作歌を始める。
高校1年生の秋、学校が嫌になり休学。単身北海道に渡り、酪農家の元で牛の世話をしながら半年間過ごす。復学後は、親元を離れて安アパートを借り自活しながら通学する。卒業後、書きためた短歌ノートを手に上京。アルバイトをする傍ら、自作の原稿を出版社に売り込み続け、20歳の時に『恋人よ、ナイフを研いでくれないか』(発売・星雲社/発行・ 創栄出版 1997年5月)、
その翌年には『こうしなければ生きていけなかった』(発行・現代思潮社 1998年6月)を刊行。

「意志ばかり生む夜」著者略歴より
(2000年12月発行無明舎出版)

『こうしなければ生きていけなかった』は1998年、21歳の頃に出した小西啓さんの2冊目の歌集です。
捨てた故郷に向けて詠まれた歌の数々。
親に背いて親を想い続け、友を拒みながら友を求めている。
居心地の良い場所からは、いつも立ち去り、
光を求めているのに、暗い狭い道を選んで歩く。
社会に順応できない、人に馴染めない、自意識過剰でナルシストで甘ったれで、いじけていて、まるで、そのまんま21歳の頃の自分みたい、と遠い昔を振り返らずにはおれない中高年の方も多いのではないかと思います。もちろん私も。

♦  日が落ちて家に灯がつく気味悪さ
       裸電球
       風もなく揺れ

『こうしなければ生きていけなかった』より

『意志ばかり生む夜』は24歳の時に出版。東京の暮らしに慣れ、「不意の寂しさに立ち寄る場所」を見つけたり、反面、思うように短歌が作れないもどかしさも歌われていたりします。

♦  一日の終わりはどこにあるのだろう
        夜は長くて意思ばかり生む

♦  脱サラのサックス吹きが
        高架下
        出だしの音を繰り返す街

♦  立ち去るのが好きな奴らが
        とどまりて
        リキュールの夕日眺めていたり

『意志ばかり生む夜』より

キラキラ輝く昼と、惨めで孤独な夜を持つ青春。
地味さや暗さを恐れる若い時分には、共感したとしても認めたくない歌かもしれません。
もう少し派手なエンターテインメント性がある手段を選んでいれば、若者受けしたかもしれません。
しかし、小西啓さんは、自己表現の手段として、「短歌は回りくどくなくて、性に合う。」と書いています。


俺は短歌を書く。
十四歳の夏からだ。
短歌は、短い言葉と定型で自己を表現する。
回りくどくなくて、性に合う。
この歌集は、俺の物語の断片だ。俺のすべては説明できない。
日ごと夜ごと創作に没頭するが、朝になれば俺はもうそこにはいない。
だが、
それらの日々の作品を一つ一つ結んでいくと、最後に何かが現れてくる。
まるで、煤けた壁に落書きされた、哀れな自画像のようなものが。
俺の歌集は、それだ。

 『意志ばかり生む夜』より

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「詩とことば」荒川洋治

sitokotoba「詩とことば」 荒川洋治


発行:2012年6月 岩波現代文庫
知らないうちに私たちは、生活のなかで、詩のことばを生きている。しかし、詩とは、なにをするものなのか?その意味を考えることは、私たちと世界とのあたらしい関係をひらくことにつながっている。詩をみつめる。詩を呼吸する。詩から飛ぶ。現代詩作家が、詩の生きる時代を照らしつつ、詩という存在について分析する。
(背表紙から)


近年、詩がメディアに登場し話題になった出来事と言えば、昨年の東日本大震災のあと、企業CMの代わりにテレビで流れたACジャパン(旧公共広告機構)のCMが思い出されます。金子みすずの『こだまでせうか』や、宮澤章二の『行為の意味』という詩を、毎日何度も耳にしました。
あまりに大量に流されたため、ACジャパンはヒンシュクを買ったけど、ネット上、特にツイッターなどでは詩のパロディが競い合うように次々と出回ったり、「それぞれを収録している詩集がAmazon.co.jpでベストセラーランキングで上位を獲得した(ウィキペディア「ACジャパン」より抜粋)」りして、詩のことばが多くの人の心を動かしたのも事実です。
子どもに言ってきかせるような、分かり易さが受けたのでせうか?

しかし、まあ、それも、一時のブームだったかもしれません。
私の主観ですが、詩はこの21世紀において、割と居場所がないような気がしています。
私の、今までのどの職場でも、詩の話で盛り上がったことは、まずなかったし、普段の日常会話でも、詩はおしゃべりには向かない素材です。
休憩時間や仕事の合間に、現代詩について語り合う職場・・・・そういう場面を想像してみると、詩が好きな私でも、楽しいというより、なんだかちょっと鬱陶しい気がします。
何故、そんな風に思うのでしょう。

「詩とことば」の冒頭で荒川洋治さんは、
「詩にはことばのうえ、かたちのうえで、いくつかの特色がある。それらは読む人に楽しみと喜びを与えるいっぽうで、負担や不安を感じさせることもある」
と書いています。本当にその通りだなあと思います。
何故、詩が負担や不安を感じさせるのか。
詩には、一行ずつの順序で進んでいく行分けというスタイルがありますが、これが読む人になじみにくいものだといいます。

「詩のかたちをしたものは、なじみにくいものなのである。それはなぜか。行分けには、作者その人の呼吸の仕方がそのまま表れるからである。その人のもの、その人だけのものだから他の人はその人の呼吸に合わせることはできない。それが壁になるのだ。」

なるほど、詩を読んでいて、何となく絡みづらい人と話しているような気分になるってことありますね。逆を言えば、心にすっと入ってくる詩というのは、無理せずに話ができる人に出会ったような、そんな気持ちよさがあります。

この「詩とことば」にはいくつかの現代詩が取り上げられていますが、その中から短い詩をひとつ紹介します。


「五十年」
                    木山捷平

濡縁におき忘れた下駄に雨がふってゐるやうな
どうせ濡れだしたものならもっと濡らしておいてやれと言ふやうな
そんな具合にして僕の五十年も暮れようとしてゐた


「2人展」行ってきました。

ただ今「ギャラリーセージ」にて、通畠義信さんと通畠朋子さんによる「2人展」が開催されています。
開催期間 7月13日(金)~24日(火)
開催時間 11:00〜18:00(定休日:水・木)

sage「ギャラリーセージ」は今年4月にオープンされたばかりのギャラリーです。
私は昨日初めて訪れました。

城西2丁目、大通りから1本脇道に入った閑静な住宅街の一角にあります。
周囲には鹿児島高校、西警察署、城西中学校、鹿児島環境未来館など、目印になる施設が多いので、極度の方向音痴の私でも大丈夫、地図どおりにたどり着くことができました。

tetu09今回、通畠義信さんの作品は、鉄のキャンドルスタンドがメインです。
手のひらサイズから、1m以上(目測)の高さのあるもの、壁に掛けられるタイプなど、大きさも形もさまざま。
鉄のキャンドルの他には、石と鉄のコンビネーションのオブジェや、彩色を施されたユニークなオブジェが展示されていました。tetu01

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通畠朋子さんの版画は、当サイトに掲載している「POCKET物語 シリーズ」と、その他、まだご紹介していない、というか、私も初めて目にする作品が多く、嬉しかったです。
いずれ額なしの状態の写真データをいただいてから、「銅版画」TOMOKO・T・TORIBATTA に掲載したいと思います。hanga02

今回、私が写真をうまく撮ることができなかったため、ここでの紹介もままならないので、是非、ギャラリーにて、多くの方に実際の作品をご覧いただきたいと思います。
ユニコーンが二人、特別参加です。
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「ギャラリーセージ」
水曜日、木曜日は休館日です。
〒890-0041   鹿児島市城西2丁目10-22
TEL;099-210-5802

「2人展」開催のお知らせ

52-1鉄の作家、通畠 義信さんと版画家、通畠 朋子さんの「2人展」が、今年4月鹿児島市城西2丁目にオープンしたばかりのギャラリーセージで開催されます。
“鉄”と“紙”。異なる素材の作品展、楽しみです!

開催期間 7月13日(金)~24日(火)
開催時間 11:00〜18:00(定休日:水・木)

「ギャラリーセージ」
〒890-0041   鹿児島市城西2丁目10-22
TEL;099-210-5802

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facebookのタイムラインに広告が表示される!解決

突然、Facebookのタイムライン上に広告が出るようになりました。
通常、スポンサー広告はFacebookページ右サイドに表示されるものですが、タイムラインの中で、カバー写真の下側とか、投稿記事と同じ並びにどっかりと、サプリメントの広告や、何かのソフトのダウンロードボタンとかが現れました。
またまたFacebookの仕様が勝手に変わっちゃったのか?それにしてもタイムラインの中に表示するのはやり過ぎだよね、と思いつつよくよく見てみると、広告の下には「ads not by facebook」の文字が・・・・
Facebookが配信した広告ではないって、いったいどういうこと?

検索してみると、これはFacebookの仕様とは全く関係なく、私のPC側に問題があると分かりました。
つい最近、フリーソフトをダウンロードした際、勝手についてくるツールバーや悪影響のあるソフトを迂闊にも一緒にインストールしてしまったのが原因。
それらを削除したら、広告も出なくなりましたので、以下にメモしておきます。

①「Babylon Toolbar(バビロンツールバー)」を削除する。
英語サイトを読みたくて「Babylon 」という翻訳ソフトのお試し版をインストールしました。その際、「Babylon Toolbar」をインストールしますか?と聞かれたような気がするけど、スルーして次へ次へとインストールしてしまいました。結果、不要なインターネットツールバーが表示されるようになってしまいました。

「Babylon Toolbar」を削除するには、PCの「プログラムの追加と削除」でBabylon本体と、myBabylon_English(他の名前だったかも)という二つのソフトをアンインストールすればよいのですが、それだけでは完全に削除することはできないようです。ツールバーは残ってしまいます。
ツールバーを完全に削除するには、
Internet Explorerの場合→[ツール]→[アドオンの管理]→[検索プロバイダー] と開いて、「アドオンの表示と管理 」画面で「Babylon Toolbar」を選択して削除します。
下図のようにツールーバーの検索ボックス脇から「アドオンの表示と管理 」画面を開くこともできます。

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②「i want this」を削除する。
「Babylon Toolbar」以外に悪影響のあるソフトを入れていなければ、「Babylon Toolbar」を削除することでFacebook上の不要な広告も消えてくれるようです。
私の場合は「Babylon Toolbar」を削除したところで、広告が消えてなくなり一安心したのもつかの間、翌日にはまた広告が現れてビックリです。
他にも何かイケナイソフトが入っているようだと、「プログラムの追加と削除」を再度チェックしてみると「i want this」という、覚えのないソフトが入っていたので、これを削除しました。
そこでようやく、広告は表示されなくなりました。

「i want this」はネット上に広告を表示したりするアドウェアだそうです。
自分の意思でインストールしたものではないけど、「ああ、あの無料素材をダウンロードした時、一緒にくっついてきたのかなあ」と覚えがないわけではない。
「Babylon Toolbar」や「i want this」以外にも影響するソフトが多々あると思います。
これからは、ソフトをインストールする際、ちゃんと画面を見て「次へ」ボタンをクリックします(当然のことですが・・)。信頼のおけないサイトからむやみにフリーソフトをダウンロードするのはやめます。そういったところから手に入れたソフトや素材って、結局は使わない、使えない、ものだったりしますね。

「結婚の条件」小倉千加子

「結婚の条件」小倉千加子/朝日新聞社
発行/2003年11月

以前、斎藤美奈子さんの「モダンガール論」を読んで、女性史というジャンルに興味を持ったのですが、その斎藤美奈子さんが「本の本」で以下のような書評を載せていたのが、小倉千加子著「結婚の条件」。

kekkon女性の憧れをかきたてるカリスマミセスにもはやりすたりがあるらしく、ハイソ系の君島十和子の次に来ているのはナチュラル系の雅姫である。(・・中略・・)ままごとみたいな家庭生活の一端を見せるのが、いわば彼女の仕事であり、ロンドンやパリへの取材も娘同伴。それで麻と木綿と毛糸が好き、とかいってんだからいいわよねと凡人はひがむ。
にしても、なぜこんなカリスマミセスが次々登場してくるのか、そんな疑問にズバリと答えてくれるのが小倉千加子『結婚の条件』だ。(・・中略・・)男は収入、女は容貌。結婚とはカネとカオの交換だと小倉はいいきる。
「本の本/斎藤美奈子」より抜粋

カリスマ主婦ねえ。なんでそんなのが受けるのか、私も不思議に思っていました。
この本は、女性の結婚観の変遷を検証し、現在の晩婚化、少子化の原因を読み解く、真面目でちょっとミーハーな学問書です。
本にはたくさんの女性が登場しますが、その一人、ある未婚女性ディレクターはきっぱり言います。
「女は真面目に働きたいなんて思っていませんよ。しんどい仕事は男にさせて、自分は上澄みを吸って生きていこうとするんですよ。結婚と仕事と、要するにいいとこどりですよ」
平成の未婚女性も、昭和に結婚して現在中高年となった既婚女性も、「分かる、分かる」と頷ける現実が、ある意味身も蓋も無い本音が、満載の本です。

先日、小学2年生の双子女児と、映画「ジョン・カーター」を観ました。
この映画は100年前に書かれた、南北戦争の元南軍騎兵大尉ジョン・カーターが、火星のプリンセスを救うため、異星人たちと戦う勇者の物語です。
映画を観終わったあと、双子姉がポソっとつぶやきました。「男って女のために頑張るんだね」
恐るべし、7歳児。見るところは見ている。

この子が結婚する時代には、どんなことが「結婚の条件」になっているのか、気になります。
小倉千加子さんは、日本は晩婚化国、少子高齢国というより、将来は非婚国に移行していくと予想していますが、果たして?

まあ、どんな時代であろうと、勇者は 「上澄みを吸って生きていこうとする女」を、わざわざ命をかけて救いには来ない。それに、火星のプリンセスだって「絶世の美女で、勇気と情熱のある戦士」という設定だし。

原発再稼働本当にするの?

定期検査で停止中の関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)は、関西電力の安全計画について、「おおむね適合している」と認定され、政府は再稼働に向けてGOサインを出したようです。

野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相らは13日の協議で、関西電力大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働が必要との判断で一致し、福井県に協力を要請することを決めた。枝野経産相が14日午後、福井県に入り西川一誠知事やおおい町の時岡忍町長らと会談する。地元の同意が得られれば、首相らが改めて協議し再稼働を最終決定する。 
2012.4.13産経ニュース 「大飯原発再稼働を容認、地元に協力を要請へ」

 福島の原発事故から一年も経てば、喪が明けたとばかりに原発再稼働の話が出てくることは予想していましたが、福島の事故の後始末もできていない状態で、いまだ多くの避難生活者がいる現状で、原子力発電所の安全性の確認ができたなんて、戯言に過ぎない。
原発事故直後からこの一年間、東電や政府の対応を見ていれば、東電も政府も住民を守ることは二の次で、「理念なき政治」の茶番劇を見せつけるだけです。
はっきりしていることは、今の日本には原発を使いこなす技術が無いということです。しかももっと悪いことに、原発を稼働するほどに増殖する、高レベル放射線廃棄物を処理する技術も持っていない。

なのに大飯原発の再稼働を容認するなんて、またも、「事故は起こるはずがない」という想定で安全神話を押し通す気ですかね。
その安全神話と矛盾する話ですが、原発は電源三法で「人口が密集する大都会周辺に、危険な原発は作れない」という理由から、過疎地につくることが義務づけられているそうです。

過疎地だからこそ、原発のある自治体の住民から、再稼働を望む声があります。
原発事業が撤退すれば、地方自治体への巨額の電源三法交付金、助成金、住民の働く場所など、今まで原発から受けてきた恩恵を無くしてしまう。
原発関連企業のおかげでやっと生活している住民にとって、働く場所を無くすことは死活問題だってことも分かります。
しかし、非情な言い方をすれば、原発の受け入れを選択する際には、原発事故や電力会社の撤退や倒産といったリスクを想定していて当然だと思う。

民間の零細・中小企業なんて、いつだって倒産のリスクを抱えている。
民間の零細・中小企業に政府が税金を投入して守ってくれるようなことはありえないし、倒産した会社の失業者には、失業手当が早目に出る、給付期間が延長される、といった程度の行政支援しかない。
ガン患者は、手術はもちろん治療の一つ一つに、死や後遺症、副作用のリスクに同意する選択を積み重ねて、毎日を送っている。
 個人レベルでは、どんな選択にも自己責任がついて回る。

こういうと、電力事業と零細・中小企業や個人とでは、倒産したときに影響を受ける規模が違う、と言われるでしょう。
原発を無くすことは、一会社の従業員が失業するだけじゃない。無数の関連会社や電力供給を受けられなくなる、都会への影響も計り知れない、と言うかも知れない。

私が原発に反対する理由もそれです。倒産よりも事故を起こした時の影響の方が甚大で、日本だけでなく世界規模で損害と取り返しのつかない犠牲を強いることになるから。
個人レベルはおろか国レベルでも負いきれないリスクがあり、事故は決して起きないなんて安全神話を信じるフリなどしてはいけない。

是非下記のサイトも見てほしい。

ご当地キャラ「薩摩剣士隼人」!

昨日初めてその存在を知ったのですが、鹿児島のご当地キャラクター「薩摩剣士隼人」が面白いらしい。
日曜日朝6時15分からテレビ放映しているとのこと。
日曜日朝6時15分はキツイので、YouTubeを見てみました。

YouTubeはこちら→「薩摩剣士隼人 第1話 だいやめをすっど!」

子ども向けの番組にしては、バリバリの鹿児島弁!時間帯を考えると、トイナモン(鹿児島弁で“お年寄り”のこと)を対象にしているのか?
とばかりも言えず、最近は方言を見直そう、語り継ごう、という動きが全国的にあって、小学校では「方言教育」もひろがっているそうです。

ふりかえってみると、私が小学生だった1960年代は「標準語教育」一色でした。学校も親も方言矯正に躍起になっていたものでした。
何しろ、ほとんどの子どもたちが就職や大学で都会を目指すのが当然、というか「地元には企業も夢もない。出て行ってこそ立身出世よ」という風潮だったから、いずれ都会に出て行く子どもたちが言葉で恥をかかないようにという親心で、「標準語教育」は始められたのだと思います。
しかし、そこには「方言は恥ずかしい」という発想があったわけですから、私なんて大人になっても抜けない言葉の訛りがコンプレックスになったことも否めません。

あの頃は中央集権時代。今は地方分権が声高らかに叫ばれている時代。
時代が変われば教育も変わるわけです。

それはさておき、ご当地キャラってたくさんあるんですねえ。
ヒーロー系だけでも一部挙げると、

かごしまPRサポーター「さくらじまん」。
鹿児島県警「チェストくん」。
ローカル戦隊ヒーローの草分け「離島戦隊タネガシマン」(これは、SMAPと共演しているのを見ました)。
奄美大島からは「ハブレンジャー 」(「琉球戦隊!ハブレンジャー」とキャラがかぶっています)。
地球温暖化防止には「時空機動隊ハヤト」(見たことないなあ)
鹿児島県税務課からは「自動車税をおさめ隊」(プリキュア路線のキャラみたいです。)

などなど19キャラありました。(ウィキペディア「九州地方のローカルヒーロー一覧」参照

そのほか、ゆるキャラ系では「裁判員制度」普及に務める「かちけん君」、WeLove天文館の「てんてん」、枕崎市からは「ブエンマン」、鹿児島県茶生産協会の「茶々丸くん」…..まだまだ他にもあるようですが、greboo私の一押しはなんといっても「グリブー」 !
羽飾り風に葉っぱをあしらった顔に、 きりりとした眉(イモト似!)が印象的。

全国的には1600キャラ以上あるようです。(「ご当地キャラカタログ」参照)。
いやあ、すごい数ですね。「ご当地キャラ、スタンプラリーの旅」とかあったら、全国津々浦々旅ができそうですね。

自由葬でお願いします

昨年末に引き続き、冠婚葬祭についてこだわっています。
「冠婚葬祭」の”冠”と”婚”に関しては、成人式には出席しなかったし結婚式も挙げなかったし、今までもこれからも私個人には関係のないセレモニーです。
今後私に関係してくるのは人生最後のセレモニー、私自身の葬式です。自分の葬式にはこだわってみたい。

「葬式なんてそうこだわるものでもないでしょう。世間並みにしてくれればいい」と考える人には、全くどうだっていい話ですが、私にとっては最後の自己表現、ささやかな抵抗。どうか世間並みにはしないでくれ、と言いたいのです。
黙って死んでいくと、間違いなく世間並みの葬式になっちゃいます。

「世間並みの葬式」とはどういうものか?
現在の日本の場合、90%以上は仏式で執り行われるようです。
今まで私が列席した葬式も、ほとんどは仏式。たまーに神道あり、でした。
「信教の自由」が憲法で謳われているにも関わらず、この国にはこんなにも仏教徒が多いのか!と驚きます。
しかし実態は、

「現代の日本人の大多数は、実際にはいわゆる宗教儀礼に参加してはいるものの、特定の宗教組織に対する帰属意識は薄く、自分のことを「無宗教」と考える日本人も多い。これは日本人が神や仏を否定しているわけではなく、何かしらそれなりに信じているが、特定の宗教組織に全人格的に帰属してはいないということである。出典《ウィキペディア/日本の宗教》」

とあるように、たいていの人は「無宗教者」であることを自覚しながらも、「世間的なしきたり」として宗教儀礼を受け入れているのが実情でしょう。

それにしても、何故葬式は仏教なのか?
「冠婚葬祭のひみつ/斎藤美奈子」によると、元来仏教は葬送儀礼を重視する宗教ではなく、葬式は村社会が執り行うことが一般的でしたが、寛永十二年(1635年)頃から、お寺が葬式に関与する傾向が強くなったという。

「すべてのはじまりは、1635(寛永12年)ごろ、江戸幕府がキリシタンの弾圧のためにもうけた寺請制度である。日本人全員を近くの寺に帰属させ、寺には寺請証文(キリシタンでないことを証明する身分証書)を発行し、宗門人別帳(各人の宗旨と檀那寺を記した一戸ごとの住民基礎台帳)に捺印する権限を与える。」

寺請制度以降、僧侶が寺に定住するようになり、自分とこの檀家の葬儀や法事を営むことで定期的な収入を得られるようになり、布教の必要もなくなり、そして

「寺請制度が確立した1700年頃には、位牌、仏壇、戒名といった制度が導入され、葬式には必ず僧侶が関与しなくちゃダメとか、戒名をつけろとか、何年かごとに年忌法要をやれといったルールが設けられた。」

つまり、このころから葬式はビジネスとして育てられてきたのでしょう。

「世間並みの葬式」には、自動的に戒名がついてきます。
戒名は本来、「仏門に入った証であり、戒律を守るしるしとして……多くの場合、出家修道者に対して授戒の師僧によって与えられる/ウィキペディア:戒名」というもの。
しかし葬式さえすれば、故人に生前信仰があろうがなかろうが、戒名が与えられます。これがまた料金によってランク付けがあるという困ったしろもの。
グレードの高い戒名にすると、あの世で何かいいことがあるとでもいうのかしら?
死後の世界も現世同様格差があるってわけだろうか?
人間死んだら皆平等ってわけにはいかないの?
遺族にしてみれば、グレードの低い戒名、つまり安い仏門入門証を購入することは、故人をないがしろにしているような気になったりするし、「戒名は結構です」とも言いにくい雰囲気が、「世間並みの葬式」にはあります。

故人と生活を共にしていた家族であれば、故人が生前「葬式はこういうのがいい」と言っていたことなどを考慮して、精一杯故人の趣向に沿った葬式になるようにしたいと思う。
しかし、葬式に関しては結婚式ほどには好き勝手できない。ことに宗教色の無い葬式(自由葬と呼んだりするらしい)は、まだまだ市民権を得てはいないようです。
「私の葬式には、お線香も玉串も十字架も要らないから。」
と娘に頼んだところ、「それらを全て文書で残して欲しい。できたらFacebookで。」と言われました。
「母の遺言により、このような葬儀スタイルになりました。」と説明しなければ、「こんな葬式をするなんて、なんて親不孝な!」と世間に非難されるのは、残された子供たちだと言うのです。

そんなわけで、自分の葬式にこだわるなら、遺言状を準備した方が良さそうです。いえ、遺言状というとちょっと物々しい。まあ「私の葬式についてのお願い」という程度のことを、今年はFacebookに残しておこうと考えています。


「冠婚葬祭のひみつ/斎藤美奈子」「日本人のしきたり/飯倉晴武」

仕事納めの28日夜から風邪を引き、貴重な正月休みも台無しになっています。
起きているのも辛いが、寝てしまうには哀しい大晦日の夜。せめてブログの一つも書いておきたい。

最終日までついていない今年一年を振り返ってみると、春から、お葬式やお墓、宗教について考えさせられるいくつかの祭事があったため、関連した本を数冊読みました。
その中で面白かった2冊をメモしておきます。
kankonsousai「冠婚葬祭のひみつ」斎藤美奈子/岩波新書


冠婚葬祭、それはきわめて不思議な、そしておもしろい文化である。
まれにしかないビッグイベントだからだろう、冠婚葬祭に遭遇すると、人はみな、そわそわと浮き足立つ。日頃は気にもしない「しきたり」「作法」「マナー」「常識」「礼儀」などが急にパワーを発揮するのも冠婚葬祭。日頃は信じてもいない宗教が急に必要になるのも冠婚葬祭。日頃は忘れている「家」の存在を強烈に意識するのも冠婚葬祭だ。(「はじめに」より抜粋)


私は無宗教者である上に、「しきたり」「作法」「マナー」「常識」「礼儀」という言葉自体に、軽く拒絶反応を持つ者です(ついでに言えば「品格」なんてのも)。
こんな私でも社会生活を営む以上完全に避けることのできないのが「冠婚葬祭」。
そして何故かしら、親戚付き合いにおいてもめごとの種を生み出し、火を点けるのも「冠婚葬祭」の場。

そもそも最初にその、「作法」や「マナー」とかを思いついたのは誰なんだ?冠婚葬祭の「常識」とか「礼儀」とか、いったい誰がどうやって決めているの?って疑問に思いませんか?

気持ちをカタチであらわしたものが「作法」「マナー」になっていくんでしょうけど、それが「しきたり」となっていくと、何故かしら気持ちよりカタチが大事と押し付けがましくなっていくように思います。
この本は、「しきたり」に逆らうのは難しい、と思っている方が読むと、ちょっと気楽になれる1冊 です。

sikitari もう1冊は、
 「日本人のしきたり」飯倉晴武[編集]/青春新書

日本人の信仰のルーツや人生の節目節目で執り行われる行事の由来やしきたりなどを、簡潔に、また、中国や韓国から移入された思想や宗教が日本的にアレンジされ、時代の変遷とともに廃れたり、形を変えていく様をさらりと、紹介しています。

「正月行事のしきたり」の項を読むと、「初日の出」を拝む習慣は、古来からの習慣かと思っていたら、意外と近年に始まったことのようです。
おせち料理はもとは正月料理ではなかった」とか、「年男とは、もともとは、正月行事を取り仕切る男のこと」とか。
クイズ番組で出題されているようなトリビアが満載ですね。

年末最後の大晦日は、「新年の神様である年神様が来るのを、寝ないで待つ」のがしきたりだそうです。でも、もうこれ以上起きて居られない。年神様を万全の体調でお迎えできなくて残念です。

皆さまはどうぞ良いお年をお迎えください!!

「本の本」斎藤 美奈子

honhon最近、“斎藤美奈子”に嵌って、ブックオフで見つけるや必ず購入しています。
きっかけは、『打ちのめされるようなすごい本』(米原万理/文春文庫)の中で米原万理さんが「斎藤美奈子の本は全部読んでいる」とファンぶりを披露していたので、じゃあ、私もちょいと1冊読んでみるかと『モダンガール論 』に手を出したのが始まり。
気が付くと
『誤読日記』
『読者は踊る 』
『物は言いよう』
『冠婚葬祭のひみつ』
『それってどうなの主義』
文章読本さん江
『妊娠小説』
『文壇アイドル論』
『文学的商品学』
と読み続け、もう一冊、あと一冊、もう無いのか?もっと読ませろ!と酒乱気味になっていました。
文庫化されている作品が少ないせいか、売れっ子作家ではない(たぶん)せいか、大型書店でも棚に無く、取り寄せ扱いの物が多く、結局はアマゾンで中古本を購入。 ついに、コップ酒じゃあ満足できず一升瓶をラッパ飲みするアル中(実際にはこんな人見たことないけど)さながら、厚さ5cm、ページ数にして730ページの『本の本』まで手に入れてしまいました。 そしてそれを一気読み・・・というわけにはさすがにいきませんでしたが、読んでいる間の数日間の楽しかったこと。気持ちよく酔わせていただきました。

『本の本 1994-2007』(筑摩書房 2008年)は、斎藤美奈子さんが「1994年7月から2007年3月まで、新聞、雑誌など各種媒体に発表した書評および読書エッセイの詰め合わせ」というものです。
『本の本』の索引をもとに私が数えたところ、この本の中で名前が挙がった作家の数は633人。(数え間違いがあったらお許しください。)
取り上げられた作品数は、面倒なので数えませんでした。

私は新聞を取っていないし、最近では雑誌もめったに読まないので、「書評欄」というものを目にする機会があまりありません。だから「新聞や雑誌の書評欄なんて、評論家が出版社や作家の意向に沿った提灯記事を書いているに過ぎないのだろう」てな冷めたイメージを勝手に持っていたのですが、世間知らずでした。

斎藤美奈子さんは小説・随筆はもとより、学問書、歴史書、文化論、文化史、趣味・教養系と幅広いジャンルの大量の本と一冊一冊、真摯に向き合って、その作品の上っ面を読んだだけでは見えてこない面白さを的確な言葉で読者に伝え、ここまで言っていいのか?仕事が来なくなるのではないか?と読者が心配になるほどの毒舌でもって作品のダメだしをビシバシとやってのける。この毒舌が痛快です。くせになりますよ。

それにしても、仕事とはいえ大変な読書量です。 日頃私は”趣味は読書”なんて放言していますが、この『本の本』の中で、読んだことのある本はたった12冊でした。
『平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺信彦博士、並びに、』(石黒達昌/福武書店)という奇抜なタイトルの本が存在することにも驚きました。
聞いたこともない作家名も盛沢山。 すぐにでも読んでみたい気になる本も20冊ほどリストアップできて、収穫の多い1冊となりました。

私ではこの『本の本』の魅力を十分にお伝えすることができないので、興味のある方は『松岡正剛の「千夜千冊」遊蕩編』(1927夜)を読まれることをお勧めします。
※『松岡正剛の「千夜千冊」遊蕩編』(1927夜)ページはリンク切れとなっています。
『松岡正剛の「千夜千冊」』サイトはこちらから(
https://1000ya.isis.ne.jp

山頭火著作集Ⅳ

引っ越し前整理をしていると、押入れの天袋や階段下の物入れから何年も開いたことのないクリアケースや紙箱が出てきました。
中に何が入っているか、開けてみるまで思い出せない大小の箱。
子供たちのへその緒や母子手帳や予防接種記録カード、七五三の着物、保育園のランドセル、帽子、絵、工作物、落書き、「母の日」の造花のカーネンション・・・ほとんどが子育て時期の品々だったりして懐かしい思い出を喚起されたりするわけですが、中には全く思い出につながらない不思議なモノもあります。

たとえば手書きの地図が書かれた紙切れ。数本の線だけで描かれているので、どこへ行く地図なのか、誰が描いたものなのか、何よりも何故捨てずにしまっておいたのか知りたいけど、もはや何一つ思い出せません。
引っ越し前整理は記憶の発掘作業です。

とっくに捨てただろうと思っていた紙切れも出てきました。
クリップで止めたメモ用紙7枚。びっしりと“山頭火”の句が書き込まれています。
日焼けして判読できない文字さえあります。
そうそう、70年代後半は“山頭火”ブームだった。たぶん。
少なくとも私の中ではブームだったようです。ロックが流れる居酒屋で、誰からか「山頭火著作集Ⅳ」を貸してもらい、それを小さなメモ帳にびっしりと書き写したのでした。
その句を数えてみると、なんと126句!
全部書き写す気だったのか?と若いころの自分に問い質してみたいところです。

以下に126句の中から迷って迷って今の気分で選んだ30句を。

山頭火著作集Ⅳ

種田 山頭火

分け入っても分け入っても青い山
この旅果もない旅のつくつくぼふし
笠にとんぼをとまらせてあるく
まっすぐな道でさみしい
雪がふるふる雪見てをれば
また見ることもない山が遠ざかる
百舌鳥啼いて身の捨てどころなし
どうしやうもないわたしが歩いている
誰か来さうな空が曇ってゐる
すわれば風がある秋の雑草

さてどちらへ行かう風がふく
悔いるこころに日が照り小鳥来て啼くか
遠山の雪も別れてしまった人も
いつでも死ねる草が咲いたり実ったり
月夜、あるだけの米をとぐ
よびかけられてふりかへった落葉林
ここまで来し水を飲んで去る
ふっと影がかすめていった風
何を求める風の中ゆく
天の川ま夜中の酔ひどれは踊る

日ざかり赤い花のいよいよ赤く
夕焼雲のうつくしければ人の恋しき
水がとんぼがわたしも流れゆく
しんじつ一人として雨を観るひとり
何を待つ日に落ち葉ふかうなる
風は何よりさみしいとおもうすすきの穂
風の中おのれを責めつつ歩く
其中一人いつも一人の草萌ゆる
何が何やらみんな咲いている
ほととぎすあすはあの山こえて行かう

「キングの死 ジョン・ハート著」と書かれたメモも出てきました。引出しにしまったままの夫のシステム手帳に挟んでありました。
これは夫が入院中のベッドで書いたもの。「児玉清のおすすめの本だよ。読んでみたら」と言ってミステリー好きの私に渡してくれたのでした。
その頃ラジオで児玉清さんの番組があり、夫もよく聴いていていました。
児玉清さんはミステリーファンで、この「キングの死」を大絶賛していたことを思い出しました。本の方はどんな内容だったか、全く覚えていないのですが。

現代詩花椿賞「永遠に来ないバス」小池昌代

もうじき家を引っ越すことになり、毎日が仕分け作業です。
家具はたいして多くないけど、こちゃこちゃ細かい雑多なもので家中が構成されており、それらの全ての品々になにがしかの思い出があり、「いる、いらない作業」はスムーズにはいきません。

そして誰でも経験あることだと思いますが、本や雑誌の整理など始めるとついつい読みふけって、作業は中断。すっかり辺りが暗くなっても読書に夢中になっちゃたりして。

古い雑誌と雑誌の間に「花椿」が2冊挟まっていました。
「花椿」とは資生堂が発行している40ページほどの小冊子です。資生堂のwebサイトによると創刊は1937(昭和12)年!だそうです。

創刊以来、写真やグラフィック等のビジュアルはもちろん、エッセイや小説等の読み物を通して、ひとがこころ豊かに、美しく生きるためのヒントをお届けしてきました。
2007(平成19)年7月号の創刊70周年を機に、「美」と「知」をさらに深く追求するとともに、読者からの「もっと見たい」「もっと読みたい」という声に応えて、リニューアルを行いました。
奇数月号にはファッション、ビューティー、アート、カルチャーなどの情報をカラフルなビジュアルで見せる『みる花椿』を、偶数月号には小説、批評、コラムなどさまざまな読み物を中心とした『よむ花椿』を交互に発行しています。(資生堂のwebサイトから)

以前は化粧品店の店頭に積まれて置いてあり、ご自由にお取りください、って感じだったので、化粧品は買わないくせに「花椿」を見つけると必ず持って帰っていました。
表紙から最後のページまで、美しい写真やイラストで見せる、読ませる、おしゃれ情報満載。しかも著名人の文章も掲載されていて、これがフリーペーパーとは驚きです!
まあ、でも実際は無料ではありません。ちゃんと値段があります。手元にある1997年№570号には定価100円(税込)と表示されています。
100円でも安過ぎますが、販売促進グッズ扱いなんでしょうね。今はどうなんでしょう?今もタダでもらえるものなのでしょうか。化粧品店に縁遠くなったせいか、歩いていて「花椿」を見かけるってことがなくなりました。

さて、本題。
1997年№570号の「花椿」は第15回現代詩花椿賞の発表号でした。
この冊子をいらないボックスに入れる前に、受賞作品『永遠に来ないバス』(小池昌代)を転載しておきます。

永遠に来ないバス
小池昌代

朝、バスを待っていた
つつじが咲いている
都営バスはなかなか来ないのだ
三人、四人と待つひとが増えていく
五月のバスはなかなか来ないのだ
首をかなたへ一様に折り曲げて
四人、五人、八時二〇分
するとようやくやってくるだろう
橋の向こうからみどりのきれはしが
どんどんふくらんでバスになって走ってくる
待ち続けたきつい目をほっとほどいて
五人、六人が停留所へ寄る
六人、七人、首をたれて乗車する
待ち続けたものが来ることはふしぎだ
来ないものを待つことがわたしの仕事だから
乗車したあとにふと気がつくのだ
歩み寄らずに乗り遅れた女が
停留所で、まだ一人、待っているだろう
橋の向こうからせり上がってくる
それは、いつか、希望のようなものだった
泥のついたスカートが風にまくれあがり
見送るうちに陽は曇ったり晴れたり
そして今日の朝も空に向かって
埃っぽい町の煙突はのび
そこからひきさかれて
ただ、明るい次の駅に
わたしたちが
おとなしく
はこばれていく

 

「100,000年後の安全」と「静かな黄昏の国」

tirasi01お盆休みに「100,000年後の安全」を観てきました。
映画館に足を運ぶのは年に1回あるかないかの生活ですが、今年は2回目。
前回の「ソーシャルネットワーク」はTOHOシネマ与次郎で、300席余りある部屋に観客は4人という贅沢空間を味わいましたが、今回のガーデンズシネマは席数39席。観客は20人足らず入っていたかな。リビング感覚がここちよいミニシアターでした。

100,000年後の安全」は、フィンランドのオルキルオト島にある、高レベル放射性廃棄物永久地層処分場「オンカロ」を撮ったドキュメンタリーです。

オンカロは世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場です。

原発が出し続ける危険で大量の廃棄物の最終処分については、アメリカも日本もどの国もまだ具体的な建設は始まっていません。建設できるかどうかも分かっていません。

フィンランドは世界にさきがけて地層処分場の建設を決定しました。この危険なゴミを未来の子孫に押し付けてはいけないという責任感からですが、オルキルオト島の固い地層、という地の利があったからこそ推進できたプロジェクトでしょう。

2004年から、最終的には地下520メートルに達する予定で、地下都市並みの広大な地下トンネルを掘り進めています。
これはフィンランドの原子炉4基分のための処分場だそうです。

「2020年までに運用を開始し、その後2120年頃まで埋設処分に利用し、100年後に施設が満杯になった後は、坑道を埋め戻して完全に封鎖する予定」だそうです。

tirasi02封鎖した後はオンカロができる前の状態に戻す。
それは緑豊かな森と人間の暮らしのある住宅が建ち並ぶ生活環境を 整え、その地下に何かがあるなどと誰も疑わない、ごく普通の風景を造りだすこと。

そこで、この映画のテーマは、「10万年後、そこに暮らす人々に、危険性を確実に警告できる方法はあるだろうか。」というこです。

オンカロの入り口に、言葉や絵図やモニュメントなどを使って、何とか未来の人類に「ここは危険だ」と警告すべきだと考える人たちがいる一方で、一切の警告はやめて何もないことにした方がよいという、相反する意見があります。
どうやったら未来の人類に危険を伝えることができるか、それは誰にも分からないし、警告はむしろ人間の好奇心を煽り、逆効果になるのではないかという危惧があるからです。
警告すべきか、しない方がいいのか・・・あなたならどっちを選びますか?

「100,000年後の安全」を観たので、同じく“最終処分場”を扱った小説、篠田節子の「静かな黄昏の国」のこともメモしておきます。

tssogare篠田節子「静かな黄昏の国」
出版社: 角川書店 (2007/03)

「終の住みかは、本物の森の中にしませんか?」終身介護施設の営業マンの言葉に乗り、自然に囲まれた家に向かう老夫婦。彼らを待っていたものは―。表題作「静かな黄昏の国」を含む八篇の作品集。(「BOOK」データベースより)

十万年後という遠い未来の話ではなく、核廃棄物施設で事故があり、それから40年ほど経った、とある町のリゾート型修身介護施設の話です。

「経済大国と呼ばれた頃の五、六十年前の面影など、もうこの国のどこにも残っていない。現在の日本は、繁栄を謳歌するアジアの国々に囲まれ、貿易赤字と財政赤字と、膨大な数の老人を抱え、さまざまな化学物質に汚染されてもはや草木も生えなくなった老少国なのである。」という時代設定がとてもリアルです。

1966年、日本で最初の原子力発電所、東海発電所が運転を開始しています。
たった20年でも人は過去の真実を忘れるようです。
でなきゃ原爆を落とされた国が原発を造るなんて、そんな発想ができるわけがないですよね。

福島の原発事故後の日本の現状を考えると、人間の欲の前にはどんな真実も無意味に思えたりもしますが、できるだけ多くの人が、現状を嘘偽りなく、決して改ざんすることなく、後世の人たちに伝え続けていくこと、それが大事ですね。

「純平、考え直せ」奥田 英朗

junnpei出版社: 光文社 (2011/1/20)

待ってました!奥田英朗の最新作。
前々回の「オリンピックの身代金」は暗いトーンの作品でしたが、今度のこれ「純平、考え直せ」は思い切り笑わせてくれます。
タイトルからしておかしいでしょう?

坂本純平21歳は、幼い頃に親に捨てられ、兄弟、友人、お金、学歴、コネ、全てなし、夢なし、未来なしの歌舞伎町のチンピラ。
当面の目標が部屋住みを卒業して組のバッジをもらうこと。
その目標達成のチャンスが巡ってきました。それは、組長から与えられた「鉄砲玉」としての任務。

任務決行までの三日間を描いたドタバタ劇です。
新宿・歌舞伎町で出会う人々や、純平をネタにして勝手に盛り上がるネット掲示板上の若者たち。それぞれのセリフに何度も吹き出したり、切なくなったり。

いまどきのチンピラがどのようなものなのかは、その世界に疎い私には分らないのですが、ま、こんな純情なチンピラなんているのかなあと訝しく思いながらも、「純平、鉄砲玉になんかなるんじゃない。考え直せ」と、はらはら親心で念じつつ一気読みしました。
作品には「純平、考え直せ」と終始呼びかけている作者の姿も、くっきりと見えてきます。

「自転車にのるクラリモンド」石原 吉郎

今日、車で移動中カーラジオから、懐かしい曲が流れてきました。
シルヴィ・バルタンの「アイドルを探せ」、フランス・ギャルの「涙のシャンソン日記」、ミッシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」などなど、そのほか数曲。
1960年代に日本でヒットしたフレンチ・ポップスを特集した番組のようです。

1960年代は身近なアジアよりも遠い欧米の曲が主流で、いつもどこかで洋楽を聴いていた遠い記憶があります。量的にはアメリカンポップスの方が多かったかもしれませんが、シルヴィ・バルタンやフランス・ギャルの歌を聴き、フランスはおしゃれでかわいい、というイメージを子供心に刷り込まれたような気がします。

懐かしい歌声を聴いて懐かしい気分にひたっていたら、唐突に、昔気に入っていた詩を一つ思い出しました。
石原吉郎さんの「自転車にのるクラリモンド」という詩です。
フランスとは何のつながりもありませんが。

自転車にのるクラリモンド

石原吉郎

自転車にのるクラリモンドよ
目をつぶれ
自転車にのるクラリモンドの
肩にのる白い記憶よ
目をつぶれ
クラリモンドの肩のうえの
記憶のなかのクラリモンドよ
目をつぶれ

目をつぶれ
シャワーのような
記憶のなかの
赤とみどりの
とんぼがえり
顔には耳が
手には指が
町には記憶が
ママレードには愛が

そうして目をつぶった
ものがたりがはじまった

自転車にのるクラリモンドの
自転車のうえのクラリモンド
幸福なクラリモンドの
幸福のなかのクラリモンド

そうして目をつぶった
ものがたりがはじまった
町には空が
空にはリボンが
リボンの下には
クラリモンドが

「京都大学原子炉実験所 小出裕章氏に聞く」Peace Philosophy Centreは必見

「京都大学原子炉実験所 小出裕章氏に聞く」
※ustreamの動画はhttp://www.ustream.tv/recorded/13897618をご覧ください。(サイズが大き過ぎるのか、ページが開きにくくなるので、ここに掲載する事は諦めました…。)

4月12日に福島第1原子力発電所の事故は、深刻度を示す国際基準で最悪の「レベル7」に引き上げられました。
それを受けて「ええっつ!そんなに酷いことになっているの?」なんて驚くような人は、まあ、いなかったのではないでしょうか。もうすでに取り返しのつかない状況になっていることは、誰の目にも明らかだと思います。

状況が悪化するほどに、これ以上煽るようなことを言ってパニックを起こしてはいけない、という働きかけでもあるのか、テレビで「セシウムは筋肉に集まりやすく、筋肉はがんにならないので心配することはない」などと言い出す専門家(?)も現れて、そのことに私は驚きました。

パニックにならないためには、そんなお気楽な気休めは要らないから、ごまかしのない情報が欲しいと思います。これから日本国民が(日本以外の国々も)背負っていかなければいけないリスクを知っておきたい。
それにしても、放射性物質が桜島の灰のように目に見えるものだったら、まだ救われるんだけどと思いますね。目に見えないものは、無いことにしたいのが人情というものだから。

「Peace Philosophy Centre 」の4月13日の記事≪「原発必要神話」を打ち崩す—「真夏の3日、午後の数時間」のためだけに原発という危険をかかえるのは馬鹿げている≫は必見です。
原発なしでやっていける、と気休めでない希望を持てます。

「ここがウィネトカなら、きみはジュデイ」大森望編

出版社: 早川書房 (2010/9/22)

男はいつもと違う色の天井の下で目覚めた。ここはウィネトカか?それとも…。人生を飛び飛びに生きる男女の奇妙な愛を描いた、SF史上に残る恋愛時間SFの表題作。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/星雲賞の三冠を獲得した、テッド・チャンのアラビアン・ナイトとハードSFを融合させた書籍初収録作、時間に囚われた究極の愛の形を描いたプリーストの名作ほか、永遠の叙情を残す傑作全13篇を収めた時間SFのショウケース。

内容(Amazon.co.jp「BOOK」データベースより)

『ここがウィネトカなら、きみはジュデイ』、謎めいたタイトルに惹かれました。
時間をテーマにした、13人の作家によるバラエティに富んだ短編集です。

過去の自分に会ったり、未来に飛んだり、人生を13歳からやり直したり、時間が伸びたり縮んだり、時間のループに永遠に閉じ込められたり。
「科学的根拠のない、現実にはありえない空想物語」と言いたいところだけど、でもまあ、考えてみると時間について私はどれだけ知っているだろう。
本当に時間は過去から未来に連続する一本のラインとして存在するのか。
それとも分岐された無数の別時間、パラレルワールドが存在するのか。
今この瞬間以外の時間が、どこかに保存されていたりしないだろうか。
そもそも何故時間というものがあるのか。
誰か教えてください、時間の正体を。

「竹取物語」の時代、月に帰る姫の話は荒唐無稽な空想物語に過ぎなかったはず。だけど、20世紀には本当に人が月に行ってきました。
人類が火星に移住するという計画も今はちょっと突飛な話に聞こえるけれど、そのうち銀河系が通勤圏内になるかもしれない。
幻想や妄想や空想が混然とした「世にも奇妙な物語」に思える゛時間SF”も、いつか時間の正体が解き明かされ、科学的根拠に裏付けられる時がくるかも知れません。
遠い遠い未来には、もしかしたら、人生を好きな年齢からやり直すことができるかも、なんて。

ソーシャル・ネットワーク

一昨日、映画「ソーシャル・ネットワーク」を観てきました。面白かったです。エンディングクレジットさえ最後まで観ました。
ハーバード大学の学生マーク・ザッカーバーグが大学生同士の交流サイトを立ち上げ、それが世界最大のSNSとなっていった、「Facebook」誕生のドラマです。

Facebook(フェイスブック)は、Facebook, Inc.の提供する、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である。2004年にアメリカ合衆国の学生向けにサービスを開始した。当初は学生のみに限定していたが、2006年9月26日以降は一般にも開放された。日本語版は2008年に公開。13歳以上であれば無料で参加できる。
公開後、急速にユーザー数を増やし、2010年にサイトのアクセス数がgoogleを抜いたとして話題になった。2011年現在、世界中に5億人を超えるユーザーを持つ世界最大のSNSになった。そのうち日本国内のユーザー数は約180万人。(ウィキペディアより)

ノーベル賞を受賞したある科学者が言っていました。
「人の感情はたいてい、一時的なその場限りのものだ。ただ二つの感情を除いては。」その二つが『復讐』と『嫉妬』。
『復讐』と『嫉妬』という感情は、他の感情よりも長く続き、人を突き動かす大きなエネルギーになると言います。

天才と呼ばれる人には『復讐』と『嫉妬』がよく似合います。むしろ不可欠な要素じゃないかと、私は思うことがあります。
マーク・ザッカーバーグも、侮辱を受けたら必ず仕返しをし、一番の親友にさえ嫉妬をして・・・この二つの感情を原動力に、天才的なプログラミング能力を発揮して、「2010年、世界で最も若い億万長者第1位」になるまでに至ったのではないかと思えるドラマでした。

ソーシャルネットワーク予告編

映画公開以来、フェイスブックのユーザーはますます増え続けているそうですが、私が観た映画館では300席余りある部屋に観客は私を含めて4人だけ。平日夜の映画館ってこんなものなんでしょうか。プライベートシアターみたいで、贅沢な気分を味わうことはできましたが、世界に5億人以上のユーザーと4人の観客。すごいギャップですね。

映画公開以来、フェイスブックのユーザーはますます増え続けているそうですが、私が観た映画館では300席余りある部屋に観客は私を含めて4人だけ。平日夜の映画館ってこんなものなんでしょうか。プライベートシアターみたいで、贅沢な気分を味わうことはできましたが、世界に5億人以上のユーザーと4人の観客。すごいギャップですね。

それはさておき、フェイスブックのように、自分の顔写真や個人情報を公開するようなサイトが受け入れられる現象は、私には不思議に思えます。ネットにそんな個人情報を流して大丈夫なの?と思ったりするんですが、昨日の「日本経済新聞>BPニュースセレクト」にそんな疑問に答えるような記事が載っていました。

「Facebookの何がそんなにすごいのか」(日本経済新聞)

この記事では顔を出し実名で登録するからこそ安心だ、とあります。
確かに顔にモザイクのかかった人同士の集まりでは、お互いを信用するのは難しいでしょう。
信用を得るにはまず正直な自己紹介をするのは当然と言えるかも知れません。
それに、個人情報保護時代だから、逆に他人のプライバシーを知りたいって欲求も高まっているのかも知れません。

「Facebookの何がそんなにすごいのか」を続けて読んでみると
「Facebookのユーザーは18歳~34歳が全体の70%を占めている。メインユーザーは若いビジネスマン」と分析しています。
あまりシニアには受けてないようですね。そこがねらい目とばかりに、最近は日本でも定年退職後のシニアや、介護世代の人などをターゲットとしたSNSも登場し、ビジネスとして成功しているサイトもあるそうです。
「無縁社会」と言われる現実があるからこそ、どこかで誰かと繋がっていたい。それは老いも若きも同じなのだと思います。

「もしもし、運命の人ですか。」穂村 弘

mosimosi出版社: メディアファクトリー (2010/12/21)

(内容紹介Amazon.co.jp)
黙々と働く昼も、ひとりで菓子パンをかじる夜も、考えるのは恋のこと。あのときああ言っていたら……今度はこうしよう……延々とシミュレートし続けた果てに、〈私の天使〉は現れるのか? 人気歌人による恋愛エッセイ集が、待望の文庫化。解説は、『臨死!!江古田ちゃん』の漫画家・瀧波ユカリ。

穂村弘さんといえば、『世界音痴』『現実入門~ ほんとにみんなこんなことを?』『本当はちがうんだ日記 』『にょっ記』といった、いかにも大人気ないタイトルからも分かるように、永遠の青二才、いえ、永遠の“まだ中”(まだ中学生)。
妄想の中で妖精だか天使だかを連れて歩き、夕餉にコンビニの菓子パンをかじる、結婚しない、できない男の代表だったはず。
なのに、この『もしもし、運命の人ですか。』というエッセイの中には

「外国にいる間中、妻の背後にぴったり貼りついて隠れている私とはえらい違いだ。」

と、さりげなく妻という一文字が挿入されています。
はあ?妻?妻の背後?ええっ?
思わず本をめくる手が宙に浮いてしまいました。
そういえば以前『にょっ記』を読んだときにも「妻」と会話しているみたいなシーンが出てきて、「印刷ミス?」と疑問に思ったけど、「ああ、妄想の妻ね、きっと」と勝手に解釈してスルーしてしまったんですが・・・。
裏付けをとるしかない、とネットで検索してみると、「WEB本の雑誌」、 「作家の読書道」に本人が肯定している言葉がありました。

まあ、作家が結婚しようがタレントが離婚しようが、私には影響のない話なんですけど。
しかし、もう「運命の人」見つけたのなら、いまさら〈私の天使〉探しも説得力に欠けますね。先の「妻」に関する一文も何だかのろけみたいに聞こえるじゃないですか。いや、きっとそうです。
結婚という生々しい現実を手に入れてしまった穂村弘さん、どうか私生活をあまり晒すことなく、さらなる妄想力を磨いていって欲しいものです。

「不実な美女か貞淑な醜女か」米原 万理

yonehara出版社: 新潮社 (1997/12)

同時通訳者の頭の中って、一体どうなっているんだろう?異文化の摩擦点である同時通訳の現場は緊張に次ぐ緊張の連続。思わぬ事態が出来する。いかにピンチを切り抜け、とっさの機転をきかせるか。日本のロシア語通訳では史上最強と謳われる著者が、失敗談、珍談・奇談を交えつつ同時通訳の内幕を初公開!「通訳」を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究。
(Amazon.co.jp「BOOK」データベースより)

どこかで名前を聞いたことがある、という程度に知っている著者だったので、『不実な美女か貞淑な醜女か』という怪しげなタイトルと表紙イラスト故、別のジャンルの本と誤解して手を出さずにいました。
最近、偶々目にした読書ブログで「文句無く面白い」と紹介されていて読んでみる気になったのですが、ホント、文句無く面白かったです。

米原万理さんはロシア語の同時通訳者として活躍され、「テレビの同時通訳により正確で迅速な報道に貢献したとして日本女性放送者懇談会賞」を受けた方だそうです。
本書は、「働く女性」のエッセイであるばかりでなく、その実態をあまり知られていない同時通訳者達のドキュメントでもあり、示唆に富んだ国際論、異文化論でもあり、爆笑間違いなしの小話満載、お笑い本でもあり、といったところ。

含蓄のあるメッセージが多く、私の目からもウロコが何枚か剥げ落ちました。
例えば、私などは自分が英会話ができないことを棚にあげ、いやだからこそというか、各国首脳が集まる国際的場面において、我が国の総理が日本語でスピーチをしているのを見ると、「国際語をしゃべれないなんて、ちょっとかっこ悪いんじゃない?」と、恥ずかしく思ったりしたものですが、米原万理さんは、『英語で演説したがる総理大臣』に対して、どうか日本語でスピーチして欲しいと苦言を呈しています。
「言葉は、民族性と文化の担い手なのである。その民族が、その民族であるところの、個性的基盤=アイデンティティの拠り所なのである。」「どんな小さな国の人も自らの母語で、一番自由に駆使できる、一番分りやすい、一番伝えやすい、その母語で発言する権利がある」
その異文化間のコミュニケーションを取り持ち、相互理解を成立させるために、通訳や翻訳という職業があるのだ、と。

真の国際人とは、母国語で自分の言いたいことを豊かに表現出来る人のこと、という彼女の主張には説得力があります。日本人としては、まず何はさておき日本語をしっかり身につけていくことが大事なようです。ただ、私の今後の生活に外国語による会話が必要になる予定がないことは残念なのですが・・・・

米原万理さんは2006年に56歳で亡くなっています。私が読んだ2008年版の文庫では、“編集部注”として彼女の絶筆についてのエピソードが紹介されていました。そこから、最後まで真摯に、全身全霊を込めて仕事を愛し、猛スピードで人生を駆け抜けていった作者の姿が感じられ、胸を打たれます。

「生、死、神秘体験」立花 隆

rinsitaiken 出版社: 講談社 (2007/5/15)
内容(Amazon.co.jp「BOOK」データベースより)

「私はいかにしてここに存在するようになったのか」という自分の存在根拠を追い求めた立花隆は「生命」とは何か、「私」とは何か、「臨死体験」とはどういった現象かを追求し、生と死の境界点を探して漂流する。死のプロセスを知ることにより、彼の考えはどう変化したのか。10人の碩学との対話が明らかにする。

立花隆さんの本を、わりと好きで読んでいます。
以前読んだ『21世紀知の挑戦』の中で立花隆さんは次のように語っています。
「私は自分の天職は、難しいことをやさしく語ることにあると思っているが、そういうことができるのも、恥ずかしい過去をいっぱい持ちながら、さらに恥をかくのをものともせず、徹底的に無知をさらけだしながら質問するからである。そして、書くときは、かつての無知なる自分にもわかるようにやさしく語ろうとするからである。」

時には、周囲の顰蹙を買うような言動もあり、バッシングされることも多い方です。私も彼の女性蔑視的発言には思わず「なんですと!」と片膝が立ちました。しかし、それでも、立花隆さんには、世間の目や口を恐れず、知的欲求の赴くまま「人間探求」を続けて欲しいと願っています。ま、私が願わなくても、彼は世間にひるむことの無い方であろうし、そこのところが好きなのですが。

ところで、人の死に「心臓死」以外に「脳死」という新しい死の判定が生まれ、その後ドナーカードが発行されました。自分がもし脳死状態になったら、臓器提供をします、あるいはしたくありません、という臓器提供意思表示カード。
私も死後に誰かの役にたつならば、少しはマシな人生の終わり方に違いないと思い、カードが発行されてすぐ郵便局で手に入れ、この10年あまり携帯してきました。

しかし、今年7月臓器移植法の改正があり、本人の意思表明が無くても家族が同意すれば、脳死患者から臓器を取り出し移植することが可能になりました。
この法改正をきっかけに、私は「脳死」と「臓器移植」について再度しっかり考えてみようと、その視点でこの本を読み始めました。
「脳死」とはどういうものか。「脳死」の判定はどうやるのか。死後の臓器を移植することが、そのまま移植された人の幸せに繋がることなのか。なぜ法改正が必要になったのか。こういった疑問をちゃんと検討したうえで「提供する・しない」の意思表示をしたいと思っています。

「死後の体」については、宗教や民族、文化、加えて個人的理念による違いなどから、それに対する思いもその扱いもさまざまであることに驚かされます。
中でも一番驚いたのは、「いまの人間の葬り方は間違っている」と主張する人(生物学者なのかな?)が、「人間が死んだあと、その死体を焼くのはもったいない、焼けば公害は起きるしエネルギーも使う。これはエコロジーに反する。いちばんいいエコロジカルな人間の葬り方は死体から堆肥(コンポスト)をつくることだ」という考えのもと、コンポスト葬(堆肥葬)を提唱し、具体的な技術開発のための実験(動物を使って)を始めたという話です。
具体的な技術というのは、死体を切り刻んで、堆肥の発酵槽に入れて、いい堆肥を作る。想像すると頭がクラッとするホラーなシーンですが、人間が自然と融合して人類の食糧供給に役にたつ、究極のリサイクルシステムというわけですね。

山田利矢 陶壺展

平成22年11月11日(木)~21日(日)
※15日(月)はお休みです
AM10:00~PM6:00 ギャラリー&カフェ白樺にて

toukoten

当サイトでご紹介している皮革染色工芸作家、山田利喜子さんのお父様、故山田利矢氏の 陶壺展が開催されます。
鹿児島陶芸展、南日本美術展、県美展等に多数入選・入賞し、活躍されていらっしゃいましたが、今年2月5日逝去されました。前日まで作陶をされていたとお聞きしています。

いただいた案内状に山田利喜子さんの挨拶があります。ここに紹介したいと思います。

ご挨拶
父は人生の最後まで作ること、生きることに意欲を持ち楽しんでおりました。
そんな父の作品たちを大切に持っていただきたくチャリティオークション形式といたしました。
感謝の気持ちを込めて。

ギャラリー&カフェ白樺 鹿児島市泉町14-9 TEL099-226-4518

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テレビドラマ化について

誉田哲也の「ストロベリーナイト」が単発ドラマとしてテレビで放映されるという。それを聞いて私はちょっと驚いています。

今年、原作の文庫を読んだばかり。その際「あれ、これ前に読んだかなあ、テレビで観たんだっけ・・」と最後まで既視感が付きまとい、ネットで調べたことがありました。その時点では過去にテレビ化されたという情報はなく、「そりゃそうだよね。いくらなんでもこれは映像化できないよねえ」と思った作品でした。
なにしろ殺人シーンがね、グロテスク過ぎる。それに殺人者の精神状態や家庭環境、児童虐待の描写などもムゴ過ぎる。
もちろん、このすさまじいシーンを描写できるのが作家の力量なのだろうとは思いますが、しかしこれは本だから許されるんじゃないのかなあ。

映画と違ってR指定が機能しないテレビ。
最近では携帯で観ている人も多いパーソナルメディアでもあります。良くも悪くも子供から大人まで、かなりの影響力を持つ情報媒体です。本当にこんなシーンを映し出すつもりなのかしら?なぜ、この作品をチョイスしたのかな?もっと楽しめる原作が他にもたくさんあるんじゃない?いったいどんな人たちをターゲットにドラマ作りをしているのだろう、とテレビドラマ化に関しては、次々疑問が湧いてきます。

その反面、やっぱりなあ、とも思います。テレビってこういう刺激的な殺人が好きなんですね。
現実には小説を超えるような残虐な事件も起きるし、そういう事件にワッと飛びつくワイドショー感覚でドラマの素材を選んでいるのじゃないかと・・・・

ま、まだ放送されていない番組のことをとやかく考えるのは取り越し苦労というもの。おそらく「放送倫理・番組向上機構」にひっかからない範囲で納まるよう、映像処理され放送されるでしょう。それにグロテスクなものほど、ビジュアルに凝ると、むしろ美しくことさら意味ありげにみえることがありますしね。

しかし、もっと考えてみると、もし殺人事件の裁判員に選ばれたら、こういう映像もしっかり見なきゃいけないのですね。や~だ、怖~い、なんて甘ったれたことは言ってられないわけで、精神的にタフでなければ生きていけない。一般人にとってもハードボイルドな世の中ですね。

「ワーキングプア―日本を蝕む病 」NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班

working
出版社:ポプラ社 (2007/06)

働いても働いても報われない人々「ワーキングプア」。NHKスペシャル取材班が、放送では伝えきれなかった詳細を書籍化し、大反響を呼んだ。現代日本の象徴的な問題に我々はどう対処すべきか。渾身のノンフィクション。
(内容Amazon.co.jp<「BOOK」データベースより)


NHKでスペシャル番組、「ワーキングプア~働いても働いても豊かになれない~」と「ワーキングプアⅡ~努力すれば抜け出せますか~」が放送されたのが、2006年7月と12月。

本にまとめられ発行されたのは2007年6月。
2007年8月にはT/T:Blog 「ワーキング・プア」でこの話題に触れていましたね。

NHKの番組はとても反響が大きかったということです。私は当時観ることができなかったので、せめて本にまとめたものを読みたいと思いながら、読むと辛いぞという予知能力が働いて、ついこれまで避けてしまっていましたが・・・・ブックオフでみつけ手に取りました。

  • 1.「貧困」の闇が広がる日本
    2.ホームレス化する若者
    3.崩壊寸前の地方
    4.夢を奪われた女性
    5.グローバル化の波にさらわれる中小企業
    6.死ぬまで働かざるをえない老人
    7.荒廃を背負う子ども
    8.現実に向き合う時

 

目次を目にするだけで、たいていの人は書かれている内容を想像することができるのではないでしょうか。
他人事ではない。そう思う人が多いのではないでしょうか。

私もワーキングプアという集団の同心円内にいます。円というよりは巨大な巨大なすり鉢をイメージした方が分かり易いかもしれません。
今のところ住むところと仕事を持っていますが、加齢とともにすり鉢の底に向かって吸い込まれていくのは間違いない。
この巨大な巨大なすり鉢は、底に穴のあいているブラックホールです。

すり鉢の中を緩慢に、あるときは急激に、滑り落ちていく感じを身をもって知っている人、そうなるのではという不安を抱えている人がどれだけ多くいることか。しかしその数は実際には数えられていません。
構造改革に伴う「痛み」を引き受けてしまった者たちの存在を、ただ「格差」という言葉でまとめて、それで改革は終わりですか?とかつての日本国代表と現代表に聞いてみたいですね。

続編として「ワーキングプア 解決への道」も発行されているようです。
ぜひ読んでみたい。解決の道を探す努力をしている人たちがいることも知りたいと思います。

「ワイルド・ソウル」垣根 涼介

wild出版社: 幻冬舎 (2006/04) 

内容(Amazon.co.jp「BOOK」データベースより)
1961年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。戦後最大級の愚政“棄民政策”。その40数年後、三人の男が東京にいた。衛藤の息子ケイ、松尾、山本―彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。
————————————

2、3年前、読んだ本です。
国と外務省に騙されて過酷な地に棄てられてしまった人間たちの復讐物語、ときくと暗く重たい旋律のBGMが流れるストーリーを想像してしまうかもしれませんが、むしろ、陽気でおおらかなラテン音楽が似合う、痛快な作品だったと記憶しています。
タイトルどおりワイルドでソウルフルな物語です。
大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞のトリプル受賞。

ブラジル移民については、苦労の末コーヒーなどの栽培に成功した入植者たちのドラマをTVで観たことがありましたが、アマゾンの地に見棄てられた多くの人々がいたことを、私はどれだけ知っていただろうと考えさせられた作品です。
作家というのは歴史を掘り起こし、読む者に伝えるという使命も担っている、そういう作家もいるのだと思います。

ただ、垣根涼介の他の作品、「君たちに明日はない」や「借金取りの王子」を読んだ時にも感じたことですが、登場する女性のパッションというか、活発な精神というか、とても魅力的なんですが、たぶん私はこういう女性に会ったことがないのだと思います。ちょっと感情移入しにくかった。正直に言ってしまうと、主人公となる男性についても、とても好ましい人物なのに、全く別世界の人のように感じられる。人見知りな私にはちょっと近づきにくいキャラクターでした。

2008年がブラジル移民100年の年であったようで、記念サイトがいくつかありました。
「 ブラジル移民の100年 」は「国立国会図書館」のコンテンツの一つとして公開されているサイトです。
「国立国会図書館」の電子展示会へのリンクがあったのでたどってみると、思いがけず興味を引くコンテンツがいろいろありました。

まず「絵本ギャラリー」を開いてみたのですが、”18世紀から1930年代に至る期間の、日本と欧米の絵本の名作を紹介”しているそうです。
繊細でノスタルジックな美しいイラストレーションの数々。そんな絵本をまるごと電子図書として音声付で読めます。日本語で聞くのもいいですが、英語音声にすると、子供も楽しく英語の勉強ができるのでは。こんな贅沢なサイトがあるなんて、今まで知りませんでした。
他にも、
「博覧会-近代技術の展示場」
「江戸時代の日蘭交流」
「写真の中の明治・大正 -国立国会図書館所蔵写真帳から- 」
「描かれた動物・植物 -江戸時代の博物誌-」
「インキュナブラ -西洋印刷術の黎明-」
etc・・・マニア心をくすぐるコンテンツがいろいろありますよ。
本の万華鏡」というのも気になるし、今度またゆっくり覗いてみようと思います。

としまえんと東京タワーとグリルつばめ、ではなく「つばめグリル」③

tokyo09グリルつばめ、ではなく正しくは「つばめグリル」でした。私はずっとグリルつばめと思い込んでいました。

つばめグリルのホームページによると創業は1930年。特急つばめの誕生にちなんで名づけられた、80年の歴史を持つ老舗レストランです。
本店は銀座にあり、支店も多数あるようですが、私が行ったのはレトロなビアホールといった風情 の品川駅前店。

ハンバーグステーキをアルミホイルで包み込んだ「つばめ風ハンブルグステーキ」が人気のお店です。アルミホイルをナイフで切り開くと、柔らかいけれど少し歯ごたえのあるハンバーグと、意外とさっぱりとした味のビーフシチューが、ほんわりと芳ばしい香りとともに現れます。

ジャガイモを1個まるごとオーブン焼きにしたベイクドポテトが添えられていて、これだけで十分お腹いっぱいになる1品ですが、やはりこの店ではシーザーサラダも注文したい。新鮮な食材のみを使用し、化学調味料や着色料、保存料を使わないという、お店のこだわりが実感できるシーザーサラダ・・・これがいいんだよ、と東京出張から帰ってきた夫が熱く語ったことがあります。

シーザーサラダの主役は、レタス。普段スーパーで見かける丸っこいレタスではなく、大振りの縦長いレタス。夫はその名前が思い出せず、私が「それはサンチェじゃないの?」と言うと、「違う、違う」と首を振るばかりで結局思い出せませんでした。
とにかくいつか食べに行こう、と当てにならない約束をしてくれたのですが、それから間もなくその約束は果たされることになりました。

2006年7月20日、夫と二人でつばめグリルの品川駅前店で食事をしました。
日付まではっきり覚えているのは、その日、国立がんセンターにセカンドオピニオンを受けに行ったからです。がんセンターでの診断はあまりに厳しく、一縷の望みをも打ち砕くものでしたが、夫はその日の夕食に、つばめグリルに連れて行ってくれました。

夫が、つばめ風ハンブルグステーキとシーザーサラダ、ビールとコーヒーを注文し、「これだよ、ロメインレタス!」と、やっと解答を得て嬉しそうに言いました。
食事をしながら何を話したのかは思い出せませんが、病気の話題は避けて、いつものように仕事のこととか、たぶん食べ物のことや何か、たわいも無いおしゃべりばかりしたように思います。私は泣くまいとこらえるのに精一杯で、ハンバーグもサラダもまるで味など分らなかったのですが、夫は生ビールを美味しそうに、まるで心配事なんて何もないよ、というような顔をして飲んでいました。不思議な人です。最後までそんな調子で、人前で辛い顔を見せることはありませんでした。

今回、つばめグリルには、娘と夫の姉や姪と一緒に行きました。夫の思い出を身近な者と共有できたことが嬉しかったし、今度はしっかりと味わうこともできました。
しかし、「本日は野菜の良いのが入らなかったので。」ということで、シーザーサラダは注文できませんでした。残念・・・。

tokyo10左の写真を撮ったのは私です。間違えて隣のサラダを撮ってしまい、シーザーサラダはお皿半分しか写っていません。
つばめグリル ロメインレタスのシーザーサラダに調理中の画像があります。こちらを見た方が美味しさが伝わりますね。

ロメインレタスとは、白菜のように長円形にゆるく結球し、ラグビーボールのような形をしたレタスのことです。古くは古代エジプト王朝で食べられていたと言われる歴史の長い野菜で、「立ちちしゃ」や、エーゲ海のコス島で栽培されていたので「コスレタス」とも呼ばれています。ロメインレタスは、葉に厚みがあって、サクッとした歯ごたえとクセのない爽やかな味覚があるので、特にシーザーサラダのメイン素材として人気のあるレタスです。また、ロメインレタスは生食だけでなく、炒め物や煮物など加熱するお料理にも幅広く使われます。
1から始める料理の基本より

としまえんと東京タワーとグリルつばめ②

tokyo06東京タワーに登りたい、と言うと「馬鹿と煙は高いところに登りたがる」と笑われそうですが、確かに私はその部類です。
高所恐怖症のクセに、屋根と壁に囲まれて、床が透けていないこと、という条件さえ合えば、高ければ高いほど登りたくなってしまいます。

地上250mの展望台から見下ろすと、以前より高層ビルがかなり増えたというのが実感できました。
竣工年代順・東京都(23区)・超高層ビルデータベースによると、1968年に高さ100m以上のビルは1棟だったものが、2010年1月現在で402棟ほど。9月の今ではさらにその数を上回っているはずですし、さらに現在建設中もあるようです。

東京の街も上へ上へと登りたがっている・・・ひょっとして街を挙げて私と同類でしょうか。
この高層ビルの全てが、「としまえんカルーセル エルドラド」のように100年以上の月日を、果たして生き延びていけるのでしょうか。
そんな老婆心を抱きつつ、街の風景を上空から鳥の目で俯瞰できる東京タワー。この3月には日本一高い建造物のポジションをついに東京スカイツリーに譲ってしまいましたが、私はデザイン的には東京タワーのAラインが好きです。

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※写真は娘の撮ったもの

グリルつばめについては、また明日。

としまえんと東京タワーとグリルつばめ①

連休に東京に行ってきました。
東京に行く機会があったら是非寄ってみたいと思っていたところが3つありました。
「としまえん」と「東京タワー」と「グリルつばめ」です。

 としまえんには2010年度の「機械遺産」に認定されたというメリーゴーラウンドがあります。
私は子供の頃からメリーゴーラウンドが好きでしたが、わが町のそれはとてもコンパクトで、言い換えればショボイ回転木馬もどき・・・その遊園地さえ潰れてしまって今は無い。
映画で観るような本格的なメリーゴーラウンドに乗ってみたいと、大人になってからは声には出さず心密かに願っていました。
先日、テレビで”としまえん機械遺産認定”のニュースを見て、いつか観に行こう、と心に留めていたところ、思いがけず早くその機会に恵まれ、ディズニーランドとは比べ物にならない、とても庶民的で昭和的なこの遊園地へ行ってきました。
としまえんメリーゴーラウンドは期待通りの美しさでした。

(※以下、写真は娘の撮ったものです。)

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  としまえん カルーセル エルドラド
日本機械学会「機械遺産」  機械遺産 第38号

わが国に現存する遊戯機械の中で最古、かつ、世界でも最古級のものが、この「としまえん カルーセル エルドラド」である。回転木馬の設計技師として名を馳せたドイツ人、ヒューゴー・ハッセが、1907(明治40)年に造ったもので、機械仕掛けの芸術的乗り物として100年以上の歴史をもつ、世界的に貴重な文化遺産である。
20世紀初頭のアール・ヌーヴォー様式の装飾が施された芸術作品と機械技術がみごとに融合した、顕著な例を見ることができる。原動機部は当初のものではないが、上下運動を伴わないシンプルな構造の回転木馬で、3つのステージが摩擦駆動により異なる回転速度で動く特徴をもつ。
ヨーロッパ各地で巡回営業された後、1911(明治44)年に米国東海岸の行楽地コニー・アイランドへ渡り、1964(昭和39)年まで運用された。その後、廃棄される直前に豊島園が買い取り、原形どおり忠実に修復され、1971(昭和46)年から現在地で動き続けている。
乗る人・見る人を魅了し、親しまれ続けているこの回転木馬は、所有者の高い保存・継承・活用の意志のもと、わが国のみならず、訪れる世界の人々に夢と楽しみを与え、生活文化の向上に大きく貢献し続けている。
「機械遺産」http://www.jsme.or.jp/kikaiisan/data/no_038.htmlより

 日本では回転木馬とかメリーゴーランドとか呼んでいますが、英語ではカルーセルと呼ばれることが多いそうです。エルドラドは 黄金郷という意味。
カルーセル エルドラド、カルーセル エルドラド、続けて言うと何かが出現しそうな、呪文のようですね。

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tokyo04メリーゴーラウンドの一番人気はやはり馬ですね。私も乗りたかったのですが、争奪戦に破れ、気がつくと豚さんにまたがっておりました。
ここの乗り物は上下運動はしませんが、外側のステージの回る速度は半端でなく、しっかり豚さんにしがみついていなければ、振り落とされそうな勢いです。

「まわる まわるよ ぼくらを乗せながら
まわる まわるよ 地球はメリーゴーラウンド
悲しみ よろこび すべてのせてゆくよ」

詞:山上路夫
曲:日高富明
編曲:東海林修

ガロの「地球はメリーゴーランド」の曲が、心の中でリフレインして・・・・
としまえんカルーセルエルドラドは、9月4日(土)~10月11日(月・祝)まで無料開放されています。
そろそろ出勤時間になりましたので、続きはまた今夜。

ジュール・シュペルヴィエル

フランスの詩人です。小説家でもあるようです。
いいにくい名前です。
古いノートに私はジュール・シュペルヴェールと書き写していたので、その名前で検索してみましたが、シュペルヴェールでなくシュペルヴィエルの方が通りがよいようです。ウィキペディアもジュール・シュペルヴィエルと表記されていました。フランス人の名前を日本語表記するのは難しいですね。
ま、来日中のミラ・ジョヴォヴィッチも表記しにくいし、フランスに限ったことではないですね。
日本人の名前だって海外ではどういう発音や表記をされるのか興味あるところですが、その話はさておいて。

インターネットなんて言葉がまだ世の中に存在しない昔、ジュール・シュペルヴィエルの詩をどこかで目にして、いくつか書き留めていました。
シュルレアリスム (これもまた表記しにくい!)の詩にハマっていた時期があったので、ロートレアモンやなんかと合わせて読んだ記憶があります。

シュルレアリスムの詩は、意味を読み取ろうとすると難解(=面倒)なので、むしろ意味など考えずに自分勝手にイメージできるところが好きです。

ジュール・シュペルヴィエルの詩からは、荒涼とした孤独な風景が美しい絵となって目の前に現れるような、そんな作品があります。

当時、「動作」という詩が広く知られていたように覚えています。

「動作」

               ジュール・シュペルヴィエル

その馬はうしろを振り向いて

誰もまだ見たことのないものを見た。

それからユウカリの木の陰で

牧草をまた食べ続けた。

それは人間でも樹でもなく

また牝馬でもなかったのだ。

葉むらの上にざわめいた

風のなごりでもなかったのだ。

それはもう一頭の或る馬が

二万世紀もの昔のこと

不意にうしろを振り向いた

ちょうどその時に見たものだった。

そうしてそれはもはや誰ひとり

人間も馬も魚も昆虫も

二度と見ないに違いないものだった。大地が

腕も脚も首も欠け落ちた

彫像の残骸にすぎなくなるときまで。

「難破船」

      ジュール・シュペルヴィエル

こちらのここにテーブル あちらのむこうにランプ

空気がいらいら波立っているから どうにも一緒になれないで

人っ気のない海岸 水平線まで突き出ていて

腕をあげて男が沖で叫んでいる 「助けてくれえ!」

すると木魂が答えている 「どういう意味なんだ いったい」

 

若いある時、私が「名前が思い出せないんですが、馬が振り返る、詩がありますよね」と誰かに聞いたところ、近くにいた見知らぬ人が「それは、ジュール・シュペルヴィエルですね」とサラッと応えて、周囲が「おおっ」とどよめいたことがありました。なんてかっこいい!若い私は、感動しました。
その後、私は「アーノルド・シュワルツェネッガー」の名前を繰り返し口にして覚え込んだものです。
アーノルド・シュワルツェネッガーは発音でも表記しにくさでも最高レベルの名前ですね。

「下から目線で読む『孫子』」山田 史生

sonsi出版社:筑摩書房 (2010/7/7)

内容(Amazon.co.jp 「BOOK」データベースより)
歴史上、数々の支配者たちに熟読されてきた兵法書の古典『孫子』。人間心理への深い洞察をもとに必勝の理を説いた同書を、視点をひっくり返して読んでみたら、何が見えてくるのか。自明とされた「勝ち」というものが、にわかに揺らぎ始めるかもしれない。『孫子』のなかから、これぞという言葉を選び、八方破れの無手勝流でもって解釈しながら、その真意を探る。

キャッチコピーは「下々に捧ぐ」

「孫子」なんて全く興味もなかったのですが、「下々に捧ぐ」というこの言葉がぐさりと胸に刺さり、購入してしまいました。
だいたい「孫子」については、孔子や孟子みたく中国の偉人の名前だろうと思っていたくらいですから。
実際は人の名前ではなく、「孫子」というタイトルの兵法書、いわば「戦争マニュアル書」の名前でした。知らなかったなあ。本を読むたびに己の無知さ加減を思い知ることになる今日この頃です。
しかし、「孫子」など知らなくて当然。恥じることはありません。「孫子」は下々の者が読むような書物ではないらしいのです。

戦国時代にあっては武将たちが、国家統一が成された現代においてはプレジデントたちが、「敵に勝つための手引書」として、「上に立つものが下に居るものをどう動かすか」というノウハウ本として使うものらしいです。

「兵とは詭道なり。」
「戦いのコツは、相手をダマすことにある。」と山田史生さんは訳しています。
孫子的漢文調で「兵とは詭道なり。」ときっぱりと声に出して言えば、騙すことにも大義があるように聞こえてきて何だか可笑しいですね。

「利なればこれを誘い、乱なればこれを取り、実なればこれに備え、強なればこれを避け、怒なればこれを撓(みだ)す。」
山田史生さん訳:「欲張りならエサで釣り、お調子者ならスキをつき、真面目なら様子を見て、短気なら刺激せず、単純なら挑発する。」

「必死は殺され、必生は虜にせられ、忩速(ふんそく)は侮られ、廉潔は辱められ、愛民は煩わせさる。」
山田史生さん訳:「ガンバると殺され、逃げると捕まり、短気はバカにされ、真面目はダマされ、優しいと苦労する。」

戦術というよりは、処世術に読み替えることができそうです。人生そのものが戦いだとすると戦術も処世術も似たようなものかもしれませんね。

ところで、来月は民主代表選があります。元来が好戦的なお上たち。たぶん、一度ならず孫子を読んでいることと思いますが、私からも僭越ながら「お上に捧ぐ」一文を。

「亡国はまた存すべからず、死者はまた生くべからず。」
滅びた国家は立て直せないし、死んだ人間は生き返らない。

「外科医須磨久善」海堂 尊

gekai出版社: 講談社 (2009/7/23)

(内容紹介Amazon.co.jpから)
“海堂ワールドの新展開、外科医の謎に迫る。” 世界的権威の心臓外科医はいかにして誕生したのか。旧弊な学界から若くして認められるため、どんな奇策をとったのか。現役医師作家にしか書けない、医者の秘密。


須磨医師は中学二年生の時、自分は普通の会社員にはとてもなれそうもないから、医者になろうと決めたそうです。

  • 「人を押しのけたり、競争はしたくない。
    小さくささやかな人間関係の中で生きていけたらいい。
    理想は最小単位の人とのかかわり合いだ。仲の良い友達から「君がいてくれてよかった」と思われるのがいい。
    競い合いではなく、ほのぼのとした人間関係ができたら幸せ。
    いいやつと悪いやつが入り交じる雑駁な世界はイヤ。
    自分ががんばってもトップが愚鈍なせいで路頭に迷うのもイヤ。
    他力本願でうっとうしいのもイヤ。
    よくも悪くも自分の責任で仕事できないのもイヤ。
    つきあう相手とはケンカをするのも足の引っ張り合いをするのもイヤ。
    自分が誰かを不幸にするのもイヤ。」

だから、患者と医者という1対1で向かい合う職業を選んだ、というところに思わず感動しました。

自分の心許せる狭い範囲で、しがらみなくささやかに生きたい、という気持ちは私も全く一緒なんですけどね。子供の頃から、何々になりたいと職業を真剣に考えたことが一度もないまま生きてきました。そのことを今更ですが、反省しました。
須磨医師は外科医になろうと決めてから、一度も気持ちがブレることなく突き進んでこられたようです。ブレないこと、は大事ですね。

個別ページにもサイドバーを表示させる

wordpressは膨大な量のテーマが用意されていて、無料で選びたい放題、というところも魅力の一つです。デザインも豊富にありますが、テーマの仕様や機能に、それぞれ微妙な違いがあるので選択に迷います。
しかし、まあ、どんなにたくさん提供されても、欲を言い出すときりが無く、完璧にそのまんま使えるテーマって意外とないような気がします。

今私が使っているテーマでは、個別ページを開くとサイドバーが表示されません。wordpressのデフォルトのテーマもそういう仕様になってるので、ま、それが普通なのだろうと思っていたら、個別ページにサイドバーが表示されるテーマも多くありました。
その違いはどこにあるのか、テンプレートをじっと見比べてみると、どうやらsingle.phpにsidebar.phpを読み込む一行があるかどうかだけの違いのようです。

single.phpの変更箇所
最後の行にある<?php get_footer(); ?>の前に<?php get_sidebar(); ?>を追加する。

single.phpを変更しただけだと、カラム落ちするので、style.cssのシングルページ関連箇所で幅や余白の修正をします。

「エンジェルズ・フライト」マイクル・コナリー

angels出版社: 扶桑社 (2006/01)
内容(Amazon.co.jp「BOOK」データベースより)
LAのダウンタウンにあるケーブルカー、“エンジェルズ・フライト”の頂上駅で惨殺死体が発見された。被害者の一人は、辣腕で知られる黒人の人権派弁護士ハワード・エライアス。市警察の長年の宿敵ともいえる弁護士の死に、マスコミは警官の犯行を疑う。殺人課のボッシュは、部下を率いて事件の捜査にあたるが…。緻密なプロットと圧倒的な筆力で現代アメリカの闇を描き出す、警察小説の最高峰“ハリー・ボッシュ”シリーズ第六弾、ついに待望の文庫化。単行本『堕天使は地獄へ飛ぶ』改題。

いつだったか、子供の頃、仏教に基づいて描かれた「地獄絵図」というのを見たことがあります。水木しげるの漫画だったような覚えがあるけど、あまり定かではありません。見たくて見たわけでなく何かの拍子にうっかり見てしまい、口にするのもおぞましい、文字にするのも恐ろしい、残虐でグロテスクな刑罰の数々、亡者の姿に衝撃を受けました。
とにかく私はすごい怖がりなので、ホラーなものは受け付けません。「これはただの絵なんだ、誰かの妄想で作り上げたニセモノの世界なんだ」と自分に言い聞かせ、「天国」というのもないけど「地獄」だってないんだから!(何故か天使と閻魔様・・・和洋折衷なんですけど)と現世以外の存在を否定してきました。

しかし、現世にこそ「地獄」があるのだ、と容赦なく突きつけるのが、この本、マイクル・コナリーの「エンジェルズ・フライト」です。
「エンジェルズ・フライト」とはロサンゼルスのバンカー・ヒルという再開発された丘の頂上(高級住宅地&最新オフィス街)から丘の下を結ぶ、短距離ケーブルカーのことだそうです。美しいネーミングです。
そのケーブルカーの中で黒人弁護士の射殺死体が発見されるところから物語は始まります。その後の展開は、1992年に起きたロス暴動の事件と推移をなぞる形になっています。さらに、物語には1996年に起きたジョンベネちゃん事件を想起させる児童殺害事件が加わり、、、、

マイケル・コナリーの筆致は劇場映画を観ているような臨場感にあふれ、迫力があるだけに、本当にこのまま映像化されたとしたら、私はとても直視できないと思う。読書しながらも、目を覆うような凄惨な場面にはボカシをかけて、細部まで想像しないようにして読んでしまいました・・・。

しかし、この本に書かれていることは、決して誰かの妄想ではない。現実にあることをなぞっているのであり、ロサンゼルスの町に地獄を作り出している一番の要因は人種差別であり、人種差別からくる貧困であるということを考えさせます。

ところで、私は長いこと、ロサンゼルスの名前はLoss Angelsで、「天使たちのいない」という意味だと思い込んでいました。日本にある「神無月」みたいに、本当は天使のたまり場なんだけど、他の街に天使たちが出払っているからこんな名前になったのだ、というエピソードも勝手に作っていたんですけど。
本当はLos Angelesで「天使たち」そのまんまの名前だと、実は今日初めて知りました。ロサンゼルスを舞台にしたハードボイルド小説などでは、「天使のいない街にようこそ」なんてセリフがあったりするんですが、あれはただの掛けことばによる皮肉だったようですね。(いまごろ・・・)

面白いアート

日本最大のオンラインニュースマガジンサイトと称されるGIGAZINE(ギガジン)見ていますか?

「日本の影響力のあるブログとして第1位」だそうです。
一日の更新回数も多く、多種多様な情報が満載のサイトです。

その多様性と情報量の多さに、私は圧倒されてしまうので、毎日見るのは無理なのですが、たまに見るとやっぱり次々ページをめくってしまいます。

アートのジャンルに絞って覗いてみました。とても全部の「続きを読む・・」ことはできないので、気になる見出しだけを拾い読みです。

「MSペイントで2時間30分かけて「モナ・リザ」を描くムービー」という動画には驚きました。MSペイントは簡易なお絵かきソフトだと思っていましたが、「弘法筆を選ばず」ってことですね。

私が気に入ったのはこれかな。「鉛筆スケッチで写真に妄想をはめ込んだ「Pencil Vs Camera」」。

他にも美しいアート、驚愕のアート、不可解なアートなど、面白いアートがいっぱいです。

並はずれた想像力と優れたデッサン力、そして忍耐力があれば、人はどんなものからでもアートを生み出すものだと、つくづく思いました。

そんな才能を、偶然手に入れた人もいるようです。本当に人間って、人間の脳って、不思議なものですね。
「脳手術後にアーティストとしての才能が目覚めた男性」

「木曜日の子供 」テリー ホワイト

mokuyoubi出版社: 文藝春秋 (1991/09)


木曜日の子供は遠くまで行く―。マザーグースはそう歌う。たまたまそんな星の下に生まれたために旅に出なければならない家出少年が、ひとりの殺し屋に出会う。が、この凄腕の殺し屋も、よくよく聞けば両親を航空機事故で失い、たった一人の弟を植物人間にされて敵討ちを心に誓っている。彼もまた“木曜日の子供”なのだろうか?

内容(Amazon.co.jp「BOOK」データベースより)


ブックオフでたまたま見つけた本です。テリー・ホワイトの処女作「真夜中の相棒」も、やはりたまたま古本屋で購入して、随分以前に読んだことがありました。どちらも中年の殺し屋と無垢な若者または少年との疑似家族愛が切ない物語です。

「木曜日の子供」というタイトルはマザー・グースの歌からとられているそうで、あとがきにその歌が紹介されていました。

            「マザー・グース」

月曜日の子供は顔がきれい、
火曜日の子供は気品にあふれ、
水曜日の子供は悩みが多く、
木曜日の子供は遠くまで行き、
金曜日の子供は愛情ゆたか、
土曜日の子供は働いて暮らしを立てねばならぬ、
けれども、安息日に生まれた子供は、
かわいくて、賢くて、人がよくて、ほがらかだ。

何でしょうね、この歌は。不思議な内容です。でも何だか気になります。私は土曜日の子供なのか?

「あなたの誕生日は何曜日ですか?」で誕生日の曜日を調べてみました。私は月曜日の子供でした。・・・で?

追記:何曜日生まれかを調べるのに、占い関係でないサイトにリンクを張っていたのですが、何故か次々リンク切れしてしまいました。以下に万年カレンダーサイトをリンクしておきます。

あの日は何曜日?  10000年カレンダー

追記:2023年7月20日

曜日調べのサイトが次々リンク切れになってしまいました。
今日見つけたサイトは「みんなの知識 ちょっと便利帳」の「その日は何曜日?」。
名前の通り、 “ちょっと便利” で “ちょっと役に立つ” いろんなコンテンツをてんこ盛りに詰合わせた面白いサイトです。

【みんなの知識 ちょっと便利帳】⇒その日は何曜日? [曜日調べ]
https://www.benricho.org/nenrei/youbi.html参照

生現!

先日イタリア×スロバキア戦を見ていて思ったのですが、外国の選手はとても目立つタトゥを入れている人が多いですね。昨夜のイングランド×ドイツでも、ベンチにいるベッカムの腕からチラリと覗く青い模様が気になりました。

日本ではタトゥと言えば刺青。刺青と言えばその筋の人という連想があるから、反社会的でマイナーなイメージが強い。海外のノリでサブカルチャーだとかファッションだとか、スキンアートだとか言われても、なかなか受け入れがたいのが実情だと思います。
私はすごい怖がりなので、丸太のように太い二の腕に蠍だとかムカデだとかタトゥをいれている人がいたら、たぶん3mも近づくことができないでしょう。あの手のタトゥは人を威嚇するために入れているのだと思います。
しかし、「日本文化に影響された外国人のタトゥー 」という動画に紹介されている人達は、人を怖がらせる意図はないように見えます。
座右の銘とか自分の信条とかを生涯忘れることのないよう、体に刻みこんでおこうとしているか、あるいは私みたいな、おっちょこちょいな方々なのか。どうしてその字を選んだのか、尋ねてみたい気もします。

「日本文化に影響された外国人のタトゥー 」

以前聞いたので面白いと思ったのは、項に「祖母」というタトゥ。生きているおばあちゃんならほのぼのですが、亡くなったおばあちゃんを偲んでなら、しんみりした気分になりますね。でも本当は「祖国」といれたかったのでは?
検索していると、「漢字の意味を間違っているよ!」と指摘しているアメリカのタトゥ屋さんがありました。
それによると「色」を何故か“Wild”と勘違いしてタトゥしているとか。
他にも「子」を“spirit”。
「夕」を“child”。
「天」を“To Die Young”(これは夭折の夭と間違えているらしい)。
「荒」は“Passion”だと思っている人がいるようです。

それから、「生現」というタトゥ。これは“Live For Today” って意味だと思っているとのことです。「生」は「live」「現」は「now」、そこからできたアメリカ熟語らしいです。
そのタトゥ屋さんは「生現とは「生きて現れる」、あるいは「生き返る」って意味で、ゾンビを見るみたいなことだよ」と注意しています。

話はそれますが、“Live For Today”っていい言葉ですね。私も座右の銘にして、体でなく心に刻んでおきたい。
昔、ザ・テンプターズが「今日を生きよう」というタイトルで歌っていたのを思い出します。私は原曲の方が好きでした。バンド名は知らなかったけれど。
今調べてみると、原曲はアメリカのバンド“ グラスルーツ ”原題は「Let’s Live for Today 」です。懐かしの曲をYOU TUBEで。時代を感じますねえ。

 

「わが心臓の痛み」マイクル コナリー

wagasinzou出版社: 扶桑社 (2002/11)

内容(Amazon.co.jp「BOOK」データベースより)

連続殺人犯を追い、数々の難事件を解決してきたFBI捜査官テリー・マッケイレブ。長年にわたる激務とストレスがもとで、心筋症の悪化に倒れた彼は、早期引退を余儀なくされた。その後、心臓移植の手術を受けて退院した彼のもとに、美しき女性グラシエラが現われる。彼女は、マッケイレブの胸にある心臓がコンビニ強盗に遭って絶命した妹のものだと語った。悪に対する怒りに駆り立てられたマッケイレブは再び捜査に乗り出す。因縁の糸に繰られ、事件はやがてほつれ目を見せはじめるが…。 

映画と読書」で紹介されていたマイクル・コナリーの「暗く聖なる夜」を読んでから、この作者のハードボイルドタッチが気に入っています。
少し細か過ぎるかなと思うほど、ディテールを丁寧に書き込んでいます。小説の中で登場人物の一人が推理小説を読んでいる場面があるのですが、「今西警部、捜査す」という日本のミステリーです。これがなんと松本清張の「砂の器」のことだと注訳がありました。こういう、ちょっとした「へぇ~」を見つけるのも、海外小説の面白さです。
「わが心臓の痛み」は原題の「Blood work」のタイトルで映画化されたそうです。文庫のカバーにもなっているので分るようにクリント・イーストウッド主演。及び監督・制作も。
クリント・イーストウッドと言えば、私が子供の頃初めてカッコイイ!と思ったヒーローです。「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」、その後の「ダーティ・ハリー」シリーズ。思えばこの頃に私の「ハードボイルドでアウトロー」な好みが形成されたのでしょう。原点はクリント・イーストウッドに違いありません。
彼の映画を最後に観たのは「許されざる者」。夫と二人でDVDで観ました。夫は「いい映画だ。」とかなり感動していましたが、私は「我がヒーローも歳をとったなあ」としみじみしたものです。
ところで、今夜は「歳をとるのは怖い」と思い知らされることがありました。
ブックオフで次なるマイクル・コナリーを手に入れて嬉々として車で帰宅する私。大きな交差点の最前列で信号待ちしていると、車をぶつけられました。
信号待ちでぶつけられるというと、追突されたのだろうと思うでしょう?違うんです。左折するつもりだったらしい車が、大回りに曲がって、信号待ちしている車の列に突っ込んできたんです。とろとろしたスピードで、ひょろひょろと私の車の正面左寄りにやってきてコトンとぶつかり、ガリッとボディをこすって、私の車と隣の車の間をすり抜けようとしました。運転しているのは80歳をとうに過ぎていると思われるご老人でした。
その時信号が青になったので他の車はそのご老人の車を避けながら、いっせいに走り出し、動けないのは私の車だけ。バックミラーで見てみると、そのご老人の車はするすると私の後方を走って行き、そのまま左車線を逆走していくようでした。一人取り残された私。仕方が無いのでそのまま帰ってきました。
高齢者の危険運転のことがニュースになったりしますが、本当に怖いですね。今夜を境にその方が運転をやめる決心をしてくれたらいいと思うのですが。
「歳をとるということは昨日までできていたことが、今日からはできなくなること。」そうなんですねぇ。

「探す」飯島 耕一 

生活居住圏も生活パターンも全然重なることのない人と、予期せぬ場所でばったり出会って、驚くことがたまにあります。

そんな時、「あの店をあと1分出るのが遅かったら、あるいは早かったら、決して出会うことはなかったのだ」などと思うと不思議な気持ちになりますよね。BGMにはあの曲が流れてきそうです。

~あの日 あの時 あの場所で 君に会えなかったら
僕らは いつまでも 見知らぬ二人のまま~

昨日の夕方がそんな日でした。と言っても偶然出会ったのは親戚の女の子。「ラブストーリーは突然に」は流れてこなかったけれど、やっぱり不思議だな、偶然ってやつは、と思わずにはいられません。

人との出会いは、考えてみるまでも無く、偶然のなせるものです。あの時、思い切って会社を辞めなければ、出会うことのなかった人、あの駅で乗り換えなければ、会うこともなかった人、、、、、、
自分の力の及ばないところで用意されている出会いの積み重ねで人生は形成されていくのだと、つくづく思います。

そういえば「出会う」がキーワードの、好きな詩があったっけ、と思い出して古いノートを引っ張り出してみると、飯島耕一さんの「探す」という詩を書き写してありました。改めて読んでみると、「出会う」というよりは「はぐれてしまった」詩のようですが、好きな詩なので思い出したついでに紹介します。

「探 す」

飯島 耕一

おまえの探している場所に
僕はいないだろう。
僕の探している場所に
おまえはいないだろう。

この広い空間で
まちがいなく出会うためには
一つしか途はない。
その途についてすでにおまえは考え始めている。

これは、出会った二人の愛がはぐれてしまった詩なのか、それとも人生の中ではぐれてしまった自分自身を探しているのか。短い詩というのは、思わせぶりです。

詩人、岩田宏さんのこと

iwatajpgTVなどで耳にした曲が気に入って、アルバムを借りて聞いてみると、結局その一曲しか聞くものがなかったりするのはよくあることです。
私にとって音楽CDは繰り返し聞くことが前提で、読書するみたいにいろんなジャンルをあれこれ聞いてみたい、という興味の対象ではなく(音痴だし、カラオケ行かないし)よっぽど気に入ったものじゃなきゃ買いません。
CD一枚丸ごと好きじゃなきゃ聞きたくもない、というところで選んでこの10年、丸ごと好きになったアーチストは1組しかいないため、この10年、ずうっと同じアーチストのCDをカーステレオで繰り返し聞いています。

私にとって詩集も音楽と似ています。
好きな詩に出会ってその人の詩集などを本屋さんで立ち読みしてみると、一冊の本から好きな詩はその1編しかなく、買うまでに至らないことが多い。もっとじっくり読んでみようと購入したものもあるけど、そういう本は年月を経ていつのまにか私の手元から消えています。

昔購入して今でも手元に残っている数少ない詩集の一つに「岩田宏詩集」があります。
今ではほとんど開くことはないのですが、詩の断片はひょいと現れて記憶の中で唄いだすことがあります。

ねむたいか おい ねむたいか
眠りたいのか たくないか
ああいやだ おおいやだ
眠りたくても眠れない
眠れなくても眠りたい
無理な娘 むだな麦
こすい心と凍えた恋
四角なしきたり 海のワニ

「いやな唄」から

酔っ払いの、韻を踏んだ戯言、といえないこともないけれど。
彼の詩はどれも酔い加減と目覚め加減がちょうどいい加減で、気に入っています。

そういえば岩田宏さんてどんな方なんだろう。今も詩を書いておられるのかなあと検索してみると、意外な事実が分かりました。
岩田宏さんは1975年頃から詩を書くのはやめて、その後小説など書かれているようですが、「ロシア語・英語・フランス語に堪能な名翻訳家としても知られている」とありました。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
翻訳家としては本名の小笠原豊樹名義で推理小説やSFなどを多く手がけているとのこと。以前話題になった、ソルジェニーツィン「ガン病棟」の訳者でもあり、SFではレイ・ブラッドベリ の翻訳も。
私はレイ・ブラッドベリの本はほとんど読んでいるので、知らず知らず岩田宏さんの仕事に何度も出会っていたようです。

検索していると、私同様に彼の詩を紹介しているブログにいくつか行き当たりましたが、その中でちょっと驚きのサイトがありました。
蛙の庭・縦書きたい写真日記 縦書きHTMLソース作成「縦書きたい」を使った縦書きブログ日記』
以前企業サイトで縦書きを眼にしたことはありましたが、個人ブログでは初めてです。
できるんですねえ、縦書き日本語ページ。
縦書きの美しいページで詩が紹介されていて、岩田宏さんの詩は戯言にみせかけて、実はとても美しく叙情的なとこがあるのだってことも伝わってきます。

私もどれか好きな一編をここに紹介しようと、改めて詩集をめくってみましたが、詩集一冊丸ごと好きなので選びづらい。それにほとんどの詩が長いのです。そこを無理やり抜書きしてみました。

「悼む唄」

おれに妹をつくりもせず
両親は死んだ
おれは念力で妹をつくりだし
ふたりで
タオルを持って
深夜のプールの
ざらざらのふちに立ち
泳ぎ寄るマリリン・モンロウを迎える
雨雲 切れろ 月 顔を出せ

妹はカルキの匂いをいっぱいに吸いこみ
マリリン・モンロウは仰向いて語りかける
「タオル貸して!
水は詩のように
流れてなめらかで
拭くのがもったいないけれど!
この一年間
あなたは何をしてらした?
死は夢みたい
夢は水みたい
この世でもあの世でも
まじめはまじめ ぐうたらはぐうたら」
髪の濡れた女の右手を妹が
左手をおれが掴んで
一挙に引き上げる。

「マグマ」真山 仁

magma出版社: 朝日新聞社 (2008/3/7)

内容紹介(Amazon.co.jp)
外資系ファンドの野上妙子は、地熱発電を運営する会社の再建を任される。地熱発電に命をかける老研究者、それを政争に利用する政治家、欧米からの執拗な圧力など、さまざまな思惑が交錯する中で、地熱ビジネスは成功するのか──地球温暖化、石油価格の高騰、原発の安全性が叫ばれる今、地下エネルギーの可能性と未来を予感させる、ドラマ『ハゲタカ』の著者が描く大型経済情報小説。

真山仁の「マグマ」を読み終わりました。
時間があれば一日で一気読みしたくなる面白さでしたが、逸る気持ちを抑えつつ1週間かけて完読。
あらすじは以下の通り。

 「外資系ファンドの野上妙子は、地熱発電を運営する会社の再建を任される。地熱発電に命をかける老研究者、それを政争に利用する政治家、欧米からの執拗な圧力など、さまざまな思惑が交錯する中で、地熱ビジネスは成功するのか―ドラマ「ハゲタカ」の著者が描く大型経済情報小説。 (「BOOK」データベースより)」

以前私は「原子力と放射性廃棄物の地層処分について」という市民コミュニティに参加し、CO排出の少ないクリーンエネルギーとして、水力、風力、太陽光発電などがあるという話を聞きましたが、その際「地熱」という発電事業についてはとりたて説明がなかったように思います。
たいして注目に値しない発電なのか?それとも原子力発電に取って代わる日本の新しいエネルギーとなりうるものなのか?「地熱発電」への興味を持って「マグマ」を読み始めました。

まず、「発電のしくみとは」という基本から書かれているのがありがたい。
「発電とは何かの力を借りてタービンを回し、そのタービンが電気を起こす、という極めて単純な構造」
そのタービンを回す物質は原発でも水力でも火力発電でも同じ、”水もしくは水蒸気”なのだそうです。
水力発電は水そのものの力を使いますが、他の発電は「水を気化させる時の勢いでタービンを回す。原発も火力(発電)も水を沸騰させるためのコンロの役割をしている」ということです。

地熱発電のしくみはというと、

「火山や天然の噴気孔、温泉、変質岩などがある、いわゆる地熱地帯と呼ばれる地域では、深さ数キロメートルの比較的浅いところに1000度前後のマグマ溜りがあります。そして地中に浸透した雨水などがマグマ溜りによって加熱されて、地熱貯留層を形成することがあります。」(「日本地熱学会」のHPから引用)

この地熱貯留層(熱水溜まり)に温泉を掘る要領でパイプを通すと、地下から熱水が噴き上がり、地表に出た時には蒸気になっている。地熱発電はその力でタービンを回すので、水を沸騰させる動力は要らない。わざわざ大量の水を用意する必要もない。つまり資源コストはほとんど掛からない。火力燃料は一切使わず、原発のような放射能漏れの心配もない。火山列島日本国においては、すべて自然が与えてくれる究極のクリーンエネルギーという訳です。

「夢の代替エネルギー、そう騒がれても当然なのに、なぜこのエネルギーを今まで知らなかったのだろう。」とヒロイン野上妙子は素朴な疑問を持ちます。そして、その答えは・・・・

この本は、ヒロインの魅力と彼女をとりまく物語のスピーディな展開に乗せて、地熱発電及び日本の発電事情を分かりやすくレクチャーしてくれます。

地熱発電のしくみについては「日本地熱学会」のHPに図解入りで詳しく紹介されています。

エクセルでtmpファイルが・・・

会社ではもっぱらエクセルを使用して仕事をしています。エクセルはExcel95から始めて、現在Excel2007を使用。エクセル歴は長いので、たいていの失敗やトラブルを経験してきているのですが、この2週間程、初体験の現象に振り回されました。

 先週のある時、エクセルのファイルを保存すると、そのファイルと同じ場所にtmpファイルができることに気が付きました。ワードや他のファイルではその症状は起きません。
使用した全部のフォルダを開いてみると、あちこちのフォルダからごそごそとtmpファイルが見つかり、日付をみると3月18日あたりからその症状が起きているようでした。3月18日、私はパソコンに何をしたんだろう?考えてみても先週のことなんて思い出せるものではありませんね。

とりあえずフォルダオプションやエクセルの設定を確認してみるけど、怪しいところはない。エクセルが原因?それならソフトの再インストールで改善されるだろうと、オフィス2007を入れ直してみましたが、変化なし。エクセルが壊れているわけではなさそうです。

tmp(テンポラリ)ファイルは一時的なバックファイルで、そのソフトの終了とともに消去されるもの。普段目にすることのない場所に作成されるので、今までその存在を気にしたこともありません。しかし、エクセルファイルを保存するごとに、それと同じサイズのtmpファイルが作成され、エクセルを終了してもtmpファイルは残り、フォルダの中にどんどん溜まっていきます。ファイルをこまめに保存すると作成されるtmpファイルはかなりの量になってきて削除作業も鬱陶しい。

これは部屋が散らかっている時と同じ気分。許容度を超えると落ち着かず、片付けのことが頭から離れなくなてしまう。決して掃除好きって訳じゃないんだけど、明らかに不要なものが増え続けるのって気が重くなります。

ネットで検索すると同様のトラブルのQ&Aが結構出ていて、原因は「ウィルスバスター2009」の不具合というのが多かったのですが、会社で使っているのは「NTT西日本のセキュリティ対策ツール」。これじゃあない、と思いきゃ、「『NTT西日本のセキュリティ対策ツール』の中身は『ウィルスバスター』と同じ。」という記述を個人のブログの中に見つけました。
さらに「ウィルスバスターのリアルタイム検索機能がミスっぽい」というつぶやきが漏れてくるブログに当たり、ああ、そうだった!先週、私はセキュリティ対策ツールのリアルタイム検索のチェックが外れていることに気づき、チェックを入れたのだったと、思い当たったのでした。去年までこのパソコンを使用していた前任者は不具合を知ってか、チェックを外していたわけです。

原因が分かるとNTT西日本のサイトに「Microsoft Excelでファイルの上書き保存を行うと、拡張子”tmp”のファイルが作成される事象に関する対処方法 」というお知らせがあることにも気づき、そこから修正パッチをダウンロードしてパソコンにインストール。2週間ぶりに症状は無くなりました。

最初から検索で「NTT西日本のお知らせ」がヒットすれば簡単に解決できた問題でしたが、訳も分からないまま検索していると、一番的を得た答えに行き着くことは難しいですねえ。今回は個人のブログの、ちょっとしたつぶやきに助けられました。

私のこのつぶやきもどこかの誰かの役にたつことも無いではない、かもしれないので、お役に立ったらいいなという情報を少しご紹介。

NECの「121ware」お楽しみの「ちょっとまめ知」はインターネット、ワード、エクセル、ウィンドウズのちょっとした豆知識を図解説でわかりやすく提供しています。数は少ないけど知ってると便利なものです。
(※NECの「121ware」は「NEC LAVIE公式サイト」に移動)

ワードやエクセルのことをもっと知りたいときは
「インストラクターのネタ帳」がお勧めです。私はエクセルで困った時に、だいたいここで適切な解答を見つけています。ああ、こんなやり方があったのかア、と驚きの機能や関数も発見できますよ。

市民コミュニティ

「最近講習会に積極的に参加しています」ということを、このブログで書きましたが、まるでそれを知られてしまったかのように、先日NPO法人の方から「市民コミュニティへ参加しませんか」というお誘いがありました。

タイトルは「原子力と放射性廃棄物の地層処分について 」
高レベル放射性廃棄物の地層処分事業を推進するために設立された、「原子力発電環境整備機構:(NUMO)(ニューモ)」の取り組みを市民レベルに周知理解させるのが目的のコミュニティです。
内容は『放射性廃棄物地層処分事業に関して、マスコミの主張や反対派の行動に流されずに、自分自身で問題の価値判断、意思決定等を行うための学習やディスカッション、アンケート等を行う』というもの。

資源エネルギー庁はNPO法人を通じて、全国で「放射性廃棄物ワークショップ」を開催しているそうです。それは50人~80人くらいの参加者が講習を受け意見交換をするものだそうですが、今回の参加者は6人限定です。人数が多いと積極的に意見を出しにくい。講習内容がどこまで理解されているかも把握しにくい。少人数に同じ内容の講習を受けさせ、疑問点や本音の意見をより多く引き出したいというネライがあります。

主催は東京電力の関連会社です。
参加資格は特別な知識は要らない、まじめに取り組んでくれる人。
私は原発問題に関心はありますが、ほとんど知識はありません。放射性廃棄物の地層処分についても「地中に埋める」といった程度の認識です。講習を受けるだけなら楽しそうだけど、知らない人たちと少人数でディスカッションすることは経験が無いので、ちょっと苦手意識が先にたちます。
しかし「昼食、交通費、謝礼支給」という一行に惹き付けられ、「参加します。いえ、ぜひ参加させて下さい!」と お願いしてしまいました。謝礼は私の気持ちを軽くするのに十分な金額でした。(この気持ちを軽くするのに十分な金額って人によって大きく異なるんでしょうね。)

先週、市内ホテルの会議室に20代から60代の男女3人ずつ、計6人が集まりました。

学習内容は「放射性廃棄物のホームページ」(http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/rw/
に書かれているものとほぼ同じです。興味のある方はHPをご覧下さい。

私は現在日本で稼動している原子力発電所が何基あるか、そういうことも知りませんでした。53基だそうです。そして電気の約30%が原子力発電によってつくられているといいます。思っていたより多い数字でした。

日本の電力発電は、石油、石炭、天然ガスを原料とする火力発電が主ですが、1973年のオイルショックにより、原料を石油に頼りすぎるのはマズイと考え、原子力発電所を増やしてきたようです。
将来的には日本の電源構成の3~4割程度を原子力にしたい、というのが国の方針だそうです。

最初に、原子力発電のメリットについて説明がありました。

  • ・火力発電に比べCO2の排出量を大きく削減できること。(地球温暖化対策になる。京都議定書の目標値達成に有効)
    水力発電はCO2排出量が原子力より低いが、ダムを1基造るのに莫大な費用がかかる。
    ・原子力の原料となるウランは、石油に比べ比較的政情の安定した国から輸入できるのでエネルギーの安定供給が望める。
    ・太陽光発電や風力発電に比べ低コスト。
    ・天候に左右されない。(エネルギーの安定供給)
    ・使用済み燃料を再処理して再利用できる。(他の発電方法に比べ効率が良い。
    など、です。

説明してくれた工学博士は、「原子力は地球環境に貢献し、効率的で低コストで安定したエネルギー供給ができる。自動制御装置もあり、以前より格段に安全な構造になっている。原子炉建屋全体が分厚いコンクリートで覆われているので、たとえ事故が起こっても放射能漏洩はありえない、チェルノブイリのような事故は日本では起こらない」と断言します。

そう言われてもなかなか、原子力発電が安全だと信じ切るることはできません。むしろ疑問はふくらむばかり。

・地球温暖化対策は勿論大事だけど、原発で事故が起これば地球規模のダメージになるのでは。
・いくら原発は安全だと言われても、構造物の老朽化、人為的なミスなどによる放射能漏洩が無いとは言い切れないのではないか。(※原子炉の法定耐用年数は16年とされていますが、保全補修を繰り返しながら40年~60年使うことが可能だと言います。実際は使える限り使うというのが現状だそうです。
ちなみに、耐用年数の終了した原子炉は高レベルの放射性物質を帯びているためコンクリートで固め、永久に使用できない巨大なゴミの塊となります。川内原発もいずれ1基が巨大なゴミとなり、新に1基増設されます。)
・先進国がこぞって原子力発電を推し進めていけば、今度は石油でなくウランをめぐって資源争奪紛争が起きるだけのことではないか。(※実際にウランの価格も近年上昇傾向にあると報告されている。)
・太陽光発電や風力発電の電気蓄積の技術開発、あるいは別のエネルギー開発の促進に、もっと力を注いでもいいのでは。

もっと原発の安全性については聞きたかったのですが、今回は原子力発電そのものの是非を問うものではなく、原子力発電によって既に発生してしまった高レベル放射性廃棄物の処理についてが、優先される重要課題です。『高レベル放射性廃棄物とは、使用済燃料からウラン・プルトニウムを分離・回収した後に出る液状の廃棄物で、放射能レベルが高いことから「高レベル放射性廃棄物」と呼ばれる』ものだそうです
そもそも、ゴミをどう処分するかという避けて通れない問題を棚上げにしたまま、原子力発電事業は推し進められてきました。増え続ける電気の消費量に追いつくために、やむなく問題を先送りにしたのかも知れませんが、日本の原子力事業も40年以上たち、いよいよゴミの問題と直面しなければならない時期が今来ているのです。

《高レベル放射性廃棄物》の処分の工程は、

  • ・液体状の高レベル放射性廃棄物をガラス原料とともに溶かし合わせて固めて《ガラス固化体》にする。(ガラスは水に非常に溶けにくく、長期間にわたり変質しにくいという性質がある)
    ・それをステンレスの容器に入れる。
    ・高レベル放射性廃棄物は高熱を帯びているので、『高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(青森県上北郡六ヶ所村)』 に貯蔵して、30年から50年間かけて自然冷却する。
    ・冷却後、粘土による緩衝材で包み込み、地下300mの深さの岩盤に埋め込む。これが『地層処分』です。
    (※《ガラス固化体》を作る技術や地層を300m掘り下げる技術については、まだ安全性が確立していないという問題もあります。)

そしてこの地層処分する場所(最終処分地)については、平成14年から全国の市町村を対象に公募を行っていますが、まだ決まらない。決まらないのは、原子力と放射性廃棄物の地層処分について一般人の理解が得られていないからだ、というので今回のようなコミュニティが全国で開催されているということでした。

参加してみて、既に発生してしまった高レベル放射性廃棄物を処分しなければならない必然性は理解できましたが、原子力発電を推進していくことには、納得がいきませんでした。
原発が稼動している限り、高レベル放射性廃棄物は増え続ける。それを地中に埋め続ける。・・・本当にそれは地球に影響しないのか?他に道は無いのか?他のエネルギー開発を進めて、原子力発電を縮小方向に持って行って欲しい、というのが私の意見です。

蛇足:
謝礼で買ったもの
①大人らしいサンダル 1足
②書籍2冊:「世界のかわいい紙」(その名のとおり、世界中のかわいい紙のコレクションです):穂村弘のエッセイ集「現実入門」
③外食
贅沢に使い切りました。

「光る砂漠」 矢沢 宰

hikarusabaku私の手元にあるのは、たぶん30年以上前に購入した詩集。
久しぶりに本棚から取り出してみました。文庫本はほとんど捨てるか売るかするのだけど、画集、詩集、写真集、と集の付く本はなかなか捨てられません。
矢沢宰さんは14歳から詩を書き始め、21歳で亡くなっていますが、この「少年」という詩は20歳の頃の作品。こんな美しい詩は若くなければ書けない、そう思います。

 

 

 

少年

矢沢 宰

光る砂漠
影をだいて
少年は魚をつる
青い目
ふるえる指先
少年は早く
魚をつりたい