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【元記事】経産相、核ごみ最終処分で ≫ 原子力機構、ずさんな管理 廃棄物ドラム缶を雑然と山積み

  • http://fukunawa.com/fukui/22239.html
  • 2017年1月28日 07:49

廃止が決まっている日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)で、放射性廃棄物のずさんな管理が問題になっている。廃棄物を詰めたドラム缶が施設内に雑然と積み上げられ、高レベル放射性廃液の処理も進んでいない。廃棄物の処分場建設のめどもなく、70年程度かかるとされる施設の廃止作業は難航必至だ。

「長い間のつけというか、負の遺産。施設の後片付けは原子力事業を行う組織の最大の責任だ」。原子力規制委員会の田中俊一委員長は1月中旬、原子力機構の児玉敏雄理事長を臨時会合に呼び、廃棄物管理の抜本的な見直しを求めた。

再処理の過程では、使用済み核燃料を金属製の被覆管ごと細かく切り刻み、硝酸溶液で溶かしてプルトニウムなどを回収。その結果、高レベル放射性廃液や被覆管の破片が大量に出たが、その保管や処理が大きな課題となっている。

原子力機構は被覆管の破片をドラム缶のような円筒形の容器に詰めて専用の貯蔵庫で保管しているが、保管状態は劣悪だ。搬入時、容器をワイヤでつり上げ、天井の開口部から切断したワイヤとともに落としたためで、容器からの強い放射線を遮るため水で満たした高さ10メートルの貯蔵庫いっぱいに、計約800個が不規則に積み上がっている。

いずれ取り出して処分場に埋設する必要があるが、取り出し設備はない。「昭和40年代の設計時、処分のことまで考えていなかった」と原子力機構の担当者。貯蔵庫内では、多くの容器とワイヤが複雑に絡まり合っているとみられ、遠隔操作のロボットアームなどの開発が不可欠となる。

高レベル放射性廃液の処理も停滞している。原子力機構は敷地内の別の施設で貯蔵している約400立方メートルをガラスと混ぜて固める方針だが、昨年1月に始めた作業は同4月に機器のトラブルで中断。近く再開の予定だが、全ての処理を終えるには10年以上かかる見通しだ。

ドラム缶の取り出しや高レベル廃液の処理が順調に進んでも、それらを埋設する最終処分場の建設はめどが立たない。再処理施設の廃止作業は今後10年間だけでも2千億円以上かかる見通しで、70年という廃止作業全体の期間でどの程度まで膨らむのか、原子力機構も見通せていない。