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「後ろ向きの歌」は後ろ向きじゃない

先月の話ですが、オープニングテーマの「後ろ向きの歌」が学校で流行っているんだよ、と小学生にお勧めされ、「泣くなはらちゃん」というドラマの最終回を観ました。
「後ろ向きの歌」は本当のタイトルを「私の世界」といい、「かもめ児童合唱団」が、かわいい歌声で歌っています。着うた配信サイトで1位になったりして、結構当時は評判になったらしいですが、世の中は常に前向きに進んでいくので、ドラマが終わるとまったく耳にすることもなくなりました。

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「私の世界」 ♪  作詞:岡田惠和、作曲・編曲:井上鑑

世界じゅうの敵に降参さ 戦う意思はない
世界じゅうの人の幸せを 祈ります
世界じゅうの誰の邪魔もしません 静かにしています
世界の中の小さな場所だけ あればいい
おかしいですか? 人はそれぞれ違うでしょ? でしょでしょ?
だからお願いかかわらないで そっとしといてくださいな
だからお願いかかわらないで 私のことはほっといて

確かに「前向き」「積極的」「ポジティブ」とは言えない歌詞ですが、「前向き」でなければ「後ろ向き」と言うわけではない。
私にとっては「ニュートラル」な立ち位置の歌に思えます。
人の思惑に絡め捕られることなく、自力で生きたいと願っているだけ。
この位置から、時には前に行ってみたり後ろに揺れてしまったり、というのが、おおかたの人の日々の生活じゃないかなあと思うのです。

「前」か「後」の二方向以外に、世の中には、「上」か「下」かの方向も存在します。
たいていの人は「上」に行くことを熱望するか、心ひそかに願う。
「下」に行きたいと望む人はまずいないでしょう。
「上」には何があるんだろう?って時々考えます。たぶん、富とか名声とか権力とか、そういうものなんでしょうか?上ったことがないので分かりません。
ただ分かるのは、前向きであれば上に行けるというものではない、ってこと。
上に行くためには、たぶん、スティーブ・ジョブズみたいに「夢の実現」とか「仕事へのロマン」とか「世界を変える野望」とかを声高らかに宣言する必要があるでしょう。何よりも上に行きたいという強い熱意が必要だし、他人を自分の人生に引き込む才能が欠かせないと思います。
そういう人にはきっと、世界中の空から垂らされているに違いない、透明な蜘蛛の糸のような何かが見えるのかもしれないと思ったりします。

蛇足ながら、「後ろ向き」関連でみつけたカフカの名言を。
カフカは大好きな作家なので、こういう発言には、思わずニヤリとしてしまいます。

「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」

「カフカの迷言がネガティブすぎて笑える」より。