「国内、国外を問わずに、あらゆる角度から収集された社会データを基に、相関図を表し、そこから見えてくる事実とその裏に潜む現実を解説する書籍である。ときに国別の情報であったり、県別の情報であったり、あるいは男女別の情報であったりと、特に収集データには傾向や制限をもたせず、現代社会の側面を表しているような興味深いテーマを中心に選んでいる。社会データの奥深い解説のみならず、相関図として表す際のグラフの見せ方についても解説している。
(本書概要より)」
以前読んだ、「絶望の国の幸福な若者たち/古市憲寿」の中で、本書のデータが引用されていて興味を持った本です。
著者の本川裕氏は「社会実情データ図録」(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/)というウェブサイトを主宰しています。このサイトは統計グラフとコメントで構成されていて、掲載されている図録も900~1000点という膨大なデータ量。そしてなんと、月間100万前後のアクセスがあるサイトだそうです。
その「社会実情データ図録」をもとに編集、まとめられたものが本書です。
「社会通念に囚われず、種々の社会現象について、データそのものが語っているように見える法則性に関し、オリジナルな仮説を示し、真実を見極めようとする人々に検討材料を提供すること」を目標に掲げています。
「少子化は公的支出で防げるか?」「日本の貧困度は高いのか?」「豊かになるほど経済格差は広がるか?」「安全なのに”不安”な日本、治安が悪くても”平気”な国」「日本の食料自給率はどれくらい低いのか?」「あなたは醤油派か、ソース派か?」などなど、様々な39のテーマで相関図が表示されています。
国際的データによる相関図では、日本という国の特異性が浮き彫りになるものが多く、興味深いものでした。 一例を挙げると、「米国に対する各国国民の評価」というデータ。
調査結果は日本が16%、韓国が19%、ほぼ同程度の割合でアメリカに対しプラス評価です。
しかし日本は「どちらとも言えない」「分からない」「無回答」といった「あいまい回答比率」が、調査対象28ケ国の中で並はずれて、極端に、高い。正反対に韓国は「あいまい回答比率」が、各国の中で一番低い。
「白黒はっきりさせないと気が済まない韓国人と、白黒をはっきりさせないで物事に対処する日本人という国民性の違い」がこんなところからも見えてきて面白い。
日頃、私たちがニュースや情報番組なんかで耳にする統計データというものは、それを利用する人にとって都合のいい数字だけが取り上げられ、都合のいい解釈を付けて、世の中に流されているものだと、私は考えているので、統計の生のデータを自分の目で確認することは、とても大事だと思います。