WP”カスタム投稿タイプ”を使ってブログを複数追加する

WordPressには「投稿タイプ」と「固定ページタイプ」の2種類のコンテンツがあります。
ブログや更新情報、商品情報などのように、常に記事や情報を追加して、ページが増えていくような場合は「投稿タイプ」を使用し、プロフィールや、お問い合せ欄などのように、1枚のページで収まるような場合は「固定ページ」と、使い分けするようになっています。
「固定ページ」は何個でも新規追加できますが、「投稿タイプ」は1個のWordPressに1個が標準装備です。
通常、ブログ機能は1つしかない。1つじゃ物足りないと思ったことはありませんか?

ブログを複数持ちたい場合は、「WordPressのマルチサイト機能で複数サイトを作る」という手もありますが、新たにWordPressをインストールしたくはない、既に運用しているWordPressに別個のブログをちょっと増やしたいだけ、という場合「カスタム投稿タイプ」が簡単で便利です。

というわけで、固定ページタイプで作成した「読書リスト」ページを、「カスタム投稿タイプ」を使って、ブログ形式のページに作り直してみました。単に「カスタム投稿タイプ」を使ってみたいという好奇心だけでやってみましたので、「カスタム投稿タイプ」を作成する一例として、参考程度にご覧ください。

  1. 「カスタム投稿タイプ」を利用してブログを一つ追加する。
  2. 「カスタム投稿タイプ」のカテゴリーを設定できるようにする。
  3. 「カスタム投稿タイプ」を表示させる固定ページを作成する。
  4. カテゴリー別の一覧ページが表示されるようにする。
  5. 「カスタム投稿タイプ」を利用してブログを複数追加する。
  6. 「投稿が見つかりません」とか「404エラー」画面が表示された場合の対処法

1.「カスタム投稿タイプ」を利用してブログを一つ追加する。

functions.phpに以下のコードを追記します。
下記の「booklist」と「読書リスト」という記述は全て、任意の名前に置き換えてください。

// ===========================
// = カスタム投稿 =
// ===========================
function new_post_type(){
 //読書リストページ
 register_post_type(
 'booklist',
 array(
 'label' => '読書リスト',
 'public' => true,
 'hierarchical' => false,
 'has_archive' => true,
 'supports' => array(
 'title',
 'editor',
 'thumbnail',
 'excerpt'
 ),
 'menu_position' => 5
 )
 );
}
add_action('init', 'new_post_type');

7行目のbooklist 英数半角の任意の名前。あとから変更するのは面倒なので、最初できっちり決めておく。
label 任意の名前。日本語でOK。管理画面のメニューに表示される。
public 公開、編集の項目
has_archive trueにするとarchiveが自動的に生成される。
supports 記事編集画面に表示する項目。ここでは、「タイトル」、「本文」、「アイキャッチ画像」、「抜粋」の4項目を指定している。
menu_position 管理画面のメニューに表示する位置。5は「投稿」の下の位置を指定している。
‘menu_position’ で位置指定する数値について

  • 5 – 投稿の下
  • 10 – メディアの下
  • 15 – リンクの下
  • 20 – 固定ページの下
  • 25 – コメントの下
  • 60 – 最初の区切りの下(コメントの下に区切りがある)
  • 65 – プラグインの下
  • 70 – ユーザーの下
  • 75 – ツールの下
  • 80 – 設定の下
  • 100 – 二つ目の区切りの下(設定の下に区切りがある)
    WordPress Codex 日本語版関数リファレンス/register post type」参照

参考サイト:

上記のコードを追加してfunctions.phpをサーバーにアップすると、管理画面のメニューに「読書リスト」の項目が表示されます。
custom01
カスタム投稿の投稿編集ページは下図ようになります。
custom03-1

2.「カスタム投稿タイプ」のカテゴリーを設定できるようにする

functions.phpに、さらにコードを追記します。
”タクソノミーの作成”以下がカテゴリーを設定できるようにするコードです。

// ===========================
// = カスタム投稿 =
// ===========================
function new_post_type(){
 //読書リストページ
 register_post_type(
 'booklist',
 array(
 'label' => '読書リスト',
 'public' => true,
 'hierarchical' => false,
 'has_archive' => true,
 'supports' => array(
 'title',
 'editor',
 'thumbnail',
 'excerpt'
 ),
 'menu_position' => 5
 )
 );
 //タクソノミーを作成
 register_taxonomy(
 'booklist_cat',
 'booklist',
 array(
 'label' => '読書リストカテゴリー',
 'labels' => array(
 'popular_items' => 'よく使う読書リストカテゴリー',
 'edit_item' => '読書リストカテゴリーを編集',
 'add_new_item' => '新規読書リストカテゴリーを追加',
 'search_items' => '読書リストカテゴリーを検索',
 ),
 'public' => true,
 'hierarchical' => true,
 'rewrite' => array('slug' => 'booklist_cat')
 )
 );
 }
add_action('init', 'new_post_type');

booklist_catは1.で決めた任意の名前のうしろにcatをつけたものです。booklistcatと書いてもOKです。
コードを追記してfunctions.phpをサーバーにアップすると、下図のように、管理画面の「読書リスト」メニューに、「読書リストカテゴリー」の項目が表示されます。custom02-1カスタム投稿の投稿編集ページにもカテゴリーの項目が表示されます。
custom02-2

3.「カスタム投稿タイプ」を表示させる固定ページを作成する。

カスタム投稿タイプのarchivesページを表示させる方法は、いろいろあるようですが、ここでは専用の固定ページを作成して表示させることにします。
page-book.phpというように、page-任意の名前.phpというテンプレートを作成します。
page-book.phpの1行目にはテンプレートネーム(任意)を記述します。

 <?php /** The template name:booklist */ 

【page-book.phpの記述一例】
divのidやクラス名などは任意の名前に置き換えてください。

<?php
/**
 The template name:booklist
 */
get_header(); ?>
 <div id="primary" class="site-content">
 <?php if ( have_posts() ) : ?>
 <?php /* Start the Loop */ ?>
 <?php query_posts( 'post_type=booklist&posts_per_page=10' ); ?>
 <?php while ( have_posts() ) : the_post(); ?>
 <a href="<?php the_permalink(); ?>"></a><?php echo get_the_term_list( $post->ID, 'booklist_cat', 'Category: ','・','' ); ?>
 <?php get_template_part( 'content', 'page' ); ?>
 <?php endwhile; // end of the loop. ?>
 <!-- ページナビここから -->
<nav class="nav-single">
 <span class="nav-previous"> <?php previous_post_link('前の投稿', TRUE); ?><br/>
 <?php
 $prevPost = get_previous_post(true); //前の記事データを取得
 previous_post_link( '%link', $prevThumbnail.'%title' ); //出力
 ?></span>
 <span class="nav-next"><?php next_post_link('次の投稿', TRUE) ?><br/>
<?php
 $nextPost = get_next_post(true); //次の記事データを取得
 next_post_link( '%link', $nextThumbnail.'%title' ); //出力
 ?></span> </nav>
 <!-- ページナビここまで -->
 <?php endif; // end have_posts() check ?>
 </div><!-- #primary -->
<?php get_sidebar(); ?>
<?php get_footer(); ?>

ループ内の下記コードは、1ページに表示する最大投稿数を設定するコードを記述しています。上記の例では1ページに投稿を10件表示するよう設定しています。

<?php query_posts( 'post_type=booklist&posts_per_page=10' ); ?>
 

ループ内の下記コードは、カスタム投稿のカテゴリー表示をしています。

<a href="<?php the_permalink(); ?>"></a><?php echo get_the_term_list( $post->ID, 'booklist_cat', 'Category: ','・','' ); ?>

プラグインWP-PageNaviを導入している場合は、ページナビの部分を下記コードに置き換えてもOKです。

<?php if(function_exists('wp_pagenavi')) { wp_pagenavi(); } ?>

page-book.phpテンプレートを作成してサーバーにアップしたら、管理画面で任意の名前の固定ページを追加します。
タイトルだけ入力し、本文は空白のままで構いません。
テンプレートの選択項目はpage-book.phpの冒頭に記述したテンプレート名を選択します。

cusutom000もし、カスタム投稿のテンプレートを選択しても何故かデフォルトテンプレートに戻ってしまうというエラーが起きた場合、実際私は経験してしまったのですが、そのような場合の原因と対処法が下記サイトに書かれていて、助かりました。

既存のブログとは異なるデザインのページにしたい場合は、カスタム投稿専用のテンプレートを作成します。

  • archive-カスタム投稿名.phpを作成する。(例:archive-booklist.php)
  • single-カスタム投稿名.phpを作成する。(例:single-booklist.php)
  • cssでスタイルを整える。

必要ならば、headerやfooter、sidebarなども、専用テンプレートを作成してarchive-カスタム投稿名.php、single-カスタム投稿名.phpに読み込ませたら良い、と私は思っていましたが、検索しているうちに、「条件分岐タグ」を使えば、もっとすっきりとカスタマイズできる、と解説しているサイトに行き当たりました。

下記サイトではカスタム投稿を index.php に表示する方法についても書かれています。

4.カテゴリー別の一覧ページが表示されるようにする。

カテゴリーをクリックするとタイトルの一覧ページが表示できるテンプレートを作成してみます。
テンプレートは、taxonomy-カスタム投稿名cat.phpです。

【taxonomy-booklist_cat.phpの一例】
archive-カスタム投稿名.phpを作成していたら、それを複製して名前を変更するだけでもよいようです。

<?php get_header(); ?>
<div id="primary" class="site-content">
<?php if(have_posts()): while(have_posts()): the_post(); ?>
<div class="book">
<?php echo get_the_term_list( $post->ID, 'booklist_cat', 'Category: ','・','' ); ?>&nbsp;&nbsp;&nbsp;<a href="<?php the_permalink(); ?>"><?php the_title(); ?></a>
</div>
<?php endwhile; endif; ?>
</div>
<?php get_sidebar(); ?>
<?php get_footer(); ?>

タイトル一覧が表示されます。
cusutom-last
タイトルだけでなく、投稿内容も表示したい場合は、下記コード部分を

<?php echo get_the_term_list( $post->ID, 'booklist_cat', 'Category: ','・','' ); ?>&nbsp;&nbsp;&nbsp;<a href="<?php the_permalink(); ?>"><?php the_title(); ?></a>

下記のように置き換えると投稿内容も表示されるようになります。

<?php echo get_the_term_list( $post->ID, 'booklist_cat', 'Category: ','・','' ); ?>
<?php get_template_part( 'content', 'page' ); ?>

5.「カスタム投稿タイプ」を利用してブログを複数追加する。

functions.phpに以下のようにコードを追記します。
二つ目のカスタム投稿の「document」、「ドキュメント」も任意の名前に置き換えてください。

// ===========================
// = カスタム投稿 =
// ===========================
function new_post_type(){
 //読書リストページ
 register_post_type(
 'booklist',
 array(
 'label' => '読書リスト',
 'public' => true,
 'hierarchical' => false,
 'has_archive' => true,
 'supports' => array(
 'title',
 'editor',
 'thumbnail',
 'excerpt'
 ),
 'menu_position' => 5
 )
 );
 //ドキュメント
 register_post_type(
 'document',
 array(
 'label' => 'ドキュメント',
 'public' => true,
 'hierarchical' => false,
 'has_archive' => true,
 'supports' => array(
 'title',
 'editor',
 'thumbnail',
 'excerpt'
 ),
 'menu_position' => 5
 )
 );
 //タクソノミーを作成
 register_taxonomy(
 'booklist_cat',
 'booklist',
 array(
 'label' => '読書リストカテゴリー',
 'labels' => array(
 'popular_items' => 'よく使う読書リストカテゴリー',
 'edit_item' => '読書リストカテゴリーを編集',
 'add_new_item' => '新規読書リストカテゴリーを追加',
 'search_items' => '読書リストカテゴリーを検索',
 ),
 'public' => true,
 'hierarchical' => true,
 'rewrite' => array('slug' => 'booklist_cat')
 )
 );
 //タクソノミーを作成
 register_taxonomy(
 'document_cat',
 'document',
 array(
 'label' => 'ドキュメントカテゴリー',
 'labels' => array(
 'popular_items' => 'よく使うドキュメントカテゴリー',
 'edit_item' => 'ドキュメントカテゴリーを編集',
 'add_new_item' => '新規ドキュメントカテゴリーを追加',
 'search_items' => 'ドキュメントカテゴリーを検索',
 ),
 'public' => true,
 'hierarchical' => true,
 'rewrite' => array('slug' => 'document_cat')
 )
 );
 }
  add_action('init', 'new_post_type');

コードを追記してfunctions.phpをアップロードすると、管理画面に「ドキュメント」の項目が追加されます。
cusutom001

6.「投稿が見つかりません」とか「404エラー」画面が表示された場合の対処法

カスタム投稿で作成した記事をプレビューすると、「投稿が見つかりません」といった画面が表示されたりします。この場合、管理画面の「設定」にある「パーマリンクの設定」を更新してみると、表示されるようになります。functions.phpのコードを修正したら、その都度パーマリンクの設定を更新した方が良いようです。

参照サイト:

wordpressbookjpg

 

以前「wp自作テーマでショップをリニューアルしました。」で紹介しました「WordPress3.X 現場のワークフローで覚える ビジネスサイト制作 / MdN(エムディエヌコーポレーション) ハヤシ ユタカ著」を、手元に置いて参考にしつつ、ネット検索で下記のサイトを参照させていただきました。

<参考サイト>

暗号解読(上・下)/サイモン・シン

angou新潮文庫/2007年6月

以前、高野秀明 『ジェノサイド』 を読んだ際、インターネットでは「RSA暗号」というものが使われていることを知りました。
特に暗号マニアというわけではありませんが、いまや私の生活に無くてはならないインターネットで、どのようにして暗号化が行われているのか?その仕組みを知りたくなって、本書『暗号解読』を読み始めました。

著者は、前作『フェルマーの最終定理』で、高等数学など全く無知な私をも、楽しませ、感動すら与えてくれたサイモン・シンです。
本書でも数々の暗号を素人にも分かるように図解入りで丁寧に解説し、興味をかき立てるようなエピソードをふんだんに盛り込んで、壮大な歴史物語を語ってくれています。

暗号の歴史は、紀元前から現代にいたるまで、為政者たちが繰り返す愚かな戦いの中にあり、様々な暗号が発明されては破られてきました。人類の歴史の暗い部分で、暗号作成者と暗号解読者の熾烈な戦いが、繰り広げられているのです。

暗号作成や解読には、多彩な分野の能力が必要なことも分かりました。
もし「暗号」が中学の授業科目にあったら、世界史、政治経済、科学、数学、言語学、古典学、工学、コンピュータ、チェスやクロスワード・パズル、その他もろもろ多岐にわたって学べそうです。暗号作成や解読の実技では、根気、忍耐力が養われることも間違いない。

サイモン ・シンの語り口は、前作にもまして軽快です。RSA暗号にたどりつくまでの長い歴史を、存分に楽しませてくれました。
もちろん、サイモン・シンの魅力は単に語り口のうまさだけではありません。
暗号マニアでもない私が読んでも楽しめるのは、作者の人柄によるところが大きい。
訳者、青木薫さんの言葉を引用させていただくと、

「血なまぐさい謀略や裏切りの連続であるはずの暗号の歴史が、卑小も偉大もひっくるめた愛すべき人間の営みとして浮かび上がってくるのである。わけても、マイノリティや弱い立場に置かれた人たちに向けられた視線の温かさはサイモン・シンならではのもの」
(訳者あとがきより)

そうなのです。前作『フェルマーの最終定理』でも感じたことでしたが、文章のそこかしこから作者の温かさが伝わってくる。もっともっと話を聞きたいという気持ちになるのです。

さて、今回の読書の目的であったRSA暗号ですが、2000年に及ぶそれまでの暗号とは全く異なる、逆転の発想で生まれたものでした。開発にかかわった暗号作成者たちのエピソードも面白く、RSA暗号のしくみについても、まあだいたい、分かってスッキリしました。
そのRSA暗号を利用して開発された暗号化ソフト、PGPというのがあります。これを作ったジマーマンの物語は、特に興味深いものでした。

1977年にRSA暗号が発明され、「完全な安全のもとでメッセージをやり取りできる」ようになりました。しかし、このRSA暗号の実用化は、政府、軍部、大企業だけを対象としていたといいます。
「それに対してジマーマンは、RSA暗号を使ってプライバシーを守ることは万人の権利だと考え、その政治的情熱を一般大衆向けのRSA製品を開発することに向けた」のでした。

彼はRSA暗号を使って、個人のコンピュータにインストールできて、専門家でない人でも使いやすい、そんなソフトに仕立て上げ、PGP (プリティー・グッド・プライバシー〝ほぼ完全なプライバシー”)と名付けました。
RSAの特許権を無視して開発したというから、ある意味とんでもない話なのです。
折しも、政府が安全性の高い暗号を禁止するような法案が提出され、PGPが非合法化されてしまうことを恐れたジマーマンは、急いでPGPを誰でも無料でインターネットからダウンロードできるようにしました。
そしてジマーマンは特許侵害の罪だけでなく、武器の非合法輸出という重大な罪で告発されることになります。暗号化ソフトが軍需品に指定されていたからです。

PGPは、デジタル通信をするすべての人々のプライバシーを守ってくれるものとして、多くの人にダウンロードされています。一方、犯罪者やテロリストも安全に通信ができるようになり、犯罪を助長するとして非難の的にもなりました。
「大事なのは犯罪防止か、それとも個人のプライバシーか」という論争は、以前読んだ『暴露 スノーデンが私に託したファイル』でも大きなテーマでした。そこには、スノーデンがPGPなしには外部と接触することはできなかった状況が書かれていました。
PGPはスノーデンのような内部告発者や、世界各地で危険にさらされている人権グループの人々の、身の安全を確保していることも確かです。
PGPの存在は、「大衆がもっとも恐れているのは何か」ということを考えさせます。

PGPは最強の暗号ソフで、「PGPで暗号化されたたった一つのメッセージを解読するために、世界中にあるおよそ二億六千台のパーソナル・コンピュータを投入したとしても、解読には平均して宇宙の年齢の一千二百万倍の時間がかかると推定されている」と言われるほどです。
しかしサイモン・シンは、今後、「現在のコンピュータよりも何十億倍も速い処理能力を持つという量子コンピュータが実用化されれば、PGP暗号も難なく破られ、新たな量子暗号を開発する必要があるだろう」と予測しています。

そこで、最終章では量子コンピュータの原理を、量子物理学から丁寧に図解入りで説明していますが、これは私には理解が難しかったです。
「重ね合わせ理論」を用いて「スピンする粒子」でコンピュータに計算をさせる?
・・・って、具体的にイメージすることができないのです。
いずれ別の本で、どこまで理解できるか挑戦してみたいと思います。

ところで、『暗号解読(下)』の付録に、1万ポンドの懸賞金付き暗号問題が10問あります。残念ながらすでに優勝者が賞金を手にしているものですが、訳者の青木薫さんがチームを組んで、この10問に挑戦し、解読法を掲載しています。かなりハードな暗号マニア向きです。
私は1問目を見ただけで頭がくらくらしてしまいました。

追記

本書「暗号解読」の中でも、悲劇のエピソードとして取り上げられている天才数学者アラン・チューリングの物語が映画化され、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたことでも話題となっているそうです。今年春公開予定。詳細は下記サイトから。

天才数学者vs世界最強の暗号 カンバーバッチ主演『イミテーション・ゲーム』で半世紀越しの秘密が明らかに

映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編

 

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『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』公式サイト:
http://imitationgame.gaga.ne.jp/

「珈琲のある風景 エッセイコンテスト2015」の募集要項

鹿児島県薩摩川内市にある自家焙煎珈琲店「珈琲倶楽部船倉」では毎年、珈琲にまつわるエッセイコンテストを開催しています。
私は珈琲倶楽部船倉のホームページを作成している関係で、毎回チラシ作成と審査員の一人として参加しています。
2015年の募集要項チラシを作成しました。
年が明けたらすぐに募集が始まりますよ!

エッセー募集2015

下記からpdfファイルをダウンロードできます。
「珈琲のある風景 エッセイコンテスト2015」の募集要項

2014年の入賞作品は「珈琲倶楽部船倉」の下記ページをご覧ください。

珈琲倶楽部船倉「珈琲のある風景」シリーズ 第6回エッセイコンテスト

来年もたくさんのご応募がありますよう、楽しみしています。

「摩天楼の身代金/リチャード・ジェサップ」を再読してみて思ったこと

matenrou

文春文庫(1983/04)


「世界で最も安全」な超高級マンションがニューヨークにオープンした。青年トニオは、周到な準備と大胆な発想でこのビルを“人質”にし、警備側の誰一人として予想もしていなかった要求をつきつける。さらに、脅迫した400万ドルの受け取り方法についても、まったく新しいアイデァを編み出した。
異色でハードな最高の襲撃小説!
(裏表紙から)


30年ほど前に一度読んで、非常に面白かったミステリです。
ある事情から大金が必要になったトニオは、100階建てのセントシア・タワーに爆弾を仕掛け、ビルオーナーに身代金を要求します。
どうやってトニオはセキュリティ強固なビルに爆弾をしかけることができたのか。
どうやってトニオは身代金を受け取るつもりなのか。
斬新なアイデァと、最初から最後までよく練られたプロットの面白さは秀逸です。
完全犯罪を目論むトニオのストイックな日常がスリリングに描かれ、ついつい犯人に肩入れしてしまう困った作品でもあります。
セントシア・タワーと登場人物以外はほとんど、実在のものが配置されているそうです。大都会の活気や裏通りの情景は映画を観ているような臨場感にあふれています。
トニオに対するセントシア・タワーの副社長兼総支配人マードックもまた、知的でクールな魅力ある人物で、粘り強く犯人に迫っていきます。果たしてどちらが勝つのか、二人の頭脳戦も読みどころ。
私にとっては、好きなミステリベスト5に入る作品です。

最近急に読み直してみたくなり、アマゾンにて古本を購入しました。現在、絶版のため新品は手に入らない状況です。
30年ぶりに再読してみて、さすがにレトロな雰囲気は感じられるものの、作品の魅力は色褪せていませんでした。
でも、ただ、登場人物たちの口調がちょっと気になりました。
30年前だときっと違和感なく読んだのだろうとは思いますが、今読むと何かちょっと変。

時代設定はベトナム戦争終結後だから、1975年以降。ヒッピー全盛の時代だと思うのですが、若い女性のセリフが、「とび込んだりしやしないわ」「あたし、なんか盗むかもしれなくてよ」「大丈夫だわ」「困りゃしないわ」と、だいたいこんな感じ。欧米ドラマの日本語吹き替え版みたいな不自然さ。
バーテンダーのセリフが「それだけのことでさあ、お兄さん(おあにいさん)」とか、20歳の娼婦のセリフが「なんだって?何を取ろうっていうのさ。おふざけじゃないよ。この間抜け。とっとと失せな」といった調子。
トニオのバイト先もウェイターもタクシー運転手も、街の人間たちはたいがい、任侠映画かギャング映画の吹き替え版。トニオだってコロンビア大学の学生ということになっているのだけど、言葉使いがどうにも若さに欠ける。
極めつけは、
「いやぁ、あんたはお利口さんだぜ!爆弾かって?そうさ、その爆弾でござんすよ!」
てなセリフには、思わず私はずっこけました。(この言い方も古いが)
これじゃあ、ニューヨークじゃない。

原文を読めないくせに勝手なことを言っていますが、できたら新訳の『摩天楼の身代金』を読んでみたい。
とてもいい作品なのですから、絶版はもったいない。

ミレニアムⅠ ドラゴン・タトゥーの女/スティーグ・ラーソン

millennium01ミレニアムⅠ ドラゴン・タトゥーの女(上・下)
スティーグ・ラーソン
ハヤカワ文庫 2011年発行


内容(「BOOK」データベースより)
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいというのだ。解決すれば、大物実業家を破滅させる証拠を渡すという。ミカエルは受諾し、困難な調査を開始する。


スウェーデンから世界的ヒットになり、日本で北欧ミステリブームの火付け役となったと言われる作品が、この『ミレニアム』3部作です。

以前、 「ああるの映画と読書」に紹介されていて興味を持ち読み始めました。
3部とも上下巻あり、1冊あたりが500ページ前後もある分厚さです。
超大作だけに登場人物がやたら多く、馴染みのない北欧的姓名や地名が読み難い、覚えにくい。
そんな困難にもめげず、のっけから完全に嵌って読み通しました。

といっても、ミステリー自体はさほど目新しいものではないのです。
第1部『ドラゴン・タトゥーの女』について言えば、ジャーナリストであるミカエル・ブルムクヴィスト(43歳)が、大実業家一族が住む閉ざされた孤島を舞台に、40年前の少女失踪事件の謎を解くというストーリー。
密室あり、見立て殺人あり、暗号解読あり、暗く陰惨な一族の歴史が暴かれ・・・とくると、『犬神家の一族』や『獄門島』などでお馴染みの横溝正史が描く、あのおどろおどろしたクラシックな探偵小説みたいと感じる人も多いはず。
それはそれで読み応えがありますが、『ミレニアム』の面白さは何といっても、“ドラゴン・タトゥーの女”こと、リスベット・サランデル(24歳)の強烈な個性によるところが大きいと思います。
リスベットは、感情表現が著しく欠如し、他人を苛立たせることはあっても、他人を受け入れることはしない。小柄でやせこけて、見た目は15歳にしか見えない女、という設定です。
このリスベットがたった一人で、“彼女なりのモラルとやり方”で、自らの運命に屈することなく巨悪に立ち向かっていく姿が、孤独で健気で痛快で格好いい。この“彼女なりのモラルとやり方”に惹かれました。

リスベット以外にも、それぞれの分野で女性蔑視や差別と戦い苦悩する女性たちが何人も登場し、『ミレニアム 3部作』には、“戦う女の物語”という側面もあります。
そしてまた、ミカエルの言動や月刊誌『ミレニアム』の在り方には、作者スティーグ・ラーソンの“ジャーナリスト魂”が色濃く投影されていて、そこのところも本書の読みどころです。

ところで、『ドラゴン・タトゥーの女』は、2011年にハリウッド映画化されていますが、確かR15+指定の映画だったと思います。
1部、2部と読み進めると、なるほどR指定にせざるを得ないなあと思わせる過激な描写が随所にありました。このへんはハリウッド狙いなのでしょうか。少しくど過ぎる気がしました。
読んでいるページを他人に覗かれるのは憚れる場面も多い。落ち着いて読みたい方は、職場とか通勤電車とかは避けた方がいいでしょう。余計なお世話かも知れませんが。

第1部『ドラゴン・タトゥーの女』と第3部『眠れる女と狂卓の騎士』は北欧5ヵ国におけるミステリ最優秀作「ガラスの鍵」賞を受賞。
第2部『火と戯れる女』はスウェーデン推理作家アカデミー最優秀賞を受賞。
2部、3部は、1部の続編ではあるけれど、それぞれ趣きが大きく異なるストーリーで、その点でも読者を飽きさせないエンターテインメント作品となっています。

millennium02

millennium03