芳華 Youth

監督 フォン・シャオガン
出演 黄軒 苗苗

七十年代後半の中国、人民解放軍の中に文芸工作団という、ダンスや歌で兵士たちを鼓舞する部署があり、一人の少女が入団する。彼女は故郷ではつらい立場にあり、希望を抱いて入団するが。

バレエを基本にしたダンスの技術はみんな高いんだけど、なんたって戦意高揚のためのものは、京劇的な動きや民族舞踊的なニュアンスや、そんな中で銃を手に踊ったりするわけで、日本人が見ると奇妙に映る。現代の中国人が見ても違和感があるかもしれない。
そして、どこにでもいじめがある。恋愛もある。

この時代の軍隊だと敵として台湾を想定したものだろうと思っていると、突然ベトナムとの戦いが勃発する。世界情勢に疎いとピンとこなかったが、そういえば中越戦争と呼ばれるものがあった。中国はあのカンボジアのポルポト政権を支援していた国だった。カンボジアがベトナムに侵攻し失敗、ポルポト崩壊、に対し、報復…なんじゃそれ!戦争のきっかけなんてきっと後の時代から見ればなんじゃそれなことばかりなんだろう。そして悲惨な事態。
戦争においては英雄と呼ばれても、精神を病んだり、腕を失ったり。

私は日本で恋をしたり別れたり、ごく個人的事情によりややこしかっただけのあの時代、ちょっと海を隔てた国ではそんなことだったのだ。

そして時を経て、10年後ぐらいともっと後、現代の様子まで語られる。

とても良かった、と、中国語講座の時間に言ったら、先生が、何が、どこが良かったか、と聞く。北京出身の彼女は、ちょうどその世代、嫌なことを思い出す、観るのが嫌だ、と言うことだった。

いつも人助けをしている良い男なのに世渡りが下手、という役の黄軒が、すでに腰を痛めて踊ることは無くなっているが、ちょっと練習相手をやるシーンがある。こんなに美しい形で踊れるぐらいの訓練を中国の俳優はみんなやるのだろうか、とびっくりしたが、もともと彼は舞踊学院出身なのだそうだ。

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