さよなら僕の夏

さよならぼくの夏著者 レイ・ブラッドベリ   北山克彦 訳

出版社 晶文社

すばらしく詩的で、ものすごく読みにくい。…と思って、まずあの名作『たんぽぽのお酒』を読み返してから読む、つもりで、数年積んどいたのだった。たんぽぽのお酒 の、ダグが主人公、12歳だったダグが14歳になろうとしている夏の終わり。

たんぽぽのお酒 は、ブラッドベリ37歳のときに世に出した作品だそうだ。そして、もともとはこの『さよなら僕の夏』の母体となった話とともに『夏の朝、夏の夜』として書かれた、のだったと、ブラッドベリ本人の後書きにある。長すぎると出版社に言われたそうだ。半世紀以上の時を経て、第二部が完成する。

作家の年齢のせい?過ぎる時間、命の終わり、老人と少年たちとの争い、時の流れを止めようと大時計を壊す少年たち。時の流れを受け入れる、少し大人への道を踏み出す、少年たち、の、物語と、受け止めていいのか?

若かった私が、書店でその頃流行っていた学者の“俺には俺の生き方が”どーしたようなタイトルの本を見て、ゲ、と思って後ろを向いたその本棚に『たんぽぽのお酒』原題dandelion wineがあったのだ。晶文社文学のおくりものシリーズを手にした最初だっただろうか。

『さよなら僕の夏』原題Ferewell Summerは、ブラッドベリらしく、と言う以上に極端なほど詩的に美しい表現が散りばめられている。書きだしの文章を引用しよう。息を吸ってとめる、全世界が動きをやめて待ちうけている、そんな日々があるものだ。終わることをこばむ夏。

始まりだけでこれですよ。

小説として成功しているか?それについては訳者もそれぞれにおまかせしよう と言っている。

老人の時と、ダグの時が交錯する、シーンがある。私にはまだ年の取り方が足りないのか?スコンと理解するには。やっぱりもう一回たんぽぽのお酒を読みなおすこととしよう。

 

コメント (2)

atcon2014年2月8日(土曜日) at 10:25 PM

『たんぽぽのお酒』!懐かしいタイトルです。いつのことだったか思い出せないくらい昔、友人が面白いからと言って貸してくれたのだけど、借りたまま1ページも読まずに、数年経ってから結局返してしまった本でした。ブラッドベリのSFは好きなんですけどね。
どういうわけか、読めなかった本。

aar2014年2月9日(日曜日) at 9:30 AM

おお、あの名作を読めない人もいたのか。
当時、私が貸した友人は、読み進むのがもったいない、というような感想を言っていたことを思い出します。
『何かが道をやってくる』を読んだ覚えある?グリーンタウン3部作として考えられていた、と、解説にある。

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