治療文化論

著者 中井久夫

岩波現代文庫

文化精神医学って何?“狐憑き”というものが日本にあり、お祓いなどして狐を落としてもらうということがあったようだ(主に日蓮宗の僧侶から)。しかしほかの国で狐に取りつかれる話は無い。悪魔、サタンが憑くことはあっても。そりゃあそうだよねー、その概念が無いのだから。あるいは、欧米のキリスト教圏にあっては、“同性愛ショック”というものがあると言う。結構最近まで、キリスト教の教義により同性愛は罪悪であったので、この男の好意的行動は自分に対する性的接近ではないか、と思ってホモセクシュアル・パニックを起こす、とか。日本ではほぼ無いらしい。

日本においては、例えば黒船の頃の天理教教祖・中山ミキ、中山ミキ・明治10年代の大本教・出口ナオ、そして第二次大戦末期の踊る宗教・北村サヨなど新興宗教教祖には共通性があるという。歴史の転形期に出現することのほか、彼女たちは家計、精神部分など家庭の主力を担っていた。極度に睡眠時間が少なかった。そしてある日限界を超えて、神(の使い)を名乗る。著者はそれを宗教的「創造の病」と呼ぶ。創造の病ということを言い始めたのはエランベルジェという人なのだそうだ。著者の体験として、大変優秀な女子学生である人が、妖精が見え、対話する、というケースがあったという。私自身の友人から、部屋から小さい緑色のおじさんが出てきて、外に行ったのを見たことがある、カッパさんだと思っている、という話を聞いたことがあるのだが。妖精の病は基本的には西欧のものであるだろう。カッパさんはそのバリエーション?

アート、表現が境界にある人の揺らぎに対し発病に至らせない、ことならよくわかる気がする。

シャーマン、指圧、マッサージ、手かざし、ヨガなどからプロスティテュートまでも、精神科の治療師でありうる?

浄土真宗の土地では狐憑きは発生しないらしい。浄土真宗では死ぬとすぐお浄土に行って仏様になるから、死は穢れではない、お清めなんか必要無い、ご先祖様は祟りません、と、教わるもんね、狐の入り込む隙は無いな。

Eテレ“百分de名著”で取り上げられた時に、これは面白そうな、と思ったのだが。読書家の親戚からの年賀状に、数冊紹介されていた中の一冊が『治療文化論』だった。で、手を伸ばすこととなった。まことに面白い、けれど理解が追い付かない。でも興味深い。そんなわけでこの書物の紹介はとっ散らかってしまってすみません。もう一度、あのEテレの番組を観返したいものだ。

 

 

コメント (2)

atcon2024年5月3日(金曜日) at 9:23 PM

入ってて良かった~NHKオンデマンド。さっそく観てみます。
年賀状で本を紹介してくれる親戚もいいですね!

aar2024年5月5日(日曜日) at 12:33 AM

父の従弟にあたる人、海外のあちこちで登山、とんでもなく博識なお方のよう、両親が亡くなったあと、私宛に年賀状がとどくようになりました。私は会ったことはある、ぐらいだけど。若い頃、自分では手を出さない種類の書物を紹介してくれる人が誰かしらいた、今は知性や教養ととんと離れたところにいるので、ありがたい存在です。

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