今はちょっと、ついてないだけ
著者 伊吹有喜
光文社文庫
友人が、読む気があったら、と置いていったものでね、その友人は、読み終えたらブックオフとかに売ってまた別の本を買う人だから、いつもチラシとかのカバーをかけている。売るためにはきれいにしておかなきゃね。
で、私はそのままで読み続け、あー、この話は映像化されるなあ、10年ほど話が古いけれど、そこらをアップデートして、などと思った。そしてこの投稿のために表紙の写真撮ろうと、そのカバーを外したら、なーんだ、2022年に映画化されてる。んん?このキャスティング?うーん…。
バブルの時代、『ネイチャリング・フォトグラファー』と名付けられ、世界の秘境を訪れてその景色を紹介、撮影し、焚火で食事を作る。“厚切りハムと豆のスープ、食後に舌を焼くほど熱いコーヒー”とナレーションが入るテレビ番組で名が知られていた男。バブルがはじけ、かつてまだ学生だった彼をスカウトした男の会社が倒産し、連帯保証人だった彼も莫大な借金を負う。自己破産を勧められたが、自力で15年かけて返済したばかりの男、立花浩樹。
二人部屋に入院中の母親が、もう一人の老婦人と親しくなり、息子は写真家なのだと話したのがきっかけで、その婦人の写真を撮る流れになる。が、カメラは売り払ってしまったので、携帯のカメラで写していると、婦人の息子に絡まれ。
という始まりから、昔を知る誰かしらとの偶然の出会い、そして、シェアハウスでの写真家生活が始まる。まだ配送のアルバイトを続けながら。そのシェアハウスに集まる男女はそれぞれに行き詰っていた。
そして、タイトルにつながっていくわけだが。
表紙に出ているキャストの高橋和也は誰の役?と調べたら、えー、巻島…。まあ、原作先だとしばしば勝手にイメージを描いてしまうので、この表紙写真にいるどの人も、ピンとこない。そして、なんと表紙をめくるともう一枚、元々のイラストの表紙が出てきたよ、古本屋で買った本にはこんなことが起こるんだな。映画だけ観た、ってお方、試しに原作も読んでみてね。
バブルの時代に小説家デビューし、映画化もされ、その後消えた少女いたなあ。
調べたことがすべて記憶に残るものなら…。今朝の新聞で、高校入試に、まさに茨木のり…