吹上奇譚

著者 吉本ばなな

幻冬舎文庫

次の用事までに時間があったから、天文館図書館に寄ったのですよ。で、これの単行本が本棚にあって、この吹上が吹上浜ではなかろうと思いながらも手に取った。読み始めたら、さっぱりわけわからないながらにこれは好みである、と言う気がした。その本は第2話の『どんぶり』だったから、そりゃこの奇妙な世界設定のことは知らず。

久しぶりの吉本ばななサン、『キッチン』以降、喪失から始まることの多いこの作家の作品を、かつてはよく読んだ。折々の自分にとって良いタイミングで出会うことが多かった。

文庫の第一話の背表紙には、唯一無二の哲学ホラー、開幕。で終わる紹介がある。著者の後書きは、私がファンタジーを書くなんて、世も末だなあと思う。から始まる。ファンタジーでホラーで哲学。

第1話 ミミとこだち の前書きに、子どものとき大好きだった映画 「ファンタズム」に感謝の気持ちでオマージュを捧げています。などの一文がある。ホラー系の映画をこれから観ることは無さそうなので、おや、と思って笑う、などと言うことは私にはできない。

吹上町、という奇妙な言い伝えがいっぱいある町。眠り病という風土病もある。交通事故で父を失い、母は眠ったままのミミとこだち姉妹が、そこで生きていく。

2017年にこの第1話は刊行されている。世界がコロナ前とコロナ後に分けられるなんて思いもしなかった頃。中国SF『三体』もまだ日本では翻訳が出ていない。

何かしら不穏な、土地柄。異世界からの侵入者が祖先にいる町。

スピリチュアル寄りの微妙にホラーの、いろいろ比喩とも取れる、好き嫌いが分かれるかなあ、と、いう、一応4話で本編完結、でもまだ短編で続いていくと作家が述べているお話。私は追いかけるつもりです。

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