パチンコ

著者 ミン・ジン・リー

文春文庫

1910年、日本が韓国を併合した。釜山の南、影島(よんど)で、口唇裂と内反足を持って生まれたフニはその年27歳、がっちりした身体と思慮深い性質の青年に育っていた。ヤンジンと言う娘と結婚し、娘のソンジャが生まれた。

ソンジャは日本との貿易で稼いでいるハンスと恋に落ちる。妊娠を伝えると、日本に妻子がいるので結婚はできないが、家と十分な手当てを与える、不自由はさせない、と言われる。ソンジャは拒否し、別れを選ぶ。下宿屋を営む実家に下宿していた牧師のイサクがソンジャの元気の無さに気づき、妊娠を知る。イサクはソンジャに結婚を申し込み、一緒に日本の大阪へ渡る。

4世代にわたる在日コリアンの物語。

8月15日を挟んで、台湾が植民地だった時代の『台湾漫遊鉄道のふたり』と、やはり植民地であり、戦後は共産主義国と資本主義国の二つに分裂した朝鮮半島出身者を描いた本作を読むこととなった。

著者はソウル生まれ、家族でニューヨークに移住、弁護士となった女性。2007年から2011年にかけて東京在住、その間の取材に基づき、一度書いた草稿を破棄し書き直したと言う。

読み応えのある、優れた作品。AppleTVでドラマ化されているそうだ。

次の首相は読書人であることを望む。このところの高市早苗氏の広島長崎や終戦記念日に於ける発言を聞くにつけ、その軽さに慄くことであり。

コメント

  1. ああるの映画と読書 aar より:

    表紙は、韓国 国立民俗博物館の収蔵物のものだそうです。下巻の模様は丹頂鶴などの図案です。そして日本では、パチンコ業界というと在日コリアン、となりやすいですね。この小説の中でもそういう流れになります。運動能力を磨いて野球選手、勉強を頑張って医者、政治家、など、の世界に進む一部の人と、一般的には就職しようにも門戸が開かれなかったかつての時代。日本人でも、半世紀前ぐらいまでは家庭環境(例えば片親とか)で就職口がかなり制限されていたと思います。

  2. atcon より:

    表紙のイラストとタイトルの組み合わせが、なんとも意味ありげ、、、

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