リスボンに誘われて
出演 ジェレミー・アイアンズ シャーロット・ランブリング メラニー・ロラン ブルーノ・ガンツ クリストファー・リー
ジェレミー・アイアンズ演じるスイスの高校教師が、ある朝橋から飛び降りようとしている若い女性を助ける。そのまま一緒に教室に入るが、女性は途中で教室を飛び出す。彼女のコートを持って追いかけるジェレミー・アイアンズ。入っていた本はポルトガルの古書で、古書店で、彼女がしばらくその本を読んでいたけれどある部分に至って表情が変わったと知る。
興味深い書物で、その著者に惹かれ、リスボン行気の列車に飛び乗ってしまう。
高校生ほったらかし。
リスボンの、石畳の坂の街の景色が美しく、行ってみたい気にさせられる。
ジェレミー・アイアンズ爺さんになったなあ…とはじめは思わせる姿なのだが、ポケットに財布やカードは入っていたらしく、壊れたメガネを替えたり、身支度を整えていくうちに素敵に見えてくる。
本の著者アマデウの家を訪ねると、そこにはアマデウの姉が住んでいた。姉を演じるのはシャーロット・ランプリング。
独裁体制下の、抵抗活動、レジスタンスの同志たち、裏切り、恋愛。
ミステリー仕立てで、次第に謎が明かされていくのだが、まあこの映画の魅力は、なんといってもキャスティング。クリストファー・リーが修道院の僧で出てくるが、以後映画に出演することがあるだろうか?名優続々。
ポルトガルが、1970年代まで独裁政権下にあった、って、知らないよね?
若い人が見ても格別面白くないのではないかな。ストーリーとしてそう面白いというものではなく、歳を重ねた年代にとって、ある種の味のある作品になっている。
最後、スイスに帰る列車に乗ろうとする男に、恋愛未満の関係のままだった女が言う。“Why don’t you just stay?”ここにいたら?
妻に去られ、退屈な日常を送っていた初老の男が、すでにこの世にいない男の過去を探って探検の旅に飛び出し、メガネがきっかけで知り合った女にそんなことを言われる、渋いインディ・ジョーンズかい。飛び出された高校の校長気の毒です。原作を読んでみたい。