『Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』
著者:イーサン・クロス
発行日:2022年12月
発行:東洋経済新報社
読了にとても時間が掛かりました。4か月くらいか。
決して難しい内容ではなかったのに、なんでこんなにも時間が掛かったのだろう?
まずこの本を読む切っ掛けから書いてみます。
4か月ほど前のある日、私はある疑問を持ちました。
「私はいつもいつも何か考え事をしている。意味のあることだったり無いことだったり、絶え間なく考えたり悩んだりしている。特にこのところ、やけに過去の自分を振り返って、あれは間違った選択だったとか、あのことは無かったことにしたいとか、言うべきじゃなかった、するべきじゃなかった、思い出したくないことを何度も思い出したりして、時々苦しくなる。
いや、これは私だけでなく人類皆そうだと思う。だって「人間は考える葦」なのだから。考えなかったらただの葦なのだから。
でもなぜだろう?なぜこうも苦しいのに考え続けなければならないのだろう?」
とまあ、こんな愚にもつかないことを考えていた時、武田砂鉄さんのラジオ番組「武田砂鉄のプレ金ナイト」に出演された荻上チキさんがアフタートークで、
「反省とか内省とかが人間にとっていかに有害なのかを説明した本がありまして、古代哲学から反省や内省は人間の成長のために必要とされてきたが、反省とか内省はホントにメンタルにとって有害で、、、、」
と話し始め、最近読んだ本の紹介をされていました。それが本書『Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』でした。
この本は私に何かヒントを与えてくれそうだと直感しました。
そんなこんなを友人に話すと、「その本なら持っている。読み終わったから送りますよ」と思わぬ展開になり、「でも、期待通りの本ではないかも。後半はまあ読む価値あると思うけど」と友人は付け加え、後日私は郵送されてきた本を読み始めることになりました。
そういう有難い巡り合わせで読み始めた本書なのに、なかなか読み進める気になれませんでした。
私にとって読み辛い文体と構成だったからか。あるいはAmazonのレビューがすごく高評価なことを考えると、単に私の理解力のせいか。
何だか、本を読んでいるというより、何かの講演とか誰かのお喋りを聴いているような、、、例えば
「人は常に自分に語り掛け頭の中でひとり言を繰り返します。その『頭の中のひとりごと(チャッター)』がネガティブな方に向かわないようにコントロールすることが大事です。そのために私は「チャッターを制御するための26のツール」を提唱します!」
と言った感じで「チャッターを制御するための26のツール」がいかに素晴らしいかをプレゼンするために、いろんな事例をたっぷり持って回った言い方で長々と語っているという感じ(※あくまでも個人の感想です)とでもいうか。私には少々疲れる表現スタイルでした。
とは言え、本書が読む価値のない本だなんて言いたいわけじゃない。
人が常に自分自身に語り掛けたり、過去の出来事や空想事などに心が奪われるのは、脳の基本的な状態で極く自然なことだと、そう認知するだけでも気持ちが楽になります。
そして内省や反省は時に「内なる批判者」となり、メンタルにとって有害なこともあると知っていれば、過去の失敗にとらわれ過ぎず「いま」を生きることができるのでは?
本書を読み終わった今は、4か月前私が過去を振り返り苦しい気持ちになったのも、自分で自分を攻撃し過ぎたのだと客観的に思えるようになりました。
しかし本書の肝である「チャッターを制御するための26のツール」については、それが役に立つかどうかは人に依るとしか言えません。