MOVIE+BOOK - ぐるりのこと              

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ぐるりのこと

ファイル 128-1.jpg

http://bitters.co.jp/gururi/intro/
監督 橋口亮輔
出演 木村多江 リリー・フランキー

 見初めは、感じワル!であった。靴修理の仕事をしながら話の流れで軽く女を誘う夫も、セックスする日を決めていてなにがなんでもそのとおりにする妻も、感じ悪い。彼らの周りの人間たちも爽やかならざる者どもばかり。

 1993年のカレンダーから始まる。妻は雑誌編集者であり、夫は法廷画家の職を得る。相変わらずへらへらと生きている様子の夫、しっかり者であり優位に立っている妻。妊娠、そして、どのような状況でかは全く描かれていないが、生まれて間もない娘を失っている。
 
 そのことによって次第に精神の均衡を失っていく妻。この辺りから映画の雰囲気が変化していく。

 法廷シーンでは、実際の事件に沿った形でその時代を観客に思い起こさせる。たとえばサリン。法廷の中だからこそ目をそむけたいような姿が様々出てくる。

 いい加減な生き方に見えた夫が、ある意味で大人の芯を持っていて、妻を守り続け、何があっても別れない。これは、再生へ、希望へと向かう映画だった。

 橋口亮輔監督は、『二十歳の微熱』『渚のシンドバッド』『ハッシュ!』と必ず同性愛の作品を撮っていたので、これもどこかにゲイピープルが出てくるかと思ったら、ストレートの人間たちの普通の物語だった。

 リリー・フランキーの自然さには驚く。この映画の木村多江を見ながら、ハッシュ!の片岡礼子と重なっていたのだが、法廷シーンに出てきた。ほかにもハッシュ!の出演者たちやいろいろ脇で出ている。
  
 

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comment(0) 2009.10.24 09:43

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