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I come with the rain

ファイル 119-1.jpg監督 トラン・アン・ユン
出演 ジョシュ・ハートネット 木村拓哉 イ・ビョンホン トラン・ヌー・イェン・ケー ショーン・ユー サム・リー

 あの『青いパパイヤの香り』の監督が、豪華アジア系俳優をそろえて撮る映画とは?・・・これが本当に、お勧めしにくい作品のlなかでも実にお勧めしにくい箏抜群、です。

 まず、ジョシュ・ハートネット演じるクライン、作品のために猟奇殺人を続けるハスフォードの、異様なシーンが続く。
 時系列が重なって描かれるので、何が現在で何が過去か?とりあえずそこは流しながら見ていかなければならない。
 大富豪が行方不明になった息子を探している。クラインは刑事だったが今は探偵である。大富豪は姿を現さない。汚染を恐れている、という。息子はフィリピンにいるらしい。ミンダナオ島→香港と、生死のわからない息子シタオ(木村拓哉)を追っていく。イ・ビョンホンはここでは香港マフィアのス・ドンポとなっている。いやいやこのイ・ビョンホンの衣装がすごい。いったいどこを探すとこんな色のシャツが存在するのだ?トラン・アン・ユン映画のいつものヒロイン、トラン・ヌー・イェン・ケーはこのス・ドンポの愛人リリ。
 
 クラインの刑事時代の仲間役は、元々、呉彦祖(ダニエル・ウー)の予定だったが、撮影前にアメリカで遊んでいて足を怪我したためにショーン・ユーに代わったのだった。この作品の場合、ダニエルにやってほしかった。暴力刑事のにおいが、ショーンからは漂わない(ダニエルの前にトニー・レオンや張震にオファーしたという説も)。ちらちら出てくるサム・リーはいかにも。

 シタオは人の傷を治す力を持っている。SFには時々見かける設定である。その傷を自らの体に移すという設定も、珍しくはない。…その能力ゆえに、ある種、神とされることも、珍しくはないが。
 この映画全体が、キリストを体現しているシタオを中心に、聖書の中の人々に模してえがかれている、ようです。リリは明らかにマグダラのマリア。シタオの父が姿をあらわさことも、ああ、そういうことか、と後でわかる仕組み。私はクリスチャンではないので、いま一つよくわからない。けれど、じゃあクリスチャンのガラ夫人この映画を見てみませんか?とはとても言えない。

 猟奇殺人者=芸術家の、死んだ肉体を使った作品が、かなりアートなのですよ。完成度が高いので、見たくもないのについ見入ってしまう。

 “傷”“痛み”をテーマとして描かれている、そして、「怖い」というセリフが印象に残る映画です、もう一度見たら何かがわかるかも、と思いますが、あまりのグロテスクさに二の足を踏むなあ、という作品。ヒットはしないでしょう、いくら木村クンでイ・ビョンホンでも。

 見ている間、なにかに似ているんだけど、と思っていたのですが、吉田秋生の漫画たち、バナナフィッシュ、夜叉、イヴの眠り、などにあるものと、どこか似ている気がします。

 作品として成功しているか?きちんと昇華されているか?うーん・・・もう一度見てみたいものであります。DVD向きではありません。

MOVIE
2009.06.18 13:03

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