MOVIE+BOOK - キャタピラー              

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キャタピラー

ファイル 150-1.jpg監督 若松孝二
出演 寺島しのぶ 大西信満

http://www.wakamatsukoji.org/
キャタピラーってもともと芋虫の意味だったと、知らなかった無知なわたくしでした。

2010年ベルリン国際映画祭で寺島しのぶ最優秀女優賞(銀熊賞)受賞、ということで話題になった。

江戸川乱歩の同名の小説と、『ジョニーは戦場へ行った』を参考に作られたそうだ。戦争で両手両足を失い、顔の半分焼けただれた夫が、勲章とともに帰って来る。その武勇をたたえる新聞記事も飾られる。軍神さまと村人に呼ばれる。
男は、食べて、寝て(交合して)、食べて、寝る。戦争に行く前から、乱暴な男であったことが分かってくる。

竹槍訓練をする婦人たち。

男と女の立場が逆転して、妻が夫を強姦するような状況をきっかけに、男はかつての戦地で村の女を暴力で犯したことを思い出す。何度もフラッシュバック、PTSD。精神を病んでいく。

見るべき映画だと思う。が、途中から私はひどく冷静な観客になった。なぜこの男優に賞がこなかったのだろう?とか(もちろん寺島しのぶサンは熱演だし、とても好きな女優さんだが)、寺島しのぶサンの裸は、無知な農婦のものというよりやはり育ちのいい身体に見える、と思ったり、竹槍訓練の役者さんたちはこれは無駄だと思っている芝居をしていたのだろうか、と思ったり。熱心なようでそうでないように見える訓練。

とても正しい映画、たとえば『キューポラのある街』のような正しさ。

昨日、TVでかつての大映作品『氷点』をやっていた。少ししか見ていないのだが、その若尾文子の表情の恐かったこと。脇に出ていた無表情な森光子もなかなか恐かった。恐さの質を比較したか。

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2010.09.01 10:41

Comment List

atcon 2010.09.01 19:30 edit

『ジョニーは戦場へ行った』は、ずいぶん以前に見ました。戦争の恐ろしさを伝える映画として衝撃的な内容が記憶に残っています。『キャタピラー』は、乱歩の「芋虫」の要素の方が大きいのかな。もっと強烈な感じですね。ビビリの私には冷静な鑑賞は無理かも・・・。

あある 2010.09.02 00:09 edit

強烈な、印象が、私にはむしろ無かった、ということです。エログロだという批評もあるようですが、そんなことも無い。そこに原爆の映像など持ってこなくても、もっと静かに恐さを描く方法があったのでは?と。

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