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息もできない

ファイル 185-1.jpghttp://www.bitters.co.jp/ikimodekinai/
製作・監督・脚本・編集・主演 ヤン・イクチュン

細胞の一つ一つが暴力でできているかのような男がいる。男がそうなるには背景がある。借金の取り立てを生業としている。根性のある女子高校生がいる。そうなるには若いなりに人生がある。二人が出会う。最低の出会い。

韓国映画と韓国ドラマの間には大きな大きな違いがある。

劣悪な家庭環境に育った者同志、そんな話など何もしていないまま、魂が寄りそっていくように親しくなる。
最低の男だが、殴った相手である女に向かって、“殴られっぱなしでいいのか”と聞く場面に、何かが象徴されている…母親?

韓国暴力映画というジャンルがあると言っていいと思う。傑作が多い。が、その暴力は、この手の男が実際この国には少なくないのだろうというリアリティがある。アクション監督が振り付けた香港映画とまるで性格が違う。この国の成り立ちに係わるものなのか。
しかも、この作品は、すべてヤン・イクチュンという一人の男によって制作されているのだ。

高校生役の女の子がいい。若いけれどキャリアの長い女優だそうだ。

殴る蹴る半殺しにする、口汚くののしる。その対象であった父親が、自殺を図る。必死に助ける。それがきっかけで、取り立ての仕事から足を洗おうとする、が・・・。

キネマ旬報昨年度の外国映画第一位。ほかにも、東京フィルメックスほか数々の映画祭で受賞。韓国暴力映画史上(?)に残るであろう傑作であることは間違いない。が、居間のDVDプレーヤーで昼間見るようなものでは決してない。映画館で見そこなったら、もうどなたさまにもお勧めできない。夜中に灯りを消して大きな画面で一人見ることができる環境があったら、そして暴力映画に抵抗がないなら、是非。

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2011.07.13 19:15

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