出版 東京創元文庫
著者 クレイグ・ライス
訳 田口俊樹/山田順子
『大はずれ殺人事件』『大あたり殺人事件』『こびと殺人事件』『スイートホーム殺人事件』など、クレイグ・ライスのユーモアミステリーにはまって追いかけた時期がありました。ジェイク、ヘレン、マローン、フォン・フラナガンなどおなじみの面々が出てきます。近所の書店で久しぶりに見かけてすぐ買ったのに、。クレイグ・ライスですらチャッチャと読み進められないこの生活・・・ぶつぶつ・・・と個人的事情は置いて(失礼!)。
1940年代シカゴ、豪邸の前で郵便配達夫が3人続けて殺される。相変わらず飲み代の支払いを貯めていた弁護士マローンはこの事件と係わることとなる。何しろ豪邸の主は大富豪だから。今回新しい相棒(?)ビール好きの犬、名づけてオーストラリアン・ビア・ハウンドと共に。
犯人と目された大富豪はあのタイタニックとともに海に沈んだと思われる恋人を、今も待ち続けていて、ちょっと頭の状態を怪しまれている。
著者は1908年シカゴ生まれで49歳で亡くなっています。あまり恵まれた育ちでなく、いろいろな職業を経て30歳で作家になったということです。今どきはあまりお見かけできないハチャメチャな飲んだくれたちが出てくる、いかにもその時代のシカゴなシリーズであります。クレイグ・ライス本人もアル中だったらしい。
意味なく殺されたポストマンたちの立場はどうなるんだよ、と思うものではありますが、一筋縄ではいかない展開、今回ヘレンやジェイクがちょっと脇で地味に(というか妙に)登場。
ライスをご存じない方は、『大はずれ殺人事件』あたりからのほうがいいかと思います。お気に召したら続けてどうぞ。