MOVIE+BOOK - まほろ駅前多田便利軒              

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まほろ駅前多田便利軒

ファイル 132-1.jpg著者 三浦しおん
文春文庫

 いわゆる便利屋を営む多田啓介が、バス停で出会ったのが高校時代の同級生、行天春彦、行天は同級生といっても高校時代に一言も(ある事故で指先がちぎれたときに“痛い”といった以外は)言語を発しなかった男。それが、多田にくっついてくることとなり・・・。
 
 ちぎれた指先はすぐに病院に行ったからつながった、けれど指先の色も温度も違う、というこのことが、一つのテーマとなっている。二人とも心の奥に取り返しのつかない思いを抱えているのだ。

 男二人が素人探偵を演じることになる、まあ設定は珍しくないお話なのだが、脇役の自称コロンビア人娼婦ルルとその同僚ハイシー(ってなんだその名)とか、行天の元結婚相手凪子とか、チャーミングな人々が次々出現、芯に繊細な流れがあってのバチバチバンバン、私は初めて読んだ三浦しおんですが、まことに失礼、世の中まだまだとても面白いエンターテインメントがあるのね。
 例によって、勝手に映像化キャスティングを考えているのだけど、もうちょっと若いトヨエツまたはもうちょっと年がいってからの松田龍平で行天・・・なぜなら伸びた前髪をゴムでくくってちょんまげ状態、冬に裸足で健康サンダル、というファッションで、それなりに見られる人って。

 子供のころ、同じ本を続けて3回は読んだ。初めはストーリーを追い、二回目はじっくり、三回目気になったところを中心に。久しぶりに、そんなような読み方をしましたね、読みやすいからできることだけど。
 第135回直木賞受賞作。まほろ駅前番外地 という2作目もでているようです。こちらはサブキャラ中心だとか。たぶん、それはTVドラマ向きかな?シリーズ第一作のほうは、どちらかというと映画化がよさそう。

BOOK
comment(0) 2010.01.09 10:58

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