著者 池上永一
角川文庫
はあーここまで滅茶苦茶な・・・。
19世紀琉球王国末期、一人の娘が生まれました。誰よりも聡明で向学心あふれるその娘(真鶴)は、男装して孫寧温と名乗り、学問を修め、役人になります。絢爛たる王宮というものは古今東西伏魔殿と決まっており・・・。
池上永一と言う人の作品を読んでみたいと思っておりましたさ。NHKBSドラマを見たらちょっと面白そうで、手に取りました。
…この人どうやって小説を書いているのかな?時代設定して登場人物を決めて、あとは勢いでダーッと書き進めていって、気が付いたらつじつま合わないけどまあいいや、なんとか前後を合わせよう、とかなんとか、してらっしゃいませんか?
気味の悪い宦官はあっけなくいなくなるし(蛇の化身じゃなかったんかい)、龍は?その玉の威力は?ぶつぶつ、ぶつぶつ。
なんだってそんな中途半端なファンタジー度になっちゃうんだよー、と、文句を言いつつ、まあ荒唐無稽な話は、嫌いじゃない、マンガの原本?マンガは、嫌いじゃない、その上、宝塚、韓国ドラマがお好きなら、はまるでしょう。私は宝塚や韓国ドラマはさほど好みではございませんが(なんかありますよね、似たような時代物ドラマ)、ばんばんぶん回されて一息に読みました。
それにしても、王様の側室の台詞が“真美那、泣いちゃう”ですからね、ライトノベルならライトノベルと言えよ!違うんかい、ぶつぶつ。
ではございますが、琉球の歴史、清国と琉球、清国と薩摩、学べます。そういうことだったか、と。
原田芳雄さんが深刻な病であるようだと知り、彼と同じ年の知人女性が亡くなったことを知り、そしてその二日後には原田芳雄さんの訃報、という日々に読み進むにはこのまことにいい加減な荒唐無稽さ、軽さは、救いでもありましたよ。