MOVIE+BOOK - 舟を編む              

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舟を編む

ファイル 213-1.jpg著者 三浦しをん
出版社 光文社

新しい辞書を編もうとする編集者たち。この本の帯には
【辞書編集者】普通の人間。食べて、泣いて、笑って、恋をして。ただ少し人より言葉の海で遊ぶのが好き。
と書いてある。
馬締(マジメ)という名の、まさにその言語の海で正しく目的に合った魚を捕まえる努力を惜しまない男を中心に話が運ぶのだが。

読み始めしばらくのところで、昔、山田詠美のエッセーを立ち読みしたらそこに、行くとか死ぬとかいう言葉が別の状況で使用されることがあるが、イッタ?と聞く人はいるが、死んだ?と聞く人はいない、という趣旨の文章にぶつかり、ツボにはまって笑いをこらえるのに苦労した…ことを思い出したのでありますが。上る(のぼる)と上がるの違いについての辺り、病人のベッド脇でケタケタ笑ってしまい。

“西行”に不死身とか流れ者とかの意味があると知っていた人手を挙げてください。あの、花のもとにて春の西行です。

ところで、242頁に、『泰山鳴動して鼠一匹』という言葉が出てくる。これについて、大山だ、という人と泰山だと思っていた人(私はその一人)派で小さな論争をしたことがあり、その時は大山説が正しいことになった。辞書の編纂の物語の中でそんな間違いはありえないだろうし、と調べでみた。古代ローマの詩人ホラティウスが言ったんだって。その翻訳であり、大山 泰山 太山どれでも間違いではないということだ。

いささかワタクシゴトの多い感想文で失礼!
言葉の海、でなくてもせせらぎぐらいでも遊ぶことが好きなあなた、いかがですか?

BOOK
comment(0) 2012.03.26 21:39

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