MOVIE+BOOK - 上野先生、勝手に死なれちゃ困ります              

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上野先生、勝手に死なれちゃ困ります

ファイル 221-1.jpg著者 上野千鶴子 古市憲寿
光文社新書

atconさんが古市憲寿の著書を紹介しているので、そうだ同じ名前だ、と今気づいた…という次第。僕らの介護不安に答えてください、と副題がついた対談。
上野千鶴子先生は、ジェンダーという言葉に関心がある人なら知っているでしょう、東大の先生。2011年に大学院教授を退職、今は名誉教授とのこと。団塊世代の上野千鶴子と、1985年生まれ、東大大学院総合文化研究博士課程在籍中、社会学専攻の古市憲寿。

現在、認知症の母を一人で介護している私には、この本の初めのあたりは昔の話過ぎて、えーと、もういいんだけど、と思う内容。親が老いて親子の関係が変化することへの不安についての話から始まる。

以下、抜き書き。

 お金に関していえば、今は介護保険のおかげで本当によくなりました。介護保険事業は中産階級にとって、まさに福音だったの。

 介護保険は、足りないようにできている。

 介護のために仕事を辞めるのは絶対にダメ。

 介護保険スタート時に、当時の自民党政調会長の亀井静香が、「古賀親を看る美風というものがある」って言って、介護保険1号被保険者の保険料徴収を半年間遅らせたのは知ってるでしょう。

 百姓というのは、百(くさぐさ)の姓(かばね)のこと。一年間の気候とか時期に合わせて、自分の仕事をコントロールする事業主のことを言う、と。

 自分の仕事をシングルインカムソースに依存しない。(中略)一人でもいいし、複数でもいいからマルチプルインカムで小銭をかき集めて暮らす。これを持ち寄り家計という。

 90年代から2000年にかけて、10年の間に矢継ぎ早に拡大した非正規雇用の規制緩和を許したのは、正解と財界、労働組合の共犯よね。(中略)ひとつは若者が投票にいかなかったことによって現状維持に暗黙の支持を与えた。二つ目には、彼らが実際に小泉に投票した。

 シングルマザー支援、特に婚外子支援をやらない限り、日本の少子化対策が本気だとは決して思わない。

 あんた社畜になりたかったの?って聞きたいわね。

 雇用形態が、「女性」と「若者」で似てきているということですよね。

 介護保険を作る大きな推進力となったのは、「介護の社会化を進める一万人市民委員会」だった。(中略)「高齢社会をよくする女性の会」が、家族介護の担い手の女性たちの声を代弁した。そして連合の男たちが一生懸命になった。なぜなら、中産階級の家族介護の負担軽減は、彼らにとっても緊急の課題だった。自分の親の介護を女房にやらせる際に、女房の不満を減らすことができるから。

 日本位のスケールの国家で国民強制加入の介護保険が成立したってことは奇跡に近いし、希望だと思っている。

長い引用になりました。誰でもいずれ(長生きすれば)訪れる老後をどう生きるか、ひとつのヒントにいかがですか?介護保険はかつての仕送りであり、仕送りしてくれる子供がいない場合は悲惨だった とか、老後にソフトランディングする とか、引用したい言葉はまだ沢山。

BOOK
comment(2) 2012.07.11 10:16

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atcon 2012.07.11 22:11 edit

「絶望の国の幸福な若者たち」の中にも「上野先生、勝手に死なれちゃ困ります」が紹介されていて、ちょっと気になっていました。
上野千鶴子氏の本は読んだことないのだけど、氏の言葉に「専業主婦に敗者復活戦はない」というのがあるそうです。一時期専業主婦やっていた私には、実感できる、心にぐさりと刺さる言葉でした。

介護保険について無知な私ですが、「介護保険は、足りないようにできている」て言うのも、刺さりますね。

あある 2012.07.11 22:23 edit

介護保険は「家庭介護支援」が目的だからだそうです、独居者向けには作られていない、そうです。

あと、いつか、夫婦別姓の選択について誰それが妙な反対をしていて何年だか遅れた、なんて会話になるのかな、なんぞと思ったりしました。何十年?