著者 村上春樹
出版社 新潮社
すみません。私は村上春樹の良い読者ではなく、たぶん『ノルウェイの森』からこっち読んでいないのであり、無知を許してね、フリークの方。
天吾という男と、青豆という女と、空気さなぎと、ふかえりという少女を中心に進んでいく物語。
たまたまその前に読んだのが、子供のころに深く傷つき、そこからの人生を如何に生きるか?と、いうテーマで描かれたもの続きだった。ブレイブストーリー・疾走・金色の野辺に唄う・・・。それらは、読みながらいくつかのヴァリエーションで着地点が予想できた。
さっぱり予想がつかないのだ、これは。どこに行くのか、どのジャンルに所属するのか、さっぱりわからぬまま引き込まれる。三冊読み終えた今となっては、あれ?やっぱり主人公たちは子供のころのトラウマを抱えて生きていたんだ、と思う始末で。
ジョージ・オーウェルの『1984年』を、しばらく前に読み始め(そっちは挫折したのだが)、それはビッグブラザーと呼ばれる独裁者に支配される(今なら北朝鮮を思い浮かべる)社会だ。それを土台に、近過去の話を書きたい思いがあったそうだ。
まだサリンなど現れるよりもずっと前の設定で、たとえばエホバの証人を思わせる宗教団体や、ヤマギシ会(名前を思い出すのに時間かかった)らしき団体が出てくる。オウム真理教風味でもある。
リトルピープルって?空気さなぎってだから何?
これSFだったの?でもパラレルワールドなんてものじゃないんだと言われてしまうし。青豆が“失われた時を求めて”を読んでいる、するとマドレーヌを差し入れようなどというギャグ?出てくるし。
なるほどこれがいずれノーベル賞をとると言われる小説家の書くものかと思うのであります。面白い。でも着地してない、この物語はまだ。
ねえ、私の感覚だと、少数のファンに激しく支持されるカルトな物語、という感じなのだけれど、でもすごく売れているんだよね、ちょっとそれが不思議な気が。しない?
atcon 2010.12.08 22:28 edit
私も昔「ノルウェイの森」を読んでそれ以来、村上春樹に触れたことが無く、また読みたいと思ったことも無い人間です。
ビートルズの「ノルウェイの森」はすごく美しい曲で心惹かれるんだけど、映画を観たいかどうか微妙です。