著者 伊吹有喜
ポプラ文庫
NHKの夜のドラマで見て、とても面白かったのだ。で、骨折して入院している母の病室で読むために買った。
その目的のためにはちょっと失敗だった。読みながらウルウルが止まらない。ストーリーは分かっているのに。看護師さんやお掃除の人やたくさん出入りするところで、何泣いてんだよおい、であった。
義母が急死する。乙美という名前だから、“オッカ”と呼ぶようになった人。その時、娘の百合子は夫との離婚話のさなかにあり、疲れきって父のもとに行くと、井本(イモと呼んでください)という妙な娘がいた。リボンハウスという施設で乙美に世話になったのだという。もし自分が死んだら、片付けから四十九日の宴会まで面倒を見るよう、頼まれたのだという。
乙美の作った、料理だけでなく掃除のやり方など生活全般にわたるイラスト入りレシピカード集があり、そこには子供の頃の百合子と思われる少女の絵もあった。
立ち止まる。振り返る。新しく歩き出す。
これを、ほかの人はどんなふうに読むのだろう。二年前に父の急死を経験しているから?私が子供のいない人生を送っているから?私には、しみる話だった。
OTOMIを逆から読むとIMOTOとなる。