著者 大野更紗
出版社 ポプラ社
帯に“とにかく読んでほしい”とある。それ以上の言葉は思いつかない。
25歳の若さで、自己免疫系の難病(原因不明)を発病した女性。表紙裏の著者紹介には、一年間の検査期間、9か月の入院治療を経て、今も都内某所で生存中、と。
恐ろしいよ、この現実は。病名、治療法がわからないまま病院をたらい回し、これが最後と決めて自分でインターネットで調べた某大学病院に電話、そしてやっと、治療が始まるのだが。
骨随穿刺、筋電図、麻酔なしの筋生検、そしてステロイドの大量投与、etc,etc。
と、いう事情、経過を、読みながら読者の私はクスクス或いはガハハと笑う・・・そういう文章になっているんですよ、本当です、私が冷血人間なわけではないと思う、思うぞ。それがすごい。生きるか死ぬかの文字通り崖っぷちで生存している人の、笑いを誘う表現力が。
日本の医療制度の矛盾、欠陥、福祉行政の問題、それから、援助とは?と様々な問題を考えさせられる。読み手の私には考えさせられる、ですむが、この著者には、その体を押して向き合い、一つ一つを処理していかなければならないことである。
恋もする。同じく難病の“あの人”と。ものすごく良心的な医師たちの中で生存している彼女だけれど、“あの人”との逢瀬に絡んでつらい言葉を耳にすることもある、その医師や看護師の口から。
絶賛生存中、読んでみませんか?
http://wsary.blogspot.jp/ 大野更紗のブログです。
あ、もともとこの本はウェブマガジン「ポプラビーチ」連載のものだそうです。
atcon 2012.04.30 07:54 edit
凄そうな本ですね。興味あり。読んでみます。
昨日からようやく「まほろ駅前多田便利軒」を読み始めました。ずいぶん前にブックオフで入手していたんだけど。
いやあ、面白い。一気読みしたいのを堪えています。ああるさんが書いていたとおり、脇役たちも一人一人光っているし、何より文章が好み。三浦しおんさんに嵌りそうな予感です。