著者 田辺聖子
集英社文庫
単行本は1999年に刊行されたそうだ。著者は1928年生まれ、60代後半から71歳にかけて書かれているようだ。
本人ではなくその夫、カモカのおっちゃんと呼ばれた人の言葉で、<六十過ぎたら、自分が神様(カミサン)じゃっ>というのがあるそうだ。常常私も思っていた、60過ぎたら勝手させていただきたいと。今までだって勝手しとらんのか?と言う心のどこかのツッコミは置いて。<ヒトの神サン頼ることあるかい。六十まで生きたらそれなりにみな神サンになるわい。遠慮すなっ>いいね。
田辺さん本人の言葉だと、老いて傲慢偏狭になってなにわるかろう。いつも同じくりごとをのべて、なにわるかろう。くりごとは何べん言ってもよい、だからくりごとなんだ。
ああ、いいねえ。
地金あらわれ、本音で生きるというのも、品のいいことだ。人が生きるとき、品がありつづけるには、かげで品のないこともしなくてはいけない。そういう必要がもうなくなったのだ。すごい。
と、言えるのが、すごい。
まあ、ほぼそのあたりを書店でめくり読んで、買う気になったのだ。
老眼鏡をかけるようになってウキウキと二つ三つ、奇抜で派手な眼鏡を注文した、とか、閉経したら極地探検も月旅行も行けると勇み立った、とか。
かつてハイミスだった頃、田辺聖子さんの恋愛小説を沢山読んだ。周りのハイミスたちも読んでいた。『窓をあけますか?』とか『苺をつぶしながら』とか、タイトルは覚えているが、どれがどれだったっけ?
久しぶりに読みました、田辺さん。素敵な人には素敵な連れ合いがいるもんだ。喜界島出身の医師だったカモカのおっちゃんは2002年に亡くなられたとのこと。
atcon 2012.08.17 17:15 edit
どんな60代、70代を過ごすことになるやら・・・
私自身は、たぶん偏屈おばさんが偏屈おばあさんになるだけだろう。って思うとそれもなんだかツライ。
老いた生活にもそれなりの楽しみを作りたいものです。