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【記事】福島原発事故:再び不起訴「地検は市民を向いていない」

記事元:毎日新聞 2015年01月22日 21時30分(最終更新 01月22日 23時58分)

◇東京地検、「東電旧経営陣3人の刑事責任問えず」

市民の判断を経ても検察の判断は覆らなかった。福島第1原発事故を巡り、東京電力旧経営陣3人の刑事責任を問えないと結論付けた22日の東京地検の不起訴処分。集団告訴に参加した福島の人たちは憤り、弁護団は不当な捜査結果だと訴えた。「絶対に起訴されるべきだ」。告訴団は再度示される検察審査会の判断に期待を込め、声を上げ続けていくという。【土江洋範、宮崎稔樹、近松仁太郎】

福島原発告訴団は福島市の県庁で記者会見した。副団長の佐藤和良さん(61)=福島県いわき市=は、地検の判断について「起訴相当とした検察審査会の議決を超える根拠があるのか」と強い口調で話し、再捜査に対する疑念を示した。

福島県内では、原発事故から4年が経過しようとしている今も、10市町村で避難区域が解除されておらず、自主避難者を含めて約12万人が避難している。

この日会見に参加した佐藤さんら6人は、多くの県民が平穏な生活環境を奪われ、仮設住宅での暮らしを余儀なくされているなどと訴え、「これだけの被害を出しておいて誰も責任を取らないとはどういうことか。怒りで震えている」と地検を批判した。

告訴団は検察審査会が再度「起訴すべきだ」と議決して強制起訴となることを期待し、上申書や署名を提出する。審査員となる東京都民に訴えかけるため、都内で原発事故の体験を証言する集会を開く方針だ。佐藤さんは「経済性を優先して、しかるべき対応を取らなかった疑いのない起訴案件だ」と力を込めた。

東京・霞が関で記者会見した告訴団の武藤類子団長(61)は「地検は市民の方を向いていない」と憤りを隠さなかった。

想定外の津波で、仮に対策を取っていても事故は防げなかったとした地検に対し、海渡雄一弁護士は「ほとんどへりくつ」と一蹴。河合弘之弁護士も「何をしても防げなかったというならば、今、再稼働のためにしている措置とは何なのか。再稼働は無理と検察が言っているのと同じだ」と声を張り上げた。

武藤団長は「国民の意思の議決を検察は無視した。事故の責任がきちんと司法の場で問われることを、被害者は心から望んでいる」との声明を読み上げた。