MOVIE+BOOK              

Log

草ぶきの学校

ファイル 10-1.gif1999年 中国 (NHKBSにて鑑賞)
監督 監督・徐耿(シュイ・コン)
出演 ツァオ・タン ウー・チンチン
文革以前、1962年の中国江南地方の小学校で過ごした思い出を主人公(桑桑)が振り返る。
 素朴な田舎の村で、小学校の校長を父に持つサンサン、転校生の少女、金持ちの少年、禿げ鶴と言うあだなの少年、田舎にはありがちな無責任な噂話、先生の恋愛、父の背中、などが描かれる中国映画らしい作品。演じる子供たちは皆素人だと言う。張芸謀監督の『あの子を探して』などとその天は同じ。が、「草ぶきの学校」の子供たちはちゃんとしたストーリーを、演技している。非常に自然でうまい。
 ベストセラー小説『草房子』の映画化だそうだ。素朴にうるうるしたい方、どうぞご覧ください。最後に流れる歌、コン・リーの『上海ルージュ』で出てきたものと同じ歌だとのこと。上海ルージュの原題がその歌と同じタイトルだったと思う。

MOVIE
comment(0) 2006.10.21 12:26

世界

ファイル 11-1.jpg2004年 中国映画
監督 ジア・ジャンクー
出演 チャオ・タオ
 『三峡好人/Still Life』で第63回ベネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞したジャ・ジャンクー監督。
 北京を出ずして世界を回れる、と言うテーマパークがあるらしい。縮小サイズのエッフェル塔やタージマハルやピラミッドがある。東京もある。その中で華やかな各国の扮装で踊るショーダンサーのタオとその恋人で警備員の男を中心に、ドキュメンタリータッチで物語が進んで行く。どこにでも起るような恋人たちのいさかいや、浮気や、地位を得るために上司と関係したらしい女や、タオの恋人を惹きつける年上の女や・・・が描かれる。裏切らないで、と、言ってしまうのはどこかが不安定に感じられているから。同僚がストーカーのような恋人ともめていたのにあっという間に結婚へ向かって行くことに、揺れる思い。
 物語の終わり方は、たぶんそのままに受け止めていいんだろうな。再生へ、と。

 かつてNHKで佐々木昭一郎というディレクターが中尾幸世という人を主役に作った何本かのドキュメンタリー風のドラマを、ふと思い出した。なんだろう、何か、その、同じテーマパークの中での出来事なのにロードムーヴィーのように感じる作り方?何か思わせるものが。裏切らないで、なんて言葉は佐々木昭一郎作品には無いけどね。

 私はこの作品をとても好きです。DVDがほしいと思っています。でも、この監督の作品は中国ではあまり受けないらしい。中国人から見れば自分たちの日常そのままだからかな?

MOVIE
comment(0) 2006.10.11 22:45

グエムル-漢江の怪物- 韓国

http://www.guemuru.com/
監督 ポン・ジュノ
出演 ソン・ガンホ ピョン・ヒボン パク・ヘイル ペ・ドゥナ

 グエムル、漢字表記すると怪物。そもそも埃を被った薬品ビンが気に入らない教授がいたのだ。大量の薬品を研究室の流しに捨てろと命じる教授。何十本、何百本の薬品が、漢江と続く流しに捨てられて行く・・・。
 怪獣元祖ゴジラが核実験で生まれた物だった事と同じ形で、人間による環境汚染を原因として漢江に怪物が生まれる。
 その怪物に襲われた少女、死んだと思った少女からの電話、少女を助けるために動き出す家族。

 怖い、おかしい、気持悪い、切羽詰ったリアルな場面でなぜか笑いがわく(少なくとも私は)、映像の間が絶妙。
 父親ってこうじゃなきゃ、と言う父親像(ぐうたらな金髪親父ですが)、凛々しい女、強靭な少女。
 
 汚いし、気持悪いし、皆様にお勧めできるかはいささか疑問でありますが、現代社会の問題を突きつつ滑稽で切ない、優れた作品です。

MOVIE
comment(0) 2006.09.09 12:26

光の雨

ファイル 13-1.jpgDVD鑑賞
2001年 日本映画
監督 高橋伴明
出演 萩原聖人、裕木奈江、山本太郎、大杉漣

 1972年の連合赤軍事件、浅間山荘にいたるまでのそのメンバーたちの経過(リンチ)を描いた作品。映画を撮っている現在の人間模様と、その映画とが交錯する作り。

 いわゆるお勧めは、できません。見ている途中で、革命の旗印の下におこなわれる狂気に実に腹が立ちます。
 が、映画を製作する経過で、若い役者さんたちがその空気にぐーっとひきこまれていったであろう気配があります。
 裕木奈江がとてもいい。かつてアイドル的な位置にいてぶりっ子だとバッシングされ、TVに顔を出さなくなり、舞台中心に活動していたようです。無表情で、永田洋子をモデルとする役を演じている。もちろん他の俳優もみな、ある種の憑依かという熱。

 “社会派青春映画”と名づけられているようです。とても丁寧に作られた優れた映画です。最後の、原作者立松和平さんのナレーションは要らないと、私には思える、のだけれど。

MOVIE
comment(0) 2006.09.02 23:37

M:I:Ⅲ

http://www.mi-3.jp/top.html
出演 トム・クルーズ フィリップ・シーモア

 トム・クルーズに格別の興味は無い、のでありますが、彼の奇行を理由にパラマウントが契約を打ち切ったというニュースに、へそ曲がりの血が騒ぎ・・・。

 見ている途中、わたくし、あーっ と口をあけたままの数秒間というのが数回・・・すっかり乗せられた見事なエンターテインメントでありました。必ずしもトムを立てるということでもなく、チームとしての映画作りだし、香港映画の影響、たとえば成龍がよくやる摩天楼からの滑り降りを、もっと大がかりな映像として見せるとか、そんなことも面白く見せられました。
 バチカンで、ゼーン役のマギー・Q(ハワイ出身、香港中心に活動しているモデル、呉彦祖やナカタと噂があった)が広東語を話すシーン、“むほういーすぃー(失礼しました)”だけしか聞き取れなかったのであるけれど。あと、上海(の近くのどこか観光地?実は)のシーンでトムが「走開、走開(どいてどいて)!」と言いながら走っていた、確か。
 MIシリーズ三作中の最高傑作との噂は真実でありました。広東語や北京語学習中の皆さんにもお勧め。ほんのちょっとだけど。

MOVIE
comment(0) 2006.08.30 22:47

「忘れえぬ想い」香港映画

ファイル 15-1.jpg原題 忘不了 DVD鑑賞
http://www.wasureenu-omoi.com/
監督 イー・トンシン爾冬陞(デレク・イー)
出演 セシリア・チャン張栢芝 ラウ・チンワン劉青雲 ルイス・クー古天樂 原島大地

 最近は、香港映画と言っても北京語や英語の台詞が多かったりします。が、これは広東語のみで綴られる、香港映画らしい佳作。
 なんと言っても男性中心の映画が多かった香港で1993年『つきせぬ思い』という涙のラブストーリーをヒットさせた爾冬陞監督、それからちょうど10年、2003年に同じ劉青雲で、ラブストーリーのお手本のような映画を創ったのですね。
 
 役者がいいですよ。セシリアが、ほんとにいいですよ。バスの運転手だった婚約者を亡くすところから始まる物語、彼の連れ子を演じる原島大地くんはお母さんが香港人で、日本語・広東語・北京語がしゃべれるそうです。この子がまた愛らしいこと。そして、ただ不器用ないい人に見える劉青雲にふっとなにかが…という・・・あーこれ以上は言えないから見てくださいね。

 きちんとその人々のバックグラウンドを描いてあって、無駄な湿気を感じない、良質のラヴストーリーです。見る人の年代や、それぞれの立場によって、しみる場面が違うかもしれません。

 蛇足…2006年夏現在、ニコラス・ツェーとの恋愛復活で、幸せいっぱいであるらしいセシ、とってもお似合いなんだけど、この二人はこれからも別れを何度か繰り返すのではないかと・・・ごめんね、セシ。最終的には幸せに結ばれることを祈ってるから。女優は若いうちだけ、なんて言わないで、長くいい女優であってくださいね。

MOVIE
comment(0) 2006.08.10 00:59

「パープルバタフライ 紫胡蝶」中国映画

ファイル 17-1.jpgDVD鑑賞。http://www.purple-b.jp/
監督 ロウ・イエ
出演 チャン・ツィイー(章子怡) 中村トオル リウ・イエ(劉燁) りー・ビンビン(李冰冰)

 上映時に、どちらかと言うと否定的な評価が多かった作品で、でもその中にまれに大好きだと言う人がいる、と、いう状況はいったい・・・と思っていました。
 結論から言うと、私はこの作品好きです。1930年前後の中国と日本の関係、張作霖と言う名前だとか満州事変だとか、そういうことを知っているかどうか、もし時代背景を知らないとすれば、とてもわかりにくいだろうしただ暗い映画だと思う、のでしょうね。

 パープルバタフライと言うのは抗日組織の名前のようです。1928年に満州で出会った恋人同士の別れ、次に上海で出会うときには実は敵味方になっているけれど…愛、組織、裏切り、が、もう一組の恋人たちの悲劇と絡んで進行する。時代が行きつ戻りつしながら、ひとりの俳優のアップにボンとフォーカスを合わせ、ほかをぼかすというやり方が多用される。

 チャン・ツィイーという女優を、私はそんなに好きではないけれど、この作品のツィイーはとてもいい。
 中村トオルは、映画では非常に良い俳優さんです。結構アジア各国の映画に出ているのだけど、上手い俳優さんではないのになんだろうこの迫力、たたずまいは、と、思ったのが香港映画『ジェネックスコップ』(1999年)でありました。
 リウ・イエはいわずと知れた若き名優、そして、リー・ビンビンの顔がいいんだなあ。

 中国の近代史に多少興味があって、中国映画を結構見慣れている方に、お勧めしましょう。小泉政権下の日中関係のややこしさの源を見るような気も致しました。

MOVIE
comment(0) 2006.08.03 12:00

「ジェイ・チョウを探して」香港映画

ファイル 18-1.jpgDVD鑑賞。http://www.taki-c.co.jp/cont/jay/
監督 オーブリー・ラム(林愛華)
出演 ショーン・ユー(余文樂) ボボ(蒲樂僮) ダニエル・ウー(呉彦祖) ジェイ・チョウ(周杰倫) 

 中国大陸で恋人に振られた女の子ボボが、香港にやってくる。小さいころから一緒だった犬が死んで立ち直れない男(ショーン・ユー)と知り合う。
 ボボは思い出の曲を探し回るが、それはジェイ・チョウのアルバムにシークレットボーナストラックとして入っている貴重なもので・・・。

 女性監督林愛華が『アメリ』http://www.albatros-film.com/movie/amelie/にインスパイアされてこの映画を作った事が明白な鮮やかな色彩、そしてアメリはもともと香港のウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』http://forest.kinokuniya.co.jp/ItemIntro/89959の影響を受けているであろう映画として知られている、ので、主人公ボボはなんだか恋する惑星のフェイ・ウォンを思わせるヘアスタイルで、やはり変な行動をしている。
 
 で、ジェイ・チョウって誰?映画『イニシャルD』で藤原拓海をやった人ですよ。アジアで今一番売れているかもしれない歌手。日本でも6月だったかコンサートをやりましたよ。
 同じく『イニシャルD』で中里 毅役だったのがショーン。『インファナルアフェア2』や『ベルベット・レイン』の時とはえらい違いの不細工な造形。

 『アメリ』や『恋する惑星』をお好きな方ならわかるでしょう?キュートな作品です。チョコッと顔を出す周杰倫は、自分から出演を希望したとか。これが初めての映画。なぜこれでアジアで一番売れた歌手?と言う感じの普通のお兄ちゃん風ですが。

MOVIE
comment(0) 2006.07.24 12:29

move