梨木香歩 1959年鹿児島生まれ、イギリス留学、滋賀在住、だそうです。鹿児島生まれと知ってこの人の物を読み始めました。
始まりはぬか床だった、ぬか床がうめくのだと帯にあるので、ホラーか?「ほの暗い水の底から」の親戚か?というような気がしてしまうのですが・・・読み 終わったところで、はあーっ、すごい、とつぶやいてしまいました。酵母菌に始まり、壮大な命の流れ、生命とは、というところに行き着くファンタジーなので す。ファンタジーと言ってもユニコーンやいわゆる魔法や妖精が出てくるわけではありません。それに、途中に挟み込まれる“かつて風に靡く白銀の草原があっ たシマの話”という部分がいまひとつ良くわからない、のでありつつも、命ということについて物思う機会があるときに何かふと、救われる、そういう出会いに なるかもしれません。
この人の「からくりからくさ」を読んだ時に、ひょっとしてルーツは奄美?と思ったのだけれど、この「沼地のある森を抜けて」にはガジュマルやアダンが生えてる島がでてきます。
試しに、「西の魔女が死んだ」を読んでみてください。文庫に入っています。それが気に入った方、他の作品をどうぞ。それぞれが連作っぽい作りになっていますし。