妻の愛娘の時

監督 張艾嘉(シルビア・チャン)
出演 張艾嘉 田壮壮

老いた母が死んだ。先に亡くなった父は、田舎に前の妻を置いて出稼ぎに来て、そのまま帰ること無く母と結婚したのだ。
娘は父と同じ墓に弔ってやりたいと思う。田舎の墓を近くに移そうと画策する。父の故郷を訪れるが、前の妻や村人によって強硬に抵抗される。

あたりまえだろー!と思うのだよ。そんな勝手なことがあるか。激動の時代の中国だから、田舎の戸籍制度や届け出がちゃんとしたものだったか、あいまいなものだったから離婚という手続き無しに次の結婚に行ってしまったのではないか?前の妻は、半年かそこらの結婚生活のあと、なにがしかの仕送りを受け取りながら一人で家を守ってきたのだ。

そこは中国人の自己主張の強さと言うものなのか、シルビア・チャン演じるこの女性の強さなのか、母親が父と同じ墓に入りたいと遺言を残したと主張して止まない。そしてその娘、亡くなった人の孫娘は、テレビ局勤務であり、お墓の問題をテーマにしている番組でそのことを取り上げることとなる。そのやり方も強引だ。ずかずかと踏み込んでいく無神経な取材ぶり。

あっちの手続きこっちの役所となにかしら書類が不備などで振り回される。役所の男を演じているのが、王志文、かつては身勝手なぼんぼんとか優男の役でお見掛けするものだった人が、普通のおじさんで出ている。女性の夫役が、田壮壮さんだもんね、中国第5世代の監督。李雪健さんがどの人だったかとうとう良くわからなかったけれど、田壮壮監督作品『青い凧』に出ていた役者さん。字幕にあったから注意していたのだが。
第5世代の監督は、俳優の訓練も受けているのだろうか?陳凱歌、張芸謀も俳優として出演した作品があるが、田壮壮も地味な目立たない役だがとても良かった。

マスコミ勤務の孫娘のボーイフレンドはロックバンドをやっていて、演奏する曲、これなんだっけ?よく知ってる曲、と思ったら、香港のロックバンド“ビヨンド”の黄家駒の『海闊天空』なのだった。黄家駒は日本のバラエティ番組に出ていた時に事故死したのだ。転落死。こんないい曲を作っていた人が。

孫娘ばかりかそのボーイフレンドの歌手の男までも、田舎の“おじいちゃんの前妻”の家に入り込んで親しくなっているってなかなか理解を越える状況だ。前妻は子どもがいないまま一人で年を取っていったから、孫のような感覚だったのだろうか。前妻を演じた吴彦姝さんはこの役で最優秀女優賞を獲ったらしい。

終わりに近づくほどにしみじみしてくる佳作でありました。田壮壮お父さんが急に素敵に見えてきて。

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