息吹

著者 テッド・チャン

出版社 早川書房

なんか手が伸びて、読んでしまったのだが。SFというと宇宙、じゃあないんだわねー。

短編集だから読みやすいかと思ったら「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」109頁~303頁、そのくらいの文庫本あるし。そしてこれ、ディジエントと呼ばれる仮想空間で生きているデジタル生物を、育てる、という話。AIを、教育によって学んでいくよう設定して、デジタル空間で学んでいく。時にはロボットにそのディジエントを載せて、実社会を体験させる。アイボはそもそもロボット犬だが、アイボが学んでいくことと似ているのだろう。ゲームなどしない身には、状況がつかみにくく、まあ早く言うと意味不明部分が多く、読むのにえらく時間かけてしまったよ。このディジエントを育てる仕事に就く女性の前職場が動物園だというのも、なんだかね。ディジエントとのセックスは、とか。作る会社が違うとデジタル生物も育ち方が全然違ったり。

「不安は自由のめまい」ではプリズム(プラガ世界間通信機器)と呼ばれるものを起動することで、分岐点で違う選択をしたパラレルワールドの自分自身と会話することができる。パラレルワールドの自分の方が成功していることもある。分岐点はあちこちにあり、出会う自分の分身は何人もいる。

私には時間がかかったけれど面白い優れたお話です。

寡作の作家なんだって。これが2冊目。で、前作の「あなたの人生の物語」から17年経ってるんだって。で、日本には前作からファンが多いのだそうだ。現代SF界でたくさんの賞を受賞したお方なのでした。

 

コメント (2)

atcon2023年12月17日(日曜日) at 10:11 PM

私は前作「あなたの人生の物語」を文庫が出た時に読みましたが、なんだか分かりにくかったなあって記憶しかない。
でもその後「メッセージ」というタイトルで映画化され、これは凄く分かり易く描かれていて、ああ、そういう話だったのか、って初めて分かった感じで。
エイリアンの言語らしきもののビジュアルが美しい。ストーリーも感動的な映画でした。映画はおすすめです。

2作目の「息吹」は、またまた難しそうですね。
映画化されたらぜひ観たい。

あある2023年12月25日(月曜日) at 10:46 PM

どちらも未見。機会があれば映画を観たい。
あなたの人生の物語 よりはわかりやすい、という感想を目にしましたよ。

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