心の故郷 ある湾生の歩んできた道

監督 林雅行

日本の統治下にあった時代の台湾に生まれた人のことを、湾生という。湾生の人たちに取材したドキュメンタリーは、前にも別のものを観ている。
今回この映画で、一番印象に残った言葉は、「日本では、ブルーカラーの仕事、労働を、日本人がやっていた」というもの。台湾で育った日本人は、とても恵まれた環境にあったのだ。

台湾北東部の蘇澳で生まれ、ずっとそこで育った女性と、蘇澳から基隆などへ移り住んだ男性が、長い時を経て偶然に日本で出会う。80歳を過ぎたその二人が蘇澳を訪問する時間を中心に、彼らの、日本人、台湾人両方の同級生との交友などを通して、彼らの戦前戦後、思いを描き出す。

もともとの育ち方のせいか、80歳過ぎた女性たちがとてもおしゃれだ。

学校での交流には差別など無かったのだろう。けれども日本人中学校に入ることができる台湾人はお金持ちである階級の人で、まずそこで選別されていたし。戦争で物資が少なくなってくると、配給される品物の量が違ったり。

そして、それでも不自由のない生活だった台湾から、荷物一つで渡ってきた日本では、物が無い厳しい生活が始まる。

台湾で生まれ育ったのだから、第二の故郷ではない、心の故郷。

日本人だと思って育ったのにある日中華民国人になった立場の人のドキュメンタリーも観たけれど、それぞれに視点が違って、興味深い。

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