ワン・セカンド 永遠の24フレーム
監督 張芸謀
出演 チャン・イー リウ・ハオツン ファン・ウェイ
文化大革命の時代。
ひたすら歩いて、村で上映する映画のフィルムを手に入れようとする男。同じくフィルムを狙う少女。
『あの子を探して』とか『至福のとき』とか、張芸謀監督の地味素朴部門に連なる作品なのだが。まあとにかく画面が汚いし、乱暴だし、そんな砂漠でそーんなに歩いたらすーぐ熱中症になるだろ、と思ってしまうし、なかなか入り込めない。
男が、どこか捕まって収容されてたところから抜け出してきたらしいことは見えてくるのだが。
女の子は何故フィルムを狙うのか?が、まあ日本人には思いもつかない理由による。勉強ができる弟のために電気スタンドを借りた、その傘は映画のフィルムを張り巡らして作ってあった。そしてその借りものが燃えてしまったので、何とか手に入れようと・・・。
この映画、2019年のベネチア映画祭で上映予定だったのが、どうやら検閲で引っかかったらしく、技術上の問題ということで延びてしまったのだそうだ。おそらくそれでカットされた部分に、もう少し事情が分かる場面があったのだろう。
娘がニュース映像に写っていると聞いて、強制収容所を脱出してきた男、たった一秒の画面を繰り返し見る男。パンフレットには、娘が亡くなっていることが書かれているとか。
もう一人映写技師の男が良い。
女の子を演じたリウハオツンはオーディションで選ばれてから制作開始までに時間がかかったためにすでに成人となっていたそうだが、小娘にしか見えない。
中国版ニューシネマパラダイス、今一つ乗り損なう気分でいた私には、観終わってからの方が、記憶に残る作品、と言う感じになっている。
幻の最初の編集バージョンを観たいものだな。
「令和の昭和感」という表現に嵌りました。 なんかそういう感じ、日頃、感じること…