天使の涙

監督 王家衛

出演 黎明レオン・ライ 李嘉欣ミシェール・リー 金城武 楊 采妮チャーリー・ヤン

原題『堕落天使』。WKW特集第二弾。スクリーンで観るのは初めてだが、四半世紀前、私はこの映画で王家衛に落ちたのだった。しっかし大画面で観るとあの部屋汚い!そりゃ雑巾がけするわ。

何度もTVサイズでは観ているのに、こんなに頓狂なキャラクターたちだったか、と思う。殺し屋レオン・ライは周潤發ばりに二丁拳銃ぶっ放し、失恋女チャーリー・ヤンは「恋する惑星」のモウの鏡写しのようなことをやってる、「恋する惑星」ではブリジット・リンがクールな金髪だったが、ここでの金髪女カレン・モクは手のつけようもないようなハイテンション、クールな美女エージェントの李嘉欣は一人ベッドであれだもんなあ(どれだよ)。そしてクリストファー・ドイルの手持ちカメラ大暴れ。使われていない時間の店をこじ開けて勝手に営業する、口のきけない金城武が、豚さんにマッサージする場面はチャーミングでかつての私のお気に入りシーンだったのだが、王家衛・クリスのスタイルに慣れて(たぶんね)好き勝手に動いている。台湾出身と言う設定で、心の声は彼だけ北京語。父親役は広東語だが、確かチョンキンマンションの実際の管理人だかなんだかだったはず、寿司屋の日本人も本物をその役に当てたのだろう。

想いのすれ違い、孤独が浮かび上がるのは王家衛作品はいつものことだ。

みんな若い。1995年の俳優たち、私が知った頃の彼ら。「恋する惑星」は初め3部作の予定だった、3番目の話を独立した作品として制作したそうだ。3部作だったら金城武ではない誰かが演じる別の話になっただろう。そもそも「楽園の瑕」の製作が遅々として進まなくて途中で別の映画を作ったんだし。「楽園の瑕」のキャストが暇になったので別の監督で作られた「大英雄」という脱力映画もある。

音楽が良い!この映画、映像と音楽が、同時進行で生まれたかのようだ。初めの方でタタッタタン で切れるフレーズがあんなに何度も使われたんだっけ、と思うのは、ちゃんとつながってるサントラを繰り返し聞いたせいか。

コメント (2)

atcon2022年10月6日(木曜日) at 7:27 PM

映像も音楽も、ほんとによかったですよね。私も大好きな映画です。
トンネルの中をバイクで疾走するラストシーンは、フライング・ピケッツ の「オンリー・ユー」と合わせて一番のお気に入りです。
CDを持っているんだけど、この映画を一人で観たらきっと泣いてしまうと思うので、今のところはまだ観ないでいます。

あある2022年10月6日(木曜日) at 10:52 PM

私は所々笑ってしまいました。
この映画の本やサントラCDがそこらで手に入った、返還前夜のあの頃。そして、1973年生まれの武がもうじき40代最後の年齢になる現在。

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