遮断地区
創元推理文庫
バシンデール団地、通称アシッド・ロウ(LSD街)、低所得者向けの団地に小児性愛者が引っ越してきたと噂が立つ。そのことに対する抗議デモが起こる。一方でその小児性愛者が以前住んでいた地区で10歳の少女の失踪事件が発生、排斥運動は暴動へと勢いづいていく。そんな中、往診に出かけていたソフィーは、その小児性愛者親子に監禁され。
ミネット・ウォルターズは、読了すれば面白いのだが、とにかく読みにくい、分厚い、暗い、ので、なかなか手を付けない・・・はずだがあれ?読み進むほどに映像的なスピーディな、ちょっと『ミレニアム』にも似た雰囲気がしないでもない展開。
小児性愛者、が、一つの軸になっているのだが、実は誰のことか?
背景となる場所、人物がトン、トンと飛んで、あちこちが絡んで展開するので、できれば一気に読みたいところだが、事情により私は間に2冊も別の本をはさんでしまったのだった。そんなことすると人間関係や誰が誰やらわからなくなりますよ、当たり前だけど。
ジミーという、メラニーの恋人で刑務所を出たばかりという黒人青年が登場してからがグッとエンターテインメント性を増して(だからミネット・ウォルターズっぽくなくて)、汚い言葉をはさまないでは喋れないこの男と、アイリーンという体の不自由な老女が、魅力的に描かれる。
いずれ映画化なりドラマ化なりされそうな、作品です。さて、積んどいてある暗い重いミネット・ウォルターズにも、手を伸ばそうかな。
ミネット・ウォルターズは、「女彫刻家」の評判が良かったので、読もうかどうしょうか躊躇ったまま。文庫本の帯にある概要を読むと、怖くて今なお手が出ない。
読書スタイルを言うと、私は常に2~3冊を同時進行的に読んでいます。読む場所によって読む本を変えているのだけど、結果、1冊を読み終わるまで時間がかかる。1冊にのめりこむ楽しさを味わえない。
でも、あれもこれもすぐに読みたいという誘惑に勝てない。
そうだよねえ(←M・ウォルターズの件も読書スタイルも)、ずっと本の貸し借りをしている友人が、M・ウォルターズをよく貸し出してくれるのだけど、数年借りたままどれをどこまで読んだかわからないまま書棚の隅。