火花
出版社 文芸春秋
とうとう買ってしまった。近所のツタヤには長く見かけなくなっていたのが復活してしばらく、手を伸ばそうか…と何度か逡巡し、今日初めて中の文章を覗いた、3ページぐらい。花火の描写が美しかった、続きを読もうと決めた。
逡巡の理由の一つには、私が太宰を好きでないことがあった。太宰ファンで有名な又吉なのであるから、どうなのだろう…と。
天才肌の、売れない先輩芸人との出会い。自分の伝記を書けと言われる。そして、この作品が、結果としてその伝記、という仕組みなのかな。
売れてないのに、一千万の借金を作ってしまう芸人。大昔の芸人さんと違って麻薬をやってるわけでもないのに。きっと、そういう、世の中の枠からどうしても外れてしまう人がいるんだろうなあ、その世界には。そういう姿を、太宰の継承と呼ぶのか。
先輩芸人との会話やメールのやり取りの、センス、という言葉でくくるのもなんだかな飛び越え方が羨ましい。わくわく。
途中、ふいに涙が沸き上がってきた部分があった。
とても、切なく、切羽詰まって書いた感があって、素敵な小説でした。
えーと、今気づいたのだけど、初めのほうで花火のシーンが出てきて、で、タイトルが火花って。いまだに間違える人がいるけど。
おお!意外といい感触ですね。良かった、良かった。
最近私も「オイコノミア」にはまって、なんとなく”頑張って、又吉”って気分になっています。
芸人としての言葉のセンス、文章のセンス、そして、女性を語るその視線。いつかお読みくださいませ。