最愛の子

最愛の子監督 ピーター・チャン(陳可辛)
出演 ヴィッキー・チャオ(趙薇) ホアン・ボー(黄渤) トン・ダーウェイ(佟大為)

こういう中国の事情について知らない人が見ると、衝撃だろう。
ある日、我が子がいなくなる。何者かに連れ去られたのだ。日本であれば身代金を要求される誘拐事件か、と思われるが、中国ではそうではない。ただ連れ去られ、どこかに売られる。大概は男の子であり、男の子を必要とする農村などに連れて行かれる。

中国では1979年から一人っ子政策が導入された(少数民族はその限りにあらず)。人口が増えすぎることを抑えるため。社会的環境的いろいろな悪影響を抑えるため。それによって別種の悪い事情が生まれる。小皇帝と呼ばれる甘やかされた一人っ子、という普通の問題に始まり。

働き手の欲しい農村で男の子に恵まれないと、人さらいの組織から子供を買う、というおよそとんでもない事態までも、年間20万件という公的発表よりずっとたくさん起こっているのだそうだ。
TV番組でニュースやドキュメンタリーを見ていたので、その誘拐・人身売買の実態については知識があった。インターネット、SNSを駆使して探す親たちのことも。

何年もかけて、やっと我が子を見つける。大団円、にはならない。子は、育ての親の下で、貧しくても幸せに育っていたのだから。…そこから先のドラマが厳しい。

育ての母を演じる趙薇は、目鼻立ちの大きな華やかな女優だが、化粧っ気のない素顔をさらして演じている。彼女自身が安徽省出身で、この作品の中では安徽省方言をしゃべっているということだ。

映画の最後に、モデルとなった実在の人々が出てくる。それぞれを演じた俳優たちも、監督も同じ場に。

あー、最近二人目の子どもを持つことが許される状況になったようだけど、そして今までも罰金を払えば二人目三人目を生むこともできたから、大金持ちは複数の子どもを持ったりしているけど、お金を払えない内陸部の人々の中では、戸籍を持てず、教育を受けられず、医療も受けられない人が、数千万?~数億?と言われている。13億~14億となっている中国の人口は、実はどうなのか把握されていないんだね。観光に来て爆買いしているのは、その中の砂粒ぐらいの人なのかもね。

 

 

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